目が覚めたら黒髪黒目至上主義の世界に転生していたみたいです

抹茶もち

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どうやら僕は転生してしまったらしい

side:セオドア④

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やっと涙が止まり動けるようになった俺は、ノアの無事を自分できちんと確認しなければと侍従を連れて部屋を出た。

しかしドアの前でふと我に返ってしまったのだ。
衝動的に部屋まで押しかけようとしてしまったが、ノアに嫌がられるのでは無いだろうか、と。

ノアに嫌がられたく無い。しかしノアが無事に回復した姿をこの目で確認しなければ落ち着かないのだ。

ノアの部屋と俺の部屋の間をウロウロと数分彷徨っていたのだが。

「セオドア様・・・・・・」

連れて来ていた侍従のロドニーにとても呆れられてしまった。すまない、わかったから・・・・・・頼むからそんな目で見ないでくれ・・・・・・!

ロドニーの心の底から残念な人を見るような視線のお陰で決心がやっと付いた俺は、ノアに嫌がられたとしても無事を確認するのだ!と心を奮い立たせ、ノアの部屋の扉の前へと向かったのだ。

よし、と気合を入れてドアをノックしたのだが。なかなかドアが開かないのだ。

もしかしたらサミュエルが居ないのかもしれない。勝手に入ってノアにもう来るなと言われるのだけは避けなければならない。また出直すか・・・・・・。

そう思い扉から一歩離れようとした時、ガチャリと控えめに扉が開き、天使がひょっこりと顔を覗かせたのだ。

どうやら俺のことをサミュエルだと思ったらしい。やはりサミュエルは部屋に居ないようだ。

しかし俺の天使が可愛い。扉からひょっこりと顔を覗かせ普段はとろんと垂れている大きな瞳をキョトンと瞬かせている。

おっといけない。あまりの可愛さに顔が崩れてしまうところだった。気を付けねば。
慌てて眉間に力を入れて表情筋を固めるように意識をした。

それにしてももう起きていて大丈夫なのだろうか?普通の病気とは違うのだろうが体は辛くないだろうか。

そう思いもう起きていいのかとノアに聞いたのだが、ノアの可愛らしい小さなお口から出て来た言葉は何故か敬語で。普段のノアは俺に敬語なんて絶対に使わない故、まだどこか辛いのではないだろうかと心配になる。もしや辛いのを誤魔化そうとしているのではないか、と。

そんな思いが口に出てしまっていたらしい。ノアは大丈夫だと首を振って。あぁ、そんなに首を振っては頭がくらくらしてしまうのではないか?また倒れてしまったりしないだろうか。

などとまた心配していると、ノアが・・・・・・、あの、俺が名前を呼んだだけで鬱陶しいと怒るあのノアが!幼い頃はセオにぃって呼んでくれていたのに、いつの間にかねぇとかちょっととしか呼んでくれなくなったノアが!俺のことをにぃ様と・・・・・・!?

驚きのあまり固めていたはずの表情筋が緩んでしまった。まずい。このままではノアににぃ様と呼んでもらえたのが嬉しすぎて顔が溶けてしまう。

あー・・・・・・首を傾げているノアも愛いうい。と思いつつも慌てて表情筋を固め直した。

すると何故かノアは麗しい顔をしょぼんとさせてしまい。捨てられそうな子犬みたいな顔で俺を見ているではないか。どういうことだ?ノアは俺にこんな顔を見せたことなどないのに。

動揺のあまり思わずロドニーに助けを求めてしまった。そのロドニーも驚いていて2人で顔を見合わせる事しか出来なかったのだが。

しかしここでノアが!俺の服の裾をくいくいと引っ張ってくるではないか!まだ俺をセオにいと慕ってくれていた頃を思い出し、もうこんな事はないかもしれないから一生覚えておかないとと心のシャッターで可愛らしいノアを連写していると、何故かノアに自分の名前はノアだと主張されて。

何かがおかしい。

ノアは俺と関わりたくないと遠ざけていた筈なのに。しかも俺がノアが名前を呼ばれたくないと言ったのだろうと聞くと、小さなお口をぽかんと可愛らしく開けて驚いたのだ。

やはり何かがおかしい。ノアに何があったのだろうか。
そう思い他に何かいつもと違う所は無いか、大丈夫なのかを確認しようとノアをジッと見つめていたのだが、それが分かる前にサミュエルが戻って来たのだった。

俺が居るのを見て驚いているようではあったが、俺とノアが話している事に関しては驚いていないような感じがする。何故だろうか。今までの俺とノアでは有り得ないような出来事なのに。

などと思っていると、サミュエルにベッドへ行くように促されたノアが、俺と一緒がいいなどと言い俺の服を離すまいと小さな手で一生懸命掴んでいるではないか。

愛らしいにも程があるのではないか・・・・・・?

ノアが俺と一緒に居たいなどと言ってくれた驚きと、ノアの可愛らしさに悶えながら促されるままにノアの部屋に入ったのだった。

しかし俺と一緒に居たいなどとノアが言うなんて、もしかしたらまだ本調子じゃないのかもしれない。もしくは生死を彷徨って不安になっているのだろうか?俺なんかでもいないよりはマシだと思ってもらえているとか・・・・・・?

サミュエルが給仕をしてくれている間にそんな事を考えていたのだが。


「そうですね・・・・・・。実はノア様には今までの記憶が無いようなのです」


サラリと伝えられたその事実に、俺の頭は思考を停止してしまったのだ。


 
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