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70話
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家についてからはのんびり掃除と片付けをしていた。思いの外掃除できてないところが多く、冬子さんに申し訳ない気持ちが出てくる。それでも淡々と進めていく。
スマートフォンの時計を見ると、19時が表示された。まだ時間としては間に合うだろうということで、掃除機をかけることにした。
その掃除機が終わる頃、鍵が開く音がした。廊下の方向を向くと、冬子さんが立っていた。
「ただいま帰りました」
「おかえりなさい」
「大変でした」
「お疲れ様です」
冬子さんが廊下を抜けて部屋に入ってくる。かなり疲れた様子であることは容易に窺えた。
「あれ、なんか部屋が綺麗になってますね」
「時間があったので掃除しました」
「ありがとうございます」
「まぁ一応、これでも家主なので」
「私も今度から掃除しますね」
「そうならないように僕も全力を出します」
それは申し訳ないので、私もできることはやりますよ」
「ありがとうございます」
やはり冬子さんは掃除したことに気付いていた。疲れているというのにすごいと思いつつ、気を使わせてしまうことに自分が申し訳なさを覚える。普段から綺麗な状態を保てるように努力するしかない。
「今日は本当に大変でした」
「お疲れの様子ですもんね」
「マッチングアプリの婚活って、こんなに大変なんだって感じです」
「相手の素性の本質的なところが見えない分、苦労するところは多いだろうなと思います」
「でも、いろんなことが見えた1日でした」
「実りがあったら本当に良かったです」
会話をしながら、一息つく。冬子さんも、疲れた顔ではあっても、どこか安堵した表情にも見える。そして、一度大きく息を吐いてから、冬子さんはもう一度報告をしてくれた。
「私、そろそろ仕事探せそうです」
「おぉ、それは良かったです。でも無理はしないでくださいね」
「ありがとうございます。じっくりいきます」
「じっくりいきましょう。僕は追い出すことは絶対しないので」
「ありがとうございます」
一歩ずつ歩みを進める冬子さん。何かを感じ取ってなのか、今回のことがあって同時に踏み出したのかはわからないが応援は全力でしていきたい。しかし無理は禁物だ。その時は止めるのも大事なことだ。
「そういえば晩御飯なんですけど」
「はい、如何いたしましょう」
「ハンバーグが食べたいです」
「分かりました。材料を買い出しに行ってきます」
「私も行きます」
「了解しました。いまから出ますけど、いけますか」
「行けます」
冬子さんからの夕食のリクエスト。かなり珍しい。何か思惑があるのかもしれない。ひとまず買い出しをしなければ作れないことが確定しているため、カバンを持って立ち上がる。それに彼女もついてくる。この時間に買い物に出かけるのは少しだけ久しぶりだった。
スマートフォンの時計を見ると、19時が表示された。まだ時間としては間に合うだろうということで、掃除機をかけることにした。
その掃除機が終わる頃、鍵が開く音がした。廊下の方向を向くと、冬子さんが立っていた。
「ただいま帰りました」
「おかえりなさい」
「大変でした」
「お疲れ様です」
冬子さんが廊下を抜けて部屋に入ってくる。かなり疲れた様子であることは容易に窺えた。
「あれ、なんか部屋が綺麗になってますね」
「時間があったので掃除しました」
「ありがとうございます」
「まぁ一応、これでも家主なので」
「私も今度から掃除しますね」
「そうならないように僕も全力を出します」
それは申し訳ないので、私もできることはやりますよ」
「ありがとうございます」
やはり冬子さんは掃除したことに気付いていた。疲れているというのにすごいと思いつつ、気を使わせてしまうことに自分が申し訳なさを覚える。普段から綺麗な状態を保てるように努力するしかない。
「今日は本当に大変でした」
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「マッチングアプリの婚活って、こんなに大変なんだって感じです」
「相手の素性の本質的なところが見えない分、苦労するところは多いだろうなと思います」
「でも、いろんなことが見えた1日でした」
「実りがあったら本当に良かったです」
会話をしながら、一息つく。冬子さんも、疲れた顔ではあっても、どこか安堵した表情にも見える。そして、一度大きく息を吐いてから、冬子さんはもう一度報告をしてくれた。
「私、そろそろ仕事探せそうです」
「おぉ、それは良かったです。でも無理はしないでくださいね」
「ありがとうございます。じっくりいきます」
「じっくりいきましょう。僕は追い出すことは絶対しないので」
「ありがとうございます」
一歩ずつ歩みを進める冬子さん。何かを感じ取ってなのか、今回のことがあって同時に踏み出したのかはわからないが応援は全力でしていきたい。しかし無理は禁物だ。その時は止めるのも大事なことだ。
「そういえば晩御飯なんですけど」
「はい、如何いたしましょう」
「ハンバーグが食べたいです」
「分かりました。材料を買い出しに行ってきます」
「私も行きます」
「了解しました。いまから出ますけど、いけますか」
「行けます」
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