【完結】美しい人。

❄️冬は つとめて

文字の大きさ
11 / 14

ナンシーの気持ち。

「ナンシー。其奴の言う事は、総て嘘だ。聞くんじゃ無い。」
ウイリアムは、彼女に話し掛ける。優しい口調で。

「あら、失礼ですわ ウィル兄様。わたくし、嘘など 言いませんわ。」
『ぎゅう…』と、美しい人は彼女を抱き締める。

「ナンシーを放せ、カミーユ!! 彼女は、俺のだ!! 」
つい、ウイリアムは声を荒げた。ナンシーは、美しい人の腕の中で、怯えた。

「大きな声を出さないで、頂ける? ナンシーが、怯えてしまいますわ。」
「っ…!? 」
ウイリアムは、手を握り締めた。優しく、彼女に語る。

「ナンシー、済まない。カミーユ、ナンシーを放して くれないか。」
途中から声が低く、籠もる。

「嫌ですわ。」
勝ち誇ったように、美しい人はウイリアムにそう言った。

「わたくし達、友達ですもの。」
「ははっ。」

『バキッ!! 』
ウイリアムは、溢れる思いを壁にぶつけた。見事に、壁に穴が空く。

「まあ、乱暴な。」
美しい人は、ナンシーに話し掛ける。

「見たでしょう。ウィル兄様は、乱暴者ですでしょう。貴方の様な、可愛い方には 相応しく在りませんわ。」
「カミーユ!! 」
ウイリアムは、声をあげた。

「あら、何かしら? 」
ウイリアムの声に応えるように、美しい人は前に出た。

「カミーユ様。侯爵家の存亡の危機と、納得頂けたはずでは? この仕打ちは、余りです。」
執事のロレンスが、主人の代わりに声を掛けた。

「侯爵家の危機より、ナンシーの気持ですわ。」

(えっ、私の気持ち? )
ナンシーは、まじまじと美しい人を見る。

「ウイリアム様は、幼き頃から『恋愛結婚』を望み。日々努力を重ねて来ました。それは、御両親にも意見を言われないよう涙ぐましい努力を。」
「『恋愛結婚』は、わたくしも 賛成ですわ。ウィル兄様の努力も認めますわ。」
涙ながらに語るロレンスに、美しい人は頷く。

「ならば、何故? ウイリアム様の結婚を邪魔なさるのですか カミーユ様。」

(れ、恋愛結婚!? どう言う事なの? ウイリアム様は、私と恋愛結婚を。)
ナンシーは、ウイリアムに目を向けた。ウイリアムは、ナンシーと目が合うと真っ赤に成って目線を反らせた。
その様子を、伯爵夫妻 使用人は『あれ? 』と、首を捻る。

「確かに、ウィル兄様にとっては恋愛結婚ですわ。でも、ナンシーにとっては 如何ですの。」
美しい人は、ロレンスに応えた。ぐいっと、胸を反らす。

「どうせ、ナンシーの気持なんて無視して。ぐいぐい、押して婚約にまでこぎ着けたのでしょう。」
美しい人は、ウイリアムを見下した。

「それとも、お聞きになったの ウィル兄様? ナンシーの気持を。」
「ぐっ。」
ウイリアムは、カミーユの言葉にぐうの音も出なかった。自分でも自覚していた、強引に事を運んだことに。
伯爵に圧力を掛け、外堀を埋めて『政略結婚』の様に事を進めたことに。
確かに『一目惚れ』と、伯爵夫妻には話した。ナンシーにも『愛している』と、囁いた が、ナンシーの返事は聞いた事が無かった。

聞くのが怖かった。だから、結婚をして後からゆっくりと『愛』を育もうと思っていた。誰かに取られる前に、自分のものにして。
『結婚してしまえば、此方のものだ』と、流されやすいナンシーなら結婚すれば自分を好きに成ってくれると確信していた。

「酷い、ウィル兄様。わたくし、ナンシーの味方ですの。ナンシーの気持も、知ってますのよ。」
クスクスと、笑う。

「ナンシーの気持ち。」
ウイリアムは、縋る様な目でナンシーを見ていた。

(ウイリアム様は、私の事を好いてくれているの? 強引に結婚をしたいほど? )
ナンシーの心が、震えた。

『それは、ウイリアム様から直接聞いたの? 』
『駄目よ。そう言う事は、直接聞かないと。』
『誤解が、生じるから。』
母親の言葉を思い出す。
何一つ、ウイリアムから直接話を聞いていない。

(ウイリアム様、私は。)

「可哀想な、ウィル兄様。振られてしまったのよ。」
美しい人は、ウイリアムに言った。

「ナンシーは、婚約解消を望んでいるの。解るでしょう。」
諭すように、ウイリアムに話し掛ける。ウイリアムは、哀しそうにナンシーを見詰める。

(待って、)

「大丈夫よ、ウィル兄様。」
美しい人は、優しくウイリアム微笑んだ。ウイリアムは、美しい人を見る。

(待って、ウイリアム様。) 

「わたくしが、ウィル兄様を慰めてあげるから。」
美しい人は、愛しそうにウイリアムに微笑んだ。

(待って、違うの!! ウイリアム様、私は。)

「ウィル兄様。此処は、ナンシーの幸せの為に 婚約解消をして差し上げて。」
美しい人の言葉に、ナンシーは背筋が寒くなる。

(美しい人は、私とウイリアム様を別れさせる為に。)

「だって、ナンシーには。」

(違う、違うの!! )


「好きな方が、いらっしゃるんですもの。」

(やめて!! 違うの、やめて!! )

「好きな人? 」
ウイリアムの呟いた声は、震えていた。今にも泣き出しそうな目で、ナンシーを見る。

(違う、違うの!! )

美しい人が、自分を見詰めている。ナンシーは心が、叫んでいるが声には出ない。

「そうか…。」
ウイリアムは、俯いた。
美しい人は、庇うようにウイリアムに近づいた。

(やめて、取らないで!! ウイリアム様が、好きなの。大好きなの。)

「伯爵。婚約解消を。」

(声を出すのよ、ナンシー。気持ちを伝えて、自分の気持ちを ウイリアム様に。)

「受け入 
「違うの!! 好き、好きなの!! 私は、ウイリアム様が 大好きなの!! 」
ナンシーは、必死の思いで声を振り絞った。
感想 3

あなたにおすすめの小説

蝋燭

悠十
恋愛
教会の鐘が鳴る。 それは、祝福の鐘だ。 今日、世界を救った勇者と、この国の姫が結婚したのだ。 カレンは幸せそうな二人を見て、悲し気に目を伏せた。 彼女は勇者の恋人だった。 あの日、勇者が記憶を失うまでは……

7年ぶりに私を嫌う婚約者と目が合ったら自分好みで驚いた

小本手だるふ
恋愛
真実の愛に気づいたと、7年間目も合わせない婚約者の国の第二王子ライトに言われた公爵令嬢アリシア。 7年ぶりに目を合わせたライトはアリシアのどストライクなイケメンだったが、真実の愛に憧れを抱くアリシアはライトのためにと自ら婚約解消を提案するがのだが・・・・・・。 ライトとアリシアとその友人たちのほのぼの恋愛話。 ※よくある話で設定はゆるいです。 誤字脱字色々突っ込みどころがあるかもしれませんが温かい目でご覧ください。

幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。 そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。 たった一つボタンを掛け違えてしまったために、 最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。 主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?

裏切り者

詩織
恋愛
付き合って3年の目の彼に裏切り者扱い。全く理由がわからない。 それでも話はどんどんと進み、私はここから逃げるしかなかった。

好きな人がいるならちゃんと言ってよ

しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話

【完結】大好きな彼が妹と結婚する……と思ったら?

江崎美彩
恋愛
誰にでも愛される可愛い妹としっかり者の姉である私。 大好きな従兄弟と人気のカフェに並んでいたら、いつも通り気ままに振る舞う妹の後ろ姿を見ながら彼が「結婚したいと思ってる」って呟いて…… さっくり読める短編です。 異世界もののつもりで書いてますが、あまり異世界感はありません。

【完結】何回も告白されて断っていますが、(周りが応援?) 私婚約者がいますの。

BBやっこ
恋愛
ある日、学園のカフェでのんびりお茶と本を読みながら過ごしていると。 男性が近づいてきました。突然、私にプロポーズしてくる知らない男。 いえ、知った顔ではありました。学園の制服を着ています。 私はドレスですが、同級生の平民でした。 困ります。

私が、良いと言ってくれるので結婚します

あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。 しかし、その事を良く思わないクリスが・・。