黒猫ちゃんは愛される

抹茶もち

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時期外れの編入生が来るようです

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 今日もサラッと授業は進みお昼休憩。隆は授業に出れてなくても、昼休憩には必ず1度戻って来て一緒に食堂に行くので、隆のお迎えを大人しく待つ。

「なぁ!遥!昼飯一緒に食いに行こうぜ!!!!」

「遥はいつも俺らと一緒にお昼を食べているんだよ。俺達も一緒でいいかな?」

 授業終わり、雪兎が僕の席の横でぴょんぴょんと跳ねながらお昼を一緒にと言ってくれたので、皆も一緒にでいいならって言おうと思ったところに颯汰がサラリと入ってきた。僕の言いたいことを言ってくれて助かる。さすが颯汰。

「そう、僕いつも4人で食堂に行ってるんだ。皆すっごく素敵な人達だよ。今隣に立ってるのが柳颯汰くんで、雪兎の隣の席の子が麦野律くん。あとはまだ風紀のお仕事で教室に来てないけど、僕の同室の大神隆哉くんだよ」

「よろしく、一ノ瀬君。」

「えっと・・・・・・よろしくな、一ノ瀬君」

「遥の友達・・・・・・そうなのか!!!遥の友達なら俺も友達だな!!!俺の事は雪兎って呼んでくれ!!!颯汰はイケメンだけど律は平凡だな!!本当なら友達になってないけど遥の友達だからな!!仕方が無いから顔がよくなくても仲良くしてやるぞ!!!」

 おおう?とんでもない事言い出したなこの子。颯汰も律もすっごい苦笑いしてる。僕は律がそんな風に言われるの、嫌だなぁ。律だって格好いいのに!自然と唇がツンと尖る。

「・・・・・・雪兎、律は格好良いんだよ。僕はこの1か月色んな事を教えてもらったし、たくさん助けてもらったし、すごく頼もしいんだよ。それに律の顔も格好いいよ?僕、律のこの垂れ目凄く好き。笑ったらクシャってなってすっごく可愛いんだもん。悲しくなっちゃうから僕の大事なお友達の事、そんな風に言わないで。雪兎も自分の大事な友達の事そんな風に言われたら悲しいでしょ?」

「・・・・・・へぁ?!」

 変な声を出した律が真っ赤になって固まってしまった。どうしたんだろう。

「そ・・・・・・そうなのか?遥が悲しく??す、すまなかった・・・・・・。俺は今まで顔の造詣が整っている事が全てだって言われてきたから、周りに居るやつを選ぶときに綺麗か綺麗じゃないか以外で考えたことが無かったんだ。ありえない事だが遥の事をそんな風に言われたら・・・・・・腸が煮えくり返りそうになるだろうな。遥、怒らないでくれ・・・・・・もうあんな事言わないからさ、嫌いにならないで。律も、すまなかった。俺はまた何かおかしなことを言ってしまうかもしれないが、仲良くしてくれるか・・・・・・?」

 さっきまでの勢いがどこかに飛んで行ってしまったかのように、意気消沈してしまった雪兎。心なしか喋り方が変わっている。それにしても顔の造詣が整っていることが全てって言われてきたって、どういう事なんだろう。何だかその考え方は外側しか見てもらえてないみたいで寂しいなぁ。

「い、いや、いいんだよ、俺が他の3人に釣り合わないような平凡顔なのは俺が一番分かってるし。でもよかったら俺とも仲良くしてくれよ、おうど・・・・・・いや違った、雪兎」

 気を取り直したように雪兎に笑いかける律。釣り合わないってなんなのさぁ。確かに律は塩顔かもしれないけど、律の優しさがにじみ出てるような優しい顔で、笑うとクシャって可愛くなる垂れ目が僕はすっごく好きなのに。僕の方が愛想笑いも出来ないような平凡なのに、なんでいつもそんな風に卑下するんだろう。もう!!

「ほんとうか・・・・・・?ありがとう律、優しいんだな!これからよろしくな!!!俺にはよく分からないんだが、常識という奴が無いらしいんだ!!何かおかしい事をしてたら遠慮なく教えてくれ!!頼む!!」

「・・・・・・え?こんな平凡にも素直にそう言える雪兎って普通にいい奴じゃね?普通に非王道じゃなさそうじゃね??王道とはまたちょっと違ってそうだけど」

「んうぅうう!!もう!我慢できない!!颯汰と隆が格好良いのは当たり前だけど!律だって平凡じゃなくて格好良いの!釣り合わないとか言わないで!!これだけはぜぇったいに律にも否定はさせないんだからぁ!それに雪兎は素直でとってもいい子で、もう僕の大事なお友達なんだからそんなに簡単に嫌いになったりしないもん!!もう!!だいたい律が平凡なんだったら僕なんてもっと平凡なの!!もう!それに容姿が整ってるとか整ってないとか友達になるのに関係ないのぉ!!僕はどんな姿だって皆の事大好きなんだから!!もう!!!』

 ふーっふーっと息を乱しながらプンプンしていると、途中から何が言いたいかよく分からなくなってきてウルウルと涙が溜まってくる。3人はポカンと口を開けて固まってしまっている。

「遥?猫みたいに毛逆立ててどうしたんだよ。大丈夫か?」

 ふわりとよく知る爽やかな香りが鼻をくすぐる。いつの間にか帰ってきていた隆にぎゅっと抱きしめられ、頭をポンポンと撫でながら宥められた。隆の匂いに包まれて安心した僕は情けない声が出てしまう。

「りゅう~結局何が言いたいのかよく分かんなくなってきちゃった・・・・・・。僕は皆が大好きだから自分で自分の事悪く言ったりしてるのを聞くと悲しくなるし、それにみんな仲良くしたくて、それで、えっと、うぅー・・・・・・」

「そうかそうか、大丈夫だ、遥の気持ちはきっと伝わってるはずだぞ?3人ともなんかよく分かんねぇけど顔真っ赤だしな。なぁお前ら」

 隆の腕の中からチラリと皆の方を見ると、コクコクと頷いてくれていた。

「ほんと?みんな僕が言いたいこと分かったの?僕が分かってないのに?やっぱり皆はすごいねぇ」

 隆にぎゅーっと抱き着いたまま胸に頭をグリグリと擦り付けてたら落ち着いてきた。僕がよく分かってないのに皆は分かってくれたみたいだ。それならまぁいいか。僕の友達、皆すごい。

「よし、遥も落ち着いたな?食堂行こうぜ?今日はそこの編入生のせいで駆けずり回って腹減った。朝ぶりだな一ノ瀬。お前も一緒に行くんだろ?さっさと行くぞ。朝みたいに問題起こさねぇように気を付けろよ」

 最後にポンポンと2回頭を撫でられ手を引かれて立ち上がった。そういえばお腹が空いてたんだった!!

「え?隆哉、雪兎のせいでって何があったんだよ。さては雪兎、副会長にキスでもされたか?」

 にやにやといつもの調子に戻った律が隆と雪兎を交互に見ながら問いかけると、隆と雪兎が同じタイミングで苦虫を嚙み潰したような顔をした。もう仲良しなのかな?

「さすが腐男子だな。副会長の親衛隊が荒れに荒れてんだよ」

「律!なんで分かったんだ?!!でも忘れたままで居させて欲しかったぞ!!」

 ・・・・・・え?きす?魚のじゃなくて・・・・・・まうすとぅーまうす???え?なんで?

「えっと・・・・・・雪兎は副会長様の事が好きだっ「そんなわけないだろ!!!!!!」」

 物凄く大きい声で被せて否定されてしまった。じゃあ何でキス?

 僕がきょとんとしている隣で律が小躍りしそうなほどのテンションで副会長イベ来てたぁあ!知ってたら朝から校門で張ってたのに!!などとブツブツ呟いている。隆と雪兎は苦虫を嚙み潰したような顔で、颯汰は苦笑いを浮かべながらも、ぺこぺこに減っているお腹を満たすために皆でわちゃわちゃと食堂へ向かったのであった。


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