フィライン・エデン Ⅲ

夜市彼乃

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13.水鏡編

65雨祓いのプロシージャ ⑧

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***

 濃紺の宵闇を、一本道に沿った橙の光がほのかに照らす。
 普段は荘厳な静寂に包まれる参道の両脇には、我こそは一番とばかりの独創的な暖簾が掲げられた出店が立ち並び、その狭間に人があふれかえり、ごった返していた。客たちの喧騒と、いかにも味の濃そうな食べ物の香りが参道いっぱいにあふれる。五感全てを祭の空気が包み込む夜だ。
 明かりは、それぞれの屋台に吊り下げられているもののほかは、ところどころに立っている石灯篭のみで、参道から外れれば時間帯相応の薄暗闇に包まれる。明るい参道の人々が振り返りもしない、薄暗い宿坊の縁側で、雷奈たちは一列に座って、華やぐ祭を遠い裏側から眺めていた。
「浴衣でも着てりゃ、もっと風情があったんだろうけどな……」
「ちょっとそこまでの気力はないかしら……それに、着ている人も少ないわよ。町の小さな神社だものね」
「雷奈は手伝わなくていいのかい」
「ケガしとるからって免除されたったい」
「よく食うケガ人だな、オイ」
 水あめを練る氷架璃とわたあめを頬張る芽華実の間で、雷奈はりんご飴片手にベビーカステラを膝に乗せながらフランクフルトにかぶりついていた。苦笑するアワとフーは、手ぶらでそれぞれのパートナーの隣に座っている。
 雷奈はフランクフルトの最後の一口を飲み込み終わると、串を袋に戻しながら素朴に訊いた。
「で、その後どうなったっちゃか、フィライン・エデンは」
 シズクとの戦闘後、雨が止んだ直後に、希兵隊は到着した。
 遅い遅いと愚痴をぶつけながらも、ありがたく手当てを受けた雷奈たちは、翌日に根掘り葉掘り事情聴取を受けるというアポイントメントに同意した上で、その日は帰された。
 次の日、ケガから回復したばかりの霞冴がリハビリ業務として神社にやってきた。そこで雷奈、氷架璃、芽華実は、鏡像と戦った話からシズクとの戦闘までの覚えている限りについて聞きこまれたのだ。それを最後に、今日に至るまで、彼女らはアワとフー以外のフィライン・エデンの住人とは関わっていない。
 その間の数日間について尋ねる雷奈の言葉に、アワとフーはお互いに言葉を補い合いながら、後日談を語り始めた。
 シズクの打倒後も、鏡像は何体も残っていたらしい。源子で作られたモノは術者の死後、源子に戻るのだが、源子で作られたモノから生まれた二次的なモノは留まり続ける。つまり、シズクが降らせた雨でできた元祖水鏡――つまりは水たまり――は消滅するものの、そこから派生して生まれたモノはすぐには消えなかったのだ。
 よって、希兵隊はその後もしばらく鏡像の駆逐に労力を割かれたようだ。しかし、ついに昨日、情報管理局のリストとも照らし合わせて、全ての鏡像を滅することができた。それがアワからの報告だ。
 次にフーから語られたのは、疑いがかけられたユメと木雪についてだ。彼女らは学院からきちんと謝罪されたうえで、それぞれの業務に戻っているという。二人とも、雷奈たちにも報告と共闘の礼を兼ねて挨拶に来たいとのことだったが、職場を空けている間にたまった仕事を片付けるのに手間取っていて、もう少し後になる見込みだそうだった。
「っていうか、ユメのこと、初耳やったっちゃけど。希兵隊と関わりがあったなんて」
「ああ、知らなかったかい? ユメは希兵隊開発部の外部顧問として、開発部にアドバイスをする立場なんだよ。モノづくりには強いからね」
「ほら、前に霞冴が肝試しを企画した時、ユメを呼んで『フロイトの怖物判断』を使ったでしょう? 霞冴がユメを気軽に誘えたのには、そういうわけがあったの」
「なるほどねー」
「そんで?」
 よく練った水あめを先端に絡ませた割りばしを突きつけ、氷架璃が言う。
「さよならチエアリ、また来てユメと木雪ふたりもいいんだけど、もう一つ重要なことがあるだろ?」
 催促されたアワとフーは、思わず互いに目を合わせた。そして、心なしか観念したような顔で、吉報続きの後日譚の中の唯一のくすみを口にした。
「……チエアリのことだね」
「ザッツライト」
「それ、私も気になっとった」
 雷奈が、袋からつまみ上げたベビーカステラに神妙な視線を落とした。
「今回のチエアリは、『シズク』って名乗ってた。それは先の侵攻までのチエアリとの相違点であり、クロガネ、ホムラ、ジンズウとの共通点」
「……」
 砂糖がまぶされた一口大のカステラを頬張ると、雷奈はアワとフーに目配せをした。
 答え合わせを待つ視線に応じたのはフーだった。
「やっぱり、三者会議の結論も同じだったわ。……シズクは、ガオンの手下であった可能性が高い。そして……」
「ホムラは自分がガオンの手下としては最後のチエアリだって言ってたんだよね」
 その先を、アワが雷奈たちを挟んだ反対側からなぞる。
 そのさらに先を、氷架璃が。
「種子島での戦闘以降、残った唯一のチエアリだってな」
「つまり、シズクはホムラを倒した後に生まれたチエアリってこと。それが意味するのは――」
 芽華実が続きを引き継ぎ、最後に雷奈が、結論を告げた。
「――親父は、まだ生きとる」
 その仮説は、薄暗い縁側にずっしりと重く横たわった。
 にぎやかな喧騒が、温かな明かりが、遠い。
「……まあ、そういうことだよ」
 ため息交じりのアワが、三人の見解が三大機関のそれとたがわないことを肯定した。
「雷奈はガオンの最期を見ていない。実は生きていた……って筋もありえなくはないからね」
「でも、しばらく音沙汰がなかったということは、ホムラさえも知らないところで回復を待っていたということかしらね……」
 アワとフーも、今は推量の域を出ない発言しか口にできない。
 だが、想定すべきは最悪の事態。それが何かは、明白だ。
「親父がシズクという新たなチエアリば生み出したんだとしたら――あの戦いの続きを、いつかせんといかんってことっちゃね」
 絶体絶命、九死一生の大激闘。世界をかけた、壮絶な親子喧嘩。
 その再来がいつか来るとしたら、それは今、どこまで迫ってきているのだろうか。
 この事件がかすかな予兆だとしたら、案外もう目の前まで近づいているのかもしれない。
 三日月は、新月から幾ばくもなく現れるのだ。

***

「……というわけで」
 ゆっくりと回転いすを回し、宮希は自分を中心に弧を描いて並んだ部下たちに向き直った。
「情報管理局が把握している鏡像は全て駆逐された。元凶のチエアリも討伐できたようだし、その後も目立った報告はないから、鏡像騒動は収束したとの見解だ」
 室長の言葉に、草猫姉妹は顔を見合わせて安堵の笑みを浮かべ、ノンは長い前髪の下、口元を少女のようにほころばせている。
 そんな中、室長補佐はいまだ声の緊張を解かないまま単刀直入に現状を言い放った。
「でも、代わりに新たな問題が出てきたわね」
「ああ」
 それは、宮希はもちろん、一つの事件の解決を喜んでいる部下たちも認識していることだ。それゆえ、三者三様に和んでいた表情は、うとめの言葉を聞いた途端に再び引き締まる。
「あのチエアリは。間違いなく、これまで出現してきた者と同じ、ガオンの手駒だ。ガオン生存の直接的な証拠とはならないが、その可能性を限りなく高めるファクターではある」
「もし本当に生きてて、また襲ってくるようなことがあったら、どうなるんでしょう……」
「未来世界でフィライン・エデンを破滅させた張本人だからな。どうやったらそうなるのか意味が分からないが、最悪その道をたどるだろうな」
「こら、脅かさないの」
 うとめが宮希をたしなめるが、その険しい表情には、彼の言葉を否定できない憂慮の念がにじみ出ていた。
 不安に満ちた空気が、一気に部屋を支配する。
 最初の強襲も突然の出来事だった。一件落着に喜ぶ今から一秒後に、その瞬間が訪れてもおかしくはないのだ。
 しんと静まり返った部屋は、不安定な並びだった本が一冊、本棚の中で倒れる音さえ際立たせた。
 ぱたり。
「ひいいいぃぃやあぁぁぁっっっ!」
 飛び上がったノンの大絶叫も際立った。
 驚きのあまり息をつめたうとめが、胸を押さえて大きく息を吐く。
「……こら、脅かさないの」
「すすすすみませんっ! 音がっ! ついにガオンの襲来かとっ!」
「ガオン襲来の被害が本一冊で済むわけないだろう」
 姉と同じ仕草をするあたり、血のつながりはなくともさすが弟といったところか。
 向日葵と菫からも、「びっくりしたじゃない……」「心臓に悪いんだから!」と怒られ、ノンはしゅんと肩を落とした。
 挙句。
「ノン……お前低姿勢だし、市民室とかどうだ? 仕事もきっちりしているから逓信室や管理室でも……」
「やはり異動ですか!?」
 室長にとどめを刺されたノンの叫びは絶望的な声色だった。重たい前髪の中からはらはらと何かがこぼれている。
「そうですよね……前も一度異動の打診されましたものね……ボクは……ボクは……!」
「いや……いい、すまなかった、ここにいろ」
 そう言うしかなくなった宮希の言葉に、ノンは「ああありがとうございますぅぅ!」と鋭角のお辞儀で感謝を述べる。
「……とにかく、不確かなことで憂いても仕方がない。それに、そっちは希兵隊のほうが十八番だ。調査室には調査室のやるべきことがある。切り替えて、業務を続けるぞ」
「はいっ!」
 解散、の号令に従い、後輩三人はそれぞれ会釈をして室長の部屋を退室していった。
 残ったのは、この部屋の主とその補佐のみ。
 くるりと回転いすをデスクに向けて、スリープ状態になっていたパソコンを揺り起こす宮希の背中に、うとめの声がかかる。
「いいの? あの子、ここに置いておいて」
「構わん。あれでいて真面目で仕事ぶりも丁寧だ。あの悪癖も段々慣れてきた」
 うとめを振り返りもせず、いくつかのファイルを開いていく宮希。それでもなお、うとめは言葉を重ねる。
「慣れてきたならいいけど……あの子はいつか、あんたのを暴く引き金になるかもしれないのよ」
 宮希に手が届く距離ではないので、かわりにうとめは自身のを指さす。
「――暴かれたときには、遅いかもしれないのよ」
 最後の忠告を口にする彼女の目元が、鋭さを帯びた。
 しばらくの沈黙を、マウスのクリック音だけがつないでいた。
 やがて、やはり振り返ることなく、宮希は答えた。
「慣れたと言っているだろう。……心配するな」
 うとめは、それ以上の追及はしなかった。これが、彼の意思だ。
「わかったわ。……じゃ、またね」
「ああ」
 モニターに向かったまま片手をあげて、無愛想な送り出し。
 そんな態度も慣れたもので、うとめは残りわずかな今日の業務へと戻っていった。
「…………」
 一人になった宮希は、デュアルモニターに映し出された画面をぼんやりと見つめていた。鏡像騒動で中断されていたが、目下最も頭を悩ませていたのが、この二つのファイルだ。
 一つは、専用ソフトに描かれる、色分けされたうねるグラフ曲線。
 もう一つは、表計算ソフトに表示される、目も眩むような数値の群れ。
「……何なんだ、これは……」
 天才の名を欲しいままにする彼の頭脳をもってしても、その謎は今日も解かれそうにない。

***

 朝、始業前の総司令部室。
 あらかじめ美雷にお願いして待ち合わせていた霞冴は、前日に買ってきたものを両手で差し出した。
 黄色い花がプリントされたハンカチだ。
 美雷は嬉しそうに目を見開いて、上品な歓声を上げた。
「まあ、かわいい! もらっていいの?」
「もちろんです、そのために買ってきたんですもの。……療養中は何度もお見舞いに来てくださって、ありがとうございました」
 改めて、礼を言う。
 腹部に大きな裂傷を負った霞冴は、ケガそのものに加え、それを原因とする発熱までしてしまい、数日間寝込んでしまっていた。その間、美雷は足しげく霞冴の寝台まで足を運び、声をかけたり、汗を拭いたりしてくれていたのだ。
 ハンカチはそのお礼だった。
「いいのに、気を遣わなくても。霞冴ちゃんだって、私が春先に熱を出した時にいろいろしてくれたもの」
「それはそうですけど……」
 うまく言葉に表せないが、そのような単純な勘定ではない、といえばよいだろうか。床に伏しているとき特有の心細さに押しつぶされそうなところへ美雷がやってくるだけで、その優しい声をかけてもらうだけで、どんな薬にも勝って安心感と元気を取り戻すことができたのだ。
 その感謝の気持ちを形あるもので渡したい、と思う気持ちに、プラスマイナスの相殺などあるだろうか。
 言葉に迷ってもごもご言う霞冴を困らせるほど美雷は野暮ではない。
「ありがとう。とっても嬉しいわ。大切にさせてもらうわね」
 そう言ってにっこり笑う美雷。霞冴が拙く言葉に表せなかった想いは全て伝わったのだと、霞冴自身にもわかる笑顔だった。
 美雷はビニールに包まれた新品のハンカチを、宝物のように両手でしっかりと持って、自室へと体を向けた。
「大事に引き出しの中にしまっておきましょう」
「ええっ、使ってくださいよー」
「なんだかちょっともったいないから、しばらくこのまま眺めさせてちょうだい。ちゃんと数日のうちに使わせてもらうから」
 よほど気に入ったのだろうか、美雷は花のような笑顔でそう言って、奥にある自室の扉の前に立った。
 まあ、それほど喜んでくれたのだろうと霞冴は解釈した。それはそれとして、壁に掛けられた時計を見て、始業までの段取りを考えていると――。
「霞冴ちゃん」
 振り向けば、ドアノブに手をかけたまま、美雷が振り返っていた。
「想像のお話なのだけれど」
「どうしたんですか?」
「もし私の鏡像がいたとしたら、どんな姿になると思う?」
 肝の据わった質問だ、と霞冴は内心苦笑した。飛壇全域を騒がせた敵をやっと殲滅できたのだ。しばらくその話題は放り去ってしまいたいくらいなのに蒸し返すところもさることながら、本来なら自分の鏡像が出なくて安堵するところを、わざわざ想像の中に生み出そうとするとは。
 だが、あくまで想像の域の命題ならばと、霞冴は自身の空想に任せて答えた。
「顔は同じだとして、朗らかな美雷さんとは反対にルシルみたいにクールな表情だったり……あと、髪や目の色は、美雷さんが金色っぽい色合いだから、もっと寒色の……銀色とか……?」
 ふんわりと頭に浮かんだ像を口にしてから、あ、と口をつぐむ。「時尼みらい」に銀色を求めてしまうのは、どうしようもない性なのだろう。
「す、すみませんっ、まだ引きずってるとかじゃなくて、その……」
「いいのよ。霞冴ちゃんの鏡像も金髪に近い色をしていたんでしょう。まるで私達と髪色を交換したみたいね」
 ふふ、と笑って美雷は髪を一房つまんで揺らしてみる。
 気を遣わせてしまったことに顔を紅潮させながら、「でもっ!」と霞冴は大前提を釘で刺しておく。
「今さら言っても詮無いことですからっ! 水鏡が存在しなかったら、もう鏡像は生まれないんですものっ! シズクも倒したし!」
「うふふ、わかっているわ。あくまで、仮定のお話よ」
 ムキになったことを笑われたようでますます顔を赤らめる霞冴に、「じゃあ、またあとで」と手を振ると、美雷は自室へと入っていった。
 ――パタン。
「ふふ」
 扉を閉めると完全なプライベート空間となる最高司令官室で、美雷はさっきの霞冴の必死そうな顔を思い出して笑みをこぼした。そして、もらったハンカチを愛しそうに指でなでる。
 最高司令官が変わるたびに当然私物も入れ替わり、雰囲気を変えるこの部屋だが、ベッドやクローゼット、引き出し付きのデスクは備え付けなので変わらぬままだ。
 美雷は茶色い木目調のデスクに歩み寄ると、天板の下、右手側に収納されている袖机の一番上の引き出しを開けた。決して狭くはない引き出しだが、収納されている先客は一つしかなかった。
 そこへ、霞冴からもらったハンカチを、大切に、大切にしまう。
 その、ただ一つ先客の隣に。
 大きめのハンカチでくるまれた、の隣に。
「そうよね、もう鏡像は生まれないわよね」
 引き出しの取手に手をかける。ガラガラとくぐもった音を立てて、中に擁したものを隠していく。
「――水鏡が存在しなかったら、ね」
 パタン。
 秘める音だけが、静謐に生まれて消えた。
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