無表情の年下魔獣ハンターとの重い蜜月が大変すぎる

まるい丸

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3 番同士で楽しい女子会

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王都の中でも由緒正しい血統の者達の住宅が立ち並ぶ地域にある豪邸にステラは来ていた。広々としているのにきちんと手入れの行き届いている庭園で丸いテーブルをステラを含めた3人の女達が囲んでいた。


「きょ今日はお茶会にお招きいただいてありがとうございます」


 かしこまったように両手を太腿に乗せてステラの斜め向かいに座る、この家の主である柔らかい笑みを浮かべている金髪の女性にお礼をいう。


「ステラさんそんな緊張しないで、私ずっと獣人の奥様とお友達になってみたかったの!ヴィンセントに何回もお願いした甲斐があったわ~」


 そう朗らかに微笑む彼女はミラという人間の女性だ。この国には何万人という騎士が国を守っている。中でも国家騎士と呼ばれる名誉ある役職には10人ほどしか存在しない。その国家騎士の中でも歴代最強と謳われているが黒豹獣人のヴィンセントである。何を隠そう彼の番がこのステラの目の前にいるミラなのだ。


「ステラさんはマリとは初めましてかしら?」


 ミラはそう言うと、彼女の隣に座る黒髪をお団子でまとめているステラよりいくつか年下に見える意志の強そうな女性へと顔を向けた。


「はっい、はじめまして私ステラです」

 

 初めての空間で初めましての人が2人もいるため、人見知りモードを発動し声を上ずらせながら会釈した。


「はじめまして、マリです。多分私の方が年下なんで全然タメ口で喋ってください」

 

 さばさばとした口調だが、微笑して緊張しているステラを和ませようと気を使ってくれた。


(最初はちょっと怖そうかもって思ったけど、優しい子かも。勇気出して来てよかった)


 ステラは心中で安堵の息をはいた。そしてこの茶会にお邪魔した経緯を思い出す。



 ゼノと結婚して丁度半年程が過ぎており結婚が決まった直後に仕事を辞めさせられ、いつの間にかゼノが準備していた豪邸にステラの意見も聞かれることなく問答無用で住むことになった。それからゼノと出掛ける時以外は家で軟禁状態となり彼が帰宅すればしつこい程に愛される毎日。あまり自己主張せずに生きてきたためそんな日々も流されるように受け入れていた。しかしゼノから与えられる重たい愛情に正直ステラは戸惑い感じていた。


(一度もゼノ君に番って言われたことない。けど、私に向ける独占欲の強さは獣人が番に対するそれと同じ…)


 そんな頃にゼノから、知り合いの獣人の奥様からステラを茶会に誘われたと言われた時、コミュ障で人見知りな自分は馴染めるかと不安な気持ちがあった。けれど同時にこれは獣人の奥様達に悩みを相談できるいい機会なのではと思い二つ返事で了承して今にいたる。


「獣人との生活はどんな?2人とも慣れたかしら?」


 ミラはティーカップを口に運びながら朗らかに聞いてきた。


「えっと…正直まだまだ慣れなくて。以前勤めてた職場好きだったんですけど、結婚が決まると仕事を辞めることになっちゃって…」


 履いているスカートをぎゅっと両手で握りながら少しずつ目線が下がっていく。ステラは本当にあの職場が好きだった。今でも戻りたい気持ちがあり、ゼノが機嫌が良さそうな時に復職をしたいと持ち掛けようとするが直ぐに甘い雰囲気となり話せずにいた。


「まぁ、それは悲しいわね。獣人は独占欲が強いからパートナーが外で働く事を極端に嫌がるからね」


「何それ。いくら結婚したからって夫が妻の仕事辞めさせる権利なくない?私だったら即離婚する!」


 ミラが眉を垂れさせた気遣うようにステラに話してると、マリは眉間にシワを寄せ考えられないと頭を振った。


「マリさんは、まだお仕事続けてるんです…か?」


 ミラの夫も獣人のはず、妻が働くなどそんな事許すはずないと思いながら念の為聞いてみた。すると驚く事を彼女は言った。


「はい、私は旦那と結婚する時に仕事は続けるっていう条件だったので」


「えっ!!そんな事あるんですか?」


「そうなのよ、マリ達夫婦は獣人と人間のカップルにはすごく珍しい共働きなのよね」


 ステラは驚きすぎて声のボリュームが大きくなってしまう。

補足するようにミラが言った。


「結婚する前は人間の意志を尊重するって言って結局軟禁状態にしてしまう事が殆どなのに、イザークさんは寛大ね~」


「…寛大って、普通は約束守るものだからね!獣人が勝手すぎるだけよ。ミラ姉長い事あの腹黒黒豹獣人と一緒に居すぎて感覚麻痺してるよ」


 マリはそう吐き捨てると心底嫌そうな顔をした。彼女は獣人と結婚はしているが、よく見られる獣人のパートナーに対する独占欲の強さには懐疑的なようだ。

 

「もしかして、マリさん田舎出身だったりしますか?」


 気になって気難しそうに頬杖をついている向かいに座る彼女に思わず質問する。


「…そうですよ。よくわかりましたね、私とミラ姉は同じ村出身なんです。何でわかったんですか?方言とか出ちゃってましたか?」

 

 マリは少し間をおいて頷いた。そして田舎の言葉喋ってたかなと口元を押さえた。


「ミラさんも同じ村出身なんですね!いや、マリさん獣人と結婚するって思ってなかったんだろうなと話し方から思って…都会の方ではそんな事ないけど、田舎の方では獣人に嫁ぐと大変だと大人達に口酸っぱく言われるから」


「そうなんですよ!私も小さい頃は何か悪さしたら獣人に嫁に貰われるって親達に脅されてました。でも絶対に獣人と結婚しないって思わせられトラウマたのはこの夫婦のせいですけどね」


 鼻にシワを寄せてマリは隣に座るミラを指差す。


「まぁちょっとマリには刺激の強いもの見せちゃったかもしれない…」

 

 指をさされた張本人はえへと頬を染めて気まずそうに苦笑いをする。


「ちょっとどころじゃないわ!強烈すぎて今でも偶に思い出しちゃうんだから!」

 

「まぁまあ、綺麗であの王都国立薬学研究所の研究者様と結婚できたんだし結果オーライね!で、ステラさんは何か困った事とかない?何でも相談乗るよ」


 怒りが収まらないようなマリに詰め寄られて焦ったミラは無理やり話を終わらせて、ステラへと顔を向ける。


「あっ、えっとそうですね…私一つ悩みがあって」


「うん、どうしたの?」


 急に話を振られて頭をフル回転させる。そして結婚してからずっと悩んでいる事を打ち明けることにした。


「…私ゼノ君にとってなんなのかなって。ただ独占欲から結婚したのか番認定されてるのか分からなくて…」


 話し出したはいいものの段々と尻すぼみなっていく。言葉にする事で惨めな気持ちになる。


 

「えっ、」


「はっ?」

 

 ステラの言葉を聞き2人は素っ頓狂な声をあげて矢継ぎ早に彼女に質問を投げかけてきた。


「ステラさんあなた結婚して直ぐに軟禁状態になったのよね?」


「あっ、はい」


「仕事場とかにも最後の挨拶行けずに辞職の手続きとか旦那さんが全部1人でしたんですよね?」


「はっい」


「外出時は旦那様同伴で尚且つ1ヶ月に2度あるかないかの頻度よね?」


「えっと多分そうですね」


「「夜の営みは夜から明け方まで離してもらえなくて毎回中出しされてほぼ毎日あるよねありますよね?」」


「はぃぃ、そうです」

 

 ミラとマリは彼女に顔をぐいっと近づけて2人同時に質問をしてきた。際どすぎる質問に顔を真っ赤に染めて小声になりながらぶんぶんと頭を振る。



「大丈夫ステラさんあなたとっても愛されてる番よ」


「そうですよ、多分ステラさんの旦那さんが口下手だから伝わってないのかもだけ番認定されてます」


「いくら独占欲とか執着が強い獣人でも好きな相手ぐらいじゃそんな事しないわよ」


 強い確信を滲ませた2人の言葉にステラもそうなのかもと思うようになってきた。



「ステラさんのお悩みも解決した事だしパティシエに作ってもらったケーキでも食べましょう」


 ミラは空気を変えるようにパンっと両手を叩き、カラフルに彩られた可愛い見た目のケーキを目の前に置いた。


 ステラが結婚してからずっと抱えていた、モヤモヤが少し解決して晴れやかな気持ちになっていた。それからお茶会は獣人夫の愚痴も交えながら和やかに進んでいった。


 一方彼女達の夫も男子会又の名を情報交換会なるものを同じ敷地の中で開いていた。






人物紹介

ミラ(38)


 黒豹獣人ヴィンセントの番で人間。夫に深く重く愛されてるが適応力が凄いのでほのぼの生きてる。ヴィンセントとの間には5人の子宝に恵まれている。


マリ(25)

 蛇獣人イザークの番。冷めてる部分もあるが真面目で心を許した人には情が深い。獣人の番では珍しく仕事を続けていて共働き。ミラとヴィンセントのある出来事で獣人とは絶対に結婚しないと思っていた。

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