【完結】猛反した王子は、婚約破棄を頑張りたい。

❄️冬は つとめて

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氷の王子、クラウス。お話、説教、制裁?

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王宮の廊下を走る男がいた。
短い赤茶色の髪と鋭い緑色の瞳。武人に相応しい、難いの好い体をしている。
顔パスで王宮に入り、勝手知ったる王宮の中を一心不乱に駆けていた。

バアアァァン!!

すさまじい音をたてて、扉は開かれた。
「アルベルト!? 」
二人でお茶を楽しんでいた、王と王妃の部屋に突然現れた。二人は、驚きのあまり立ち上がった。
「クラリス!! 」
アルベルトは王妃に、泣きついた。王カイゼルの顔色が変わる。
「どうなさったの? アルベルト。」
「頼む、クラリス!! アンジェリカを、アンジェリカを、救ってくれ!! 」
「アンジェリカちゃん? 」
クラリスは、抱きつかれたまま首を傾げる。
「アンジェリカが、変わってしまった。助けてくれ、クラリス!! 」

アルベルトが普通でない形相で現れたことを聞いた、エドガーとジェラルドは駆け付けた。そして、カオスを見た。

「クラリス!! アンジェリカが、アンジェリカが!! うわああぁぁぁ!! 」
泣き叫びながら、王妃に抱きついているアルベルト。

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す・・・」
その男を殺さんばかりに睨み付け、呪いの言葉を呟くカイゼル。死神の鎌のようにケーキ用のホークを構えている。

「落ち着いて、カイゼル。アルベルトはアンジェリカのことで、正気を失っているだけよ。」
なんとかアルベルトを引き離そうと頑張りながら、カイゼルを落ち着かそうとするクラリス。

二人は踵を返して立ち去ろうとした。が、目の前に執事のジョルジュが立ち塞がった。

「何をなさっているのです? エドガー様、ジェラルド様。」
その声は、低く重い。
「王の暴挙を止めるのは、家臣の勤め。」
微笑む笑顔は、冷たく恐い。
二人は背筋を伸ばした。
「後で、説教。いえ、お話をしましょう。」
((そう言うなら、あんたが止めろよ。))
二人は思ったが、口には出せなかった。

「私のクラリスに。私のクラリスに。」
「落ち着いて、カイゼル。アルベルトは、正気を失っているのよ。」
「クラリス!! アンジェリカが、アンジェリカが!! 」
先程のカオスは、まだ続いていた。
「ああ、クラリス。愛しい妻よ。私も正気を失っている、なぜかアルベルトを殺したいんだ。」
カイゼルは静かにアルベルトの無防備な背中へと回る。
ホークを振りかざした。

「やめろ、馬鹿。」
カイゼルは、後から首筋に一発入れられて気を失った。崩れ落ちる処を、エドガーが支える。
「そのまま、東の塔に連れてって。」
クラリスは、エドガーにお願いをした。
クラウスのように、暴走したカイゼルを閉じ込める反省室が東の塔にある。
「了解しました。」
エドガーは、肩にカイゼルを担ぎ上げた。
「エドガー様は、戻って来るように。」
ジョルジュは、微笑む。
「はい。」
嫌そうに、返事を返す。
「鍵は、掛けてね。」
クラリスは、可愛くお願いをする。その姿をもしカイゼルが見ていたら、エドガーも呪われる対象となっていただろう。厄介なカイゼルを、塔に閉じ込めて王妃は話をするようだった。
エドガーは、肩にカイゼルを担いで東の塔へ。なれたもので有った。

つい最近(昨日)見た光景だなと、王妃と執事は思った。



残されたのはジェラルド、溜息交じりにアルベルトに近づき耳元に息を吹きかけた。
「うひゃあ!! 」
アルベルトの口から、変な単語が飛び出した。
「なっ、何をする。ジェラルド。」
真っ赤になった顔だけを、ジェラルドに向ける。
「貴方こそ、何をしているんです。」
「何をって? 」
「アルベルト。」
ここで始めてアルベルトは、クラリスに抱きついていることに気が付いた。
「す、すまん!! クラリス!! 」
「いいのよ。アルベルトは、正気を失っていたのだから。」
優しく微笑む。
「それで、いったい何があったの? 」
「そ、そうだ。クラリス、頼む。この通りだ。」
アルベルトは、頭を床につけて懇願する。
「男親では聞き出せない。女性として、アンジェリカに話を聞いてくれ。」
「アンジェリカちゃんが、どうしたの? 」
土下座しているアルベルトに、クラリスは身を屈めて優しく問いかける。
「アンジェリカが、バネになってしまった。」
真剣にアルベルトは、応えた。
「「「はぁ!? 」」」
そこにいた三人は、首を傾げた。

アルベルトは、今朝のアンジェリカの姿を話した。
「縦ロール。あの綺麗な銀髪を? 」
「そうだ、ダイアナ似の美しい顔を化粧で塗りつぶして。」
アルベルトは涙ながらに、呟く。
「いったい何があったんだ、父は父は分からない。」
ソファーに座って頭を抱える。その隣でお茶を飲んでいたジェラルドが、声を上げた。
「殿方の趣味なのでは? 」
「まさか、そんな。」
クラリスは驚く。
「そうか、あの馬鹿か。」
アルベルトは徐に、立ち上がった。
「とりあえず、クラウスを刀なの錆にしてくれる。」
「待ってアルベルト。クラウスはナチュラル派よ。」
クラリスが、息子を庇う。
「あの馬鹿のせいだ。それ以外、考えられない。」
アルベルトは、頭を振った。
「いえ、アンジェリカ嬢の思い人のせいでは? 」
ジェラルドの言葉に、衝撃を受ける。
「思い人だと? 」
「まさか、噂の? 」
クラリスが、口走った。
「噂、だと? 」
「ええ、アンジェリカ嬢の噂の思い人のせいでは。」
「噂の思い人!? ど言う事だ、ジェラルド!! 」
ジェラルドは、アルベルトに向き合い昨日息子から聞いた話をした。


「そんな、アンジェリカが不義を。信じられない、あの馬鹿がいながら。」
呆然と立ち尽くす。
「ええ、私も信じられなかったけど。」
「女性の姿が変わるのは、余程のことがないと。」
神妙に話す。
「とりあえずその男、刀の錆にしてくれる。」
アルベルトは、呟く。
「何処の誰だ? アンジェリカの髪をバネにした男は? 」
真剣にジェラルドに聞いてくる。彼は首を振った。
「それはまだ、分かりません。」

「嫌だ!! アンジェリカの髪をバネにする男なんて、嫌だ!! まだ、クラウスの馬鹿の方がマシだ!! 」
アルベルトは、頭を抱えてのたうち回った。
「失礼な、クラウスは馬鹿ですが頭はいいのですわ。」
「矛盾してますよ、クラリス様。」
ジェラルドは、言った。
「嫌だ!! その男、殺す!! 殺す、ぶっ殺す!! 」
「静かにして下さい、うるさいですよ アルベルト。」
「調べろ、今すぐ調べろ。その男を調べろ!! 」
地団駄を踏んで騒ぎ立てる、アルベルト。

「いったい、なんの騒ぎだ? 」
エドガーが、東の塔から帰って来たその時。
「はふぅ!! 」
変な声を出して、アルベルトはソファーに崩れ落ちた。
突然崩れ落ちたアルベルトに、座っていた二人は驚き。
なぜ倒れたかを見ていたエドガーは、顔を青くした。
「まったく、大人気ない。」
アルベルトのソファーの後にはジョルジュが、立っていた。
「目が覚めたら、制裁。いえ、説教を致しましょう。」
そう言うと、エドガーとジェラルドに笑顔を向けた。
二人はその場を逃げ出したくなったが、諦めて俯いた。
逃げれば、もっと酷いことがあることが分かっていたからだ。

微笑むジョルジュには、適わない。染みついた恐 制裁からは逃げられない二人だった。(後、二人も。)


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