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表裏一体の意思。
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縋るように見る邪神リンネルに、女神アンジェラスは静かに首を振った。
『嘘だ!! お前なら助けられるはずだ!! リンネを、リンネを……頼む。』
闇に呑まれそうなリンネを力の限り抱き締める。
「それは神の呪い。それを解くことが出来るのは聖なる者のみ。」
『リンネ……。 』
リンネを見ると気を失い体の半分は闇に呑まれている。
「人間の中には不完全な個体がたまに生まれます。善の意思だけを持つ者、聖人と呼ばれる者です。故に彼らは悪意を持たない、だからこそ神の呪いをも解くことが出来るのです。」
女神アンジェラスは諭すように邪神に話しかける。
「そして神の呪いは神々とて解くことが出来ない、呪いを生み出した本人にしか解くことが出来ないのです。その呪いを解けるのは貴方のみ。」
『俺には無理だ……俺にはこの呪いをどうすることもできない……。』
邪神は呪うだけ、それ以外できない。ならば共にリンネと闇の中に沈もうとリンネを抱き締める。だが、リンネルの腕からリンネだけが闇に呑まれていく。
『何故だ? 何故だ? 何故!! 俺も俺も、一緒に!! 』
「それは貴方の呪い。貴方を呑み込むことはない。」
『いやだ、いやだ、いやだ!! 』
リンネルはリンネに縋り付く。
『なんでも……なんでも……する、お願いだ、リンネを助けてくれ。』
縋る邪神に、女神アンジェラスは無慈悲にも首を振る。
「貴方が完全体になれば、その呪いを解くことができるでしょう。」
『完全体……? 』
「総てのものは表裏一体。光であり闇である。善であり悪でもある。それは神も同じもの。」
女神アンジェラスは神の存在の意味を説明する。
「今の貴方は不完全、故に自分の呪い……神の行いを制御出来ていないのです。」
『制御、できていない? 』
「貴方は今は、半心。悪の意思しか持ち合わせていないのです。でも貴方は聖人に触れ善の意思を感じたはず。」
『善の意思……。』
「感謝を、喜びを、慈愛を。」
『感謝? 喜び? 慈愛? 』
リンネルはリンネを抱き締めながら女神アンジェラスの言葉に首を傾げる。
「貴方は彼の存在に感謝し、彼の傍にいられることに喜びを感じ、今彼が傷付いてることに慈愛を感じている。」
女神は優しく微笑み邪神を見つめた。
「それが貴方の半心。」
『俺の……半心……。』
「受け入れなさい、その半心を。そうすれば自ずとどうすればよいか分かるでしょう。」
『俺の半心。』
「受け入れなさい、その優しさを。」
『俺は……、俺はリンネを助けたい。』
リンネルは顔をあげて女神を見る。その目は意思をもち、その姿を雄々しいものへと変えた。見る人が見ればそれは、先王リンネルの若かりし頃の姿であった、一番輝いていた威厳ある姿へと変わっていた。
その凛々しい顔に涙がつたう。渇ききった邪神の意思に優しさが受け入れられた。
今、邪神は表裏一体の完全な神となる。闇であり光の、悪であり善の。
「ああ……分かる、この呪いは俺の意思。ならば俺の意思を……。」
太陽だけが輝いてる乾燥した旧アンゼラス国。公爵達が地下から上に上がってきて、聖堂の外に見たものは壊れた街並みと渇きった大地であった。
聖女を殺し、邪神に呪われた大地。今もなお呪われ、触れた者を地に沈み込ます大地。誰も、生きているものの息吹を感じることが出来ない。
「リンネル様は、ご無事だろうか? 」
「まさか大地に触れたのでは? 」
「そんな!! そんなことはないわ。」
「きっと無事よ。」
息子達は、リンネのことを心配する。
「魔石か消え封印は解かれた。」
「あの鐘の音、リンネル様。」
「邪神には封印を壊すことは出来ない。」
「出来るのは聖者のみ。」
四人の公爵はこの地の封印は壊れ、邪神が旧アンゼラスに復活していることを感じていた。
『嘘だ!! お前なら助けられるはずだ!! リンネを、リンネを……頼む。』
闇に呑まれそうなリンネを力の限り抱き締める。
「それは神の呪い。それを解くことが出来るのは聖なる者のみ。」
『リンネ……。 』
リンネを見ると気を失い体の半分は闇に呑まれている。
「人間の中には不完全な個体がたまに生まれます。善の意思だけを持つ者、聖人と呼ばれる者です。故に彼らは悪意を持たない、だからこそ神の呪いをも解くことが出来るのです。」
女神アンジェラスは諭すように邪神に話しかける。
「そして神の呪いは神々とて解くことが出来ない、呪いを生み出した本人にしか解くことが出来ないのです。その呪いを解けるのは貴方のみ。」
『俺には無理だ……俺にはこの呪いをどうすることもできない……。』
邪神は呪うだけ、それ以外できない。ならば共にリンネと闇の中に沈もうとリンネを抱き締める。だが、リンネルの腕からリンネだけが闇に呑まれていく。
『何故だ? 何故だ? 何故!! 俺も俺も、一緒に!! 』
「それは貴方の呪い。貴方を呑み込むことはない。」
『いやだ、いやだ、いやだ!! 』
リンネルはリンネに縋り付く。
『なんでも……なんでも……する、お願いだ、リンネを助けてくれ。』
縋る邪神に、女神アンジェラスは無慈悲にも首を振る。
「貴方が完全体になれば、その呪いを解くことができるでしょう。」
『完全体……? 』
「総てのものは表裏一体。光であり闇である。善であり悪でもある。それは神も同じもの。」
女神アンジェラスは神の存在の意味を説明する。
「今の貴方は不完全、故に自分の呪い……神の行いを制御出来ていないのです。」
『制御、できていない? 』
「貴方は今は、半心。悪の意思しか持ち合わせていないのです。でも貴方は聖人に触れ善の意思を感じたはず。」
『善の意思……。』
「感謝を、喜びを、慈愛を。」
『感謝? 喜び? 慈愛? 』
リンネルはリンネを抱き締めながら女神アンジェラスの言葉に首を傾げる。
「貴方は彼の存在に感謝し、彼の傍にいられることに喜びを感じ、今彼が傷付いてることに慈愛を感じている。」
女神は優しく微笑み邪神を見つめた。
「それが貴方の半心。」
『俺の……半心……。』
「受け入れなさい、その半心を。そうすれば自ずとどうすればよいか分かるでしょう。」
『俺の半心。』
「受け入れなさい、その優しさを。」
『俺は……、俺はリンネを助けたい。』
リンネルは顔をあげて女神を見る。その目は意思をもち、その姿を雄々しいものへと変えた。見る人が見ればそれは、先王リンネルの若かりし頃の姿であった、一番輝いていた威厳ある姿へと変わっていた。
その凛々しい顔に涙がつたう。渇ききった邪神の意思に優しさが受け入れられた。
今、邪神は表裏一体の完全な神となる。闇であり光の、悪であり善の。
「ああ……分かる、この呪いは俺の意思。ならば俺の意思を……。」
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聖女を殺し、邪神に呪われた大地。今もなお呪われ、触れた者を地に沈み込ます大地。誰も、生きているものの息吹を感じることが出来ない。
「リンネル様は、ご無事だろうか? 」
「まさか大地に触れたのでは? 」
「そんな!! そんなことはないわ。」
「きっと無事よ。」
息子達は、リンネのことを心配する。
「魔石か消え封印は解かれた。」
「あの鐘の音、リンネル様。」
「邪神には封印を壊すことは出来ない。」
「出来るのは聖者のみ。」
四人の公爵はこの地の封印は壊れ、邪神が旧アンゼラスに復活していることを感じていた。
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