【完結】猛反した王子は、婚約破棄を頑張りたい。

❄️冬は つとめて

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氷の王子、クラウス。炎の中の。

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「やめて、お願い!! 」
「いやーー!! 許して!! 」
校舎の裏で、女性の悲痛の悲鳴が轟き渡る。
「許して下さい、アルバート様!! お願い!! 」
「離して下さい、ジェームズ様!! ううっ・・・」
泣き崩れる、女性。
「ええい!! 人聞き悪い、騒ぐな!! 」
アルバートが、声を上げる。地に崩れ落ちる、女性。女生徒の前に、アルバートとジェームズが立ちはだかる。彼等の後にの焼却炉からは、炎が燃え上がっていた。その焼却炉に次々と、シルビアは薄い本を投げ込んでいた。アルファも、楽しそうに火の中に、本を放り込んでいる。本が投げ込まれる度に、エリザベスとマリアンヌは悲痛な悲鳴を上げている。
其れを、無関心にクラウスは視ていた。
そして其処有様を、遠巻きに生徒達が視ていた。女生徒の悲鳴に『何事か?』と、集まって来ていたのだ。

「本は、抹殺よ。こんな本、世に出して溜まるものですか。」
自らが表紙になっている本を、忌々しく火の中に放り込投げるシルビア。
「ああ、一冊たりとも残して溜まるか。」
シルビアとアルバートは、意気投合していた。
「そうです、これは末代までの恥。父に知れたら、貴方達どうなるか知れませんよ。」

王太子をネタにしているだけで 既に、不敬罪に価する。流罪か、終身刑か。

「ううっ、あの美しい絵が。」
「ひっく、麗しい、内容が。」
エリーとマリーは、泣き崩れる。
「麗しく無いわよ!! 何故、私が女王様よ!! 」
「僕と兄上は、仲良しでした。」
アルファは、喜んでいた。
「違う意味でね。」
「 ? 」
アルファは、首を傾げる。
彼は頭が少し、素直な少年であった。
「あの手の本は総て、焼却する。いいな。」
「勿論です。」
アルバートの言葉に、ジェームズは頷いた。
「「アルバート様、横暴です。ジェームズ様、酷いです。」」
「「言論の自由です。」」
「「言論の弾圧です。」」
エリー、マリーが、騒ぐ。
「肖像権の侵害だ!! 」
「肖像権の侵害だわ!!」
「肖像権の侵害です!!」
アルバート、シルビア、ジェームズは同時に、叫んだ。クラウスは ぼー と立っていて、アルファは何を言っているのか判らないようすだった。


「よく聞け!! 集まっている、生徒諸君。この様な邪な本は、生徒会は認めない。見つけ次第没収、焼却する。解ったな!! 」
アルバートは、薄い本を生徒達に翳す。其処には、王座に縛り着けられ半裸のクラウス。恍惚な表情をして、クラウスの足に抱き付き膝の上に頭を乗せているジェームズの姿が表紙に描かれてあった。
男子生徒は目を見張り、女生徒は悲鳴を上げた。
ジェームズも、悲鳴を上げた。
「アルバート様!! 」
「ああ、悪い。」
そのまま、焼却炉に放り込む。恥ずかしい姿が描かれた物を皆に見せられて、ジェームズは顔を真っ赤にしていた。

だが、其れが悪かった。一部の生徒達がその表紙に興味を示してしまった。そして学園内の、あの噂。
『美貌のクラウス』には、男女共に人気が高かった。


炎とアルファを見ていると、クラウスは自分はこの頭が少し 憐れな弟を斬首台に送った事が思い出される。その隣に、王妃を名乗る者がいた。

クラウスは そっと、アルファの頭を撫でた。
「兄上。」
アルファは、頭を撫でられた事に喜んだ。そして、抱き付く。
「兄上、大好きです。」
「ああ。私もだ。」
クラウスも、アルファを抱き締めた。

(アンジェリカ さえ 殺さなければ、内乱は起こらなかった。その後の、戦争さえも。多くの民が、死んだ。)
腕の中のアルファの、ぬくもりを感じて
『まだ、誰も死んでいない。』

(あの未来は、変えられる。父も母も。ブレイブ殿もジョルジュも、殺されない。)
クラウスは、ジェームズを見る。
(ジェームズは、狂う事なく。アルバートもベクトル候も殺さずにすむ。アルファとて。)
クラウスは、アルファを抱き締めた。
(私の一時の感情で、余りにも多くの人を 死に至らしめてしまった。)
今さらながら、クラウスは己の罪に震えがくる。その場にアルファに抱きかかえられる様に、崩れ落ちる。
其れはまるで、あの表紙(アルファのはだけた胸に抱き締められた、肩を露わにしたクラウス。)の様で(服は着ているが)。
その姿に、エリーとマリーは歓喜の悲鳴を上げた。

「惜しいわ、あれで服が淫だれていれば。」
集まっていた生徒の中で、誰か囁いた。
「そうね。やはり、あの二人。いいわ。」
違う生徒が、呟く。
集まった生徒達の一部は、目の前の光景に声なき歓喜の悲鳴を上げていた。

「だーー!! 其処、抱き合うな!! 」
神経過剰に、アルバートは二人を引き離す。クラウスが頼る様に、自分に抱き付いてくれていたのを剥がされて アルファは頬を膨らませた。
「アルバート様、酷い。」
「酷くねぇ。」
剥がされたクラウスは、足に力が入らず。アルバートに縋り付くように、抱き止められる。
その姿に、またしてもエリーとマリーは歓喜の悲鳴を上げた。

「惜しい、あれで服が淫だれていれば。」
「そうね。やっぱり、あの二人。いい。」
二人は、興奮していた。
「描きたい。」
「書きたい。」
集まった生徒達の一部は、目の前の光景に声なき歓喜の悲鳴を上げて興奮していた。

「大丈夫ですか、クラウス様。お加減でも。」
クラウスのようすに、気付いたジェームズは。昨日の話しの為、自分がクラウスに触れて良いのかとためらってしまった。

「いいわ、あの表情。」
「ええ、あの屈折した思いがクラウス様を 王座に縛り着けるのよ。」
興奮の余り、二人は鼻血が垂れていた。エリーとマリーも、だが。

縋り付くクラウスを抱き止めながら、アルファと言い争いをしているアルバート。クラウスを心配して、もどかしく手を上げているジェームズ。其れはまるで、

「愛らしい、アルファ様。凛々しい、アルバート様。憂い顔の、ジェームズ様。そして何より、美貌のクラウス様。ああ、絵に 絵になるわ~。」
「そうね、クラウス様を巡る三人の男達。禁断の愛。近親相姦に、幼馴染みに、年下の男。そして最後は皆で、クラウス様に愛を注ぎ込むのよ。」
二人は、見詰め合った。
「描きたい。」
「書きたい。」
二人は興奮して、手を取り合った。
「書きなさい、書くのよ。」
「描いて、描くのよ。」

「「私達は、弾圧には負けない。」」
「「必ず、愛は。愛は、勝つわ。」」
二人で、励まし合う。

「いい加減に、しなさい!! 貴方達。」

「「来たーー!! 女王様!! 」」
シルビアの声に、二人は振り返る。其処には、雄々しく立つシルビアがいた。

「エリーとマリーが、鼻血を垂らして喜んでるじゃない。」
シルビアは、興奮して鼻血を垂らす二人を指差す。
「其れに、生徒達が目を輝かせてるわ。」
集まっていた生徒達は、一部ではなく。何かを期待して、目を輝かせて四人を視ていた。思春期の少年少女は、色々と興味がある。
その一つを、彼等は揺さぶっていた。
腐女子、腐男子? を、クラウス達が作っている事に自らは気づいていなかった。
そして、その邪な思いを生徒達に気づかせるのは『MLW同好会』であった。
雑草の根の様に、彼等は無くなることはない。
恐るべき『MLW同好会』
恐るべき、腐女子。
生徒会の闘いは、まだまだ続く。










中庭のベンチに座り、人を待つ女生徒がいた。
枯れ葉が はらはら と、舞っている。もう、何時間も彼女はベンチに座って人を待っていた。時々、枯れ葉の音に顔を上げながら。


ジェームズは、すっかり 彼女の事を忘れていた。 


    
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