7 / 12
7
しおりを挟む王太子の執務室にて。
「ねぇ、レイノ。なにかいいことでもあったのかな?」
「……別に、なにも」
「嘘はよくないよ?」
「……アーノルド」
「ん?なんだい?」
「知っててわざと聞いてるだろ」
「えー?そんなことはないよ?」
「嘘つけ」
「まぁ多分?レイノの大好きな幼馴染みとの結婚が決まったからかな~とは思っているけど?」
「……」
アイラス伯爵家から縁談の返事が来たのは昨日のこと。そして今日先ほど父が国王陛下に報告をしたばかりだ。
「あ、やっぱり当たってた?」
「……なんでもう知ってるんだよ」
「なんでって、そりゃあレイノの顔を見れば誰だってわかるよ?」
「顔?」
「そう、顔。いつも護衛中は無表情なのに今日は恐ろしいほど笑顔だから、きっとすごくいいことがあったんだろうなってね!」
「……」
「まぁ正直に言えば、結婚の話は父上から至急連絡が来て知っていただけなんだけどね?」
「……王太子殿下?」
「ははっ。そう怒らないでくれよ。レイノだって僕の妹の護衛任務を出しにしたんだからさ」
「うっ!……すまん」
アーノルドの言う通りで、王女殿下の護衛任務がなければカレンは俺との縁談は断っていたはずだ。だが王女殿下の護衛任務と俺との縁談を天秤にかければ、カレンは間違いなく前者を選ぶことはわかっていた。男としてはとてつもなく情けないが、俺はどうしてもカレンと結婚したかったのだ。
「別に怒ってないよ。まぁウィズバーテン公爵家じゃなければ不敬罪にしていたかもしれないけどね」
「……申し訳ございません」
「ははは。気にするなって。それに僕としてもアイラス嬢が妹の護衛を務めてくれるなら安心さ。なんてったってあのウィズバーテン公爵が認めているんだからね。それに彼女は“美しき天才”にも勝ったこともあるんでしょう?」
「……なんでそれも知ってるんだよ」
「さぁ、なんでだろうね?」
「はぁ……」
主であり友人でもある男に対してため息をつきながら、俺はふとあの日のことを思い出した。
408
あなたにおすすめの小説
殿下!婚姻を無かった事にして下さい
ねむ太朗
恋愛
ミレリアが第一王子クロヴィスと結婚をして半年が経った。
最後に会ったのは二月前。今だに白い結婚のまま。
とうとうミレリアは婚姻の無効が成立するように奮闘することにした。
しかし、婚姻の無効が成立してから真実が明らかになり、ミレリアは後悔するのだった。
〖完結〗あんなに旦那様に愛されたかったはずなのに…
藍川みいな
恋愛
借金を肩代わりする事を条件に、スチュワート・デブリン侯爵と契約結婚をしたマリアンヌだったが、契約結婚を受け入れた本当の理由はスチュワートを愛していたからだった。
契約結婚の最後の日、スチュワートに「俺には愛する人がいる。」と告げられ、ショックを受ける。
そして契約期間が終わり、離婚するが…数ヶ月後、何故かスチュワートはマリアンヌを愛してるからやり直したいと言ってきた。
設定はゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全9話で完結になります。
お前を愛することはない、と妻に告げた男…の友人が相談を受けた話
もふっとしたクリームパン
恋愛
<あらすじ>1、相談を受けた男が、ガツンと言う話。2、相談に乗った女が、ガッツリ協力する話。3、夫側の相談後の結果報告の話。4、妻側の相談後、後日談。*本編四話と登場人物紹介で完結。
*内容もキャラも浅いです。サラッと読める感じだと思います。*カクヨム様にも投稿しています。
*随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。
*拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。
愛してくれないのなら愛しません。
火野村志紀
恋愛
子爵令嬢オデットは、レーヌ伯爵家の当主カミーユと結婚した。
二人の初対面は最悪でオデットは容姿端麗のカミーユに酷く罵倒された。
案の定結婚生活は冷え切ったものだった。二人の会話は殆どなく、カミーユはオデットに冷たい態度を取るばかり。
そんなある日、ついに事件が起こる。
オデットと仲の良いメイドがカミーユの逆鱗に触れ、屋敷に追い出されそうになったのだ。
どうにか許してもらったオデットだが、ついに我慢の限界を迎え、カミーユとの離婚を決意。
一方、妻の計画など知らずにカミーユは……。
【完結】騙された侯爵令嬢は、政略結婚でも愛し愛されたかったのです
山葵
恋愛
政略結婚で結ばれた私達だったが、いつか愛し合う事が出来ると信じていた。
それなのに、彼には、ずっと好きな人が居たのだ。
私にはプレゼントさえ下さらなかったのに、その方には自分の瞳の宝石を贈っていたなんて…。
愛してしまって、ごめんなさい
oro
恋愛
「貴様とは白い結婚を貫く。必要が無い限り、私の前に姿を現すな。」
初夜に言われたその言葉を、私は忠実に守っていました。
けれど私は赦されない人間です。
最期に貴方の視界に写ってしまうなんて。
※全9話。
毎朝7時に更新致します。
老伯爵へ嫁ぐことが決まりました。白い結婚ですが。
ルーシャオ
恋愛
グリフィン伯爵家令嬢アルビナは実家の困窮のせいで援助金目当ての結婚に同意させられ、ラポール伯爵へ嫁ぐこととなる。しかし祖父の戦友だったというラポール伯爵とは五十歳も歳が離れ、名目だけの『白い結婚』とはいえ初婚で後妻という微妙な立場に置かれることに。
ぎこちなく暮らす中、アルビナはフィーという女騎士と出会い、友人になったつもりだったが——。
【完結】勘違いしないでください!
青空一夏
恋愛
自分の兄の妻に憧れすぎて妻を怒らせる夫のお話です。
私はマドリン・バーンズ。一代限りの男爵家の次女ですが、サマーズ伯爵家の次男ケントンと恋仲になりました。あちらは名門貴族なので身分が釣り合わないと思いましたが、ケントンは気にしないと言ってくれました。私たちは相思相愛で、とても幸せな結婚生活を始めたのです。
ところが、ケントンのお兄様が結婚しサマーズ伯爵家を継いだ頃から、ケントンは兄嫁のローラさんを頻繁に褒めるようになりました。毎日のように夫はローラさんを褒め続けます。
いいかげんうんざりしていた頃、ケントンはあり得ないことを言ってくるのでした。ローラさんは確かに美人なのですが、彼女の化粧品を私に使わせて・・・・・・
これは兄嫁に懸想した夫が妻に捨てられるお話です。あまり深く考えずにお読みください💦
※二話でおしまい。
※作者独自の世界です。
※サクッと読めるように、情景描写や建物描写などは、ほとんどありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる