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10.三日月の真相編
48三日月××× ③
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「……わかったわ、こうしましょう」
やがて、一通り考えをまとめ終わったらしい美雷が視線を上げた。
「雷奈ちゃんの捜索要員として、希兵隊員を派遣します。ただし、メンバーは五名。一番隊からコウ君と波音ちゃん。二番隊からルシルちゃんとメルちゃん。そして総司令部から霞冴ちゃんよ」
指名を受けた隊員たちは、一瞬聞き間違いかと疑う間をおいてから目をむいた。中でも古株三人組は、前のめりになって食らいついた。
「ご、五人だけですか?」
「もしガオンと対峙したらどうすんだ? いくら何でも……」
「っていうか、執行部じゃない私もですか、美雷さん?」
「ええ。私の考えを話すわね」
非難めいた反論にも堂々と返し、美雷は氷架璃や芽華実たちにも目を配りながら説明した。
「前提として、さっき言ったように、ガオンは雷奈ちゃんには直接手を下さない。つまり、雷奈ちゃんが危険に陥るとしたら、それはダークやチエアリに襲われた時。それくらいなら、一番隊と二番隊の隊長と副隊長、それに二刀流の剣士で隠密に長けた霧猫が加われば、まず大丈夫でしょう?」
「ち、チエアリ相手に『まず大丈夫』とは……。微力を尽くさせていただきますが……」
「とりあえず、雷奈ちゃんを発見して、気をしっかり持たせてあげれば、戦力にはなるでしょうね」
「けどよ」
コツコツと机を指で叩きながら、コウが口を挟んだ。
「こう言うのは癪だが、それだとガオンは倒せねえよな? 三日月を保護する前に、ヤツと鉢合わせする可能性だってあるんだぜ? それか、すでにガオンと対峙している三日月を発見することになるかもしれねえ。神守たちが束になってかかっても返り討ちにされたんだぞ。オレたち五人だけじゃ無理だ」
「ええ、だからその時は、倒さなくてもいい」
リズミカルな音を並べていた指が、驚いたように止まった。指先と同じ表情をしたコウに、美雷は微笑んで「つまり」と続けた。
「ガオンと遭遇せずに雷奈ちゃんを見つけられれば文句なし。もし遭遇したら、倒すことではなく、時間稼ぎを優先する。特に、時空洞穴は開かせちゃだめよ。どこへでも逃げられてしまうから。そしてその間に増援が駆けつけて、袋叩きにするの」
「待てよ、じゃあ最初からもっと大勢派遣しろよ。その方が早く駆けつけられるだろ」
「あら、そしたらフィライン・エデンが手薄になるじゃない。そもそも、ガオンは何て言ってた? 『このガオン、フィライン・エデンにあらずしてフィライン・エデンを滅ぼす』……そう言ったと聞いているけれど」
証人である霊那と神座が首肯した。美雷はそれに微笑んで、軽くうなずく。
「『フィライン・エデンにあらずして』、つまり人間界にいると宣言することで、人間界に希兵隊員を派遣させて、フィライン・エデンの守りを手薄にする。そして、空間飛躍で人間界からひとっ飛びしてきて、こちらの世界を襲う。彼はそれを狙っている可能性が高いのよ」
「けど、三日月のことも狙ってる。それも否めねえだろ」
「その通りよ。彼が雷奈ちゃんとフィライン・エデンのどちらを先に襲撃するかはわからない。でも、だからこそ配置するべき人数は、フィライン・エデンに多く割くべきなの。雷奈ちゃんを狙うとしたら、出現場所は雷奈ちゃんのいる場所。疲弊しきった彼女がそう遠くへ行くとは思えないわ。対して、フィライン・エデンの襲撃に際しては、飛壇に限らず、どこに出現してもおかしくはない。警戒すべき範囲が大きく違うの」
つまり、同じ面積当たりの配備人数を等しくする、という作戦だ。
そもそも、ガオンは前例がある以上、主目的がフィライン・エデンの破滅である可能性のほうが高い。そう考えると、この作戦は、かなり雷奈に配慮したものといえる。
口元に手を当てて聞き入っていたルシルが、ふと苦々しい顔をして手を挙げた。
「しかし、美雷さん。こうも考えられませんか? 相手は、こちらの意図を見越したうえで、増援が来る前に我々人間界派遣組を全力で倒す。時空洞穴も雷奈も二の次にして。そこへ救出に来た増援も同様にして……そうして少しずつ、着実に戦力を削るという可能性もあるのではないでしょうか。……ジンズウがしようとしていたように」
聡明かつ心配性なルシルらしい意見だった。つまり、ガオンの動きを読んだ美雷の、そのまた動きをガオンが読んで、ということだ。しかし、そこまで深追いすると、さすがに八方ふさがりにならないか。氷架璃はそう苦言を呈そうとした。
けれど、年長の最高司令官は、さらに一枚上手だった。
「いい指摘よ。この作戦には、もう一つの意図があるの。仮にフィライン・エデンが戦場となった場合、戦闘は大規模になる。先の侵攻のように、市民を巻き込みかねないほどのね。だから、それを食い止めるための戦力は絶対に必要。けれど、人間界が戦場となった場合は、その限りではないの。なぜなら、彼の狙いは人間界ではなく、雷奈ちゃん一人だから。そして、前にも話した通り、彼は人間界の大量破壊を避けているから」
ルシルがハッと目を見張った。美雷はにっこりと笑って、その先を口にした。
「極端なことを言いましょう。光丘は建物の密集するベッドタウンよ。もしガオンと接触したとしても、町を破壊するほどの大規模戦闘にはならない。むしろ、彼にとってはやりにくい戦況になるから、時空洞穴を開かせずに、かつダメージを最小限にして、増援を待つ余裕は見込める。ダークは結構派手に暴れるけど、そっちは個体の戦闘能力の低さから制圧可能よ」
「……いや」
光明をかき消す心苦しさに顔をしかめて首を振ったのは霊那だ。
「そうとも限りません。ジンズウは町を破壊しました。……氷架璃の母親だって、殺した」
氷架璃の喉が、叫びをこらえてぐっと震えた。黒煙と爆音、大穴の開いたビルが脳裏によみがえる。犯人を滅してもなお残る憎悪が、胸の奥で渦巻く。
あのチエアリは確かに、人間界で破壊行為を、そして殺人をおこなったのだ。
「ええ、そうよ。……ただ」
美雷は、霊那の言葉を否定しなかった。だが、こう付け加えた。
「クロガネはひとけのないところへ雷奈ちゃんをおびき寄せた。ホムラも、修学旅行生全員ではなく、少人数の班行動をしていた雷奈ちゃんを狙った。あまつさえ、ルシルちゃんのハッタリに屈した以上、『他の人間を犠牲にしない方針』の肯定は、嘘ではないのよ。おそらくは、ジンズウが好戦的過ぎたの。彼の所業は、ガオンの意向にさえ背くほどのものだったんだと思うわ」
「……ガオンが方針を変えた可能性も」
「なきにしもあらず。ただ、それならば今頃、光丘は半壊しているわ」
ガオンが動き出してから一日は経過している。もし、手段を選ばずに雷奈を殺すつもりなら、すでに見境なく攻撃を仕掛けているだろう。雷奈がワープフープのある光丘に住んでいるだろうという予想は容易に立てられる。先代の選ばれし人間の二人も、光丘に住んでいたのだから。それに、クロガネに憑依された雷帆と会った時点で、確信されていることだろう。
まだ何も起きていないのは、光丘の中で雷奈を探して、暗殺に近いことをしようとしているからではないか。
他に反論がないことを確かめると、美雷は笑みを浮かべたまま、ゆっくりと皆を見回した。
「おさらいするわ。第一目的は雷奈ちゃんの保護。人間界でガオンと遭遇したら、時空洞穴を開かせずに増援要請。先にフィライン・エデンに現れても同じ。いいこと、もう二度と逃がさないで。次に相まみえたその場所で――叩くわよ」
美雷が妖艶に目を細めてそう言った直後、人間も猫も隔てなく、戦慄に似た鳥肌と動悸に見舞われた。それは、終始たおやかな彼女が最後に放った、いつになく強かな言いざまと語気によるものか。あるいは、艶やかさだけではない、本能が警報を鳴らすような何かが琥珀の瞳の奥で光ったからか。
いずれにせよ、普段は戦闘集団の長らしからぬ言動をする彼女が闘志を見せた。それだけで隊員たちの団結力を上げるには十分だった。
強くうなずく希兵隊員たちを見回して、氷架璃が意気込む。
「美雷、私たちはっ?」
「氷架璃ちゃんと芽華実ちゃん、そしてそのパートナーの二人にも、雷奈ちゃんの捜索をお願いするわ。ああ、霞冴ちゃん、あなたはガオンがどこにいるかわからないうちは、氷架璃ちゃんと芽華実ちゃんについていてくれる? いざとなったら、猫力による気配のない二人だけでも、霧で隠して逃がせるでしょう?」
「わかりました。……あの、もしガオンが見つかったら……」
「人間たちの安全を最優先。あと、増援要請もね。あなたは総司令部員なんだから。……でも、その後、増援の到着までに戦力が必要なら」
そわそわと見つめてくる相棒の期待に、美雷は満面の笑みで応えた。
「あなたは十分な戦力よ。全力で暴れておいで?」
「……はいっ!」
笑顔を輝かせる霞冴を、ルシルやコウ、霊那は微笑ましく眺めていた。水を得た魚のような生き生きとした彼女は、あの時――想いを寄せる先代の最高司令官に、仮の護衛官を任された時と同じ表情をしている。やはり、時尼霞冴はただの総司令部員に収まるたまではない。
「では、行動開始よ。コウ君とルシルちゃんは相棒を呼んでいらっしゃい。ほかの子たちも、いつでも出動できるようにしておいてね」
解散っ、と手をたたく美雷は、声も表情も、もうすっかりいつもの能天気なものだった。
読めないね、と顔を見合わせて笑いながら、氷架璃と芽華実も立ち上がった。
やがて、一通り考えをまとめ終わったらしい美雷が視線を上げた。
「雷奈ちゃんの捜索要員として、希兵隊員を派遣します。ただし、メンバーは五名。一番隊からコウ君と波音ちゃん。二番隊からルシルちゃんとメルちゃん。そして総司令部から霞冴ちゃんよ」
指名を受けた隊員たちは、一瞬聞き間違いかと疑う間をおいてから目をむいた。中でも古株三人組は、前のめりになって食らいついた。
「ご、五人だけですか?」
「もしガオンと対峙したらどうすんだ? いくら何でも……」
「っていうか、執行部じゃない私もですか、美雷さん?」
「ええ。私の考えを話すわね」
非難めいた反論にも堂々と返し、美雷は氷架璃や芽華実たちにも目を配りながら説明した。
「前提として、さっき言ったように、ガオンは雷奈ちゃんには直接手を下さない。つまり、雷奈ちゃんが危険に陥るとしたら、それはダークやチエアリに襲われた時。それくらいなら、一番隊と二番隊の隊長と副隊長、それに二刀流の剣士で隠密に長けた霧猫が加われば、まず大丈夫でしょう?」
「ち、チエアリ相手に『まず大丈夫』とは……。微力を尽くさせていただきますが……」
「とりあえず、雷奈ちゃんを発見して、気をしっかり持たせてあげれば、戦力にはなるでしょうね」
「けどよ」
コツコツと机を指で叩きながら、コウが口を挟んだ。
「こう言うのは癪だが、それだとガオンは倒せねえよな? 三日月を保護する前に、ヤツと鉢合わせする可能性だってあるんだぜ? それか、すでにガオンと対峙している三日月を発見することになるかもしれねえ。神守たちが束になってかかっても返り討ちにされたんだぞ。オレたち五人だけじゃ無理だ」
「ええ、だからその時は、倒さなくてもいい」
リズミカルな音を並べていた指が、驚いたように止まった。指先と同じ表情をしたコウに、美雷は微笑んで「つまり」と続けた。
「ガオンと遭遇せずに雷奈ちゃんを見つけられれば文句なし。もし遭遇したら、倒すことではなく、時間稼ぎを優先する。特に、時空洞穴は開かせちゃだめよ。どこへでも逃げられてしまうから。そしてその間に増援が駆けつけて、袋叩きにするの」
「待てよ、じゃあ最初からもっと大勢派遣しろよ。その方が早く駆けつけられるだろ」
「あら、そしたらフィライン・エデンが手薄になるじゃない。そもそも、ガオンは何て言ってた? 『このガオン、フィライン・エデンにあらずしてフィライン・エデンを滅ぼす』……そう言ったと聞いているけれど」
証人である霊那と神座が首肯した。美雷はそれに微笑んで、軽くうなずく。
「『フィライン・エデンにあらずして』、つまり人間界にいると宣言することで、人間界に希兵隊員を派遣させて、フィライン・エデンの守りを手薄にする。そして、空間飛躍で人間界からひとっ飛びしてきて、こちらの世界を襲う。彼はそれを狙っている可能性が高いのよ」
「けど、三日月のことも狙ってる。それも否めねえだろ」
「その通りよ。彼が雷奈ちゃんとフィライン・エデンのどちらを先に襲撃するかはわからない。でも、だからこそ配置するべき人数は、フィライン・エデンに多く割くべきなの。雷奈ちゃんを狙うとしたら、出現場所は雷奈ちゃんのいる場所。疲弊しきった彼女がそう遠くへ行くとは思えないわ。対して、フィライン・エデンの襲撃に際しては、飛壇に限らず、どこに出現してもおかしくはない。警戒すべき範囲が大きく違うの」
つまり、同じ面積当たりの配備人数を等しくする、という作戦だ。
そもそも、ガオンは前例がある以上、主目的がフィライン・エデンの破滅である可能性のほうが高い。そう考えると、この作戦は、かなり雷奈に配慮したものといえる。
口元に手を当てて聞き入っていたルシルが、ふと苦々しい顔をして手を挙げた。
「しかし、美雷さん。こうも考えられませんか? 相手は、こちらの意図を見越したうえで、増援が来る前に我々人間界派遣組を全力で倒す。時空洞穴も雷奈も二の次にして。そこへ救出に来た増援も同様にして……そうして少しずつ、着実に戦力を削るという可能性もあるのではないでしょうか。……ジンズウがしようとしていたように」
聡明かつ心配性なルシルらしい意見だった。つまり、ガオンの動きを読んだ美雷の、そのまた動きをガオンが読んで、ということだ。しかし、そこまで深追いすると、さすがに八方ふさがりにならないか。氷架璃はそう苦言を呈そうとした。
けれど、年長の最高司令官は、さらに一枚上手だった。
「いい指摘よ。この作戦には、もう一つの意図があるの。仮にフィライン・エデンが戦場となった場合、戦闘は大規模になる。先の侵攻のように、市民を巻き込みかねないほどのね。だから、それを食い止めるための戦力は絶対に必要。けれど、人間界が戦場となった場合は、その限りではないの。なぜなら、彼の狙いは人間界ではなく、雷奈ちゃん一人だから。そして、前にも話した通り、彼は人間界の大量破壊を避けているから」
ルシルがハッと目を見張った。美雷はにっこりと笑って、その先を口にした。
「極端なことを言いましょう。光丘は建物の密集するベッドタウンよ。もしガオンと接触したとしても、町を破壊するほどの大規模戦闘にはならない。むしろ、彼にとってはやりにくい戦況になるから、時空洞穴を開かせずに、かつダメージを最小限にして、増援を待つ余裕は見込める。ダークは結構派手に暴れるけど、そっちは個体の戦闘能力の低さから制圧可能よ」
「……いや」
光明をかき消す心苦しさに顔をしかめて首を振ったのは霊那だ。
「そうとも限りません。ジンズウは町を破壊しました。……氷架璃の母親だって、殺した」
氷架璃の喉が、叫びをこらえてぐっと震えた。黒煙と爆音、大穴の開いたビルが脳裏によみがえる。犯人を滅してもなお残る憎悪が、胸の奥で渦巻く。
あのチエアリは確かに、人間界で破壊行為を、そして殺人をおこなったのだ。
「ええ、そうよ。……ただ」
美雷は、霊那の言葉を否定しなかった。だが、こう付け加えた。
「クロガネはひとけのないところへ雷奈ちゃんをおびき寄せた。ホムラも、修学旅行生全員ではなく、少人数の班行動をしていた雷奈ちゃんを狙った。あまつさえ、ルシルちゃんのハッタリに屈した以上、『他の人間を犠牲にしない方針』の肯定は、嘘ではないのよ。おそらくは、ジンズウが好戦的過ぎたの。彼の所業は、ガオンの意向にさえ背くほどのものだったんだと思うわ」
「……ガオンが方針を変えた可能性も」
「なきにしもあらず。ただ、それならば今頃、光丘は半壊しているわ」
ガオンが動き出してから一日は経過している。もし、手段を選ばずに雷奈を殺すつもりなら、すでに見境なく攻撃を仕掛けているだろう。雷奈がワープフープのある光丘に住んでいるだろうという予想は容易に立てられる。先代の選ばれし人間の二人も、光丘に住んでいたのだから。それに、クロガネに憑依された雷帆と会った時点で、確信されていることだろう。
まだ何も起きていないのは、光丘の中で雷奈を探して、暗殺に近いことをしようとしているからではないか。
他に反論がないことを確かめると、美雷は笑みを浮かべたまま、ゆっくりと皆を見回した。
「おさらいするわ。第一目的は雷奈ちゃんの保護。人間界でガオンと遭遇したら、時空洞穴を開かせずに増援要請。先にフィライン・エデンに現れても同じ。いいこと、もう二度と逃がさないで。次に相まみえたその場所で――叩くわよ」
美雷が妖艶に目を細めてそう言った直後、人間も猫も隔てなく、戦慄に似た鳥肌と動悸に見舞われた。それは、終始たおやかな彼女が最後に放った、いつになく強かな言いざまと語気によるものか。あるいは、艶やかさだけではない、本能が警報を鳴らすような何かが琥珀の瞳の奥で光ったからか。
いずれにせよ、普段は戦闘集団の長らしからぬ言動をする彼女が闘志を見せた。それだけで隊員たちの団結力を上げるには十分だった。
強くうなずく希兵隊員たちを見回して、氷架璃が意気込む。
「美雷、私たちはっ?」
「氷架璃ちゃんと芽華実ちゃん、そしてそのパートナーの二人にも、雷奈ちゃんの捜索をお願いするわ。ああ、霞冴ちゃん、あなたはガオンがどこにいるかわからないうちは、氷架璃ちゃんと芽華実ちゃんについていてくれる? いざとなったら、猫力による気配のない二人だけでも、霧で隠して逃がせるでしょう?」
「わかりました。……あの、もしガオンが見つかったら……」
「人間たちの安全を最優先。あと、増援要請もね。あなたは総司令部員なんだから。……でも、その後、増援の到着までに戦力が必要なら」
そわそわと見つめてくる相棒の期待に、美雷は満面の笑みで応えた。
「あなたは十分な戦力よ。全力で暴れておいで?」
「……はいっ!」
笑顔を輝かせる霞冴を、ルシルやコウ、霊那は微笑ましく眺めていた。水を得た魚のような生き生きとした彼女は、あの時――想いを寄せる先代の最高司令官に、仮の護衛官を任された時と同じ表情をしている。やはり、時尼霞冴はただの総司令部員に収まるたまではない。
「では、行動開始よ。コウ君とルシルちゃんは相棒を呼んでいらっしゃい。ほかの子たちも、いつでも出動できるようにしておいてね」
解散っ、と手をたたく美雷は、声も表情も、もうすっかりいつもの能天気なものだった。
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