目が覚めたら黒髪黒目至上主義の世界に転生していたみたいです

抹茶もち

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どうやら僕は転生してしまったらしい

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side:ノア

セオにぃ様とお話しした後、僕はしばらくベッドでの安静を言い渡されてしまった。
魔力量がなぜ突然大幅に上昇したのかが分からないのだそうだ。おじいちゃん先生も長くお医者さんをしているけど見たことが無いって言ってたくらい珍しいみたい。

だからしばらく様子を見て、後遺症などが無いか、魔力暴走をする危険性が無いかをちゃんと確認させてほしいって。

だから今僕はベッドの住人なのです。
でも気持ちは元気いっぱいだからさ、とっても暇なのだ。

僕のそばに居てくれているサムとお話ししたりもするけど、サムもお仕事があるし。お仕事っていっても僕のお世話だけど。でも僕の為に色々動いてくれているから、無理矢理お話しに付き合わせるわけにはいかないし。

セオにぃ様はたまに遊びに来てくれて、一緒にお茶を飲んでくれる。たくさんお話をして、最近は眉間のシワよりも笑顔の方が見る確率が高くなって、仲良しになれたみたいでとっても嬉しいのだ。

でもセオにぃ様も跡継ぎのお勉強?が忙しいみたいで、そんなに長くは一緒に居られない。

だから暇を持て余した僕が暇つぶしをしようとするのも仕方がない事だと思うんだ、うん。


寝たふりをして、傍に居なくて大丈夫ですよーってアピールをしていた僕。サムがお部屋から居なくなった隙にベッドからぴょこりと飛び出した。

そしてぼんやりとした日本の記憶から引っ張り出してきた『らじお体操』というのをやってみる事にしたのだ。

本当は魔法を試してみたかったんだけど、僕、魔力暴走したら困りますので。ちゃんと教えてもらってから試すのです。ちゃんと我慢できる僕、偉い。

なぜらじお体操をしてみようと思ったのかというとですね。何をするにも体力って大事だと思うのです。
でも僕、今寝たきりですので。トイレとお風呂以外ベッドから出してもらえませんので。体力が有り余っているはずの子供でも、僕の体力は今ミジンコくらいしかないのです。すぐハーハ―って息が切れちゃうし。

だから走ったりして体力付ける前に、らじお体操で土台をつくるのだ!

そう思って、いっちに、さんっし!ごーろくっ、しっちはっち!と小さな声で呟きながら、ベッドの横に立って記憶の通りにらじお体操をしてみた。

・・・これ意外としんどいぞぉ。全力でらじお体操をしただけでこんなに息が切れるなんて。僕の体力、ミジンコだと思ってたけど、ミジンコ以下だったのかも。

僕って頼りないのかも・・・ってちょっとへこみながらも、サムが帰ってくる前にとベッドにまた潜り込んだ。


────しかし実はサム、少し前に部屋の前まで戻ってきていたのである。
部屋を出る際にノアが寝ていたので、まだ寝ていた時の為に起こさない様小さくノックをしたのだが、一生懸命ラジオ体操をしていたノアはそれに気付かず。
返事が無かったので寝ているのだろうと思い、扉をそっと開けようとしたのだが、そこでノアの可愛らしい呟きが聞こえてきて。

おかしいな、と思い扉の隙間から中を伺うとノアがベッドの横で何やら踊っているではないか。サムは小さな体を一生懸命動かしているその姿の愛らしさに、見悶えそうになっていたのであった。

きっとずっとベッドでの生活に飽きてしまっているのであろう、と見守っていたサム。不思議な踊りが終わったのであろう。踊りをやめたノアが、愕然とした顔で「僕の体力……ミジンコ以下……」と小さく呟いていたのが聞こえた。

可愛らしく愕然としているノアには悪いが、黒髪黒目の子が体力が無いのは当たり前なのである。なにせ壊れ物のように大事に大事に育てられるので、黒髪黒目は例外なく深窓の令嬢のようなものなのだ。
基本的に抱きかかえられて移動している黒髪黒目が多い事も体力が無い一因だろう。夫人もノア様が倒れてしまった時は例外だったが、普段は公爵様にお姫様抱っこをされて移動している事が多い。

しかしノア様は体力が欲しいという事なのだろうか?黒髪黒目が体力強化をするという話は聞いたことが無い。さてどうするか……。

サムがそんなことを考えているとは露知らず、ノアは久しぶりの運動に体力を根こそぎ奪われてベッドに入った瞬間本当に寝入ってしまったのであった。

ノアがベッドに入ったのを確認してから部屋に入ってきたサムにも気付かない程の爆睡であった。

お昼ご飯を抜かして夜までぐっすりと寝てしまい、お腹がぺこぺこになってしまったノアはやはり体力を付けなければ!と心に決めたのであった。


 
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