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二章
17.戦勝パーティー
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「せんしょ、ぱーてー、ぃ?」
朝早くつり目の女に叩き起された私は回らない口で一生懸命彼女に聞き返す。
「そうよ、第一皇子がまた他国を制圧したらしいわ! こうしちゃいられないわ!」
ヘリンは何故か上機嫌で鏡の前でドレスを自分にあてている。
「? なんでヘリンが楽しそうなの」
「! そっかあんたは知らないのよね。戦勝パーティーは街を上げてやる凱旋パーティーよ。出店も出るし、仕事が終れば私たちも遊びに行けるのよ!」
「!」
(なっなんだって~!?それを早く言え!)
私も急いでクローゼットを開ける。しかしその瞬間、あることに気づいた。
「......私外に行く服持ってないや」
「そうなの? うーん。じゃあ貸してあげるわよ」
「いいの?」
「まあ、一つ貸しね。私のは高くつくわよ」
そう言ってヘリンはケラケラと笑う。どうせそんな事だろうと思ったよ。
「どれがいいかしら、サイズが合うのが少ないのよねーあ、これなんかどう? ちょっと着てみなさいよ」
彼女から手渡されたのは可愛らしい膝丈のピンクのワンピース。
私は今の今までそんなおしゃれな服を着たことが無かった。ドキドキしながら着替え、鏡の前に立つとそこには見たことがない自分が立っていた。
「ふうん。中々いいんじゃない、似合ってるわよ」
「へへっ......ありがとへリン」
「ばっ! 何恥ずかしいこと言ってんのよ。とにかくそれを着れるのは仕事の後なんだから、分かってる?」
「はぁーい」
私は名残惜しくもワンピースをクローゼットに戻し、メイド服に着替え、髪を縛り、靴を履き、部屋のドアを開け、そして今日も仕事に向かうのだった。
「フィオネ、準備出来た?ってあー......ちょっとこっち座って」
「?」
時刻は十八時、仕事が終わった私たちは街に行くため準備をしていた。
「なーんか微妙なのよね、その二つ結び。そうだ、これをこうして、こっちもこうして、はい、できた」
そう言うとヘリンが私に手鏡を渡す。頭を見ると左右に可愛い編み込みが出来ている。どうやらヘアアレンジしてくれたみたいだ。
「わ、すごいヘリン」
「ふふ、そうでしょそうでしょ。さ、準備が出来たら早速行くわよ」
そういう彼女は黒のシックなワンピースを身にまとい、ボブの髪をハーフアップにしていた。
手首にはシルバーのブレスレットをつけ、真っ赤なリップをしている。
「そんなにおしゃれして行くの? ただの街のお祭りじゃ?」
「何言ってんのよあんた。貴重な出会いの場じゃない! 今日こそはいい男捕まえないと! ま、お子ちゃまのあんたは出店でもぐもぐ何か食べてれば良いわよ」
「むー」
ヘリンにからかわれながらも私達は城を出る。
夕方の町に出るのは不思議な感覚で、蒸し暑い空気と蝉の声がより一層私に夏を感じさせていた。
朝早くつり目の女に叩き起された私は回らない口で一生懸命彼女に聞き返す。
「そうよ、第一皇子がまた他国を制圧したらしいわ! こうしちゃいられないわ!」
ヘリンは何故か上機嫌で鏡の前でドレスを自分にあてている。
「? なんでヘリンが楽しそうなの」
「! そっかあんたは知らないのよね。戦勝パーティーは街を上げてやる凱旋パーティーよ。出店も出るし、仕事が終れば私たちも遊びに行けるのよ!」
「!」
(なっなんだって~!?それを早く言え!)
私も急いでクローゼットを開ける。しかしその瞬間、あることに気づいた。
「......私外に行く服持ってないや」
「そうなの? うーん。じゃあ貸してあげるわよ」
「いいの?」
「まあ、一つ貸しね。私のは高くつくわよ」
そう言ってヘリンはケラケラと笑う。どうせそんな事だろうと思ったよ。
「どれがいいかしら、サイズが合うのが少ないのよねーあ、これなんかどう? ちょっと着てみなさいよ」
彼女から手渡されたのは可愛らしい膝丈のピンクのワンピース。
私は今の今までそんなおしゃれな服を着たことが無かった。ドキドキしながら着替え、鏡の前に立つとそこには見たことがない自分が立っていた。
「ふうん。中々いいんじゃない、似合ってるわよ」
「へへっ......ありがとへリン」
「ばっ! 何恥ずかしいこと言ってんのよ。とにかくそれを着れるのは仕事の後なんだから、分かってる?」
「はぁーい」
私は名残惜しくもワンピースをクローゼットに戻し、メイド服に着替え、髪を縛り、靴を履き、部屋のドアを開け、そして今日も仕事に向かうのだった。
「フィオネ、準備出来た?ってあー......ちょっとこっち座って」
「?」
時刻は十八時、仕事が終わった私たちは街に行くため準備をしていた。
「なーんか微妙なのよね、その二つ結び。そうだ、これをこうして、こっちもこうして、はい、できた」
そう言うとヘリンが私に手鏡を渡す。頭を見ると左右に可愛い編み込みが出来ている。どうやらヘアアレンジしてくれたみたいだ。
「わ、すごいヘリン」
「ふふ、そうでしょそうでしょ。さ、準備が出来たら早速行くわよ」
そういう彼女は黒のシックなワンピースを身にまとい、ボブの髪をハーフアップにしていた。
手首にはシルバーのブレスレットをつけ、真っ赤なリップをしている。
「そんなにおしゃれして行くの? ただの街のお祭りじゃ?」
「何言ってんのよあんた。貴重な出会いの場じゃない! 今日こそはいい男捕まえないと! ま、お子ちゃまのあんたは出店でもぐもぐ何か食べてれば良いわよ」
「むー」
ヘリンにからかわれながらも私達は城を出る。
夕方の町に出るのは不思議な感覚で、蒸し暑い空気と蝉の声がより一層私に夏を感じさせていた。
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