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4.因縁編
18雷鳴に隠せ、禁断の鼓動 後編
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***
「これが……」
「初歩的な雷術の詠唱と言霊……詠言ね」
キラが雷奈に渡したのは、手のひらサイズのメモ三枚。それぞれ別の呪文が書かれている。ハネや払いの威勢のよさにキラらしさが見える自筆だった。
「これ唱えると、術が出せる……ってことったいね」
「そそ。まあ、雷奈っちほどパワーがあれば、詠言なしでもダークくらい倒せるだろうけどさ。運動神経もいいみたいだし」
両手を広げてパワフルさを表現するキラを、雷奈は思わず凝視した。まるで、実際に見たかのような口ぶりだ。雷奈が術を発動したのは二度。一度目は空き地でダークが暴れていた時。二度目は三枝岬で雷帆と直接対決した時。そのどちらも、キラはいなかったはずだ。
雷奈の視線に気づくと、二本足で歩いていたキラは、右手をフリフリと振った。
「ああ、三枝岬の時、あたし、実はあの場にいたんだよ」
「ええっ!?」
「だって、あたし、霊那っちたいちょーの部下だし。三番隊総出だったんだよ? プラス救護班の十番隊員数名」
「あ……そっか」
絶体絶命の雷奈を救ったのは霊那たち三番隊。キラも三番隊なのだから、その場にいてもおかしくないのだ。
「あの時、あたしは人払い班でね。万が一人間がやってこないように術を張ってたわけさ」
「だから会わんかったとね……」
「ま、それは置いといて。雷奈っちは確かに強い。けど、詠言を使うと使わないとじゃ大違いなんだよ。使わなかった場合、燃費は悪いわ効率は落ちるわ、例えば雷術の場合はでたらめに放電するだけしかできない。でも、詠言を使い分ければ、効率よく源子を操れるから疲れにくいし、多彩な形で出力できる。だから練習あるのみ、ね」
雷奈はうなずいてメモに目をやった。まずは文言を覚えなければならない。一見無意味に見える文章を自分なりに解釈し、意味づけて記憶しようとする。熱心にメモを読む雷奈を満悦そうに見上げていたキラは、「そういやさ」と頭の後ろに手をまわした。
「雷奈っちの怖いものって、何?」
「え?」
「だってペアだから、どうせバレることじゃん。先にお互い明かしておいたほうが、心の準備ができるんじゃない?」
「それは、確かに」
雷奈は口元に手を当てて考えた。怖いもの、と言ってもピンキリだ。例えば、単にそばで大きな音が鳴るだけでもその時は怖いし、地震や火事ももちろん怖い。だが、直近でいえば――。
「死ぬことは……もちろん怖かね。雷帆に狙われて思ったばっかりやけん」
「あはっ、タイムリーだね。まあ、誰だってそうだよね。あたしだってそうだよ。……でも、同時に、誰かを失うことも同じくらい怖い。あたしはそう思うよ」
雷奈はハッとしてキラを見た。
「今のフィライン・エデンの住人は大抵そう思ってるだろうね。先の侵攻で身近な存在を亡くした人が多いから。あたしみたいな幸せ者のほうが少ないと思うよ。特に希兵隊員は」
だからさ、とキラは雷奈を見上げる。
「大事な人には、是が非でも生きててほしいよね。生きてりゃどうとでもなるもん」
「……私は」
キラが歩くのとは反対側の地面を見ながら、雷奈は口を開いた。
「昔、母さんば亡くした。やけん、誰かば失うことは怖いと思うし、生きててほしいとも思う」
「あ、なんかごめん……」
「ばってん」
キラの謝罪をさえぎると、雷奈は唇を湿らせて、かすれた声で言った。
「……生きながらに狂って、壊れていくほうが……死ぬより、怖いと思う」
言ってから、少し後悔した。喉を破って生まれる叫び声と、永劫消えない傷跡がフラッシュバックする。
「……雷……」
キラの声は途中で切れた。顔を引きつらせ、雷奈のすねを手でたたく。
「ん?」
雷奈が振り返ると、そこには人影が一つ浮かんでいた。最初は曖昧だった輪郭は徐々にはっきりしていき、一人の少女を形作る。
「あれ? 霊那……?」
現れたのは、執行着姿の霊那だ。亜麻色の長い前髪の下、切れ長の目が冷たく二人を見ている。
「霊那……いや、この変な感じ、もしかして幻覚……あれ? どうしたと?」
見れば、キラがガタガタと震えている。
「え、ちょっと、キラ?」
「たたたたいちょー、やだなぁ、その目やめてってば……」
「……もしかして、キラの怖いものって……」
すると、霊那がおもむろに懐に手をやった。何をするのか、と身構えた雷奈は、幻覚の霊那が取り出したものに戦慄した。やけに手慣れた動作でピストンを押すと、先端から液体がわずかに飛び出す。
「ちゅ……注射イヤぁぁ~っ!」
キラを抱えて脱兎のごとく駆け出す雷奈。撒いたか、と振り返っても、霊那は一定の距離を保って追いかけてくる。どんなに雷奈の足が速かろうと、相手は雷奈とキラの脳が映し出す幻視。それを撒こうなど、太陽から逃げようとするのと同じくらい不可能なことである。しかし、今の雷奈にそこまで考える余裕はない。
霊那は懐からさらに大量の注射器を取り出すと、それを雷奈たちに向かって投擲した。注射器をクナイのように投げつける霊那というシュールな幻覚から、雷奈は半泣きで逃げ続ける。
「そ、そうだ、雷奈っち、雷術を!」
「あ、そっか!」
ちょうどお札置き場に到着し、Uターンを強いられる。霊那との対峙は必至だ。
雷奈は先ほど覚えた三つの詠言の中から、最初に思い出したものを唱えた。
「眼打つ柏手、不確かな羅針! 積み上げるは一点より一様の一歩! 足踏みの最果てに瞬殺を予感せよ!」
前に突き出した手から雷がほとばしり、それらはまとまって球形となる。十分な大きさになったのを確認して、雷奈は鋭く唱えた。
「哭け、雷砲っ!」
手のひらの前で渦巻いていた雷の球は、はじかれたように前方へと飛んでいった。そして霊那の胸元を貫通すると、黒衣の姿を揺らぐ霧へと分解する。
「成功! 霧の構成を崩せたよ! 扱いはばっちりだね!」
「ばってん、またすぐに再生しちゃうっちゃろ? 早く逃げよう!」
すぐさま駆け出す雷奈の腕の中で、キラはちらと頭上の彼女を見上げた。
(氷架璃っちと芽華実っちの修行は話には聞いてたけど……雷奈っちはその比じゃない。一発で術を成功させるなんて……なんかありそうだよね。……でも、ま、いっか)
普段からあまり深いことは考えない主義のキラは、ただ心の中で「おめでと」とつぶやいて、新たな武器を手に入れた雷奈を祝福するだけにしておいた。
その後も追ってくる霊那に雷術を放つと、二回とも成功。機嫌も上々に、雷奈は首尾よく森を脱出した。
「ただいま~」
皆のところに帰り、ふう、と息をついた雷奈に、霞冴がスキップまじりに近づいた。
「おかえり、雷奈~。術は使えた?」
「うん、一種類だけやったけど、上手くいったばい」
指で丸を作って見せる雷奈に、霞冴は満足げに目を細めた。
「それは何より。キラもたっぷり彼女に追いかけられたのかな?」
「ちょ、霞冴っち! 私が怖がってること、本人には言わないでよ!?」
「あははー、日ごろの行いがよければねー。さ、いよいよ最終ペアだよ。いってらっしゃーい」
能天気なテンションで手を振る彼女に、二人は変わらずじっとりとした視線を向けると、しぶしぶ森の中へと入っていった。
***
最後のペア、アワとフーはさくさくと土を踏みしめながら歩みを進めていた。二人とも怖じることもなく、しかし別段楽しんでいる様子もなく、任務をこなすように淡々と距離を消化していく。
懐中電灯で前方を照らすアワが口を開いた。
「まったく、霞冴ったら、自分の立場を忘れてるんじゃないかな。お楽しみが好きな時尼霞冴っていう女の子である以上に、彼女はフィライン・エデンにおける三大勢力の一角のトップだっていうのに」
「本来なら手を出さないでって言いたいところだけど……いろいろ変化球だものね、今回は。それに、人間に危害が及ばない程度なら、希兵隊が接しても別に問題ないんだし」
「そうだけどさー、術の訓練する気満々なのはバレバレじゃん。っていうか、だいたい、人と猫の交流会っていうならさ。普通、ボクと氷架璃、フーと芽華実がペアになるべきなんじゃないの?」
「そうね、でもせっかくだから、パートナーを交換して交流してもいいかも」
「たしかに。あ、でも、そしたら雷奈は?」
「困っちゃったわね」
二人は顔を見合わせて笑うと、進行方向へと向き直った。森と霧に囲まれているからか、まるで狭いところに二人で閉じ込められているように錯覚して、お互いをより強く感じさせる。静寂は、相手の呼吸さえ聞こえてきそうなほどだ。
「……こうして二人きりになるのって、なんだか久しぶりね」
「そうだね。人間界が解放されてからは、いつも三人も一緒だから……」
その瞬間、アワの言葉を遮るように轟音が鳴り響いた。ほぼ同時に、激しい明滅が二人の目をくらませる。
「きゃっ!?」
フーは反射的に、そばにあったものにすがりついた。直後、それがアワの腕だと気づき、弾かれたように離れる。
「ご、ごめんなさい」
「いえいえ。……今の雷は、本物かな?」
「霧に囲まれていて空は見えないけど……多分、幻覚だと思う。……私、雷、苦手だから」
不覚にも目尻に浮かべた涙をぬぐい、フーは決まり悪そうに笑った。アワは「そうなんだ」と微笑んで、手を差し出した。
「え?」
「手、つないだら、少しはマシかなー、なんて……ごめん、図々しかっ……」
アワはしゃっくりのような呼吸で言葉を飲み込んだ。触れた柔らかな手のひらから、フーの体温が流れ込んでくる。
「い、いいかな……?」
上目遣いにフーが聞く。アワはこくこくと頷くと、その手をしっかり握って歩き出した。
それからも、時折、稲妻が走り、つんざくような音が響く。その度に、アワはフーの手を強く握った。弁明するように「雷術は怖くないけど、術者のいない雷は怖いの。だってどこに飛ぶかわからないじゃない」とフーが言えば、アワは「そうだね、よくわかるよ」と答えた。
ようやく到着した目的地点には、最後の一枚となったお札が置いてあった。それを手にすると、アワは「戻ろうか」とフーに笑いかけた。Uターンしての帰り道も、雷は鳴り響く。その間、フーは一つの疑問をずっと巡らせていた。
(さっきから雷の幻覚しか現れない……。でも、それは私の怖いもの。じゃあ、アワの怖いものって……?)
帰り道に新手が出てくるのかと身構えるも、その気配はない。まさかアワだけ免除、ということもないだろう。
考え込むフーの思考を遮るように、またも雷が炸裂する。フーが身をすくませるのと、アワが手を強く握るのは同時だった。その途端、稲光ではない閃きが、フーの頭に走った。
雷鳴が轟くたびにフーの手を強く握るアワ。術者のいない雷は怖いというフーの言葉に賛同したアワ。
(――まさか)
二人いるのに、現れる「怖いもの」の幻影は一つ。その理由は――。
(まさか、アワも……)
「大丈夫? フー」
フーを見下ろして、けれど彼は言うのだ。
「幻覚だから無害だろうけど、何かあってもボクが守るからね」
「……っ」
直視できなくて、フーは顔を伏せた。無視したと思われたくなくて、下を見たまま「ありがとう……」とつぶやく。
「……なんかさ」
アワの声を、耳だけで聞く。
「……ボク、流清家に生まれなきゃよかった。それか、フーが風中家じゃなきゃよかったのに」
「え?」
思わず、アワの方を振り向く。前方を見つめたままの彼の表情は、懐中電灯だけでは心もとなくて、あまりよく見えないが、微笑をたたえた優しげな、いつもの表情に見える。彼はそのまま、軽い調子で続けた。
「だって、そしたら許されたかもしれないじゃないか」
「何が――」
フーがそう問いかけようとした時、カッと閃光がほとばしった。だが、フーは怯えることも忘れてその横顔を凝視していた。
暗がりを光が照らした一瞬、アワの頬の色が見えてしまったから。
――人間接待を担う流清家と風中家には、いくつかの取り決めがある。その一つが、独占行為の禁止だ。人間に、あるいは人間界に対し、不適切な働きをするのを防ぐため、人間接待は必ず二家が同等の権力をもって行う。すなわち、流清家と風中家は協力し合う仲であると同時に、牽制し合う仲でなければならない。二つの血筋が交わるなどもってのほかだ。独裁につながらないよう、二家は完全に独立している必要がある。
そのため、二家の者同士にはただ一つ、禁じられた感情があった。その感情の名は――。
「め……滅多なこと言っちゃダメよ」
フーは音がしそうなほど硬い動きで正面に向き直った。
「私たちは名誉ある二家の正当後継者。それを誇りに思い、使命を全うしなきゃいけないんだから」
「……そうだね。ごめんよ、軽はずみなことを言って」
「……でも」
声を震わせて、フーは小さく小さく言った。
「……ごめん、私も……そう思う……」
アワの方を見る勇気など、なかった。
やがて、出口が近づいてくると、霧は徐々に薄まり、雷の幻覚も現れなくなった。
「手、ほどいても、いいかな。このままじゃボクたち、勘当されちゃう」
アワが冗談めかして言った。フーも「そうね」と笑って、手と手は別れた。
皆の元に戻るまでの間、二人は同じことを考えていた。
この気持ちを意識し続けたままでは、きっと過ごしにくい。
だから、感情も鼓動も全部全部、霧の幻覚のせいにしてしまえ、と。
***
夜もすっかり深くなった頃、霞冴による閉会式が行われた。閉会式といっても、なんの表彰があるわけでもなく、ただありきたりな挨拶をして、解散しただけだ。
結局、猫と人間の交流会を謳っておきながら、ペアの組み合わせが雷奈とキラ以外は猫同士、人間同士だったので、腑に落ちない部分が残った氷架璃と芽華実。雷奈はそれに気づいているのかいないのか、詠言を教えてもらって上機嫌だ。霞冴の真の目的に気づいていたアワとフーはといえば、森に入って帰ってきてからどこか上の空で、霞冴を視線で責めることもしなかった。人間がらみのことで正統後継者ににらまれるなど、霞冴にとっては大変楽しくないので、ほっと一安心だ。ならばアワとフーを肝試しに呼ばなければよかった話だが、彼らに黙って人間に術を仕込もうとするほうが、後が怖かったのである。
キラと共に希兵隊舎に帰ってから、彼女と別れて司令部室へと向かう廊下の途中、霞冴の頭にはある一つの疑問が渦巻いていた。何かと軽く見られがちな彼女だが、これでも希兵隊全体に司令を送る指揮官だ。頭の回転は速いほうである。しかし、どんな角度から試みても、答えの前に立ちはだかる重い石の扉を開くことができない。
「うーん……?」
腕組みをして廊下を歩く彼女の背後に、長身の影が忍び寄る。その腕が霞冴の背中へとのびて、
「時尼ァ!」
「うきゃっ!?」
四角い後ろ襟をひっつかまれ、霞冴は盛大に悲鳴を上げた。まるで首根っこをくわえられた子猫のように、宙に持ち上げられる。じたばたと暴れていた霞冴は、やがて目に入った見知った顔に抵抗をやめた。
「コウ!」
「お前はなに夜中に抜け出してんだ! アホか!」
「ちゃんと総司令部の部下には伝えたよぅ」
「オレにも伝えろ、オレにも! お前、オレが誰だかわかってんだろ!?」
灰色の研がれた目ににらまれ、霞冴はぼそりと言った。
「……大和コウ」
「肩書きは?」
「執行部一番隊の隊長」
「だけじゃねーだろ」
つまるところ、コウが怒っているのはそのためだ。ただの隊長なら、霞冴の身を案じる業務上の義理はない。もちろん、コウは同期で友人である霞冴を大切に思っている。しかし、彼には霞冴の安全を気にかける、業務上の理由があった。
霞冴は不服そうに目をそらして、唇を尖らせた。
「……最司官護衛官――総司令部最高司令官護衛官」
その答えに、コウは小さく嘆息すると、片手で持ち上げていた霞冴をそっと下ろした。
「そう。オレにはお前を守る義務がある。そんなオレに何も言わず外に出て、ケガでもしてみろ。前はまだ明るかったから護衛はいらねーだろって言ったが、今回は夜中じゃねーか」
「私、護られるほど弱くないもん」
ぷくっとふくれっ面になる霞冴に、コウはやれやれと首を振る。
「へいへい、わかったよ。けど、今度から声くらいかけろ。心配する」
「そっか。心配かけちゃうのはよくないね。ごめんね」
素直に謝る霞冴に、コウは一度だけ深くうなずくと、「じゃ、戻るわ」と踵を返した。このためだけに来てくれたのか、と彼の気遣いに嬉しさを感じつつ、
「ねえ、コウ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「またかよ。手短にな」
「あのね、コウって――」
霞冴は、先ほどから考えあぐねていたことを問うてみた。誰に聞いても同じ答えが返ってきそうな気もするが、念のため。
「――って、怖いと思う?」
「……は?」
コウははばかることなく眉をひそめた。
「どういうことだ? 怖いわけねーだろ」
「だよねー。やっぱそうだよねー。ではおやすみ」
ぴし、と敬礼して去っていく霞冴。コウは「何なんだ?」と呆気にとられた後、それ以上考えることを放棄して、霞冴に背を向けて歩いて行った。
(……ほんと、どういうことだったんだろ)
ユメの「フロイトの怖物判断」で判明した、あの人物の腑に落ちない恐怖対象。だが、なぜそれを恐れるのかと本人に聞くのもいかがなものだろうか。
だから、今日限りの謎にしておこう。さして重要な事項でもないのだ、明日には忘れてしまおう。
霞冴は総司令部室のドアノブを開ける前に、最後に一度だけ、暇乞いのようにその疑問を繰り返した。
(なんで……芽華実は、あんなものを怖がったんだろ?)
「これが……」
「初歩的な雷術の詠唱と言霊……詠言ね」
キラが雷奈に渡したのは、手のひらサイズのメモ三枚。それぞれ別の呪文が書かれている。ハネや払いの威勢のよさにキラらしさが見える自筆だった。
「これ唱えると、術が出せる……ってことったいね」
「そそ。まあ、雷奈っちほどパワーがあれば、詠言なしでもダークくらい倒せるだろうけどさ。運動神経もいいみたいだし」
両手を広げてパワフルさを表現するキラを、雷奈は思わず凝視した。まるで、実際に見たかのような口ぶりだ。雷奈が術を発動したのは二度。一度目は空き地でダークが暴れていた時。二度目は三枝岬で雷帆と直接対決した時。そのどちらも、キラはいなかったはずだ。
雷奈の視線に気づくと、二本足で歩いていたキラは、右手をフリフリと振った。
「ああ、三枝岬の時、あたし、実はあの場にいたんだよ」
「ええっ!?」
「だって、あたし、霊那っちたいちょーの部下だし。三番隊総出だったんだよ? プラス救護班の十番隊員数名」
「あ……そっか」
絶体絶命の雷奈を救ったのは霊那たち三番隊。キラも三番隊なのだから、その場にいてもおかしくないのだ。
「あの時、あたしは人払い班でね。万が一人間がやってこないように術を張ってたわけさ」
「だから会わんかったとね……」
「ま、それは置いといて。雷奈っちは確かに強い。けど、詠言を使うと使わないとじゃ大違いなんだよ。使わなかった場合、燃費は悪いわ効率は落ちるわ、例えば雷術の場合はでたらめに放電するだけしかできない。でも、詠言を使い分ければ、効率よく源子を操れるから疲れにくいし、多彩な形で出力できる。だから練習あるのみ、ね」
雷奈はうなずいてメモに目をやった。まずは文言を覚えなければならない。一見無意味に見える文章を自分なりに解釈し、意味づけて記憶しようとする。熱心にメモを読む雷奈を満悦そうに見上げていたキラは、「そういやさ」と頭の後ろに手をまわした。
「雷奈っちの怖いものって、何?」
「え?」
「だってペアだから、どうせバレることじゃん。先にお互い明かしておいたほうが、心の準備ができるんじゃない?」
「それは、確かに」
雷奈は口元に手を当てて考えた。怖いもの、と言ってもピンキリだ。例えば、単にそばで大きな音が鳴るだけでもその時は怖いし、地震や火事ももちろん怖い。だが、直近でいえば――。
「死ぬことは……もちろん怖かね。雷帆に狙われて思ったばっかりやけん」
「あはっ、タイムリーだね。まあ、誰だってそうだよね。あたしだってそうだよ。……でも、同時に、誰かを失うことも同じくらい怖い。あたしはそう思うよ」
雷奈はハッとしてキラを見た。
「今のフィライン・エデンの住人は大抵そう思ってるだろうね。先の侵攻で身近な存在を亡くした人が多いから。あたしみたいな幸せ者のほうが少ないと思うよ。特に希兵隊員は」
だからさ、とキラは雷奈を見上げる。
「大事な人には、是が非でも生きててほしいよね。生きてりゃどうとでもなるもん」
「……私は」
キラが歩くのとは反対側の地面を見ながら、雷奈は口を開いた。
「昔、母さんば亡くした。やけん、誰かば失うことは怖いと思うし、生きててほしいとも思う」
「あ、なんかごめん……」
「ばってん」
キラの謝罪をさえぎると、雷奈は唇を湿らせて、かすれた声で言った。
「……生きながらに狂って、壊れていくほうが……死ぬより、怖いと思う」
言ってから、少し後悔した。喉を破って生まれる叫び声と、永劫消えない傷跡がフラッシュバックする。
「……雷……」
キラの声は途中で切れた。顔を引きつらせ、雷奈のすねを手でたたく。
「ん?」
雷奈が振り返ると、そこには人影が一つ浮かんでいた。最初は曖昧だった輪郭は徐々にはっきりしていき、一人の少女を形作る。
「あれ? 霊那……?」
現れたのは、執行着姿の霊那だ。亜麻色の長い前髪の下、切れ長の目が冷たく二人を見ている。
「霊那……いや、この変な感じ、もしかして幻覚……あれ? どうしたと?」
見れば、キラがガタガタと震えている。
「え、ちょっと、キラ?」
「たたたたいちょー、やだなぁ、その目やめてってば……」
「……もしかして、キラの怖いものって……」
すると、霊那がおもむろに懐に手をやった。何をするのか、と身構えた雷奈は、幻覚の霊那が取り出したものに戦慄した。やけに手慣れた動作でピストンを押すと、先端から液体がわずかに飛び出す。
「ちゅ……注射イヤぁぁ~っ!」
キラを抱えて脱兎のごとく駆け出す雷奈。撒いたか、と振り返っても、霊那は一定の距離を保って追いかけてくる。どんなに雷奈の足が速かろうと、相手は雷奈とキラの脳が映し出す幻視。それを撒こうなど、太陽から逃げようとするのと同じくらい不可能なことである。しかし、今の雷奈にそこまで考える余裕はない。
霊那は懐からさらに大量の注射器を取り出すと、それを雷奈たちに向かって投擲した。注射器をクナイのように投げつける霊那というシュールな幻覚から、雷奈は半泣きで逃げ続ける。
「そ、そうだ、雷奈っち、雷術を!」
「あ、そっか!」
ちょうどお札置き場に到着し、Uターンを強いられる。霊那との対峙は必至だ。
雷奈は先ほど覚えた三つの詠言の中から、最初に思い出したものを唱えた。
「眼打つ柏手、不確かな羅針! 積み上げるは一点より一様の一歩! 足踏みの最果てに瞬殺を予感せよ!」
前に突き出した手から雷がほとばしり、それらはまとまって球形となる。十分な大きさになったのを確認して、雷奈は鋭く唱えた。
「哭け、雷砲っ!」
手のひらの前で渦巻いていた雷の球は、はじかれたように前方へと飛んでいった。そして霊那の胸元を貫通すると、黒衣の姿を揺らぐ霧へと分解する。
「成功! 霧の構成を崩せたよ! 扱いはばっちりだね!」
「ばってん、またすぐに再生しちゃうっちゃろ? 早く逃げよう!」
すぐさま駆け出す雷奈の腕の中で、キラはちらと頭上の彼女を見上げた。
(氷架璃っちと芽華実っちの修行は話には聞いてたけど……雷奈っちはその比じゃない。一発で術を成功させるなんて……なんかありそうだよね。……でも、ま、いっか)
普段からあまり深いことは考えない主義のキラは、ただ心の中で「おめでと」とつぶやいて、新たな武器を手に入れた雷奈を祝福するだけにしておいた。
その後も追ってくる霊那に雷術を放つと、二回とも成功。機嫌も上々に、雷奈は首尾よく森を脱出した。
「ただいま~」
皆のところに帰り、ふう、と息をついた雷奈に、霞冴がスキップまじりに近づいた。
「おかえり、雷奈~。術は使えた?」
「うん、一種類だけやったけど、上手くいったばい」
指で丸を作って見せる雷奈に、霞冴は満足げに目を細めた。
「それは何より。キラもたっぷり彼女に追いかけられたのかな?」
「ちょ、霞冴っち! 私が怖がってること、本人には言わないでよ!?」
「あははー、日ごろの行いがよければねー。さ、いよいよ最終ペアだよ。いってらっしゃーい」
能天気なテンションで手を振る彼女に、二人は変わらずじっとりとした視線を向けると、しぶしぶ森の中へと入っていった。
***
最後のペア、アワとフーはさくさくと土を踏みしめながら歩みを進めていた。二人とも怖じることもなく、しかし別段楽しんでいる様子もなく、任務をこなすように淡々と距離を消化していく。
懐中電灯で前方を照らすアワが口を開いた。
「まったく、霞冴ったら、自分の立場を忘れてるんじゃないかな。お楽しみが好きな時尼霞冴っていう女の子である以上に、彼女はフィライン・エデンにおける三大勢力の一角のトップだっていうのに」
「本来なら手を出さないでって言いたいところだけど……いろいろ変化球だものね、今回は。それに、人間に危害が及ばない程度なら、希兵隊が接しても別に問題ないんだし」
「そうだけどさー、術の訓練する気満々なのはバレバレじゃん。っていうか、だいたい、人と猫の交流会っていうならさ。普通、ボクと氷架璃、フーと芽華実がペアになるべきなんじゃないの?」
「そうね、でもせっかくだから、パートナーを交換して交流してもいいかも」
「たしかに。あ、でも、そしたら雷奈は?」
「困っちゃったわね」
二人は顔を見合わせて笑うと、進行方向へと向き直った。森と霧に囲まれているからか、まるで狭いところに二人で閉じ込められているように錯覚して、お互いをより強く感じさせる。静寂は、相手の呼吸さえ聞こえてきそうなほどだ。
「……こうして二人きりになるのって、なんだか久しぶりね」
「そうだね。人間界が解放されてからは、いつも三人も一緒だから……」
その瞬間、アワの言葉を遮るように轟音が鳴り響いた。ほぼ同時に、激しい明滅が二人の目をくらませる。
「きゃっ!?」
フーは反射的に、そばにあったものにすがりついた。直後、それがアワの腕だと気づき、弾かれたように離れる。
「ご、ごめんなさい」
「いえいえ。……今の雷は、本物かな?」
「霧に囲まれていて空は見えないけど……多分、幻覚だと思う。……私、雷、苦手だから」
不覚にも目尻に浮かべた涙をぬぐい、フーは決まり悪そうに笑った。アワは「そうなんだ」と微笑んで、手を差し出した。
「え?」
「手、つないだら、少しはマシかなー、なんて……ごめん、図々しかっ……」
アワはしゃっくりのような呼吸で言葉を飲み込んだ。触れた柔らかな手のひらから、フーの体温が流れ込んでくる。
「い、いいかな……?」
上目遣いにフーが聞く。アワはこくこくと頷くと、その手をしっかり握って歩き出した。
それからも、時折、稲妻が走り、つんざくような音が響く。その度に、アワはフーの手を強く握った。弁明するように「雷術は怖くないけど、術者のいない雷は怖いの。だってどこに飛ぶかわからないじゃない」とフーが言えば、アワは「そうだね、よくわかるよ」と答えた。
ようやく到着した目的地点には、最後の一枚となったお札が置いてあった。それを手にすると、アワは「戻ろうか」とフーに笑いかけた。Uターンしての帰り道も、雷は鳴り響く。その間、フーは一つの疑問をずっと巡らせていた。
(さっきから雷の幻覚しか現れない……。でも、それは私の怖いもの。じゃあ、アワの怖いものって……?)
帰り道に新手が出てくるのかと身構えるも、その気配はない。まさかアワだけ免除、ということもないだろう。
考え込むフーの思考を遮るように、またも雷が炸裂する。フーが身をすくませるのと、アワが手を強く握るのは同時だった。その途端、稲光ではない閃きが、フーの頭に走った。
雷鳴が轟くたびにフーの手を強く握るアワ。術者のいない雷は怖いというフーの言葉に賛同したアワ。
(――まさか)
二人いるのに、現れる「怖いもの」の幻影は一つ。その理由は――。
(まさか、アワも……)
「大丈夫? フー」
フーを見下ろして、けれど彼は言うのだ。
「幻覚だから無害だろうけど、何かあってもボクが守るからね」
「……っ」
直視できなくて、フーは顔を伏せた。無視したと思われたくなくて、下を見たまま「ありがとう……」とつぶやく。
「……なんかさ」
アワの声を、耳だけで聞く。
「……ボク、流清家に生まれなきゃよかった。それか、フーが風中家じゃなきゃよかったのに」
「え?」
思わず、アワの方を振り向く。前方を見つめたままの彼の表情は、懐中電灯だけでは心もとなくて、あまりよく見えないが、微笑をたたえた優しげな、いつもの表情に見える。彼はそのまま、軽い調子で続けた。
「だって、そしたら許されたかもしれないじゃないか」
「何が――」
フーがそう問いかけようとした時、カッと閃光がほとばしった。だが、フーは怯えることも忘れてその横顔を凝視していた。
暗がりを光が照らした一瞬、アワの頬の色が見えてしまったから。
――人間接待を担う流清家と風中家には、いくつかの取り決めがある。その一つが、独占行為の禁止だ。人間に、あるいは人間界に対し、不適切な働きをするのを防ぐため、人間接待は必ず二家が同等の権力をもって行う。すなわち、流清家と風中家は協力し合う仲であると同時に、牽制し合う仲でなければならない。二つの血筋が交わるなどもってのほかだ。独裁につながらないよう、二家は完全に独立している必要がある。
そのため、二家の者同士にはただ一つ、禁じられた感情があった。その感情の名は――。
「め……滅多なこと言っちゃダメよ」
フーは音がしそうなほど硬い動きで正面に向き直った。
「私たちは名誉ある二家の正当後継者。それを誇りに思い、使命を全うしなきゃいけないんだから」
「……そうだね。ごめんよ、軽はずみなことを言って」
「……でも」
声を震わせて、フーは小さく小さく言った。
「……ごめん、私も……そう思う……」
アワの方を見る勇気など、なかった。
やがて、出口が近づいてくると、霧は徐々に薄まり、雷の幻覚も現れなくなった。
「手、ほどいても、いいかな。このままじゃボクたち、勘当されちゃう」
アワが冗談めかして言った。フーも「そうね」と笑って、手と手は別れた。
皆の元に戻るまでの間、二人は同じことを考えていた。
この気持ちを意識し続けたままでは、きっと過ごしにくい。
だから、感情も鼓動も全部全部、霧の幻覚のせいにしてしまえ、と。
***
夜もすっかり深くなった頃、霞冴による閉会式が行われた。閉会式といっても、なんの表彰があるわけでもなく、ただありきたりな挨拶をして、解散しただけだ。
結局、猫と人間の交流会を謳っておきながら、ペアの組み合わせが雷奈とキラ以外は猫同士、人間同士だったので、腑に落ちない部分が残った氷架璃と芽華実。雷奈はそれに気づいているのかいないのか、詠言を教えてもらって上機嫌だ。霞冴の真の目的に気づいていたアワとフーはといえば、森に入って帰ってきてからどこか上の空で、霞冴を視線で責めることもしなかった。人間がらみのことで正統後継者ににらまれるなど、霞冴にとっては大変楽しくないので、ほっと一安心だ。ならばアワとフーを肝試しに呼ばなければよかった話だが、彼らに黙って人間に術を仕込もうとするほうが、後が怖かったのである。
キラと共に希兵隊舎に帰ってから、彼女と別れて司令部室へと向かう廊下の途中、霞冴の頭にはある一つの疑問が渦巻いていた。何かと軽く見られがちな彼女だが、これでも希兵隊全体に司令を送る指揮官だ。頭の回転は速いほうである。しかし、どんな角度から試みても、答えの前に立ちはだかる重い石の扉を開くことができない。
「うーん……?」
腕組みをして廊下を歩く彼女の背後に、長身の影が忍び寄る。その腕が霞冴の背中へとのびて、
「時尼ァ!」
「うきゃっ!?」
四角い後ろ襟をひっつかまれ、霞冴は盛大に悲鳴を上げた。まるで首根っこをくわえられた子猫のように、宙に持ち上げられる。じたばたと暴れていた霞冴は、やがて目に入った見知った顔に抵抗をやめた。
「コウ!」
「お前はなに夜中に抜け出してんだ! アホか!」
「ちゃんと総司令部の部下には伝えたよぅ」
「オレにも伝えろ、オレにも! お前、オレが誰だかわかってんだろ!?」
灰色の研がれた目ににらまれ、霞冴はぼそりと言った。
「……大和コウ」
「肩書きは?」
「執行部一番隊の隊長」
「だけじゃねーだろ」
つまるところ、コウが怒っているのはそのためだ。ただの隊長なら、霞冴の身を案じる業務上の義理はない。もちろん、コウは同期で友人である霞冴を大切に思っている。しかし、彼には霞冴の安全を気にかける、業務上の理由があった。
霞冴は不服そうに目をそらして、唇を尖らせた。
「……最司官護衛官――総司令部最高司令官護衛官」
その答えに、コウは小さく嘆息すると、片手で持ち上げていた霞冴をそっと下ろした。
「そう。オレにはお前を守る義務がある。そんなオレに何も言わず外に出て、ケガでもしてみろ。前はまだ明るかったから護衛はいらねーだろって言ったが、今回は夜中じゃねーか」
「私、護られるほど弱くないもん」
ぷくっとふくれっ面になる霞冴に、コウはやれやれと首を振る。
「へいへい、わかったよ。けど、今度から声くらいかけろ。心配する」
「そっか。心配かけちゃうのはよくないね。ごめんね」
素直に謝る霞冴に、コウは一度だけ深くうなずくと、「じゃ、戻るわ」と踵を返した。このためだけに来てくれたのか、と彼の気遣いに嬉しさを感じつつ、
「ねえ、コウ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「またかよ。手短にな」
「あのね、コウって――」
霞冴は、先ほどから考えあぐねていたことを問うてみた。誰に聞いても同じ答えが返ってきそうな気もするが、念のため。
「――って、怖いと思う?」
「……は?」
コウははばかることなく眉をひそめた。
「どういうことだ? 怖いわけねーだろ」
「だよねー。やっぱそうだよねー。ではおやすみ」
ぴし、と敬礼して去っていく霞冴。コウは「何なんだ?」と呆気にとられた後、それ以上考えることを放棄して、霞冴に背を向けて歩いて行った。
(……ほんと、どういうことだったんだろ)
ユメの「フロイトの怖物判断」で判明した、あの人物の腑に落ちない恐怖対象。だが、なぜそれを恐れるのかと本人に聞くのもいかがなものだろうか。
だから、今日限りの謎にしておこう。さして重要な事項でもないのだ、明日には忘れてしまおう。
霞冴は総司令部室のドアノブを開ける前に、最後に一度だけ、暇乞いのようにその疑問を繰り返した。
(なんで……芽華実は、あんなものを怖がったんだろ?)
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