完全に疲弊しきった官公庁勤務の女の子と同居するだけの話

ぽよ

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52話

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 ご飯が炊けて、温め直したハンバーグと共に食卓へと持って行く。

「いい匂いがずっとしてたのでお腹めっちゃ空いてます」
「そんなに変な味ではないと思うんですけど」
「いただきます!」
「いただきます」

 炊いたご飯から食べ始める。いつも通りの味だった。そしてハンバーグも食べる。いつもより丁寧に作った分、いつもより美味しいような気がした。
 冬子さんの方は、無心でハンバーグを食べていた。

「そんなに美味しいですか?」
「え、あ、あの、はい。ハンバーグって、こんなに美味しいんですね」
「そう言ってもらえると嬉しいですね」
「私、社会人になってからは料理とか出来なかったので…」
「あ、そうですよね」
「いえ、いいんです。でも、秋吉さんが作るご飯の中でダントツに美味しいです」
「ありがとうございます」
「気持ちが吹っ切れた分、味覚がちゃんとしてるのかもしれません」

 そんなことを言ってのける冬子さんは満面の笑みだった。しかし、彼女が美味しく食べてくれるのなら、丁寧に作った甲斐もある。それが嬉しかった。

「ごちそうさまでした」
「お腹いっぱいになりました?」
「バッチリです!」
「良かったです。お皿下げますね」
「あ、私が下げますよ」
「あ、いえ、大丈夫です」

 食べ終わった食器を流し台へと持っていく。水を張ったステンレス容器に皿を入れる。そのまま部屋へと戻る。
 扉を開けると、冬子さんが正座していた。

「どうしたんですか?」
「いえ、あの、お話が」
「なんかありましたか?」
「私、ずっと秋吉さんに施してもらってばっかりで、どうすればいい考えてたんですけど」
「はい」
「全然上手くいくビジョンが見えなくて、どうすればいいか分からなくて」
「なるほど」
「なんか、できることありますか」

 冬子さんからの突然の話に驚く。彼女の表情は真剣で、悩んでいて、最近見ていた明るいものではなかった。
 しかし、あまりに唐突な話で混乱する。彼女は焦っているのかもしれない。どうすれば納得してもらえるのか。少しずつ考えながら、話していく。

「冬子さんは、今をなんとかしてすぐにでも次の一歩を歩みたいと思ってると思うんですけど、もっとゆっくりでいいんですよ」
「なんでですか。友達はみんな歩んで行ってますよ」
「冬子さんは、そんな友達よりずっと頑張ってたはずです。だからこそ、今ここにいるわけじゃないですか」
「まぁ、それはそうですけど、でも、私、立ち止まりたくないです」
「もう少し休んでからにしましょう」
「うーん、でも」
「じっくりゆったりいきましょう」
「うーん…はい…」

 冬子さんは納得感の薄い顔で、でもどうすることもできないという顔でもあった。しかし、自分の経験から見てもそれが一番正しい選択だという確信があった。
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