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第一章 モブ暗殺者ですけど、生き残るためにはどうするべきでしょうか?
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仕事は控えて、主人公の……アナベルの動向を探った。
といってもわざわざ探るまでもない。
小説の序盤では彼女で家族と対面し、打ち解けるまでを描いていたけれど……現実世界である外ではつい先日まで平民として暮らしていた少女が実は行方不明の公女だったというセンセーショナルな話題に食いつきっぱなしだ。
(まああんだけ美少女だもんね~)
貴族も平民も、今は公女アナベルの動向に興味津々なのだ。
だから新聞には毎日の表に彼女の名前が載っているってわけ!
有名人って大変だなあ~……なんて他人事だからそんな風にのんびり考えつつ、今日の新聞を眺める。
そこにはアナベルが弟のレオナール公子に連れられて、王都のブティックで爆買いしたって内容がでかでかと載っている。
(わぁオ、このブティックの服って確か一着で平民の平均月収半年分じゃなかったっけ)
それを爆買いとはさすがノクス公爵家。
今はアナベルを国王にお披露目するために王都に滞在しているわけだけど……私はそのまま新聞に目を通す。
(確か話の流れでは国王の前で神殿勢力による血統確認の儀式が行われるのよね)
でその後、公爵領に戻るのだ。
(血統確認の魔道具かあ、一度は拝んでみたい魔道具の一つよねえ)
神殿がその所有権を持つ、特殊な魔道具。
水を張った専用の盥に、家族と思われる人間同士が血を数滴零すと判定してくれるっていう優れものだ。
実際に目にしたことはないし、私も『小説でそんなの読んだな』程度の認識だから詳しくはわからないけど……。
ちなみにこの魔道具、失われた技術とかなんとか言われる聖遺物って呼ばれるものでもあるので数に限りがある。
そのため使用するには所有権のある神殿の許可が要る。
神殿はそこで高額な寄付を要求するのだ。
……つまり、一般人とは縁遠い代物だね!
「まあ私みたいに親が誰かわかんない人間からしたらどうでもいいしな~」
って主人公も思ってたんだろうなあ。
主人公のアナベルは、王都からかなり離れた町の貧民街にある、国営の孤児院育ちだ。
彼女はノクス公爵家と敵対する勢力によって誘拐され、魔力を奪われた設定だ。
その辺詳しく覚えてないんだけどね……。
幸いにも貧しいながら心優しい院長や、前向きな仲間たちに囲まれてすくすく成長したアナベルは、素直で優しく成長し『みんなのために薬師になろう』と心に決めるんだよね。
(前向きで流されるばっかじゃなく、自立しているのに健気ってとこが私に刺さるヒロインだったのよねー!)
思い出しながら一人ウンウンと頷く私。
その間も新聞にある内容に目を通しつつ、昨日焼いたパンの残りを口に放り込んで朝食終了。
「……んー。やっぱり物語通りに進んでるかあ」
公爵家に引き取られたアナベル。
一ヶ月経って、弟と共に王都で華やかに買い物をしたことで他の貴族令嬢と接触し、王子妃になりたい子たちから狙われるのよね。
ノクス公爵家にいた時も、月のない夜に襲われた……って描写があったから新月の夜のことだろう。
物語では無事に撃退したけれど、その後も彼女には苦難が降りかかる。
町中での一件を謝罪したいとお茶会された先でアナベルは嫌味を言う令嬢たちの心ない言葉に傷ついて一人庭を散策していると、これまた暗殺者が襲ってきて侍女が怪我をするっていう話になるのだ。
そして侍女は毒を受けているため、アナベルが必死に彼女を救おうとするって展開ね。
彼女の持つ特殊技能――調剤を使って。
ちなみにかっこよく言うけど調剤は薬師さんだったら誰でもできるあの調剤である。
熟練の職人並みに交ぜたり調合したりすることはできても、原材料なんかに関しては知識がないと意味がないっていうなんてスキルだ!!
(今の国王には王子が二人。二人ともまだ婚約者がいない)
ノクス公爵家の公女ともなれば、筆頭候補者に躍り出るもんね!
そりゃその座を狙っているご令嬢たちからしたら、とんでもないライバルが現れたってもんよね。
だけど私はそれを利用させてもらう!
本来、敵対するどころか死んだ姿でご対面するはずの、微妙な接点(?)しかない私だけど……生き延びるためには手段は選ばないよ!
(小説ではノクス公爵家の一家ってみんな美形揃い設定だもんね。ちょっとわくわくしてきたわー!!)
そこに邪な考えがちょっぴり混ざったっていいじゃない。
まあ、まずは命大事に……だけどね。
といってもわざわざ探るまでもない。
小説の序盤では彼女で家族と対面し、打ち解けるまでを描いていたけれど……現実世界である外ではつい先日まで平民として暮らしていた少女が実は行方不明の公女だったというセンセーショナルな話題に食いつきっぱなしだ。
(まああんだけ美少女だもんね~)
貴族も平民も、今は公女アナベルの動向に興味津々なのだ。
だから新聞には毎日の表に彼女の名前が載っているってわけ!
有名人って大変だなあ~……なんて他人事だからそんな風にのんびり考えつつ、今日の新聞を眺める。
そこにはアナベルが弟のレオナール公子に連れられて、王都のブティックで爆買いしたって内容がでかでかと載っている。
(わぁオ、このブティックの服って確か一着で平民の平均月収半年分じゃなかったっけ)
それを爆買いとはさすがノクス公爵家。
今はアナベルを国王にお披露目するために王都に滞在しているわけだけど……私はそのまま新聞に目を通す。
(確か話の流れでは国王の前で神殿勢力による血統確認の儀式が行われるのよね)
でその後、公爵領に戻るのだ。
(血統確認の魔道具かあ、一度は拝んでみたい魔道具の一つよねえ)
神殿がその所有権を持つ、特殊な魔道具。
水を張った専用の盥に、家族と思われる人間同士が血を数滴零すと判定してくれるっていう優れものだ。
実際に目にしたことはないし、私も『小説でそんなの読んだな』程度の認識だから詳しくはわからないけど……。
ちなみにこの魔道具、失われた技術とかなんとか言われる聖遺物って呼ばれるものでもあるので数に限りがある。
そのため使用するには所有権のある神殿の許可が要る。
神殿はそこで高額な寄付を要求するのだ。
……つまり、一般人とは縁遠い代物だね!
「まあ私みたいに親が誰かわかんない人間からしたらどうでもいいしな~」
って主人公も思ってたんだろうなあ。
主人公のアナベルは、王都からかなり離れた町の貧民街にある、国営の孤児院育ちだ。
彼女はノクス公爵家と敵対する勢力によって誘拐され、魔力を奪われた設定だ。
その辺詳しく覚えてないんだけどね……。
幸いにも貧しいながら心優しい院長や、前向きな仲間たちに囲まれてすくすく成長したアナベルは、素直で優しく成長し『みんなのために薬師になろう』と心に決めるんだよね。
(前向きで流されるばっかじゃなく、自立しているのに健気ってとこが私に刺さるヒロインだったのよねー!)
思い出しながら一人ウンウンと頷く私。
その間も新聞にある内容に目を通しつつ、昨日焼いたパンの残りを口に放り込んで朝食終了。
「……んー。やっぱり物語通りに進んでるかあ」
公爵家に引き取られたアナベル。
一ヶ月経って、弟と共に王都で華やかに買い物をしたことで他の貴族令嬢と接触し、王子妃になりたい子たちから狙われるのよね。
ノクス公爵家にいた時も、月のない夜に襲われた……って描写があったから新月の夜のことだろう。
物語では無事に撃退したけれど、その後も彼女には苦難が降りかかる。
町中での一件を謝罪したいとお茶会された先でアナベルは嫌味を言う令嬢たちの心ない言葉に傷ついて一人庭を散策していると、これまた暗殺者が襲ってきて侍女が怪我をするっていう話になるのだ。
そして侍女は毒を受けているため、アナベルが必死に彼女を救おうとするって展開ね。
彼女の持つ特殊技能――調剤を使って。
ちなみにかっこよく言うけど調剤は薬師さんだったら誰でもできるあの調剤である。
熟練の職人並みに交ぜたり調合したりすることはできても、原材料なんかに関しては知識がないと意味がないっていうなんてスキルだ!!
(今の国王には王子が二人。二人ともまだ婚約者がいない)
ノクス公爵家の公女ともなれば、筆頭候補者に躍り出るもんね!
そりゃその座を狙っているご令嬢たちからしたら、とんでもないライバルが現れたってもんよね。
だけど私はそれを利用させてもらう!
本来、敵対するどころか死んだ姿でご対面するはずの、微妙な接点(?)しかない私だけど……生き延びるためには手段は選ばないよ!
(小説ではノクス公爵家の一家ってみんな美形揃い設定だもんね。ちょっとわくわくしてきたわー!!)
そこに邪な考えがちょっぴり混ざったっていいじゃない。
まあ、まずは命大事に……だけどね。
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