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第2話「辺境の地」
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デューハースト王国の宮殿ではーー
即位したばかりの新国王ハロルド・デューハーストが広間で食事をとっている。
「お食事中失礼致します」
「クラウス。僕の耳に入れたい用件とはなんだい?」
「陛下、どうされました何やら覇気を感じられませんが」
「最近、何を食べても美味しく感じないんだ」
「なんと」
「僕のことはいい。はやく用件を」
「見張り役としてシャルロットをウォルトレーン領に送りました」
「なんだって⁉︎ それは人質というのではないのか」
「有り体に申せば」
「ウォルトレーンといったらクラウスたちラドフォルン家と浅からぬ因縁があるはず」
「17年前の話です」
「ウォルトレーン辺境伯家は今でも辺境の地に追いやったそなたを酷く怨んでいるはずだ」
「そのようですな」
「それをわかっていて大事な娘を魔界のような危険な場所に送るそなたを理解できぬ」
「シャルロットも覚悟してのことです」
「シャルロットは命の恩人。そなたたちラドフォルン家がぞんざいに扱うなら、いつでも我が妃にと僕があれほど申していたのになぜだ」
「政治です」
「政治だと」
「もうひとつ理由をあげれば、ドレスを着て陛下の隣に立つことのできない妃は、王国に恥をかかせます」
「僕は恥とは思わぬ」
「陛下がなんと思われようと、デューハースト王国が後ろゆびを指されることがあっては
我々家臣が耐えられないのです。お察しください」
「⋯⋯」
「そもそも陛下には立派な婚約者がおられるではありませんか」
「ルイーザのことか」
「ダルザス侯爵家と王家の関係が深まることは王国にとって良きことです」
「ダルザス家との婚約こそ政治だ」
陛下のシャルロットへの執着は相変わらずで困ったものだ。
ダルザス侯爵家とは同じ侯爵家であってもあちらの方が格が上、もし国王の妃にシャルロットが選ばれてしまったら争いの火種になる。
だからシャルロットを彼の地に送って遠ざけたのだ。
陛下には、はやくシャルロットのことを諦めてもらうしかない⋯⋯
”⁉︎“
「どうしたクラウス」
「いえ⋯⋯」
先ほどまでドアの向こうから感じていた人の気配が遠ざかっていく。
あちらも私の視線に勘づいて逃げたようだ。
おそらくルイーザ様。
話を聞かれていたなら好都合。
これでシャルロットへの嫉妬がおさまってくれればいいのだが⋯⋯
問題は陛下か。
「シャルロット⋯⋯最後にもう一度顔が見たかった」
陛下は14年前の晩餐会で我が娘シャルロットをはじめて目にしたときから夢中でおられた。
「シャルロット。次は庭で一緒に星を見ないか?」
「はい。ハロルドさま喜んで」
談笑する陛下とシャルロットの傍らでダルザス侯爵家のご令嬢ルイーザ様は、陛下の気を引こうとして必死でいらした。
「ハロルドさま、ダルザス家が用意した紅茶をお飲みください。ダルザス家の領地で採れた茶葉を使用してますのよ」
陛下はシャルロットに夢中でルイーザ様が話しかけていても一向に気づく気配はなかった。
「ワタシがおつぎしますので少々お待ちを」
そう言って椅子の上によじ登ったルイーザ様はテーブルの上に置いてあったポットを手に取ろうとした。
子供にとってはまだまだ重く感じるポットを、無理矢理に取ろうとしたことで、バランスを崩した。
「わぁッ!」
悪いことにポットが陛下の頭の上に落ちてきた。
気づいたシャルロットが咄嗟に覆い被さり、陛下はことなきを得た。
シャルロットは痛みに悶えながら、自分がテーブルにぶつかったせいだとルイーザ様を庇った。
ルイーザ様の失態が明るみになれば、ダルザス家とラドフォルン家の関係が悪化する。
シャルロットは痛い思いをしながらも場の状況を一瞬で掴み、適した判断をした。
この頃からシャルロットは物事を大局にとらえるバランス感覚に優れていた。
シャルロットよ。お前なら上手く立ち回ってくれるはずだ。
「はぁ⋯⋯」
陛下は頬杖をついて大きなため息を吐いた。
「シャルロット⋯⋯これから寒さがやってくる死の大地で君は恐い思いをしていないだろうか⋯⋯」
一方、そのころウォルトレーン領ではーー
緑の葉が色づきはじめた木の下で領民たちが酒を手に歌い、騒ぎ、舞踊る、まさにそこは地上の楽園⋯⋯
領民ひとりひとりが笑顔で活気に溢れている。
「戸惑っておりますね。シャルロット様」
「ご、ごめんなさい⋯⋯正直、申し上げて王国民のほとんどがイメージするウォルトレーン領は
作物の育たない枯れた大地で、領民は干した草木の根を噛み続けながら飢えを凌ぎ、日中は無精髭を生やした男たちが
木剣を手に鍛錬をしていると」
そして来たる報復のときに備えていると⋯⋯
「まさに死の大地⋯⋯私がはじめてこの地にやってきたときは噂に違わぬ土地でしたよ」
「じゃあなぜ」
「つきましたよ」
『これはこれはお待ちしておりました。シャルロット・ラドフォルン様』
モノトーンの貴族服に肩まで伸びた長い黒髪、メガネが特徴の男性が両手を広げて私の方に向かって歩いてくる。
彼の方が領主レンリ・ウォルトレーン辺境伯様⋯⋯
「お初にお目にかかります。ウォルトレーン家に仕えますパオロ・テオラルです」
「テオラル?」
「私の夫です」
「ドーラ様の⁉︎」
「はい。以後、お見知り置きを」
「こちらこそクラウス・ラドフォルン侯爵が長女、シャルロット・ラドフォルンです。
ずいぶんと賑やかそうにしていますがいったいなにが」
「収穫祭でして」
「収穫祭?」
見渡すと斜面の方では男の子たちが木によじ登ってりんごをもいでいる。
別の場所では女の子たちが軽快な笛の音に合わせながら楽しそうにぶどうをふみつぶしている。
「見てください。目の前の田園、5年目でようやくお米が収穫できたんです」
「5年も⋯⋯」
「あの辺りに小高い山があったのですがそれを切り崩して、その土を傾斜地だったこのあたりに盛って整地したんです。
それでようやく稲作ができるようになったんです。まぁそこから長かったんですけどね。いろいろ工夫が必要で。
おまけに陽の光が入るようになったのでこの一体で果物も育つようになりました」
「パオロは王都の機関にいた農学者だったんです」
『パオロ様ー! はやくこっちに来て飲みなんし』
酒瓶を手にした小さなお爺さんがやってくる。
「ドドルさん。もうそんなに飲んでいるのですか。ああ、このお爺さんはこの田んぼで稲を頑張って育てた方で」
「シャルロット様、聞いたことありません? この爺さんの名前」
「ドドル⋯⋯ドドル⋯⋯はッ⁉︎ ドドル・ガーゴン!」
「正解。戦場で一度も傷を負わなかった最強の戦士。今じゃ背も縮んで飲んだくれの爺さんだけど」
「ドーラは相変わらず厳しいのう」
「ハハハッ」
ドーラ様は豪快なところがある。
『姉さん、馬車片付けてきたぞ』
そう言ってやってきたのは馭者の男性⋯⋯
昨日の今日で思わず顔を背けてしまった。
「早かったね」
「弟様だったのですね⋯⋯」
「どうされましたのシャルロット様、顔を赤くして」
「いえ⋯⋯」
その方のお顔はしばらく見ることができません⋯⋯
「あんた何かしたの?」
「し、してねぇよ。ジトっとした目で俺を見るな」
「ドーラ様、ところで領主様はどちらに」
「あら?」
ドーラ様が目をパチクリさせる。
『俺だよ』
そう言ったのは馭者の男性だ。
「俺がレンリ・ウォルトレーンだ」
「うそ⋯⋯」
昨晩の出来事が走馬灯のように駆け巡る。
「いやぁあああ!」
まさか領主様に見られたなんて。
「レンリ、あんた⋯⋯」
「姉さんが間違えてラドフォルン家の令嬢を男湯に案内したせいだろ!」
「ところでお嬢さん、どうして防具なんて身につけているんだ」
「へ?」
即位したばかりの新国王ハロルド・デューハーストが広間で食事をとっている。
「お食事中失礼致します」
「クラウス。僕の耳に入れたい用件とはなんだい?」
「陛下、どうされました何やら覇気を感じられませんが」
「最近、何を食べても美味しく感じないんだ」
「なんと」
「僕のことはいい。はやく用件を」
「見張り役としてシャルロットをウォルトレーン領に送りました」
「なんだって⁉︎ それは人質というのではないのか」
「有り体に申せば」
「ウォルトレーンといったらクラウスたちラドフォルン家と浅からぬ因縁があるはず」
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「ウォルトレーン辺境伯家は今でも辺境の地に追いやったそなたを酷く怨んでいるはずだ」
「そのようですな」
「それをわかっていて大事な娘を魔界のような危険な場所に送るそなたを理解できぬ」
「シャルロットも覚悟してのことです」
「シャルロットは命の恩人。そなたたちラドフォルン家がぞんざいに扱うなら、いつでも我が妃にと僕があれほど申していたのになぜだ」
「政治です」
「政治だと」
「もうひとつ理由をあげれば、ドレスを着て陛下の隣に立つことのできない妃は、王国に恥をかかせます」
「僕は恥とは思わぬ」
「陛下がなんと思われようと、デューハースト王国が後ろゆびを指されることがあっては
我々家臣が耐えられないのです。お察しください」
「⋯⋯」
「そもそも陛下には立派な婚約者がおられるではありませんか」
「ルイーザのことか」
「ダルザス侯爵家と王家の関係が深まることは王国にとって良きことです」
「ダルザス家との婚約こそ政治だ」
陛下のシャルロットへの執着は相変わらずで困ったものだ。
ダルザス侯爵家とは同じ侯爵家であってもあちらの方が格が上、もし国王の妃にシャルロットが選ばれてしまったら争いの火種になる。
だからシャルロットを彼の地に送って遠ざけたのだ。
陛下には、はやくシャルロットのことを諦めてもらうしかない⋯⋯
”⁉︎“
「どうしたクラウス」
「いえ⋯⋯」
先ほどまでドアの向こうから感じていた人の気配が遠ざかっていく。
あちらも私の視線に勘づいて逃げたようだ。
おそらくルイーザ様。
話を聞かれていたなら好都合。
これでシャルロットへの嫉妬がおさまってくれればいいのだが⋯⋯
問題は陛下か。
「シャルロット⋯⋯最後にもう一度顔が見たかった」
陛下は14年前の晩餐会で我が娘シャルロットをはじめて目にしたときから夢中でおられた。
「シャルロット。次は庭で一緒に星を見ないか?」
「はい。ハロルドさま喜んで」
談笑する陛下とシャルロットの傍らでダルザス侯爵家のご令嬢ルイーザ様は、陛下の気を引こうとして必死でいらした。
「ハロルドさま、ダルザス家が用意した紅茶をお飲みください。ダルザス家の領地で採れた茶葉を使用してますのよ」
陛下はシャルロットに夢中でルイーザ様が話しかけていても一向に気づく気配はなかった。
「ワタシがおつぎしますので少々お待ちを」
そう言って椅子の上によじ登ったルイーザ様はテーブルの上に置いてあったポットを手に取ろうとした。
子供にとってはまだまだ重く感じるポットを、無理矢理に取ろうとしたことで、バランスを崩した。
「わぁッ!」
悪いことにポットが陛下の頭の上に落ちてきた。
気づいたシャルロットが咄嗟に覆い被さり、陛下はことなきを得た。
シャルロットは痛みに悶えながら、自分がテーブルにぶつかったせいだとルイーザ様を庇った。
ルイーザ様の失態が明るみになれば、ダルザス家とラドフォルン家の関係が悪化する。
シャルロットは痛い思いをしながらも場の状況を一瞬で掴み、適した判断をした。
この頃からシャルロットは物事を大局にとらえるバランス感覚に優れていた。
シャルロットよ。お前なら上手く立ち回ってくれるはずだ。
「はぁ⋯⋯」
陛下は頬杖をついて大きなため息を吐いた。
「シャルロット⋯⋯これから寒さがやってくる死の大地で君は恐い思いをしていないだろうか⋯⋯」
一方、そのころウォルトレーン領ではーー
緑の葉が色づきはじめた木の下で領民たちが酒を手に歌い、騒ぎ、舞踊る、まさにそこは地上の楽園⋯⋯
領民ひとりひとりが笑顔で活気に溢れている。
「戸惑っておりますね。シャルロット様」
「ご、ごめんなさい⋯⋯正直、申し上げて王国民のほとんどがイメージするウォルトレーン領は
作物の育たない枯れた大地で、領民は干した草木の根を噛み続けながら飢えを凌ぎ、日中は無精髭を生やした男たちが
木剣を手に鍛錬をしていると」
そして来たる報復のときに備えていると⋯⋯
「まさに死の大地⋯⋯私がはじめてこの地にやってきたときは噂に違わぬ土地でしたよ」
「じゃあなぜ」
「つきましたよ」
『これはこれはお待ちしておりました。シャルロット・ラドフォルン様』
モノトーンの貴族服に肩まで伸びた長い黒髪、メガネが特徴の男性が両手を広げて私の方に向かって歩いてくる。
彼の方が領主レンリ・ウォルトレーン辺境伯様⋯⋯
「お初にお目にかかります。ウォルトレーン家に仕えますパオロ・テオラルです」
「テオラル?」
「私の夫です」
「ドーラ様の⁉︎」
「はい。以後、お見知り置きを」
「こちらこそクラウス・ラドフォルン侯爵が長女、シャルロット・ラドフォルンです。
ずいぶんと賑やかそうにしていますがいったいなにが」
「収穫祭でして」
「収穫祭?」
見渡すと斜面の方では男の子たちが木によじ登ってりんごをもいでいる。
別の場所では女の子たちが軽快な笛の音に合わせながら楽しそうにぶどうをふみつぶしている。
「見てください。目の前の田園、5年目でようやくお米が収穫できたんです」
「5年も⋯⋯」
「あの辺りに小高い山があったのですがそれを切り崩して、その土を傾斜地だったこのあたりに盛って整地したんです。
それでようやく稲作ができるようになったんです。まぁそこから長かったんですけどね。いろいろ工夫が必要で。
おまけに陽の光が入るようになったのでこの一体で果物も育つようになりました」
「パオロは王都の機関にいた農学者だったんです」
『パオロ様ー! はやくこっちに来て飲みなんし』
酒瓶を手にした小さなお爺さんがやってくる。
「ドドルさん。もうそんなに飲んでいるのですか。ああ、このお爺さんはこの田んぼで稲を頑張って育てた方で」
「シャルロット様、聞いたことありません? この爺さんの名前」
「ドドル⋯⋯ドドル⋯⋯はッ⁉︎ ドドル・ガーゴン!」
「正解。戦場で一度も傷を負わなかった最強の戦士。今じゃ背も縮んで飲んだくれの爺さんだけど」
「ドーラは相変わらず厳しいのう」
「ハハハッ」
ドーラ様は豪快なところがある。
『姉さん、馬車片付けてきたぞ』
そう言ってやってきたのは馭者の男性⋯⋯
昨日の今日で思わず顔を背けてしまった。
「早かったね」
「弟様だったのですね⋯⋯」
「どうされましたのシャルロット様、顔を赤くして」
「いえ⋯⋯」
その方のお顔はしばらく見ることができません⋯⋯
「あんた何かしたの?」
「し、してねぇよ。ジトっとした目で俺を見るな」
「ドーラ様、ところで領主様はどちらに」
「あら?」
ドーラ様が目をパチクリさせる。
『俺だよ』
そう言ったのは馭者の男性だ。
「俺がレンリ・ウォルトレーンだ」
「うそ⋯⋯」
昨晩の出来事が走馬灯のように駆け巡る。
「いやぁあああ!」
まさか領主様に見られたなんて。
「レンリ、あんた⋯⋯」
「姉さんが間違えてラドフォルン家の令嬢を男湯に案内したせいだろ!」
「ところでお嬢さん、どうして防具なんて身につけているんだ」
「へ?」
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