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私と婚約者の、覚悟。
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カナンは息を吹き返したようにオスカー達には思えた。が、カノンにとっては目を覚ましたに過ぎない。驚いているオスカーに、遊園地が面白く無かった事と日頃の鬱憤を当たり散らす。
「お兄様は、意地悪ですわ。お兄様は、嘘つきですわ。お兄様は、酷いですわ。」
「カ、カノン……。」
「「「カノン様。」」」
蓑虫状態で動けないので、口だけ動かしていた。
「お前、生きてるのか!! 」
オスカーは皆の疑問を口に出した。
「酷いですわ、お兄様。勝手に殺さないでくださいませ。わたくし、死にませんわ。」
カノンは眠っていたので体力が回復していた。しかし蓑虫状態。
「息、止まっていたぞ!! 」
「止まってませんわ。冬のクマさんのように眠っていただけですわ。」
「「「「「冬眠か!! 」」」」」
その場の者は突っ込んだ。ただ独り、カノンの復活を祝って踊っている男を除いて。
「そんな症状は聞いてませんよ。」
「俺も聞いてない!! 」
タクトとオスカーは聞いてないと、カノンを見下ろす。
「職務怠慢ですわ。メリーさん(カノンの侍女)も執事さんも知ってることですわ。」
「う、ぐぐぐ……。」
職務怠慢と言われてタクトは片膝を着いた。
「わたくしの勝ちですわ。ざまぁですわ。オーホホ、ゴホゴホッ。」
カノンは宿敵に膝を着かしたことに歓喜した。そして、オスカーを見上げる。
「お兄様は、酷いですわ。意地悪ですわ、嘘つきですわ。」
蓑虫状態のまま責め立てる。
「オスカー様、取り敢えず中に入りませんか? カノン様にこの寒さは……。」
「そうだな……。」
春とは言えども夜はまだ寒い。ルミナスの言葉にオスカーは頷いた。
「ルミナス様。お兄様は、酷いですわ。意地悪ですわ、嘘つきですわ。」
ルミナスに気づいてカノンはオスカーの事を報告する。
「お前は、黙ってろ。」
オスカーは剥いだ毛布を顔に巻き付けた。もごもごとカノンは何かを言っている。そのまま抱き上げて屋敷の中に入っていった。その後をルミナス達も続いた。独り、クルクル回りながら着いてくる者もいた。
応接室で長椅子のソファにオスカーはカノンを置いた。その隣にオスカーは座り、ルミナスも座った。向かいにハルクとエリーゼ、タクトが座る。ナルシスは未だ復活の祝いの踊りを踊って周りを回っていた。
「ぷはっ。」
カノンはもぞもぞと、毛布の中から脱皮した。メイドがお茶を淹れて、皆はひと息着いた。カノンが見つかった事は、それぞれの家へと知らせを走らせた。
カノンは両手でカップを持ち、独りだけ違うココアを飲んでいた。
「美味しいですわ。」
カノンは皆をよそに、温かい部屋と温かい飲み物を堪能する。
オスカーはそんなカノンにほっとして溜息をついた。横にいるルミナスに体ごと顔を向ける。
「ルミナス、すまない。」
オスカーはルミナスに謝りを入れる。オスカーの表情は苦悩に歪む。
「はい。」
ルミナスに何を言われるか分かったような気がした。カノンがいなくなった時のオスカーの狼狽えぶりを見てしまったから。
(オスカー様は、口で何と言おうともカノン様を大切に思っている。)
「本当にすまない、ルミナス。」
オスカーは俯いた。
「はい。」
ルミナスも俯いて、言葉を待つ。
「カノンは独りで出歩けることに気づいてしまった。目を放す訳にはいかない。」
「はい。」
オスカーは顔を上げて、ルミナスを見詰める。ルミナスも顔を上げて、オスカーを見詰めた。
「ルミナス、俺と……。」
言葉が詰まる。異様な雰囲気が漂う。エリーゼが、ダンとテーブルに手をついた。
「それ以上言ったら許さないわ、ギッタンギッタンのめちゃくちゃにするわよ!! 」
「そうだ、ギッタンギッタンのめちゃくちゃにするぞ!! 」
エリーゼとハルクは、オスカーに詰め寄った。
「やめて……。」
ルミナスは二人に微笑んだ
「「ルミナス……。」」
「いいの、いいのよ。」
ルミナスの言葉に二人は黙った。が、心の中では大切な親友を、妹を、悲しませているオスカーをギッタンギッタンのめちゃくちゃにしていた。
「ルミナス、すまない。俺と…。」
「お兄様は、意地悪ですわ。お兄様は、嘘つきですわ。お兄様は、酷いですわ。」
「カ、カノン……。」
「「「カノン様。」」」
蓑虫状態で動けないので、口だけ動かしていた。
「お前、生きてるのか!! 」
オスカーは皆の疑問を口に出した。
「酷いですわ、お兄様。勝手に殺さないでくださいませ。わたくし、死にませんわ。」
カノンは眠っていたので体力が回復していた。しかし蓑虫状態。
「息、止まっていたぞ!! 」
「止まってませんわ。冬のクマさんのように眠っていただけですわ。」
「「「「「冬眠か!! 」」」」」
その場の者は突っ込んだ。ただ独り、カノンの復活を祝って踊っている男を除いて。
「そんな症状は聞いてませんよ。」
「俺も聞いてない!! 」
タクトとオスカーは聞いてないと、カノンを見下ろす。
「職務怠慢ですわ。メリーさん(カノンの侍女)も執事さんも知ってることですわ。」
「う、ぐぐぐ……。」
職務怠慢と言われてタクトは片膝を着いた。
「わたくしの勝ちですわ。ざまぁですわ。オーホホ、ゴホゴホッ。」
カノンは宿敵に膝を着かしたことに歓喜した。そして、オスカーを見上げる。
「お兄様は、酷いですわ。意地悪ですわ、嘘つきですわ。」
蓑虫状態のまま責め立てる。
「オスカー様、取り敢えず中に入りませんか? カノン様にこの寒さは……。」
「そうだな……。」
春とは言えども夜はまだ寒い。ルミナスの言葉にオスカーは頷いた。
「ルミナス様。お兄様は、酷いですわ。意地悪ですわ、嘘つきですわ。」
ルミナスに気づいてカノンはオスカーの事を報告する。
「お前は、黙ってろ。」
オスカーは剥いだ毛布を顔に巻き付けた。もごもごとカノンは何かを言っている。そのまま抱き上げて屋敷の中に入っていった。その後をルミナス達も続いた。独り、クルクル回りながら着いてくる者もいた。
応接室で長椅子のソファにオスカーはカノンを置いた。その隣にオスカーは座り、ルミナスも座った。向かいにハルクとエリーゼ、タクトが座る。ナルシスは未だ復活の祝いの踊りを踊って周りを回っていた。
「ぷはっ。」
カノンはもぞもぞと、毛布の中から脱皮した。メイドがお茶を淹れて、皆はひと息着いた。カノンが見つかった事は、それぞれの家へと知らせを走らせた。
カノンは両手でカップを持ち、独りだけ違うココアを飲んでいた。
「美味しいですわ。」
カノンは皆をよそに、温かい部屋と温かい飲み物を堪能する。
オスカーはそんなカノンにほっとして溜息をついた。横にいるルミナスに体ごと顔を向ける。
「ルミナス、すまない。」
オスカーはルミナスに謝りを入れる。オスカーの表情は苦悩に歪む。
「はい。」
ルミナスに何を言われるか分かったような気がした。カノンがいなくなった時のオスカーの狼狽えぶりを見てしまったから。
(オスカー様は、口で何と言おうともカノン様を大切に思っている。)
「本当にすまない、ルミナス。」
オスカーは俯いた。
「はい。」
ルミナスも俯いて、言葉を待つ。
「カノンは独りで出歩けることに気づいてしまった。目を放す訳にはいかない。」
「はい。」
オスカーは顔を上げて、ルミナスを見詰める。ルミナスも顔を上げて、オスカーを見詰めた。
「ルミナス、俺と……。」
言葉が詰まる。異様な雰囲気が漂う。エリーゼが、ダンとテーブルに手をついた。
「それ以上言ったら許さないわ、ギッタンギッタンのめちゃくちゃにするわよ!! 」
「そうだ、ギッタンギッタンのめちゃくちゃにするぞ!! 」
エリーゼとハルクは、オスカーに詰め寄った。
「やめて……。」
ルミナスは二人に微笑んだ
「「ルミナス……。」」
「いいの、いいのよ。」
ルミナスの言葉に二人は黙った。が、心の中では大切な親友を、妹を、悲しませているオスカーをギッタンギッタンのめちゃくちゃにしていた。
「ルミナス、すまない。俺と…。」
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