90 / 176
二章 異世界ライフ
83話 解雇処分と闇バイト回避
しおりを挟む
帝都にある人気を博す喫茶店にて、一人で昼食を取っていた。
お食事の内容はビーフシチューと黒パンらしきもの。味も香りも百点満点、非の打ち所を探す方が難しいくらいだ。
それで何でこんな所に居るかといえば、まあなんだろう、単純に外食をしたかったから。ただそれだけだ。普段は自炊で満足しているが、やはり外の食い物もたまには必要なのだ。
「ふう、食った食った。そろそろ金払って――――」
食器を机の真ん中に寄せ、立ち上がったと同時、店のドアがチャイムを鳴らして開いた。
客が来るのは別に珍しくない。だってここは帝都でもTOP5に入る超人気店だからだ。
だが、問題はその客にあった。
店内に入店した来客は、あまりに珍しく、しかし馴染み深い人物であった。
「あ、セルゲイ君」
この前ミサイルの操縦をヒズボラの戦闘員にやらされたとんでもない女騎士、レベッカではないか。平日に真昼間に、彼女がどうしてこんな所に居るのか、甚だ疑問だ。
「お前、まさかサボり?」
レジに行こうと、財布片手に問い掛ける。
「違いますっ! ……でも、一時的にはそうですね」
んん? どういう事だ? 少なくとも、自分の意思で仕事をサボっているようには見えない。
再び席に戻り、レベッカをそこに座らすと、適当な飲み物とデザートを注文して事情を聞いてみる事に。
「それで、一時的とは何だい?」
炭酸を飲みながら冷静に尋ねる。
「違反ですよ、違反」
「何の違反?」
ほぼ空になったコップを机に置いて、もう一度質問した。
「門限と武装勢力の手助けをしたから、だと……」
「あーもしかして、前の報復攻撃のやつ?」
「はい、確実にそれです。団長と国防軍の怖い将校から叱られました」
しょんぼりとした様子で語るレベッカ。
「そりゃ災難だな……」
「私が仕事に復帰できるのは、1週間後からだと」
「うわぁ、結構期間あるな」
「これでもまだ軽い方です。次にこのような事を犯すと、問答無用で解雇です」
厳しい規則だなと思ったが、集団においてルールを順守するのは重要な事だ。
「それまではどうするよ?」
残り僅かなソーダが溜まったコップを何となく眺めながら問い掛けた。
「何か、適当なアルバイトでも……」
金がないのは致命的だ。生活も心も安定しない。
「バイト、か――――ま、頑張れよ」
応援のメッセージを残し、席を立ち上がる。闇バイトには首を突っ込まないでほしいが。
闇バイト、そうか。一応訊いておこう。
「なあ、どんなバイトやりたいんだ?」
くるりと振り返り、テーブルの表面に手をついて、暗い表情の彼女を見つめる。
「こんな状況ですし、何でもやる覚悟はあります。今の私なら、風俗嬢でも娼婦でも何でもします」
苦笑しながら答えているが、かなり危ない発言をしたぞ。
「ちょっと待てぃ!」
本当に今のレベッカならそういった下品な仕事に手を染めかねないと思い、慌てて声を上げた。
「や、やっぱり私、可愛くないですし無理ですかね……?」
困惑の表情を浮かべながら俺を見てくる。
「そ、そうじゃないよ。その……停職を受けたからって、そんな仕事やるもんじゃないと思うよ」
「で、でも、お金が……」
「金が欲しいのはもちろん分かる。ただ、だからといってそんな犯罪まがいの仕事やっていい訳ないだろ? 風俗なんて変な客多いし」
「そ、それは確かにそうですが……」
「まあ、マジで困ってるみたいだし、しばらくの間は俺の家に来てもいいぞ。贅沢な暮らしはできないけどな」
「え!? そ、そんな申し訳ないですよ」
「お前さんが犯罪者のおやつになるよりかは5億倍マシだ。金もそこそこあるから」
現在の全財産は大よそ700万円――――二人で生活するには十分な額だろう。
悩む様子をしばらく見せたあと、答えが返ってきた。
「で、では、お言葉に甘えさせてもらいます!」
ふう、これで犯罪に巻き込まれる可能性を何とか消失させたな。
お食事の内容はビーフシチューと黒パンらしきもの。味も香りも百点満点、非の打ち所を探す方が難しいくらいだ。
それで何でこんな所に居るかといえば、まあなんだろう、単純に外食をしたかったから。ただそれだけだ。普段は自炊で満足しているが、やはり外の食い物もたまには必要なのだ。
「ふう、食った食った。そろそろ金払って――――」
食器を机の真ん中に寄せ、立ち上がったと同時、店のドアがチャイムを鳴らして開いた。
客が来るのは別に珍しくない。だってここは帝都でもTOP5に入る超人気店だからだ。
だが、問題はその客にあった。
店内に入店した来客は、あまりに珍しく、しかし馴染み深い人物であった。
「あ、セルゲイ君」
この前ミサイルの操縦をヒズボラの戦闘員にやらされたとんでもない女騎士、レベッカではないか。平日に真昼間に、彼女がどうしてこんな所に居るのか、甚だ疑問だ。
「お前、まさかサボり?」
レジに行こうと、財布片手に問い掛ける。
「違いますっ! ……でも、一時的にはそうですね」
んん? どういう事だ? 少なくとも、自分の意思で仕事をサボっているようには見えない。
再び席に戻り、レベッカをそこに座らすと、適当な飲み物とデザートを注文して事情を聞いてみる事に。
「それで、一時的とは何だい?」
炭酸を飲みながら冷静に尋ねる。
「違反ですよ、違反」
「何の違反?」
ほぼ空になったコップを机に置いて、もう一度質問した。
「門限と武装勢力の手助けをしたから、だと……」
「あーもしかして、前の報復攻撃のやつ?」
「はい、確実にそれです。団長と国防軍の怖い将校から叱られました」
しょんぼりとした様子で語るレベッカ。
「そりゃ災難だな……」
「私が仕事に復帰できるのは、1週間後からだと」
「うわぁ、結構期間あるな」
「これでもまだ軽い方です。次にこのような事を犯すと、問答無用で解雇です」
厳しい規則だなと思ったが、集団においてルールを順守するのは重要な事だ。
「それまではどうするよ?」
残り僅かなソーダが溜まったコップを何となく眺めながら問い掛けた。
「何か、適当なアルバイトでも……」
金がないのは致命的だ。生活も心も安定しない。
「バイト、か――――ま、頑張れよ」
応援のメッセージを残し、席を立ち上がる。闇バイトには首を突っ込まないでほしいが。
闇バイト、そうか。一応訊いておこう。
「なあ、どんなバイトやりたいんだ?」
くるりと振り返り、テーブルの表面に手をついて、暗い表情の彼女を見つめる。
「こんな状況ですし、何でもやる覚悟はあります。今の私なら、風俗嬢でも娼婦でも何でもします」
苦笑しながら答えているが、かなり危ない発言をしたぞ。
「ちょっと待てぃ!」
本当に今のレベッカならそういった下品な仕事に手を染めかねないと思い、慌てて声を上げた。
「や、やっぱり私、可愛くないですし無理ですかね……?」
困惑の表情を浮かべながら俺を見てくる。
「そ、そうじゃないよ。その……停職を受けたからって、そんな仕事やるもんじゃないと思うよ」
「で、でも、お金が……」
「金が欲しいのはもちろん分かる。ただ、だからといってそんな犯罪まがいの仕事やっていい訳ないだろ? 風俗なんて変な客多いし」
「そ、それは確かにそうですが……」
「まあ、マジで困ってるみたいだし、しばらくの間は俺の家に来てもいいぞ。贅沢な暮らしはできないけどな」
「え!? そ、そんな申し訳ないですよ」
「お前さんが犯罪者のおやつになるよりかは5億倍マシだ。金もそこそこあるから」
現在の全財産は大よそ700万円――――二人で生活するには十分な額だろう。
悩む様子をしばらく見せたあと、答えが返ってきた。
「で、では、お言葉に甘えさせてもらいます!」
ふう、これで犯罪に巻き込まれる可能性を何とか消失させたな。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
異世界で貧乏神を守護神に選ぶのは間違っているのだろうか?
石のやっさん
ファンタジー
異世界への転移、僕にはもう祝福を受けた女神様が居ます!
主人公の黒木翼はクラスでは浮いた存在だった。
黒木はある理由から人との関りを最小限に押さえ生活していた。
そんなある日の事、クラス全員が異世界召喚に巻き込まれる。
全員が女神からジョブやチートを貰うなか、黒木はあえて断り、何も貰わずに異世界に行く事にした。
その理由は、彼にはもう『貧乏神』の守護神が居たからだ。
この物語は、貧乏神に恋する少年と少年を愛する貧乏神が異世界で暮す物語。
貧乏神の解釈が独自解釈ですので、その辺りはお許し下さい。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる