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三章
32.一触即発
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あれからすぐに会場は整えられ、話し合いの場が設けられる。
「トーユ国ヘンゼル国王、ユジ国ミッジ国王が到着しました!」
その声と同時に、城のドアは開かれる。
すると二人の国王がその場に現れた。
(あれが――)
「お久しぶりです。ジーク皇子、皇弟陛下、この度はこの席を設けて頂いて嬉しく思います」
一人の男がジークに挨拶する。
髪は黒でドレットヘア、少し不思議な雰囲気がある男だ。
「俺はあまり嬉しくはないがな。ヘンゼル国王、貴方がこんな強行に及ぶとは考えもしなかった。ミッジ国王はこの前ぶりですね。お身体は大丈夫ですか?何せ、派手に”やって”しまいましたから、ねえ?」
「ジーク様の”ご冗談”は本当に面白いですね。何時までそうしてられるか見物ですね」
どうやらジークはユジ国の長とはかなり相性が悪いらしい。見えない火花が散ってるし。
ミッジは優しそうな雰囲気をもった老人の見た目だが微笑みながらバチバチの殺気を出している。
周りにいる貴族達はとても気まずそうだ。
「初めまして、皇弟陛下......あれ? この前お会いしましたよね?」
「いえ......? 今日が初めてだと思いますが」
「? そ、そうですか。どうやら人違いをしてしまったようですね、失礼しました」
ミッジと皇弟が挨拶をしている。
ていうか皇弟を人違いすることなんてあるの?
「話し合いを始める前に、一つ良いでしょうか?そちらの方は......?」
「申し遅れました。私は第二皇子のシウォンと申します、以後お見知り置きを」
そう言ってシウォンは素早く挨拶する。
「第二皇子ですか? 初めまして、私はトーユの国王ヘンゼルと申します」
「私はユジの国王、ミッジと申します」
「チッ......早く始めよう」
するとシウォンが他国と交流するのが面白くないのか、ジークは舌打ちをして話を終わらせた。
「単刀直入に言えば、ジーク皇子には私達が結ぶ平和協定に入っていただきたいのです。受けていただけないのであれば――」
「入らなければ海上貿易を永久に締結する......だろう? それは困る」
「でしたら......」
(――もう答えは決まってるよね)
しかしジークの表情は未だ険しいままだ。
「それはつまりトーユ国だけでは無く、周辺の国にも手を出すなということだろう? それにはユジ国も含まれている」
「含まれていたら、なんだと言うのでしょう?」
ミッジの一言に空気がピリつく。
「ユジ国の鉱山の件だが、俺はまだ諦めるつもりはない」
「貴様、この青二才が......! 鉱山はもう既に他の方にお譲りしましたが?」
ボソッと聞こえないように悪態をつくミッジ。
「国王、落ち着いてください。ジーク皇子も発言には配慮してください」
「配慮? どうしてこの俺が?」
ジークはニタニタと笑っている。
私はこの男がどうして恐れられているのか今、分かった気がする。
彼は楽しんでいる、この状況を。
「ヘンゼル、私はやはり我慢できません。この男に話し合いをする余地などあると思えません」
「......シウォン皇子は、どう思いますか?」
突然、ヘンゼルがシウォンに話を振った。
「そう、ですね――」
その場にいる皆が、白髪の皇子の発言に注目した。
「トーユ国ヘンゼル国王、ユジ国ミッジ国王が到着しました!」
その声と同時に、城のドアは開かれる。
すると二人の国王がその場に現れた。
(あれが――)
「お久しぶりです。ジーク皇子、皇弟陛下、この度はこの席を設けて頂いて嬉しく思います」
一人の男がジークに挨拶する。
髪は黒でドレットヘア、少し不思議な雰囲気がある男だ。
「俺はあまり嬉しくはないがな。ヘンゼル国王、貴方がこんな強行に及ぶとは考えもしなかった。ミッジ国王はこの前ぶりですね。お身体は大丈夫ですか?何せ、派手に”やって”しまいましたから、ねえ?」
「ジーク様の”ご冗談”は本当に面白いですね。何時までそうしてられるか見物ですね」
どうやらジークはユジ国の長とはかなり相性が悪いらしい。見えない火花が散ってるし。
ミッジは優しそうな雰囲気をもった老人の見た目だが微笑みながらバチバチの殺気を出している。
周りにいる貴族達はとても気まずそうだ。
「初めまして、皇弟陛下......あれ? この前お会いしましたよね?」
「いえ......? 今日が初めてだと思いますが」
「? そ、そうですか。どうやら人違いをしてしまったようですね、失礼しました」
ミッジと皇弟が挨拶をしている。
ていうか皇弟を人違いすることなんてあるの?
「話し合いを始める前に、一つ良いでしょうか?そちらの方は......?」
「申し遅れました。私は第二皇子のシウォンと申します、以後お見知り置きを」
そう言ってシウォンは素早く挨拶する。
「第二皇子ですか? 初めまして、私はトーユの国王ヘンゼルと申します」
「私はユジの国王、ミッジと申します」
「チッ......早く始めよう」
するとシウォンが他国と交流するのが面白くないのか、ジークは舌打ちをして話を終わらせた。
「単刀直入に言えば、ジーク皇子には私達が結ぶ平和協定に入っていただきたいのです。受けていただけないのであれば――」
「入らなければ海上貿易を永久に締結する......だろう? それは困る」
「でしたら......」
(――もう答えは決まってるよね)
しかしジークの表情は未だ険しいままだ。
「それはつまりトーユ国だけでは無く、周辺の国にも手を出すなということだろう? それにはユジ国も含まれている」
「含まれていたら、なんだと言うのでしょう?」
ミッジの一言に空気がピリつく。
「ユジ国の鉱山の件だが、俺はまだ諦めるつもりはない」
「貴様、この青二才が......! 鉱山はもう既に他の方にお譲りしましたが?」
ボソッと聞こえないように悪態をつくミッジ。
「国王、落ち着いてください。ジーク皇子も発言には配慮してください」
「配慮? どうしてこの俺が?」
ジークはニタニタと笑っている。
私はこの男がどうして恐れられているのか今、分かった気がする。
彼は楽しんでいる、この状況を。
「ヘンゼル、私はやはり我慢できません。この男に話し合いをする余地などあると思えません」
「......シウォン皇子は、どう思いますか?」
突然、ヘンゼルがシウォンに話を振った。
「そう、ですね――」
その場にいる皆が、白髪の皇子の発言に注目した。
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