独絶

仲葉彗

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覚えているか

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生まれたときにゃ、死にかけた
そう、この話は絶望から始まるんだな

へその緒絡まって
声も出やしなかったんだなぁ

何が悲しくて羊水ごとぶちまけられ
息詰まらせて連れてこられたんだい

頭蓋をぐしゃりとつかまれて
へんてこに、適当に、良い加減に
いいかげんな形にされた僕の頭
そうまでして生まれてこなきゃいけない世界だったかな

あまりの驚きで声も出やしない
泣いて始まるってなんのことだ

そんな潤いは僕の心にあったのかい

羊水にまみれた僕の顔
そこに涙はあったのかい
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