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可哀想な、婚約者さん。
次の日ナンシーは、街のある喫茶店で美しい人を待っていた。
『明日。『ポアロ』と言う喫茶店で、お待ちしておりますわ。来なければ、酷いですわよ。』
ナンシーを見下げて、馬車を降りていったのは昨日のことだ。強引な約束で有ったが、ナンシーは律儀に来ていた。
出来れば、時間を定めて欲しかったが時間を言わずに去って行ったのだから仕方がない。ナンシーは、店が開く時間帯から 美しい人を待ってた。
朝食を店でとり、何杯目かのお茶を飲んでいると見知った馬車が店のを通り過ぎ停まった。
「あれは、エニシング侯爵家の馬車。」
昼前にやっと現れた見知った馬車に、吸い寄せられるように表に出た。
執事が馬車の扉を開け、中から出て来たハンサムな青年にナンシーは『どきり』と、心臓を跳ねさせる。
『ナンシーに、一目惚れをしたと。』
『どんな事があっても、幸せにすると。』
「そんな、まだ心の準備が。ウイリアム様。」
昨日の両親の言葉を思い出し、悶えるナンシー。
「あ、挨拶をした方が、いいかしら。」
もじもじと、柱に隠れながら葛藤していた。意を決して、顔を向けた時。『どくん』と、心臓が鼓動を打った。
馬車の扉の前で、手を差し延べるウイリアム。その手を取って、美しい人が現れる。
何時も服装と違って、今日は可愛らしい明るい茶色のドレス姿。髪も、左右から茶色のリボンを一緒に編み込んで後に流すように結んでいる。
何時も違って、可愛らしい美しさを称えていた。
「足元に、気をつけてカミーユ。」
「ええ、ありがとう。ウィル兄様。」
最後の段で足を踏み外して、ウイリアムに抱き着いた。
「ほら、気をつけろといった傍から。」
「わたくし、ウィル兄様なら受け止めてくれると信じてましてよ。」
にっこりと、微笑んだ。
「相変わらず、軽いな。」
「当然ですわ、日々努力をしてますもの。」
抱き合ったまま、話を続ける。甘々な雰囲気にナンシーは、再び柱に隠れた。
そっと、顔を覗かせてみる。
「待ち合わせは、この店で会ってるのか? 」
ようやくカミーユを、下に降ろしてウイリアムは店の中を覗き込む。
「ええ、どうやらまだ着てないようですわ。」
カミーユも、店の中を覗き見る。首を傾げて、
「残念ですわ。」
クスクスと、笑う。
「留学先から一緒に来た、娘かい? 」
「ふふふっ、秘密ですわ。」
口元に人差し指を立てて、美しい人は微笑む。
「今度、紹介をしてくれるかい。」
「ウィル兄様が、婚約者さんを正式に紹介して下さるなら。」
嬉しそうな、応える。
「ああ、結婚したらな。」
「それでは、何ヶ月も先ですわ。わたくし、今すぐ逢いたいですわ。」
美しい人は、ウイリアムの手を取った。
「とても、可愛らしい方なのでしょう。」
美しい人は、下から甘えるようにウイリアムを見上げた。
「いや、可愛くなどない。」
ウイリアムは、真顔で応えた。目線を執事のロレンスに向ける。
「はい。全然可愛くなど有りません。」
執事も肯定した。
ウイリアムの言葉に、ナンシーは柱の影で震えた。
(私、可愛くない。)
「カミーユの方が、可愛いよ。」
「はい。カミーユ様の方が、美しく御座います。」
二人は、蕩けるような笑顔で応えた。
「あら、ウィル兄様の好みの方ではなくって? 」
美しい人は、首を傾げた。
「全然好みじゃないな。」
「ウイリアム様の好みの間反対の方です。」
二人は、力説する。
「そうなの? 」
「ああ、彼女はおじ様受けが良さそうだから、選んだだけだ。」
「そうです。仕事の為だと、カミーユ様も御理解頂いた筈ですが。」
「ふふっ、そうね。可哀想な、婚約者さん。」
美しい人は、コロコロと笑った。
「酷い、ウィル兄様。女の敵ですわ。ウィル兄様の本心が知れたら、婚約者さんは逃げ出してしまいますわよ。」
「逃がさない。」
ウイリアムは、低く怖い声で応えた。その声を聞いたナンシーは、身を震わせた。
(ウイリアム様。)
「あら、あら。必死ですわね ウィル兄様。」
首を傾げて、微笑んで見せる。ウイリアムは、優しいく美しい人に笑った。
「カルロス公が、既に彼女を気に入っている。今さら逃がすわけには、行かないだけさ。」
「あら、あら。あのロリコン様。では、やはり可愛いのではなくって? 」
「ただ、子供なだけだ。」
吐き捨てるように言った。
「我慢をしてくれ、カミーユの事を知られて逃げられる訳には行かないんだ。」
「あら、その様な心の狭い方なの婚約者さんは。」
美しい人は、ウイリアムの胸に顔を埋めた。ウイリアムも そっと、抱き締めた。
「もしもの場合の為だ。逃げられないように、結婚してしまえば 此方のものだ。」
ウイリアムは、強く美しい人を抱き締めた。
「御理解して下さいませ、カミーユ様。女性は、嫉妬深いもの。カミーユ様を見て、尻込みし逃げ出すかもしれません。」
執事のロレンスも、頭を下げた。ウイリアムの腕に、力が籠もる。カミーユも、ウイリアムの胸に顔を埋めた。
「カミーユは、誰よりも美しい。カミーユより美しい女性は、いない。」
「解りましたわ。」
美しい人は、そっとウイリアムの腕から抜け出し微笑んだ。
「ウィル兄様のお仕事の為ですもの。わたくし、我慢致しますわ。」
「解ってくれたか、カミーユ。」
ウイリアムは、嬉しそうに再び美しい人を抱き締めた。
総ての事を見て、聞いてる婚約者がいる事も気付かずに。
ナンシーは、その場に崩れ落ちて泣いていた。
『明日。『ポアロ』と言う喫茶店で、お待ちしておりますわ。来なければ、酷いですわよ。』
ナンシーを見下げて、馬車を降りていったのは昨日のことだ。強引な約束で有ったが、ナンシーは律儀に来ていた。
出来れば、時間を定めて欲しかったが時間を言わずに去って行ったのだから仕方がない。ナンシーは、店が開く時間帯から 美しい人を待ってた。
朝食を店でとり、何杯目かのお茶を飲んでいると見知った馬車が店のを通り過ぎ停まった。
「あれは、エニシング侯爵家の馬車。」
昼前にやっと現れた見知った馬車に、吸い寄せられるように表に出た。
執事が馬車の扉を開け、中から出て来たハンサムな青年にナンシーは『どきり』と、心臓を跳ねさせる。
『ナンシーに、一目惚れをしたと。』
『どんな事があっても、幸せにすると。』
「そんな、まだ心の準備が。ウイリアム様。」
昨日の両親の言葉を思い出し、悶えるナンシー。
「あ、挨拶をした方が、いいかしら。」
もじもじと、柱に隠れながら葛藤していた。意を決して、顔を向けた時。『どくん』と、心臓が鼓動を打った。
馬車の扉の前で、手を差し延べるウイリアム。その手を取って、美しい人が現れる。
何時も服装と違って、今日は可愛らしい明るい茶色のドレス姿。髪も、左右から茶色のリボンを一緒に編み込んで後に流すように結んでいる。
何時も違って、可愛らしい美しさを称えていた。
「足元に、気をつけてカミーユ。」
「ええ、ありがとう。ウィル兄様。」
最後の段で足を踏み外して、ウイリアムに抱き着いた。
「ほら、気をつけろといった傍から。」
「わたくし、ウィル兄様なら受け止めてくれると信じてましてよ。」
にっこりと、微笑んだ。
「相変わらず、軽いな。」
「当然ですわ、日々努力をしてますもの。」
抱き合ったまま、話を続ける。甘々な雰囲気にナンシーは、再び柱に隠れた。
そっと、顔を覗かせてみる。
「待ち合わせは、この店で会ってるのか? 」
ようやくカミーユを、下に降ろしてウイリアムは店の中を覗き込む。
「ええ、どうやらまだ着てないようですわ。」
カミーユも、店の中を覗き見る。首を傾げて、
「残念ですわ。」
クスクスと、笑う。
「留学先から一緒に来た、娘かい? 」
「ふふふっ、秘密ですわ。」
口元に人差し指を立てて、美しい人は微笑む。
「今度、紹介をしてくれるかい。」
「ウィル兄様が、婚約者さんを正式に紹介して下さるなら。」
嬉しそうな、応える。
「ああ、結婚したらな。」
「それでは、何ヶ月も先ですわ。わたくし、今すぐ逢いたいですわ。」
美しい人は、ウイリアムの手を取った。
「とても、可愛らしい方なのでしょう。」
美しい人は、下から甘えるようにウイリアムを見上げた。
「いや、可愛くなどない。」
ウイリアムは、真顔で応えた。目線を執事のロレンスに向ける。
「はい。全然可愛くなど有りません。」
執事も肯定した。
ウイリアムの言葉に、ナンシーは柱の影で震えた。
(私、可愛くない。)
「カミーユの方が、可愛いよ。」
「はい。カミーユ様の方が、美しく御座います。」
二人は、蕩けるような笑顔で応えた。
「あら、ウィル兄様の好みの方ではなくって? 」
美しい人は、首を傾げた。
「全然好みじゃないな。」
「ウイリアム様の好みの間反対の方です。」
二人は、力説する。
「そうなの? 」
「ああ、彼女はおじ様受けが良さそうだから、選んだだけだ。」
「そうです。仕事の為だと、カミーユ様も御理解頂いた筈ですが。」
「ふふっ、そうね。可哀想な、婚約者さん。」
美しい人は、コロコロと笑った。
「酷い、ウィル兄様。女の敵ですわ。ウィル兄様の本心が知れたら、婚約者さんは逃げ出してしまいますわよ。」
「逃がさない。」
ウイリアムは、低く怖い声で応えた。その声を聞いたナンシーは、身を震わせた。
(ウイリアム様。)
「あら、あら。必死ですわね ウィル兄様。」
首を傾げて、微笑んで見せる。ウイリアムは、優しいく美しい人に笑った。
「カルロス公が、既に彼女を気に入っている。今さら逃がすわけには、行かないだけさ。」
「あら、あら。あのロリコン様。では、やはり可愛いのではなくって? 」
「ただ、子供なだけだ。」
吐き捨てるように言った。
「我慢をしてくれ、カミーユの事を知られて逃げられる訳には行かないんだ。」
「あら、その様な心の狭い方なの婚約者さんは。」
美しい人は、ウイリアムの胸に顔を埋めた。ウイリアムも そっと、抱き締めた。
「もしもの場合の為だ。逃げられないように、結婚してしまえば 此方のものだ。」
ウイリアムは、強く美しい人を抱き締めた。
「御理解して下さいませ、カミーユ様。女性は、嫉妬深いもの。カミーユ様を見て、尻込みし逃げ出すかもしれません。」
執事のロレンスも、頭を下げた。ウイリアムの腕に、力が籠もる。カミーユも、ウイリアムの胸に顔を埋めた。
「カミーユは、誰よりも美しい。カミーユより美しい女性は、いない。」
「解りましたわ。」
美しい人は、そっとウイリアムの腕から抜け出し微笑んだ。
「ウィル兄様のお仕事の為ですもの。わたくし、我慢致しますわ。」
「解ってくれたか、カミーユ。」
ウイリアムは、嬉しそうに再び美しい人を抱き締めた。
総ての事を見て、聞いてる婚約者がいる事も気付かずに。
ナンシーは、その場に崩れ落ちて泣いていた。
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