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二章
19.星降る夜に
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私は両手にたくさんの食べ物を抱え、ある場所に向かっていた。
ドサッ。
「ふぅ......」
「フィオネ? どうしたのそれ? それにその格好――」
突然現れた私の姿に驚くシウォン。
「私、はぁ、お祭り行ってきたの。はぁ、それで、これ一緒に、はぁ、はぁ......。食べようと思って買ってきたの」
「そうなの?すごい重かったんだね、大丈夫?とりあえず座りなよ」
シウォンにはあれからこうしてたまに会うような間柄になった。
一緒に話したり、ご飯を食べたりするととても楽しいのだ。
「落ち着いた?」
「うん、大丈夫。いっぱい買ってきたからどれ食べる?ステーキとポテトと......焼き菓子とチーズサンドもあるし、あっそうそうこれ、飴細工! 綺麗でしょ?」
私はシウォンと同じ赤い目をした虎の飴細工を見せた。
透明な飴細工が夜闇に透けて綺麗だ。
「わあ、綺麗だね」
「でしょ? 私のはこの翡翠色の鳥だよ。虎は見た時にすぐにシウォンのことを思い出したんだよ」
「そっか......」
彼は優しい笑みで私を見る。
その瞬間、本当は一緒に行きたかったって伝えそうになったけどそれを言ったら何かが壊れそうに思えて言えなかった。どうしたんだろう私。
「私このステーキがずっと食べたくてさ。いただきまーす」
「じゃあ僕も、いただきます」
とりあえず冷めないうちに食べよう。
この変な気持ちは閉まって。
「私がチリソースでシウォンのはガーリックソースにしたよ。私のと一切れ交換してよ」
「ふふ、いいよ。はい、あーん」
雲一つ無い星空の下でシウォンとご飯を分け合う。
それがなんだか今日はすごく特別な気がする。
「フィオネ、どうして僕の分買ってきてくれたの?」
「私ね、ここに来てから誰かと食べる方が美味しいって気づいたの。だからシウォンの分も買ってきた」
その瞬間、シウォンはびっくりした顔をしたがすぐに笑顔になってありがとうと言ってくれた。
「シウォンのその.......お母さんのこと聞いた時、私も家族が居ないからちょっとだけ寂しいって思ってたの」
「フィオネも......?」
言うか迷ったけど彼を前にすると自然と自分のことを話してしまう。
「うん、うちは家族が貧しくてお父さんは誰か分からないからお母さんと弟と暮らしてたんだけど二人とも病気で死んじゃったの。二人が死んでから何を食べてもあんまり美味しくなくて......でも、ここに来てからご飯が美味しくて、特に――」
「特に?」
「シウォンと食べるご飯が一番美味しいんだ」
ぶほっ!ごほっ!
「シウォン、大丈夫!?」
「だっ大丈夫っちょっとむせちゃっただけだから......」
シウォンは飲み物を盛大にこぼしてしまった。辛い話を聞かせたからだろうか?
フィオネが余計な心配をしている時、シウォンの耳が真っ赤に染まっている理由が別にあることをこの時の彼女は知る由も無かった。
ドサッ。
「ふぅ......」
「フィオネ? どうしたのそれ? それにその格好――」
突然現れた私の姿に驚くシウォン。
「私、はぁ、お祭り行ってきたの。はぁ、それで、これ一緒に、はぁ、はぁ......。食べようと思って買ってきたの」
「そうなの?すごい重かったんだね、大丈夫?とりあえず座りなよ」
シウォンにはあれからこうしてたまに会うような間柄になった。
一緒に話したり、ご飯を食べたりするととても楽しいのだ。
「落ち着いた?」
「うん、大丈夫。いっぱい買ってきたからどれ食べる?ステーキとポテトと......焼き菓子とチーズサンドもあるし、あっそうそうこれ、飴細工! 綺麗でしょ?」
私はシウォンと同じ赤い目をした虎の飴細工を見せた。
透明な飴細工が夜闇に透けて綺麗だ。
「わあ、綺麗だね」
「でしょ? 私のはこの翡翠色の鳥だよ。虎は見た時にすぐにシウォンのことを思い出したんだよ」
「そっか......」
彼は優しい笑みで私を見る。
その瞬間、本当は一緒に行きたかったって伝えそうになったけどそれを言ったら何かが壊れそうに思えて言えなかった。どうしたんだろう私。
「私このステーキがずっと食べたくてさ。いただきまーす」
「じゃあ僕も、いただきます」
とりあえず冷めないうちに食べよう。
この変な気持ちは閉まって。
「私がチリソースでシウォンのはガーリックソースにしたよ。私のと一切れ交換してよ」
「ふふ、いいよ。はい、あーん」
雲一つ無い星空の下でシウォンとご飯を分け合う。
それがなんだか今日はすごく特別な気がする。
「フィオネ、どうして僕の分買ってきてくれたの?」
「私ね、ここに来てから誰かと食べる方が美味しいって気づいたの。だからシウォンの分も買ってきた」
その瞬間、シウォンはびっくりした顔をしたがすぐに笑顔になってありがとうと言ってくれた。
「シウォンのその.......お母さんのこと聞いた時、私も家族が居ないからちょっとだけ寂しいって思ってたの」
「フィオネも......?」
言うか迷ったけど彼を前にすると自然と自分のことを話してしまう。
「うん、うちは家族が貧しくてお父さんは誰か分からないからお母さんと弟と暮らしてたんだけど二人とも病気で死んじゃったの。二人が死んでから何を食べてもあんまり美味しくなくて......でも、ここに来てからご飯が美味しくて、特に――」
「特に?」
「シウォンと食べるご飯が一番美味しいんだ」
ぶほっ!ごほっ!
「シウォン、大丈夫!?」
「だっ大丈夫っちょっとむせちゃっただけだから......」
シウォンは飲み物を盛大にこぼしてしまった。辛い話を聞かせたからだろうか?
フィオネが余計な心配をしている時、シウォンの耳が真っ赤に染まっている理由が別にあることをこの時の彼女は知る由も無かった。
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