妻が女神になりまして!?~異世界転移から始まる、なんちゃってスローライフ~

玉響なつめ

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勇者(?)が召喚されたらしい

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 さて、信徒ができたからといって布教活動はさぼっていい理由にはならない。
 ヨシヤとしてはあまり物騒だから外に出たくはないのだが、愛する妻とペットたち(?)のためにも一家の大黒柱として頑張らねばならない!
 そういう意味で彼は非常に責任感のある男であった。

「それじゃあ八木さんとちょっと行ってくるから」

「気をつけてね、二人ともあまり無理はしないでね」

「王都は何度か行ったことがございます。ご安心ください奥様」

 そう、王都である。
 販路を広げてみてはどうかという八木の発言に触発されたのもあるが、ナタリーと領主からも王都に行ってほしいとお願いされたのである。

 ヨシヤにとっては大変ありがたい話なことに、簡単に言えば『神の遣い』に内々で相談したいという高位貴族の女性がいるのだそうだ。
 そのため仰々しいことはないしお礼も弾むと確約までいただいている。

 まあ、お偉い方々に会わなければならない……という点において、ヨシヤからすればストレスがあっという間に天元突破なのだけれども。
 いい加減慣れろと言われてもいくらなんでも慣れるはずがないのだ。

「まあ、仮面つけちゃうと外せなくなっちゃうから先に買い物ね」

「かしこまりました」

「エイトたちの蜂蜜売れるといいんだけどなあ」

「ワタクシの目から見ても品質の良いものですから、高額でいけると思いますよ。ギルドならば買いたたくような真似もいたしますまい」

 そう、さすがに王都で商売を……と一口に行ったところで簡単ではないのだ。

 ヨシヤには今もシステムがよくわからないこの異世界で商売するには、行商人など許可証がなくても始められるものから商業ギルドに登録することで幅を広げ、町では露店を出す権利から始まる。

 露店を出すために時間と場所を予約してその分をギルドに支払うことで安全な商売をする場所の確保と、そして信頼できる露店であるというアピールができるのだ。
 ギルドはそのために露店を出せる場所に対して近隣に迷惑料を支払ったり、町の清掃を請け負ったりして成り立っている。

 そうして露店から今度は屋台になれば屋台を作る……もしくは借りる、店を構える、とグレードがアップしていくものらしい。

 いずれも個人でやろうと思えばできないことはないが、同業者のよしみで……と協力してもらえたり情報や協力をしてもらえるという点では商業ギルドの存在は大変ありがたいものなのだ。
 ただし、公平性を重んじるために取られる金銭は一定であり、買い取りなどの価格も基本料金にしかならない。
 粗悪品の場合は買い取ってもらえない可能性もある。
 その逆に高品質だからと高額を支払ってもらえるということもないのである。

「これだけ高品質の蜂蜜ならば、ギルドで買ってもらうよりは紹介してもらった方がよいかもしれませんねえ」

「そうなんだけどね。でもほら、定期的に納められるかっていうとそこは微妙だからなあ」

「旦那様がお望みでしたら、エイトさんたちは張り切って準備すると思いますけどねえ」

 八木の言葉にヨシヤは乾いた笑いを返すだけだ。
 正直なところ、彼もその通りだと思っている。
 植物を成長させるための魔法を蟻たちと協力して行い、とんでもないサイクルで回して大量生産する蜂たちの姿が容易に想像できるからこそお願いしたくない。

 ヨシヤは、自然の摂理は大事にしたい男なのだ。

「ところで、今回は何をお買い求めで?」

「ああ、うん。王都の物件情報とお家賃相場を見ておこうと思ってね」

「物件……ですか?」

「そう。ほら、大きな声じゃ言えないけど俺たちって世間から見たら根無し草だろう?」

「ああ、なるほど……」

 便利すぎて忘れているが、神域の家は世間一般に説明できるものではないのだ。
 そもそも一般の人は神域では暮らせないのだから仕方ない。

 だが、神の遣いだと触れ回って生きているわけではない商人のヨシヤとしてはいつまでも根無し草では色々と不都合であるということはずっと夫婦で考えていたのだ。
 今回のように偉い人と会う仲で、いずれはマーサたちのように素顔を晒して接する機会も生じるだろう。
 その時に普段は商人をしているが根無し草……ではやはり説得力に欠けるのでは?
 やはり営業をかけるのに相手に不信感を抱かせてはいけないのだ、ヨシヤにとって営業は誠意を尽くして行うものなのである。

「住居だけなら地方でもいいんだけど、なんだかんだ便利そうなのは王都だし……それにいつかは王都に住みたいとかそういう発言をしておくってのも世間ウケがいいかなと思ってさ」

「なるほど、理解いたしました」

「あとハナにお土産で王都のお菓子を買っていってあげれたらいいなと思って」

「それはお喜びになるかと」

 八木の言葉に、ヨシヤは笑みを浮かべたのだった。
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