フィライン・エデン Ⅲ

夜市彼乃

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13.水鏡編

65雨祓いのプロシージャ ⑥

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さかしいことを……!」
 シズクが立ち上がる。まだとどめが必要なようだ。
 雷奈が我こそはと足を踏み出した。が、直後、がくんと膝から崩れ落ちる。
「……あ、あれ」
 立ち上がろうとしても足に力が入らず、ぺたんと座り込んで目をしばたたかせる。何ら不思議なことはない。外回りの疲労、雷菜戦でのダメージ、そしてシズク戦での源子の大量消費ときて、体は限界を迎えていたのだ。戦闘モードの意識が自覚を遠ざけているだけに過ぎない。
「あんたは休んでろ!」
 そう言い置き、氷架璃が走り出す。さっきの地点からでも十分狙えたが、これは陽動だ。シズクの視線が氷架璃を追った直後から、死角へ回り込むように芽華実が走り出している。特に作戦会議をした覚えもないが、相変わらず文句なしの以心伝心だ。
「憎く鳴く西、五夜ごやの足、三束みつかの波に三並みなみすいうつ大明たいめいと化し、天動に頷け!」
 刀印を構えながら詠唱を紡ぐ。
 光術の最大の武器は、何といっても攻撃の到達速度だ。実際の光速とまではいかないが、そうたとえても遜色ないスピードで相手に向かう。
 そんな光術を使い慣れると、逆に光術以外の攻撃速度は遅く感じられるようになる。氷架璃の光術に比べれば、シズクが飛ばしてくる水の砲弾や刃は速度にして格段に劣るのだ。例えるなら、まるで相手の球だけスローモーションになったテニスのラリーといったところか。
 そうなれば、実際によけきれるかどうかはさておき、「一瞬でやりかえされた」という状況は避けられる。その自信だけでも、果敢に向かっていく原動力になる。
「差せ、光砲!」
 両手のひらから打ち出される光の弾。光といえども質量をもつ砲弾が、水球の城から出た生身のシズクに飛んでいく。
 直撃の、一瞬前。
 まるで水面を垂直に立てたような、幕とも壁ともとれるものがシズクとの間を隔てた。
 その現象をいぶかしむ間もなく、氷架璃の頭のすぐ横、肩口を熱い塊が殴った。
「……ッ!?」
 衝撃でバランスを崩し、倒れ込む。
 鏡像・吹清すいしょう光に攻撃された時と同じ、熱感を伴う痛みで、一瞬の攻防の過程を理解した。
 あれは、鏡だ。全反射する水面で、実際の光と同じの性質をもつ光術を跳ね返したのだ。
 一歩間違えれば顔面直撃の大惨事となっていたところ、九死に一生を得たわけだが、それでも如何せん被弾範囲が広い。歯を食いしばって耐えないと叫びだしそうなほどの痛みが、肩を覆っていた。
 シズクはといえば、戦闘不能になった氷架璃に追い打ちをかけようともしない。視線はすでに反対方向へ注がれている。
 陽動は失敗に終わった。
「あなたの草術は甘いのですよ」
 拘束に出ようとして伸ばされたつるが、水の刃により見事に断ち切られる。
 その切れ味にひるんだ芽華実だが、すぐに負けじと次の札を切った。
「翔けろ、しゅん、っ!?」
 言霊が半ばで打ち切られる。そんなものは必要ないとばかりに予備動作なしで撃ち放たれた水の塊が、芽華実の腹部に命中していた。
 衝撃で足が浮き、そのまま背中から地面に叩きつけられる。強打というほどの勢いで倒れ込んだわけではなかったが、むしろその前に食らったダメージが効いていた。横に寝返りを打ったきり体を丸めて、内臓がぎゅっと収縮するような苦痛を耐え忍ぶ。名前を呼ぶ氷架璃の声さえ遠く聞こえた。
 残るは、と振り向きざまのシズクが水の刃を飛ばした。水の刃は五メートルほど滑空したところでターゲットを切り裂き、赤いしぶきを飛び散らせながら遠ざかっていった。
 どさ、と座り込む音。押さえた右手の下で、白衣の上腕部がみるみる真っ赤に染まっていく。その場に崩れ落ちた木雪は、雨水ではないしずくで額を濡らしながら、荒い呼吸を繰り返していた。非戦闘要員がたやすく耐えられる痛みではない。
「ここちゃん……!」
 駆け寄ってくるユメを一瞥しながらも、シズクの興味は木雪の足元に転がるに吸い寄せられていた。今の負傷で木雪の手から滑り落ちたものだ。
 をチエアリが知識として知っているかどうかは定かではない。だが、シズクに向かっていく前にを木雪が源子から再構成するところから見ていた雷奈も、そして頭の大部分を痛みに占領されながらも転がったを目にした氷架璃と芽華実でさえ、それが何に見えるかと問われれば一致した見解を即答できる。
 つやのある三十センチメートルほどの円柱。雷奈たちが知るそれは赤色をしていて、長い管をもっているのに対し、こちらは銀色のボディで、管というより醤油さしの口のようだが、てっぺんに頂く黒いくちばしと黄色いトサカのような特徴的な部品からして間違いない。
 消火器だ。
「察するに、希兵隊の秘密兵器と言ったところでしょうか」
 シズクが尾を揺らしながら感心したように言う。
「戦闘の腕に覚えがないなら奥に控えていてもよいところ、技術者ならではの武器を手に向かって来るとは殊勝ですね」
「……尋常、荒事とは無縁でも、私も希兵隊員の端くれです」
 眼鏡の奥で、紺碧が鋭く輝く。肩を上下させながらも、口元に不敵な笑みさえ浮かべて、どこか自虐的に啖呵を切る。
「お上品に知を求めるだけの私なら、象牙の塔の根元にうずめてきましたよ」
「それはそれは」
 あっぱれと言いたげに薄く笑うと、シズクはゆらゆらと動かしていた尾を、先端を天に向けて回し始めた。そこに水の流れが生まれ、徐々にすり鉢状の水の渦ができ始める。
 木雪のそばにしゃがんだユメが、慌てて右手で刀印を構えた。銃口を向けられたに等しいシズクだが、泰然として微笑んでいる。
「やってごらんなさい。あなたはその白衣の者に輪をかけて戦闘慣れしていないでしょう。術の精度も低いはず。先程の大きな的ならともかく、私の小さな体に雷を当てることは難しいのではないですか?」
「……っ」
「あるいは、術が難しいなら、そこの道具を使った方が狙えますか? 希兵隊の武器を一般民が使えるなら、の話ですが」
 ユメは、刀印を突き付けながらシズクをにらみつけたまま動かない。その間にも、シズクの尾が生み出した渦潮は、ユメの上半身を飲み込める大きさにまで成長していた。
 シズクは憐れむようにため息をついた。
「技術を駆使した高度な道具は便利でしょう。しかし、初見者が使いこなせないのが玉に瑕。知る者の独りよがりな傲慢さと言ってもよろしい」
 希兵隊の技術の長を睥睨して、シズクは言う。
「あなたの切り札は、あなたが倒れた時に他の誰にも使えない。そんなすべを頼みにするものではありませんよ」
 木雪の左腕の裂傷は深い。しばらくは動かすこともできないだろう。そばに転がった消火器型の武器は、片手で扱うものではなさそうで、今の木雪にとってはただの荷物にしかならないことは明白だ。
 説教じみた言葉を、雷奈は後方で座り込んだまま隔靴掻痒の思いで聞いていた。
 たとえあれが雷奈の手の中にあったとしても、使いこなせる自信はない。まさか本物の消火器ではあるまい。その形を模した、何らかの攻撃機能をもつ筐体だ。何をどうすればどうなるのかわからない以上、ぶっつけ本番で扱うわけにもいかない。順当に考えて、ユメも同じ認識だろう。
 雷奈はここから術を放てるか検討した。すぐに却下した。シズクまでの直線状に木雪とユメもいる。うまく避けて攻撃できなくもないが、少しでも彼女らが動けば誤爆しかねない。雷奈自身が移動すればよい話だが、まだ回復しきっていない体では、俊敏に動くことは叶わない。下手を打てばシズクに撃墜されて終わりだ。
 氷架璃と芽華実の位置からはまっすぐにシズクを討てそうだったが、彼女らの攻撃では大きなダメージを見込めないことは各々自覚していた。その結果、反撃に遭ったならば、やはりダメージを負った体ではうまく避けられず、カウンター負けする。
 まさしく背水の陣。やはり、希兵隊執行部員なしでチエアリに挑むのは無謀だったか。アワとフーの期待に応えられなかった無念も、見栄を切った手前敗北する恥も感じ入る間もなく葬られる運命か。
 何か一手。この膠着状態を打ち破る一手さえあれば――。
「ご高説はごもっともですが」
 大人びた声が、凛と響き渡る。
 眼鏡の乗った顔に浮かぶ表情と同じ、静かな笑みを含んだ声だった。
「それはあなたが、この武器の名前をご存じないためと拝察いたします」
「名前……?」
「ええ」
 訝しがるシズクの目を、艶やかに細めた目で見つめ返して、木雪は言う。
「教えてさしあげましょう。開発者を雄弁に明かすその名前は――」
 トスッ。
 何かがシズクの体に浅く刺さった。胴体の二か所に。
 刺さったからは、それぞれ細い線が伸びていた。二本の線は、醤油さしの口のような細く小さな管から出ていた。
 その本体、小さな手が黒いレバーを握るその物体の名が、木雪の口から死刑宣告のように響いた。
「――『フランクリンの電撃針~通電する凧を雷雨に飛ばすな~』です」
 直後、シズクの体が硬直し、痙攣した。はくはくと開閉する口から断続的に悲鳴が漏れる。
 その光景と、副題付きの奇妙な名称から、雷奈たちは消火器と開発者の正体を悟った。
 対象に先端を刺す二本のワイヤー。そして転がっているときには見えなかった、ボディにプリントされた「Z」を斜めにしたようなマーク――電気のピクトグラム。
 テーザーガンだ。
 そして、その開発者は、希兵隊ではない。
「わたくしが使えないとでも思いましたかっ! 誰の発明品とお思いですっ!」
 木雪に注意を引かれたシズクの目を盗み、ユメがテーザーガン「フランクリンの電撃針」を構え、導線射出であり通電のトリガーでもあると思しきレバーを力一杯握っていた。手慣れた様子で無骨な武器を扱う姿は、妙に様になっている。
 シズクは電撃に耐えながら、ユメをにらみつけてうめく。
「まさか……あなたも、希兵隊……」
「いいえ!」
 きっぱりと否定し、誇らしげに名乗りをあげる。
「わたくしは、叶ユメは……個人発明家、兼、希兵隊開発部の公認外部顧問ですっ!」
 ユメの指が、消火器の安全栓にあたる黄色いピンに伸びた。同時、シズクの痙攣が止まる。蓄電されたエネルギーを使い切ったのか、放電が止まったようだった。
 ユメはすかさずピンをひねり、そのまま引き上げると、ピンは抜けずに数センチ上がったところで止まった。すると伸びていたワイヤーがふつっと切れて射出口から滑り落ち、本体の中でガコンと装填するような音を立てた。通常の消火器とは全く異なる挙動を示した「フランクリンの電撃針」の黒いレバーを再度握る。すると新たなワイヤーが射出され、シズクを捉えた。
 銃でいう排莢、再装填、射撃の操作。以上を二秒でクリアしてみせ、シズクを再び感電地獄に陥れる。
 その隙に、左右に分かれていた氷架璃と芽華実が、中央の二人の元へよろよろと合流した。
「訊きたいことはいろいろあるが、とりあえず……これで押し切れそうか?」
「いいえ」
 期待を込めて尋ねた氷架璃を、木雪はあっさりと否定した。
「見ての通り……耐えられています」
 焦りの浮かぶ視線の先で、シズクは電撃を受けて悶えている。だが、その体から立ち上る黒い霧はあるかなきかといった程度だ。つまり、大きなダメージを与えられていない。
「カートリッジに充填された電力では、クロを滅し、ダークにダメージを与えられることはわかっていますが……当然、対チエアリでは未検証ですぅ。どうやら動きを止めることしかできないようですね……」
 ユメが次のリロードのタイミングを計りながら早口で言った。
「どうすればいいの……」
 まだ痛みの残る腹を押さえながら、芽華実。
 木雪はしばらくの間、口と目を閉ざした。目まぐるしく回る思考がひとかけらも逃げないように。
 そして、両方を開いた。
「このような使い方は想定されていませんが……カートリッジの電力で足りないなら」
 木雪が目配せした先を見て、氷架璃と芽華実は息をのんだ。だが、視線の先から好意的な返事が返ってきたのを見て――口の端が上がるのをこらえる。
「私がつなぎます。お二方はその隙を作っていただけますか」
「ラジャー!」
「わかったわ」
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