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二章

25.君は誰

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 指輪のことを話した時、私はシウォンに対して恋心を抱いてることを理解した。
 気づいたは良いものの、初めてすぎてこの気持ちをどうしたら良いか分からない。

 今日はライアンに断りを入れて、久しぶりに中庭で草むしりをしている。

「好き......嫌い......好き......きr......今のは無し、次が本当のやつ。好き......嫌い......」

「あんた、大丈夫?」

「うわああああ」

 私は花占いならぬ草占いに夢中になり、背後からドン引きしながら様子を伺っていたヘリンに気づかなかった。

「急に今日は草むしりがしたいなんて言うから変だと思ったのよね。ふーん、それで? 相手は誰なのよ?」

「!? ナ、ナンノコト、デ、デショウカ...」

「あら、隠さなくたっていいじゃない。私とあんたの仲なんだから」

 何故バレている!?というかいつからヘリンはここにいたんだろう。全部聞かれていたとしたら相当恥ずかしい。

 私はその時、自分の顔と耳全てが真っ赤に染まっていることに自分では全く気づいていなかった。

 数分の格闘(?)の上、観念してヘリンに話すことにした。

「でもヘリンは知ってる相手じゃないかもしれないんだけど......」

 なんて説明したらいいかな?
 こんなこと人に言うのは初めてだ。

「どこで知り合ったのよ? 年上? 年下? まさかこの城の中にいる人!?」
「えっえっと、歳は分からないけど同じくらいか、ちょっと下だと思う」
「あんたもやるわねー。もう告白した? その子の名前はなんて言うのよ?」

 ヘリンに詰められて恥ずかしさが込み上げる。

「こ、告白なんてしてないよ! まだ......えっとその子はシウォンって言うんだけど」

 その瞬間、ニヤニヤしていたヘリンの顔が急に真顔になった。

(あれ?何かまずいこと言ったのかな......)

「ちょっと待って、その子髪の毛は銀色?」
「え? うっうん......」
「目は赤い?」
「えっどうして分かるの?」

 ヘリンは何故か教えてもない情報を次々に出していく。どういうこと?

「はぁー、まじか。よりにもよって......フィオネ、よく聞きなさい。あんたが好きになったのはね――」

「うん」

「─────なのよ」

 それを聞いた瞬間、手先が急速に冷たくなる。
 ヘリンが言った一言で途端に私は言葉を失った。
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