12 / 24
どうやら僕は転生してしまったらしい
side:セオドア④
しおりを挟む
やっと涙が止まり動けるようになった俺は、ノアの無事を自分できちんと確認しなければと侍従を連れて部屋を出た。
しかしドアの前でふと我に返ってしまったのだ。
衝動的に部屋まで押しかけようとしてしまったが、ノアに嫌がられるのでは無いだろうか、と。
ノアに嫌がられたく無い。しかしノアが無事に回復した姿をこの目で確認しなければ落ち着かないのだ。
ノアの部屋と俺の部屋の間をウロウロと数分彷徨っていたのだが。
「セオドア様・・・・・・」
連れて来ていた侍従のロドニーにとても呆れられてしまった。すまない、わかったから・・・・・・頼むからそんな目で見ないでくれ・・・・・・!
ロドニーの心の底から残念な人を見るような視線のお陰で決心がやっと付いた俺は、ノアに嫌がられたとしても無事を確認するのだ!と心を奮い立たせ、ノアの部屋の扉の前へと向かったのだ。
よし、と気合を入れてドアをノックしたのだが。なかなかドアが開かないのだ。
もしかしたらサミュエルが居ないのかもしれない。勝手に入ってノアにもう来るなと言われるのだけは避けなければならない。また出直すか・・・・・・。
そう思い扉から一歩離れようとした時、ガチャリと控えめに扉が開き、天使がひょっこりと顔を覗かせたのだ。
どうやら俺のことをサミュエルだと思ったらしい。やはりサミュエルは部屋に居ないようだ。
しかし俺の天使が可愛い。扉からひょっこりと顔を覗かせ普段はとろんと垂れている大きな瞳をキョトンと瞬かせている。
おっといけない。あまりの可愛さに顔が崩れてしまうところだった。気を付けねば。
慌てて眉間に力を入れて表情筋を固めるように意識をした。
それにしてももう起きていて大丈夫なのだろうか?普通の病気とは違うのだろうが体は辛くないだろうか。
そう思いもう起きていいのかとノアに聞いたのだが、ノアの可愛らしい小さなお口から出て来た言葉は何故か敬語で。普段のノアは俺に敬語なんて絶対に使わない故、まだどこか辛いのではないだろうかと心配になる。もしや辛いのを誤魔化そうとしているのではないか、と。
そんな思いが口に出てしまっていたらしい。ノアは大丈夫だと首を振って。あぁ、そんなに首を振っては頭がくらくらしてしまうのではないか?また倒れてしまったりしないだろうか。
などとまた心配していると、ノアが・・・・・・、あの、俺が名前を呼んだだけで鬱陶しいと怒るあのノアが!幼い頃はセオにぃって呼んでくれていたのに、いつの間にかねぇとかちょっととしか呼んでくれなくなったノアが!俺のことをにぃ様と・・・・・・!?
驚きのあまり固めていたはずの表情筋が緩んでしまった。まずい。このままではノアににぃ様と呼んでもらえたのが嬉しすぎて顔が溶けてしまう。
あー・・・・・・首を傾げているノアも愛い。と思いつつも慌てて表情筋を固め直した。
すると何故かノアは麗しい顔をしょぼんとさせてしまい。捨てられそうな子犬みたいな顔で俺を見ているではないか。どういうことだ?ノアは俺にこんな顔を見せたことなどないのに。
動揺のあまり思わずロドニーに助けを求めてしまった。そのロドニーも驚いていて2人で顔を見合わせる事しか出来なかったのだが。
しかしここでノアが!俺の服の裾をくいくいと引っ張ってくるではないか!まだ俺をセオにいと慕ってくれていた頃を思い出し、もうこんな事はないかもしれないから一生覚えておかないとと心のシャッターで可愛らしいノアを連写していると、何故かノアに自分の名前はノアだと主張されて。
何かがおかしい。
ノアは俺と関わりたくないと遠ざけていた筈なのに。しかも俺がノアが名前を呼ばれたくないと言ったのだろうと聞くと、小さなお口をぽかんと可愛らしく開けて驚いたのだ。
やはり何かがおかしい。ノアに何があったのだろうか。
そう思い他に何かいつもと違う所は無いか、大丈夫なのかを確認しようとノアをジッと見つめていたのだが、それが分かる前にサミュエルが戻って来たのだった。
俺が居るのを見て驚いているようではあったが、俺とノアが話している事に関しては驚いていないような感じがする。何故だろうか。今までの俺とノアでは有り得ないような出来事なのに。
などと思っていると、サミュエルにベッドへ行くように促されたノアが、俺と一緒がいいなどと言い俺の服を離すまいと小さな手で一生懸命掴んでいるではないか。
愛らしいにも程があるのではないか・・・・・・?
ノアが俺と一緒に居たいなどと言ってくれた驚きと、ノアの可愛らしさに悶えながら促されるままにノアの部屋に入ったのだった。
しかし俺と一緒に居たいなどとノアが言うなんて、もしかしたらまだ本調子じゃないのかもしれない。もしくは生死を彷徨って不安になっているのだろうか?俺なんかでもいないよりはマシだと思ってもらえているとか・・・・・・?
サミュエルが給仕をしてくれている間にそんな事を考えていたのだが。
「そうですね・・・・・・。実はノア様には今までの記憶が無いようなのです」
サラリと伝えられたその事実に、俺の頭は思考を停止してしまったのだ。
しかしドアの前でふと我に返ってしまったのだ。
衝動的に部屋まで押しかけようとしてしまったが、ノアに嫌がられるのでは無いだろうか、と。
ノアに嫌がられたく無い。しかしノアが無事に回復した姿をこの目で確認しなければ落ち着かないのだ。
ノアの部屋と俺の部屋の間をウロウロと数分彷徨っていたのだが。
「セオドア様・・・・・・」
連れて来ていた侍従のロドニーにとても呆れられてしまった。すまない、わかったから・・・・・・頼むからそんな目で見ないでくれ・・・・・・!
ロドニーの心の底から残念な人を見るような視線のお陰で決心がやっと付いた俺は、ノアに嫌がられたとしても無事を確認するのだ!と心を奮い立たせ、ノアの部屋の扉の前へと向かったのだ。
よし、と気合を入れてドアをノックしたのだが。なかなかドアが開かないのだ。
もしかしたらサミュエルが居ないのかもしれない。勝手に入ってノアにもう来るなと言われるのだけは避けなければならない。また出直すか・・・・・・。
そう思い扉から一歩離れようとした時、ガチャリと控えめに扉が開き、天使がひょっこりと顔を覗かせたのだ。
どうやら俺のことをサミュエルだと思ったらしい。やはりサミュエルは部屋に居ないようだ。
しかし俺の天使が可愛い。扉からひょっこりと顔を覗かせ普段はとろんと垂れている大きな瞳をキョトンと瞬かせている。
おっといけない。あまりの可愛さに顔が崩れてしまうところだった。気を付けねば。
慌てて眉間に力を入れて表情筋を固めるように意識をした。
それにしてももう起きていて大丈夫なのだろうか?普通の病気とは違うのだろうが体は辛くないだろうか。
そう思いもう起きていいのかとノアに聞いたのだが、ノアの可愛らしい小さなお口から出て来た言葉は何故か敬語で。普段のノアは俺に敬語なんて絶対に使わない故、まだどこか辛いのではないだろうかと心配になる。もしや辛いのを誤魔化そうとしているのではないか、と。
そんな思いが口に出てしまっていたらしい。ノアは大丈夫だと首を振って。あぁ、そんなに首を振っては頭がくらくらしてしまうのではないか?また倒れてしまったりしないだろうか。
などとまた心配していると、ノアが・・・・・・、あの、俺が名前を呼んだだけで鬱陶しいと怒るあのノアが!幼い頃はセオにぃって呼んでくれていたのに、いつの間にかねぇとかちょっととしか呼んでくれなくなったノアが!俺のことをにぃ様と・・・・・・!?
驚きのあまり固めていたはずの表情筋が緩んでしまった。まずい。このままではノアににぃ様と呼んでもらえたのが嬉しすぎて顔が溶けてしまう。
あー・・・・・・首を傾げているノアも愛い。と思いつつも慌てて表情筋を固め直した。
すると何故かノアは麗しい顔をしょぼんとさせてしまい。捨てられそうな子犬みたいな顔で俺を見ているではないか。どういうことだ?ノアは俺にこんな顔を見せたことなどないのに。
動揺のあまり思わずロドニーに助けを求めてしまった。そのロドニーも驚いていて2人で顔を見合わせる事しか出来なかったのだが。
しかしここでノアが!俺の服の裾をくいくいと引っ張ってくるではないか!まだ俺をセオにいと慕ってくれていた頃を思い出し、もうこんな事はないかもしれないから一生覚えておかないとと心のシャッターで可愛らしいノアを連写していると、何故かノアに自分の名前はノアだと主張されて。
何かがおかしい。
ノアは俺と関わりたくないと遠ざけていた筈なのに。しかも俺がノアが名前を呼ばれたくないと言ったのだろうと聞くと、小さなお口をぽかんと可愛らしく開けて驚いたのだ。
やはり何かがおかしい。ノアに何があったのだろうか。
そう思い他に何かいつもと違う所は無いか、大丈夫なのかを確認しようとノアをジッと見つめていたのだが、それが分かる前にサミュエルが戻って来たのだった。
俺が居るのを見て驚いているようではあったが、俺とノアが話している事に関しては驚いていないような感じがする。何故だろうか。今までの俺とノアでは有り得ないような出来事なのに。
などと思っていると、サミュエルにベッドへ行くように促されたノアが、俺と一緒がいいなどと言い俺の服を離すまいと小さな手で一生懸命掴んでいるではないか。
愛らしいにも程があるのではないか・・・・・・?
ノアが俺と一緒に居たいなどと言ってくれた驚きと、ノアの可愛らしさに悶えながら促されるままにノアの部屋に入ったのだった。
しかし俺と一緒に居たいなどとノアが言うなんて、もしかしたらまだ本調子じゃないのかもしれない。もしくは生死を彷徨って不安になっているのだろうか?俺なんかでもいないよりはマシだと思ってもらえているとか・・・・・・?
サミュエルが給仕をしてくれている間にそんな事を考えていたのだが。
「そうですね・・・・・・。実はノア様には今までの記憶が無いようなのです」
サラリと伝えられたその事実に、俺の頭は思考を停止してしまったのだ。
244
あなたにおすすめの小説
義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。
※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました!
えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。
※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです!
※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜
COCO
BL
「ミミルがいないの……?」
涙目でそうつぶやいた僕を見て、
騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。
前世は政治家の家に生まれたけど、
愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。
最後はストーカーの担任に殺された。
でも今世では……
「ルカは、僕らの宝物だよ」
目を覚ました僕は、
最強の父と美しい母に全力で愛されていた。
全員190cm超えの“男しかいない世界”で、
小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。
魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは──
「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」
これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
騎士×妖精
推し変したら婚約者の様子がおかしくなりました。ついでに周りの様子もおかしくなりました。
オルロ
BL
ゲームの世界に転生したコルシャ。
ある日、推しを見て前世の記憶を取り戻したコルシャは、すっかり推しを追うのに夢中になってしまう。すると、ずっと冷たかった婚約者の様子が可笑しくなってきて、そして何故か周りの様子も?!
主人公総愛されで進んでいきます。それでも大丈夫という方はお読みください。
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる