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しおりを挟むあれから三ヶ月の月日が流れた。
あの話し合いの後、父と叔父を説得するのは大変だった。まさか私が貴族をやめると言うとは夢にも思わなかっただろう。時間はかかったが、最終的には二人から了承を得ることができた。
そして保証人は父にお願いし、応募書類も無事に期限までに送ることができたのだった。
それから三ヶ月が経ったが、いまだ合否に関する通知は来ていない。いつ来るかわからないが、婚約破棄については着々と準備を進めていてる。私自ら動くと怪しまれるかもしれないので、父が色々と動いてくれている。だから私は今までと変わらない忙しい日々を送っていた。
今日もいつも通り学園へ行き、学園が終われば登城していつも通り仕事をこなす予定なのだが、なにやら今日はいつもと少し違っていた。
「メルトランス帝国から来たラルフ・カーソンです」
卒業まであと三ヶ月だというのにも関わらず、一人の留学生がやって来たのだ。ラルフと名乗った留学生は、焦げ茶色の髪にメガネを掛けた真面目そうな青年だった。
「知見を広げたく色んな国に留学しています。短い間ですがどうぞよろしくお願いします」
「それじゃあ席はルーシェント嬢の隣の席に座ってください」
「わかりました」
「!」
(席替えでもするのかと思ってたけど、留学生が来るからだったのね)
朝教室に入ると今までなかった机と椅子が私の隣の席にあったのでなんだろうと思っていたが、留学生の席だったようだ。
「よろしくお願いします」
留学生は席に着くなり小さな声で私に話しかけてきた。だから私も小声で彼に挨拶を返すことにした。
「こちらこそよろしくお願いします。私はリリアナ・ルーシェントです。何かあったらいつでも声をかけてくださいね」
「ありがとうございます」
そうしてその後はいつも通りに時間が過ぎていった。
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