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しおりを挟むその後も一悶着あった。
慰謝料の支払と先払いしていた持参金、シェザート殿下が父から騙し取った金を返金するように求めたが、国王は金がないとの一点張り。もちろん王家にお金がないことは知っていたので、当初持参金の返金は求めないつもりでいた。なぜなら持参金は国のために使われていると思っていたから。
しかし婚約破棄を準備している間に調べてみると、まったく国のためには使われておらず、全額王家の人間により散財されていた。持参金は国のために使うと約束していたにも関わらずだ。以前父と叔父に宣言していたが、私は王家の人間には銅貨一枚ですら支払いたくない。だから私は必ずお金を返してもらいたいが、相手はお金がないと言う。
この問題をどうすればいいかと困っていると、皇太子殿下が一つ提案をしてくれた。
「私が金を貸してやろう。もちろん条件付きだがな」
しかし国王はこの提案を返せる金がないからと断った。先ほど帝国との力の差を思い知ったにも関わらず断るなど愚かにも程がある。国王は返せる金がなければわざわざ返す必要がないとでも思っていそうだが、皇太子殿下が口にした提案はただの提案ではなく、決定事項なのだ。そもそも国王が選べる選択肢など存在しない。
皇太子殿下が提示した条件は三つ。
国王と王太子はその座から退くこと
国王と王妃の離婚は認めないこと
王太子は浮気相手の女と結婚すること
当然反発したが、次の皇太子殿下の言葉を聞いて受け入れるしかなくなった。
「そう?それなら戦争をするしかないか。でもこんな奴らのためにこの国の人が犠牲になるのをルーシェント嬢は望まないだろうから、王家の人間の首だけいただくことにしよう」
それを聞いた三人は震えた。条件を受け入れれば地位は失うが命は助かる。条件を受け入れなければ待っているのは死のみ。帝国と戦争をしても勝てるわけなどないことはわかりきっている。命が惜しい三人は条件を受け入れるしかなかったのだ。
国王と王妃、シェザート殿下とアンバー男爵令嬢は北の辺境の地へと送られた。そこには王族を幽閉するための塔があり、四人はこれからそこで生活することになる。そこは一年中寒さが厳しい場所だが、皆で身を寄せ合えば生きていけるだろうと父が言ってた。
当然私はアンバー男爵家にも慰謝料を請求した。シェザート殿下とアンバー男爵令嬢の関係は一年以上にもなるのに、今さら知らなかったでは済まされない。
アンバー男爵はあの後慌ててワタシの元に来て、娘を勘当したから許してほしいと頭を下げてきたが当然お断りした。アンバー男爵は欲深い男で、娘が妃になることを望んでいたというのは調べて知っている。だから今まで一度も娘を諌めることはしていなかった。だだ諌めていたとしてもお花畑の彼女に伝わるかはわからないが、それでも親として力ずくでも娘を止めるべきであったのだ。
結果アンバー男爵家は没落し、元男爵は強制労働を強いられることになるのだった。
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