黒猫ちゃんは愛される

抹茶もち

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時期外れの編入生が来るようです

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 庶務さんたちはしばらく2人でヒソヒソと話していたけど、くるりと僕のほうを向いて楽しそうに再度話し始めた。

「僕は月城朝陽!双子の兄の方!」

「僕は月城夕陽!双子の弟の方!」

「2人共はーちゃんと一緒な1-Sだよっ!」

「僕たちを見分けられる人なんて居たことないから」

「間違えちゃっても怒らないから安心してねっ!」

「それでね、はーちゃん!」

「氷姫っていうのは」

「はーちゃんの事なんだよ!!」

「「だから僕達は、はーちゃんとお話ししに来たのっ!」」
 
 ・・・・・・へ??はーちゃんって僕の事?って事は僕が氷姫?えぇ?なんでそんな勘違いを・・・・・・?

「えっと・・・・・・。朝陽くん、夕陽くん、同じクラスだったんですね。宜しくお願いします。それで氷姫が僕っていうのは何かの間違いなんじゃ?僕なんかが姫っておかしいと思うし。それにそんな綺麗な名前はもっと容姿が整った、それこそ副会長様みたいな方に付けるものですよね?僕にそんな綺麗な名前、どう頑張っても似合わないですよ・・・・・・」

 自分で言っててちょっと悲しくなる。僕がおにぃみたいに格好良かったらもう少し自分に自信が持てただろうか?中学であんなに嫌われていたこの容姿が、高校に入ったからって急に好かれるわけない。瞳の色以外中学の頃から一ミリも変わっていないんだから。最近では隆たちが可愛いってたくさん言ってくれて嬉しいけど、それは兄バカに加えて猫を愛でてるのと変わらないだろうし。中学の頃の避けられっぷりを思い出して眉がどんどん下がっていく。

「ちょ、ちょっと夕陽!はーちゃん、無自覚天然系じゃん!」

「こんなに綺麗なのになんでこんなに自己評価低いの?!」

「氷姫なんて呼ばれてるから冷たい傲慢女王様系だと思ってたのに!」

「「こんなのに想定外だよっ!!」」

「わわわっ!はーちゃん凄く悲しそうな顔になっちゃった!!どうしよう・・・・・・!」

「「面白そうとか言ってる場合じゃないね!」」

「夕陽!慰めてあげよう。こんな時は頭なでなでだよ!」

「朝陽天才??今すぐやろう!」

 また僕の目の前でヒソヒソと何事かを相談していた朝陽くんと夕陽くんが、両側から僕の頭を撫で始めた。なんで?悲しかった気持ちより、急に撫でられ始めた事に驚きの方が勝り、きょとんと2人を見てしまう。

「ごめんねはーちゃん、悲しくさせるつもりは無かったんだよ」

「そうだよはーちゃん、僕達ははーちゃんの事凄く綺麗だと思うよ!」

「「はーちゃんはそのままですっごく綺麗で可愛いんだから自信もって!」」

 僕を慰めるようにそう言った2人は、しょぼんと眉を下げながら僕の頭を撫でてくれる。一生懸命僕を慰めようとしてくれる2人はなんだかすごく可愛らしくてほんわかした気持ちになる。僕が勝手に中学時代を思い出して悲しくなっちゃっただけなのに、こんな風に慰めてくれるなんて優しい子達なんだなぁ。挙動が幼い上に身長が同じくらいなのもあるのだろうか?雪兎に引き続き、この2人も弟みたいで可愛いや。

「ふふ・・・・・・っ。ありがとう。お世辞でも嬉しいよ。でも朝陽くんと夕陽くんの方が可愛いよ。慰めてくれてありがとう。優しいんだね」


 2人の弟感に思わず敬語も外れてしまい、にっこり笑って僕もお返しに両手で2人の頭を撫でる。

「・・・・・・夕陽、僕は女神を見つけてしまったよ」

「朝陽、奇遇だね、僕も女神を見つけちゃったみたい」

 ほっぺを赤くしてまた2人でヒソヒソしている。仲良しだなぁ。2人の仲良し兄弟っぷりを見ていたら、なんだかおにぃに会いたくなってきた。今日の夜にでもおにぃに電話かけてみようかな?

 そんなことを考えていると、雪兎が座っていた席の方から何かがぶつかるような凄い音が響いた。

「おまえらぁああ!!!俺はお前らのもんじゃねぇ!!!俺は俺のもんだ!!勝手に触んなぁあああああ!!!!!何回も何回もキスしやがって!!!俺がキスしたいのはお前らじゃねぇんだよおおおお!!!!!」

 驚いて大きな音が聞こえたほうを見ると、雪兎に殴られて吹っ飛んだのであろう会長様と副会長様がノックダウンしていた。隆と九条くんはポカンと口を開けて固まっているし、他の生徒はまたまた阿鼻叫喚だし、殴った雪兎の方は興奮しているのか拳が震えている。

 ・・・・・・どんな力で殴ったらあんなに吹っ飛ぶのさ。雪兎の手も痛そう。後で冷やしてあげなきゃ。でもまずは倒れてる2人だ。口が切れちゃったのか血が出てるし、痛そうだからとりあえずハンカチで拭ってあげよう。僕は緋彩の皆が怪我しちゃった時によく手当してあげてたから、こういうのは慣れてるし。

 朝陽くんと夕陽くんは、また後で話そうねと言い残して、混乱を収めようとしている九条くんたちの方へ向かったから、僕はとりあえず怪我人の方に向かうことにした。

 何故か雪兎を罵倒する事に忙しそうな生徒たちは、遠目でチラチラと見ているだけで倒れている2人に近付こうとしない。

 生徒会の人達の事が好きなら、原因だのなんだのは一旦置いといて怪我人の状態を確認する方が大事だと思うけど。僕はスルスルと人の間を縫って2人の傍に近寄り、まずは会長様よりも出ている血の量が多い副会長様にハンカチを当てる為にその場に正座で座り込む。

 そっと口元にハンカチを当てようとした時、椅子にもたれかかるように倒れていた副会長様の頭がズルりと僕のほうへ倒れてきてしまったので、慌てて抱きとめた。

 抱きとめた際に僕のシャツが血を吸い取ったようで、真っ白だった僕のシャツの胸元は赤く染まってしまったけど、ハンカチで拭う血が無くなったのでとりあえずそのまま僕の膝に副会長様の頭を乗せておく。僕の膝枕なんて嫌だろうけど、こんな時はあまり動かさない方がいいんだよね?我慢してもらおう。

 副会長様を膝に乗せたまま、すぐ隣で寝そべっている会長様の口元をハンカチで拭う。会長様は体格がいいからダメージが少なそうだ。とりあえずこのままハンカチだけ当てといてあげよう。

 そう思って口元にハンカチを当てなおすと、痛かったのか、ぅぐ・・・・・・っと呻いた会長様がゆっくりと目を開けた。



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