完全に疲弊しきった官公庁勤務の女の子と同居するだけの話

ぽよ

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32話

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 今日も終業のチャイムが鳴る。忙しい時もあれば暇な時もある。ここ最近はずっと暇だった。仕事自体が発生していないわけではないが、密度が低い。それでもひとまず出勤すれば給料は出る。正社員というのは良き制度だと、こういう時だけは思う。私服に着替えて、タイムカードを打刻して、駅へと向かう。

「お疲れ様です。今から帰ります」
「お疲れ様です。了解しました」

 冬子さんに連絡すると、返信はすぐ返ってきた。今は部屋で何をしているだろうか。駅まで歩いて、来た電車に乗って、そのまま家の最寄り駅まで。その間も、彼女のことをずっと考えていた。
 家にたどり着き、扉を鍵を挿して回す。空転。ガチャリと言う音もなく軽い力ですぐ回る。逆方向に回すと、音を鳴らしながら確実に回したと言う感触が残る。自分が予想していた鍵の回転とは違う。それに焦りつつも、もう一度逆方向に鍵を回すと、ガチャリと音が鳴った。
 扉を開けると、廊下も部屋も電気がついていた。廊下を抜けてから、部屋に入ると、冬子さんが座っていた。

「ただいま帰りました」
「おかえりなさい」
「僕、家閉め忘れてましたかね」
「いや、私がご飯を買うために鍵を開けたので、そのまま閉めてないだけです」
「なるほど」

 家には確かに備蓄食料はあまり無い。冬子さんはそれを見て朝食と昼食を買いに出たのだろう。そこは、今後の課題の一つだ。
 カバンを置いて、一息つく。時刻はまだ18時だ。今日のこれからの予定を決める必要がある。

「晩御飯、どうします?」
「特に食べたいものはないです」
「うーん、なるほど」
「私はなんでもいけますよ」
「難しいですね」
「作ってもらう身なので」
「なるほど」

 そうは言えども、人に美味しいと言いながら食べてもらえる料理を何個も持っているわけではない。それに、今日は夕食を作る気にならなかった。

「ピザでも頼みますか」
「ピザ」
「今だと確かやすいので」
「問題ないですね」
「じゃあ、それにしましょう」
「分かりました」

 ピザにしようとはいうものの、食べたい種類があるわけではない。メニューを見ながらどれにするか悩む。そこでふと、気づいたことがあった。

「そういえば、冬子さんアレルギーとかあります?」
「特にないです。なんでも食べますよ」
「分かりました」

 なんでも食べると言われると逆に難しい。冬子さんは選びたいタイプではなさそうなので、尚の事だ。
 結局定番のピザを2枚頼むことにした。冬子さんが食べられないようなものは頼んでいないはずだと思いながら心臓はドキドキしていた。
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