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第一章 モブ暗殺者ですけど、生き残るためにはどうするべきでしょうか?
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ことの始まりは、最悪な状況でいきなり記憶を取り戻したことだった。
(私の名前はセレン。姓はない、平民だから。……うん、それが私よね?)
混乱する思考の中で、今し方使ったばかりの武器をしまい、周囲に痕跡が残っていないか改めて確認を行う。
こんな時でも冷静に、自分の仕事を行えるのはなんだかんだ褒めてもらってもいいと思う。
ちなみに職業はフリーの暗殺者だ。
(って最悪も最悪な職業じゃないか)
だけど、人間の慣れってのがすごいのか、それとも転生特典で適応力がすごいのかなんなのか……とにかく私は一度動揺しただけでそれ以上のことがなかったのが幸いだった。
いや、あんまよくないけども!
(確か私の役割って……特にない、よな? 終盤にちょっと名前が出たっけ? あれなんでだっけ……)
唐突に思い出した記憶のせいで、頭痛が酷い。
依頼をこなした先で見かけた新聞の内容のせいで、まさか前世の記憶を取り戻すとは……。
いやまあ、兆候はあったんだと思う。
ここは剣と魔法のファンタジーな世界なのに新聞があったり、汽車が走っていたりと……それが当然なのに、ずっと『変だな』と感じていたあたり、そうだったんだろう。
でも世間的にはまっとうな職についていない自分の感覚がおかしいんだろって安易に考えていたもんだから、気にも留めてなかったんだよね……。
「いやいや、それどころじゃないわー!!」
思わずターゲットの部屋から新聞持ってきちゃったよ。
隠れ家に着いて新聞を広げる。
でかでかと一面を飾る写真には、ものすごく愛らしい少女の姿。
そして同じくでかでかと書かれた見出しはこうだ。
『行方不明だったノクス公爵令嬢、見つかる!』
そう――これは、物語の序章。
私が前世で読んだ小説――〝月に恋する夜の花〟の世界なんだって気づいてしまったのだ。
そしてこの新聞に載る少女こそが主人公のアナベルだ。
アナベルはちょっと貧しいながらも国営の孤児院で暮らしていたけれど、ひょんなことから身分を隠して視察に来ていた王子を救い、そこから彼女が公爵家が探していた少女だ……となってそこからめくるめくラブロマンスが始まる……って感じの。
私の好みじゃなかったんだけど、勧められて途中まで読んだんだよね。
(ん? 途中だっけ? それとも最後まで読んだんだっけ?)
そもそも前世で私ってどんなだったのかすら思い出せない。
うーん、まあ、でもいいか、別に。
それに私は主要人物でもないし、特に問題……
「問題大ありだったわー!!」
そうだよ思い出したよ私の出番あるわ!
とんでもない役どころで!
物語の中で、王子が敵に毒殺されそうになるんだよね。
(確かなんか有用な能力を見出されて、王子と堂々と付き合いを発表したあたりだったか……?)
そこでその毒が『暗殺者クロウ』の能力を用いて作られた特殊な毒で、主人公は愛する人を救うために全力でクロウを探すんだよね。
でもそのクロウは無理矢理協力させられたのか、居場所を突き止めた時には獄中で無残な死を遂げており、解毒の方法が見つからず――っていう酷い展開。
でもその先に主人公の能力が開花して、王子が救われて陰謀が暴かれるんだけども。
何より酷いのが!
その暗殺者クロウってのは他でもない私のことなんだよ!!
黒髪に黒の鳥マスクつけてるからっていつの間にかそんな小っ恥ずかしいあだ名をつけられてこっちゃ迷惑してるっていうのにこんな未来が待っているだなんて……!
人生詰んでんじゃねえか!!
(私の名前はセレン。姓はない、平民だから。……うん、それが私よね?)
混乱する思考の中で、今し方使ったばかりの武器をしまい、周囲に痕跡が残っていないか改めて確認を行う。
こんな時でも冷静に、自分の仕事を行えるのはなんだかんだ褒めてもらってもいいと思う。
ちなみに職業はフリーの暗殺者だ。
(って最悪も最悪な職業じゃないか)
だけど、人間の慣れってのがすごいのか、それとも転生特典で適応力がすごいのかなんなのか……とにかく私は一度動揺しただけでそれ以上のことがなかったのが幸いだった。
いや、あんまよくないけども!
(確か私の役割って……特にない、よな? 終盤にちょっと名前が出たっけ? あれなんでだっけ……)
唐突に思い出した記憶のせいで、頭痛が酷い。
依頼をこなした先で見かけた新聞の内容のせいで、まさか前世の記憶を取り戻すとは……。
いやまあ、兆候はあったんだと思う。
ここは剣と魔法のファンタジーな世界なのに新聞があったり、汽車が走っていたりと……それが当然なのに、ずっと『変だな』と感じていたあたり、そうだったんだろう。
でも世間的にはまっとうな職についていない自分の感覚がおかしいんだろって安易に考えていたもんだから、気にも留めてなかったんだよね……。
「いやいや、それどころじゃないわー!!」
思わずターゲットの部屋から新聞持ってきちゃったよ。
隠れ家に着いて新聞を広げる。
でかでかと一面を飾る写真には、ものすごく愛らしい少女の姿。
そして同じくでかでかと書かれた見出しはこうだ。
『行方不明だったノクス公爵令嬢、見つかる!』
そう――これは、物語の序章。
私が前世で読んだ小説――〝月に恋する夜の花〟の世界なんだって気づいてしまったのだ。
そしてこの新聞に載る少女こそが主人公のアナベルだ。
アナベルはちょっと貧しいながらも国営の孤児院で暮らしていたけれど、ひょんなことから身分を隠して視察に来ていた王子を救い、そこから彼女が公爵家が探していた少女だ……となってそこからめくるめくラブロマンスが始まる……って感じの。
私の好みじゃなかったんだけど、勧められて途中まで読んだんだよね。
(ん? 途中だっけ? それとも最後まで読んだんだっけ?)
そもそも前世で私ってどんなだったのかすら思い出せない。
うーん、まあ、でもいいか、別に。
それに私は主要人物でもないし、特に問題……
「問題大ありだったわー!!」
そうだよ思い出したよ私の出番あるわ!
とんでもない役どころで!
物語の中で、王子が敵に毒殺されそうになるんだよね。
(確かなんか有用な能力を見出されて、王子と堂々と付き合いを発表したあたりだったか……?)
そこでその毒が『暗殺者クロウ』の能力を用いて作られた特殊な毒で、主人公は愛する人を救うために全力でクロウを探すんだよね。
でもそのクロウは無理矢理協力させられたのか、居場所を突き止めた時には獄中で無残な死を遂げており、解毒の方法が見つからず――っていう酷い展開。
でもその先に主人公の能力が開花して、王子が救われて陰謀が暴かれるんだけども。
何より酷いのが!
その暗殺者クロウってのは他でもない私のことなんだよ!!
黒髪に黒の鳥マスクつけてるからっていつの間にかそんな小っ恥ずかしいあだ名をつけられてこっちゃ迷惑してるっていうのにこんな未来が待っているだなんて……!
人生詰んでんじゃねえか!!
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