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第一章
14.港街
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◇
「はあ、はあ......。やっと着いた」
迷いの森を出て三時間、必死に走った私を歓迎したのは空を飛ぶ白い鴎たちだった。
疲れた身体に海の爽やかな潮風がしみる。
ここがミデリー最大の交易港シンピゴール。前世では一度しか来ていなかったから不安だったけど、幸運にもなんとか迷わず来れたみたいだ。
(とりあえず、喉が乾いたわね)
カラカラの喉を潤すため、水か果実水でも買いたい。が、その前にまずは換金が先よね。
そう思い、しばらく街をさまようと路地の奥の方で古びれた質屋のような店を発見した。
(よし、ここでアクセサリーを売ってきましょう)
「こ、こんにちは」
そう言ってワイン色ののれんをくぐると、そこには店主と思わしきおじさんが葉巻をくわえながら居眠りしていた。
(うわっ、たばこくさ......)
外装と同じでとても綺麗とは言えない店内は店主のたばこの匂いで充満している。
寝ている店主を起こすように私は少し大きめの声でこう告げた。
「あの、この宝石たちを買い取ってほしいの」
「ぐぅ......はっ! いらっしゃい」
そう言うとやっとその声で起きたおじさんはいそいそと老眼鏡をかけ始めた。
(やれやれ。ぐぅ、じゃないのよ)
私はやや呆れながらも鞄からアクセサリーを出し、カウンターの上に置く。
持ってきたのは母のお下がりのエメラルドのブローチ。そしてパールのネックレスだ。
ちなみにミデリーでの通貨はこんなかんじ。
銅貨三枚で一杯の飲み水。
銅貨三十枚か銀貨二枚で普通のランチ。
銀貨十枚か金貨二枚で小綺麗なドレスか靴が買えるくらいである。
アクセサリーのデザインは古いが、ついている宝石はそれなりに良いものであると前世で別の宝石商に言われたことがある。
なのでおそらく全部で金貨五枚くらいは貰えるだろう。
しかしそんな風に思っていた私に店主が告げたのは思いもよらぬ金額だった。
「ふーむ。では二つで金貨二枚ですな」
「え、でもそんなに安いはずは......」
......あまり商売に詳しくない私でも分かる。
これは利益を追求しようとした商人が実際の価値よりも低く見積もる商法だ。
言い返そうとしたが、こちらもあまりのんびりしている余裕はない。
金貨二枚あれば、とりあえずここから移動する分と三日ほど宿に泊まれるお金にはなる。
つまり最低限にはなるが、それでも今の私には十分なのだ。
(仕方ない。時間もないし、この金額で売ろうかしら)
「わか――」
分かったと言おうとした瞬間、背後から聴こえた低い声にドクン、と心臓が跳ね上がる。
「ちょっと待ちな、お嬢さん」
振り返ると、そこには見覚えのある背の高い男が立っていた。
「はあ、はあ......。やっと着いた」
迷いの森を出て三時間、必死に走った私を歓迎したのは空を飛ぶ白い鴎たちだった。
疲れた身体に海の爽やかな潮風がしみる。
ここがミデリー最大の交易港シンピゴール。前世では一度しか来ていなかったから不安だったけど、幸運にもなんとか迷わず来れたみたいだ。
(とりあえず、喉が乾いたわね)
カラカラの喉を潤すため、水か果実水でも買いたい。が、その前にまずは換金が先よね。
そう思い、しばらく街をさまようと路地の奥の方で古びれた質屋のような店を発見した。
(よし、ここでアクセサリーを売ってきましょう)
「こ、こんにちは」
そう言ってワイン色ののれんをくぐると、そこには店主と思わしきおじさんが葉巻をくわえながら居眠りしていた。
(うわっ、たばこくさ......)
外装と同じでとても綺麗とは言えない店内は店主のたばこの匂いで充満している。
寝ている店主を起こすように私は少し大きめの声でこう告げた。
「あの、この宝石たちを買い取ってほしいの」
「ぐぅ......はっ! いらっしゃい」
そう言うとやっとその声で起きたおじさんはいそいそと老眼鏡をかけ始めた。
(やれやれ。ぐぅ、じゃないのよ)
私はやや呆れながらも鞄からアクセサリーを出し、カウンターの上に置く。
持ってきたのは母のお下がりのエメラルドのブローチ。そしてパールのネックレスだ。
ちなみにミデリーでの通貨はこんなかんじ。
銅貨三枚で一杯の飲み水。
銅貨三十枚か銀貨二枚で普通のランチ。
銀貨十枚か金貨二枚で小綺麗なドレスか靴が買えるくらいである。
アクセサリーのデザインは古いが、ついている宝石はそれなりに良いものであると前世で別の宝石商に言われたことがある。
なのでおそらく全部で金貨五枚くらいは貰えるだろう。
しかしそんな風に思っていた私に店主が告げたのは思いもよらぬ金額だった。
「ふーむ。では二つで金貨二枚ですな」
「え、でもそんなに安いはずは......」
......あまり商売に詳しくない私でも分かる。
これは利益を追求しようとした商人が実際の価値よりも低く見積もる商法だ。
言い返そうとしたが、こちらもあまりのんびりしている余裕はない。
金貨二枚あれば、とりあえずここから移動する分と三日ほど宿に泊まれるお金にはなる。
つまり最低限にはなるが、それでも今の私には十分なのだ。
(仕方ない。時間もないし、この金額で売ろうかしら)
「わか――」
分かったと言おうとした瞬間、背後から聴こえた低い声にドクン、と心臓が跳ね上がる。
「ちょっと待ちな、お嬢さん」
振り返ると、そこには見覚えのある背の高い男が立っていた。
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