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引き籠もりのスペシャリスト。

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俺は、歩いた。
「しんどい。」
体力的には、平気だが精神的にはつらかった。
こう見えても、平凡男子高校生。眼鏡を取ると、超絶美少女。いや、美少年の俺だが、弓道部に入っていて体力作りはやっていた。
だが、こうも行けども行けども同じ風景には、精神的にはくるものは有る。
「見渡す限りの荒野、うんざりだ。」
歩けど、歩けど、荒野。
照り返しの光り、暑さは着ているローブに魔力を注げばクーラーの様に涼しくなった。これ、魔道ローブでした。
「戻りたい、引き籠もりたい。疲れた、しんどい。」
体力的には大丈夫だが、精神的には大丈夫ではない。これ、大事なとこなので二度言いました。
ワクワク感なんか、10分続いて終わりました。
「マジ、やばい。」
(街まで後、何時間? )
俺は、ついに座り込んだ。
「テルやツクヨの示す方へ歩いて来たが、本当にこっちでいいのか? 」
俺は、うずくまる。
「やだ、やだ、やだ!! 戻りたい、引き籠もりたい!! 」
俺は駄々っ子の様に、仰向けに成って足をじたばたした。
「スサ!! テル!! 見てるんだろ!! 疲れたよ!! ヘルプ、ミー!! 助けて!! 」
俺は、泣き叫んだ。


「・・・・・・。」
反応は無かった。俺は立ち上がり、砂を払った。
「恥を掻かせやがって。」
岩の影に移動した。 
「なんか、飲むか。」
独り言が、多く成っている。部屋で引き籠もっていた時は無かったことだ。
やはり、だだっ広い荒野に一人だけと言うのが精神的には辛いのだ。
(寂しいな。)
音が、しない。風の音と自分の足音だけ。
(寂しいよ。)
責めて、周りが森だったら。木を眺め、草を眺め。
「・・・・・・。」
まあ、今よりは いいだろう。多分。
鞄を開けた。何も入っていない。入ってません。
「ふっ。」
判ってますとも。
「ど・こ・で・も、カバン。」
両手に持って、空にかかげた。耳のない青い猫型ロボット風に言ってみました。
「虚しい。」
(判ってますよ。アイテムバックですよね。はい、はい。)
「リスト。」
言葉にだすと、目の前にメニュー表の様な物が。

【家】

「はぁ!? 」
俺は、叫んだ。
「家て、何!? 」
(家て、鞄に入る物なの? あ、魔道鞄か。)
俺は、目を凝らしてもう一度見る。

【家】《説明書》
【取り出す】〖入れる〗

はい、家でした。家しか有りませんわ。誰ですか、必要な物は揃ってるて、言ったのは。

「 !! 」

閃きました。この中に、必要な物が入っていると。
「よし、出してみよう。」

【取り出す】を押す。
「ポチッとな。」
『ブブーッ』
嫌な音がする。もう一度、押してみる。
『ブブーッ』
鞄を大地に、叩き付けた。
「なめとんか!! 」




俺は、冷静になった。
もう一度、表示を見る。
【家】《説明書》
【取り出す】〖入れる〗

有りました。説明書。
俺は、説明書を押した。

活用時間
午後五時~午前八時。
【理由】
引き籠もり対策のため。

大地に鞄を、叩き付けた。
「今、何時だ!! あれから、何時間経っている!? 」
三時間か、二時間か。

〔そんなに、経ってません。〕

「五時まで、飲まず食わずで干からびろと。」
飲めないとなると、余計に喉が渇く。
「喉が、渇いた!! ジュース、お茶、水!! 」
俺は、思いっ切り叫んだ。
ぼあっ、と目の前にバスケットボール並の水の塊が浮いている。
「これは、生活魔法か。」
取り敢えず、顔を突っ込んで水を飲む。
「ぷはぁ。」
生き返りました。良かったよ、マジ干からびるかと。
ついでに、頭も突っ込みました。
(気持ち、いい。)
「よし、気持ちも新たに。寝よう。」
俺は、大地に寝転がる。
でも、眠れません照りつける太陽が、眩しすぎる。岩陰でも、眩しい。
「でも、歩きたくない。」
テルは、言っていた。

「町に突く前に夜になってしまいます。」

つまり、街まで六時間は有ると言う事だ。
「絶対、無理。引き籠もりに、初日から六時間も歩くなんて、無理。」
俺は、周りを見渡す。何処か隠れる処がないか。
ありません、荒野です。
あるのは、この岩だけ。これに、穴があれば。

「穴がなければ、作ればいいのよ。」

マリーアントワネット風に、言ってみた。

「舐めるな、俺が何年。中二病の拓也と付き合ってきたと思ってるんだ。」
(付き合いと言っても、幼馴染みとしての付き合いだから。其処、大事な。)

「出でよ、水。そして、風。水を回し、高速の刃となりて岩を削れ。」

「ウォーター・タイフーン・カッター。」
中二病ぽく、言ってみました。
水は回転して、上手い具合に岩に穴を開けていく。
「流石、俺。今 生活魔法が、新たなる攻撃魔法として生まれた。」
自分を褒め讃える。
「流石、俺。創造主。」

「これは、洗濯機としても使えるぞ。水流を緩やかにすれば。」
何回か生活魔法を連発すると、上手い具合に岩に穴が空いた。其処を風の生活魔法で、渇かす。
入ってみると、ひんやり涼しかった。
「よし、寝るぞ。」
引き籠もりの時、12時間位は寝ていた。
(する事、無かったから。)
「眠るのは、得意だ。」
なんてったって、創造主として何億年寝ていた事か。登としても、既に何万年寝ている。
「眠りのスペシャリストとは、俺の事だ。」
俺は、横になった。
「では、皆さん。良い夢を。アデュ。」

ルーンは、鼓動 登は、旅だってから一時間もしない内に 岩の穴の中に引き籠盛った。
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