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美しい、幼馴染み。
「あなたが、ウイリアム兄様の婚約者? 」
街角で出会った人が、彼女の婚約者の名を言い聞いてくる。
大きなつばの帽子の下の綺麗なプラチナブロンドの髪を靡かせながら、上から目線で彼女を見る。柔らかい青い瞳の色の美しい人だ。
背が高く、体の凹凸も激しい肉体的な色気も持つ人。
肌の露出はないが、ピタリと体に張り付いた大きな黒い花のリボンをつけた白いマーメイドドレスを着ていた。
「わたくし、カミーユと言いますの。ねえ、あなたがウイリアム兄様の婚約者で、間違いないかしら。」
その美しさに、彼女は圧倒されていた。目鼻立ちがはっきりとしていて『美人』とは、きっと この様な人を言うのだろうと。
「ねえ、返事は。」
見下ろすように言われ、彼女はたじろいた。
「はい。私、ウイリアム様と婚約しています ナンシー。ナンシー・ヘルシンキ伯爵令嬢です。」
ナンシーは、やっとの事で挨拶をする。
「そう。」
カミーユは、上から下までナンシーを見詰めていた。
「可愛いわね。」
クスリと、カミーユは笑う。
カッ と、ナンシーは顔を赤く染めた。体が、震え出す。
容姿の普通な自分を、皮肉のようにしかナンシーには聞こえなかった。
彼女も金髪碧眼で、有ったがその割には華やかさがなかった。服装も普段着の所為か、何時もより動きやすい庶民の少しお金持ちが着る、ワンピースで有った。綺麗な若草色だが、自分が着ると草色の様な気がする。性格がそうさせているのか、彼女は地味であった。
華やかさを佳ね揃える、美しい人。それに比べれは、自分なんか。
「ふふっ、ウイリアム兄様の事は、わたくし何でも知ってますのよ。知りたいことがあったら、何でも教えてあげるわ。婚約者さん。」
クスクス と、笑う。
ナンシーは、俯いた。
ウイリアムから、妹がいるとは聞いた事が無い。この人は、ウイリアムの一体何なのか。兄様と呼ぶのは、何故なのか疑問に思うことばかりだった。
「わたくし、ウィル兄様の幼馴染みですのよ。だから、ウィル兄様の事を良く知っていますの。子供の頃から。」
美しい人は、扇子で口元を隠した。目元が、細められる。
「その内、ウィル兄様からあなたに紹介されると思いますけど。わたくし、ウィル兄様の紹介より先に あなたを見たかったのですわ。」
クスクス と、笑う。
「あなたの様な方を選ぶなんて、ウィル兄様も なかなかやりますわ。」
ウイリアムを愛称で呼ぶ美しい人に、ナンシーは何も言えなかった。
ウイリアム・エニシング侯爵令息。それが、ナンシーの婚約者である。柔らかい茶色の髪と瞳を持つ見目麗しき侯爵令息は、何故か地味な自分を選んでくれたのかナンシーには未だにわかっていなかった。
「カミーユ様。」
遠くで、女性が美しい人の名前を呼んでいる。
「あら、いけない。」
美しい人は、気づいたようにその女性に振り向いた。
「わたくし達、買い物をしていたのですわ。あなたも一緒にどうかしら。ウィル兄様の好みのお洋服を教えて、上げましてよ。」
美しい人は、ナンシーを誘う。ウイリアムの好みを自分は知っていると、知らしめるために。
「いえ、私は。」
「そう、」
ナンシーは、断った。今日初めて会った婚約者の美しい幼馴染み。ナンシーの頭の中は、まだ混乱していた。
「まあ、何を着ても 変わらないかしら。」
クスクス と、笑う。
ナンシーは、居たたまれなくなった。今すぐ逃げ出したかった、この美しい人の前から。
「わたくしがウィル兄様を知るように、ウィル兄様もわたくしの事を知っていると言う事なのね。」
美しい人は、ナンシーに微笑みを見せる。
「わたくし達、幸せになりたいのですわ。」
意味ありげに、微笑む。
「それでは、またお逢いしましょう。ごきげんよう。」
背筋を延ばし、颯爽と歩く姿も美しかった。
『わたくし達、幸せになりたいのですわ。』
美しい声が、耳に纏わり付く。
『わたくしがウィル兄様を知るように、ウィル兄様もわたくしの事を知っていると言う事なのね。』
美しい微笑みが、目に浮かぶ。
「なら何故? ウイリアム様は、私と婚約をしたの。」
あんな美しい人が、傍にいるのに。ナンシーは、俯いたまま その場を動けなかった。
「カミーユ様、あの方は? 」
金髪碧眼の清楚な女性が、美しい人に聞く。
「ウィル兄様の婚約者ですわ。」
意味ありげに、美しい人は微笑む。
「まあ、ウイリアム様の。」
「ええ、ウィル兄様は酷い人ですわ。」
美しい人は クスクス と、声に出して笑った。
街角で出会った人が、彼女の婚約者の名を言い聞いてくる。
大きなつばの帽子の下の綺麗なプラチナブロンドの髪を靡かせながら、上から目線で彼女を見る。柔らかい青い瞳の色の美しい人だ。
背が高く、体の凹凸も激しい肉体的な色気も持つ人。
肌の露出はないが、ピタリと体に張り付いた大きな黒い花のリボンをつけた白いマーメイドドレスを着ていた。
「わたくし、カミーユと言いますの。ねえ、あなたがウイリアム兄様の婚約者で、間違いないかしら。」
その美しさに、彼女は圧倒されていた。目鼻立ちがはっきりとしていて『美人』とは、きっと この様な人を言うのだろうと。
「ねえ、返事は。」
見下ろすように言われ、彼女はたじろいた。
「はい。私、ウイリアム様と婚約しています ナンシー。ナンシー・ヘルシンキ伯爵令嬢です。」
ナンシーは、やっとの事で挨拶をする。
「そう。」
カミーユは、上から下までナンシーを見詰めていた。
「可愛いわね。」
クスリと、カミーユは笑う。
カッ と、ナンシーは顔を赤く染めた。体が、震え出す。
容姿の普通な自分を、皮肉のようにしかナンシーには聞こえなかった。
彼女も金髪碧眼で、有ったがその割には華やかさがなかった。服装も普段着の所為か、何時もより動きやすい庶民の少しお金持ちが着る、ワンピースで有った。綺麗な若草色だが、自分が着ると草色の様な気がする。性格がそうさせているのか、彼女は地味であった。
華やかさを佳ね揃える、美しい人。それに比べれは、自分なんか。
「ふふっ、ウイリアム兄様の事は、わたくし何でも知ってますのよ。知りたいことがあったら、何でも教えてあげるわ。婚約者さん。」
クスクス と、笑う。
ナンシーは、俯いた。
ウイリアムから、妹がいるとは聞いた事が無い。この人は、ウイリアムの一体何なのか。兄様と呼ぶのは、何故なのか疑問に思うことばかりだった。
「わたくし、ウィル兄様の幼馴染みですのよ。だから、ウィル兄様の事を良く知っていますの。子供の頃から。」
美しい人は、扇子で口元を隠した。目元が、細められる。
「その内、ウィル兄様からあなたに紹介されると思いますけど。わたくし、ウィル兄様の紹介より先に あなたを見たかったのですわ。」
クスクス と、笑う。
「あなたの様な方を選ぶなんて、ウィル兄様も なかなかやりますわ。」
ウイリアムを愛称で呼ぶ美しい人に、ナンシーは何も言えなかった。
ウイリアム・エニシング侯爵令息。それが、ナンシーの婚約者である。柔らかい茶色の髪と瞳を持つ見目麗しき侯爵令息は、何故か地味な自分を選んでくれたのかナンシーには未だにわかっていなかった。
「カミーユ様。」
遠くで、女性が美しい人の名前を呼んでいる。
「あら、いけない。」
美しい人は、気づいたようにその女性に振り向いた。
「わたくし達、買い物をしていたのですわ。あなたも一緒にどうかしら。ウィル兄様の好みのお洋服を教えて、上げましてよ。」
美しい人は、ナンシーを誘う。ウイリアムの好みを自分は知っていると、知らしめるために。
「いえ、私は。」
「そう、」
ナンシーは、断った。今日初めて会った婚約者の美しい幼馴染み。ナンシーの頭の中は、まだ混乱していた。
「まあ、何を着ても 変わらないかしら。」
クスクス と、笑う。
ナンシーは、居たたまれなくなった。今すぐ逃げ出したかった、この美しい人の前から。
「わたくしがウィル兄様を知るように、ウィル兄様もわたくしの事を知っていると言う事なのね。」
美しい人は、ナンシーに微笑みを見せる。
「わたくし達、幸せになりたいのですわ。」
意味ありげに、微笑む。
「それでは、またお逢いしましょう。ごきげんよう。」
背筋を延ばし、颯爽と歩く姿も美しかった。
『わたくし達、幸せになりたいのですわ。』
美しい声が、耳に纏わり付く。
『わたくしがウィル兄様を知るように、ウィル兄様もわたくしの事を知っていると言う事なのね。』
美しい微笑みが、目に浮かぶ。
「なら何故? ウイリアム様は、私と婚約をしたの。」
あんな美しい人が、傍にいるのに。ナンシーは、俯いたまま その場を動けなかった。
「カミーユ様、あの方は? 」
金髪碧眼の清楚な女性が、美しい人に聞く。
「ウィル兄様の婚約者ですわ。」
意味ありげに、美しい人は微笑む。
「まあ、ウイリアム様の。」
「ええ、ウィル兄様は酷い人ですわ。」
美しい人は クスクス と、声に出して笑った。
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