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三章 異世界verの中東戦争
158話 逃走
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「まあ、こんなの朝飯前さ――――」
彼は軽快に笑うと、リュックサックから束ねられた鉄パイプを取り出した。タイマーや銅線みたいなのが見える。
「それは何だ?」
「お手製のダイナマイトだ。本当はC4を手に入れたかったんだが、なかったから自作したんだ」
爆弾を自力で拵えるとは。手先が器用だな。
「ちゃんと動くのか?」
「ああ、テストしたから大丈夫だろう」
金庫の扉に爆弾を粘着テープで貼り付けると、彼は次にリモコンで番号を打ち込み、それが済むとこちらへ戻って来た。
「おい支店長! お前はあっちに戻ってろ」
「は、はいいぃ!」
支店長は怯えながら待合室へ逃げて行く。
「じゃあセルゲイ、押すぞ」
リモコンの起爆スイッチに彼の指が触れた刹那、金庫の門が眩い炎と爆発に包まれて吹き飛んだ。
塵が舞い火薬の香りが蔓延る中、金庫へと足を突入する。
紙幣や硬貨が山のように散らばり、そして積もっている。これだけの金があればホワイトハウスも買えそうだ。
「すげぇな貴族の連中は。根こそぎ奪ってやろうぜ」
「だな。奪えるだけ奪おうかハーフィズ」
持参しておいたボストンバッグに札束を手際よく放り込んでいく。
数分も経たない内にバッグは金の海となり、重さもかなりのものとなった。これ以上は入らないだろう。
「そっちもか」
ハーフィズの肩に掛かっているバッグも膨らみ切っていた。
「まだまだ金を取りたかったが、仕方ねぇ。ズらかるぞ!」
「ああ、とっとと逃げようハーフィズ。お縄になるのはごめんだ」
バッグのチャックをしっかり締めると、足早に金庫室を退散。
バイクが停車してある位置まで駆け抜けると、警報音を響かせる銀行を背後にバイクに跨った。ヘルメットをきちんと着けてエンジンを唸らす。
「さあもう一息だ。あとで仲間と合流するぞ」
「上手くいくといいな」
二人で軽く話し合い、銀行の警備員や警察が追って来ているのが見えたので逃走を開始した。
昼の街をバイク二台で走り巡る。
ボストンバッグを背負ったバイカーはやはり奇妙らしく、街の住民から好奇の視線を集めていた。
「俺達、人気者になったみたいだな」
明るさを含んだ声でハーフィズが言う。
「人気者になったらお巡りさんの捕まる――――危ないっ!」
彼に答えようと口を開き掛けた直後、街角から唐突に馬車が飛び出して来た。
慌ててブレーキをし、停車する。ハーフィズは何とか停止に成功したが、俺は転げ落ちてしまった。怪我は特にこれといってないものの、衝撃でバッグが破れて金が地面に散った。
「おい危ないだろ……っ!?」
文句を浴びせようとした途端、馬車から黒服の人物が跳躍してこちらに飛び掛かって来た。
誰もが認める美しく豪快な姿勢で道路に着地。
手には俺が持っているのと同じようなバッグがある。
「何だコイツは……?」
ハーフィズはハンドルを握る手の力を緩ませ、目を丸くして黒服を眺める。
黒服の正体は、確実に諜報部の人間だろう。風貌もそうだし、何より雰囲気が一流の暗殺者なのだから。
彼は軽快に笑うと、リュックサックから束ねられた鉄パイプを取り出した。タイマーや銅線みたいなのが見える。
「それは何だ?」
「お手製のダイナマイトだ。本当はC4を手に入れたかったんだが、なかったから自作したんだ」
爆弾を自力で拵えるとは。手先が器用だな。
「ちゃんと動くのか?」
「ああ、テストしたから大丈夫だろう」
金庫の扉に爆弾を粘着テープで貼り付けると、彼は次にリモコンで番号を打ち込み、それが済むとこちらへ戻って来た。
「おい支店長! お前はあっちに戻ってろ」
「は、はいいぃ!」
支店長は怯えながら待合室へ逃げて行く。
「じゃあセルゲイ、押すぞ」
リモコンの起爆スイッチに彼の指が触れた刹那、金庫の門が眩い炎と爆発に包まれて吹き飛んだ。
塵が舞い火薬の香りが蔓延る中、金庫へと足を突入する。
紙幣や硬貨が山のように散らばり、そして積もっている。これだけの金があればホワイトハウスも買えそうだ。
「すげぇな貴族の連中は。根こそぎ奪ってやろうぜ」
「だな。奪えるだけ奪おうかハーフィズ」
持参しておいたボストンバッグに札束を手際よく放り込んでいく。
数分も経たない内にバッグは金の海となり、重さもかなりのものとなった。これ以上は入らないだろう。
「そっちもか」
ハーフィズの肩に掛かっているバッグも膨らみ切っていた。
「まだまだ金を取りたかったが、仕方ねぇ。ズらかるぞ!」
「ああ、とっとと逃げようハーフィズ。お縄になるのはごめんだ」
バッグのチャックをしっかり締めると、足早に金庫室を退散。
バイクが停車してある位置まで駆け抜けると、警報音を響かせる銀行を背後にバイクに跨った。ヘルメットをきちんと着けてエンジンを唸らす。
「さあもう一息だ。あとで仲間と合流するぞ」
「上手くいくといいな」
二人で軽く話し合い、銀行の警備員や警察が追って来ているのが見えたので逃走を開始した。
昼の街をバイク二台で走り巡る。
ボストンバッグを背負ったバイカーはやはり奇妙らしく、街の住民から好奇の視線を集めていた。
「俺達、人気者になったみたいだな」
明るさを含んだ声でハーフィズが言う。
「人気者になったらお巡りさんの捕まる――――危ないっ!」
彼に答えようと口を開き掛けた直後、街角から唐突に馬車が飛び出して来た。
慌ててブレーキをし、停車する。ハーフィズは何とか停止に成功したが、俺は転げ落ちてしまった。怪我は特にこれといってないものの、衝撃でバッグが破れて金が地面に散った。
「おい危ないだろ……っ!?」
文句を浴びせようとした途端、馬車から黒服の人物が跳躍してこちらに飛び掛かって来た。
誰もが認める美しく豪快な姿勢で道路に着地。
手には俺が持っているのと同じようなバッグがある。
「何だコイツは……?」
ハーフィズはハンドルを握る手の力を緩ませ、目を丸くして黒服を眺める。
黒服の正体は、確実に諜報部の人間だろう。風貌もそうだし、何より雰囲気が一流の暗殺者なのだから。
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