黒猫ちゃんは愛される

抹茶もち

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時期外れの編入生が来るようです

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 まだ意識がはっきりしていなさそうな会長様に、口元にハンカチを当てたまま問いかけた。


「あ、気付かれましたね。大丈夫ですか?痛い所はありますか?気持ち悪かったりは?」

 頭を打ってたりしたら大変だからね。副会長様が膝にいるから動けないけど、声掛けして確認くらいはしておこう。でもやっぱり保険医さんに診てもらったほうがいいよね?

「ここは・・・・・・天国か?天使がいる・・・・・・。俺、死んだのか?」

 ・・・・・・これはやばいのではないだろうか??やっぱり病院案件。

「ここは学園です。大丈夫、会長様は生きていますよ。頭を打ってしまったんですね。ここに天使様はいません。ひとまず保険医さんに診ていただきましょう。このまま安静にしていてください。ハンカチ持てますか?」

 僕が当てていたハンカチを自分で持ってもらう。ぼんやりとしつつもちゃんと持ってくれたから、こちらの声は聞こえているはずだ。でも無理に動かすより保険医さんに来てもらったほうがいいよね?頭を打ってしまったみたいだから大事にしておいたほうがいいもんね。僕のほうを心配そうに見つつも周囲の混乱を鎮めようと大声を張り上げている隆を見る。風紀さんに呼んできてもらえないだろうか?普通の生徒が行くよりいい気がする。

「天使じゃない・・・・・・?いや天使だろう?外見も内面もこんな美しいのに人間なわけがなくないか?いやでも天使は白髪??でも黒髪?こんな美しい生徒なんていたか・・・・・・?」

 会長様は何事かをブツブツと呟いているけど、大人しくしているのでひとまずこのまま待ってもらおう。隆がこちらを見たタイミングで声をかける。

「りゅう~!会長様、頭を打ってしまったみたいで変なこと言ってるから、保険医さんに診てもらったほうがいいと思うんだ。風紀の人とかに呼んできてもらえたりしないかな?動かさないほうがいいよね?」

「わかった。今応援を頼んだとこだから他の風紀のメンバーもすぐ来るはずだ。とりあえず向かってくれてるやつに連絡して保険医に来てもらえるよう手配する。遥は大丈夫か?そんなやつら床に転がしとけばいいんじゃねぇ?」

「隆ったら・・・・・・そんな訳にいかないよ、怪我してるんだし。でもありがとう。僕は大丈夫だよ。雪兎は?大丈夫そう?雪兎の手も冷やしてあげないと」

「あぁ、あいつはピンピンしてるから大丈夫。むしろまた親衛隊相手にキャンキャン吠えてて元気すぎて困ってるよ。あぁでも遥をビビらせちまったかもってさっきまで落ち込んでたかな」

「僕が?どうしてビビるの?まぁ何事かと驚きはしたけど。でもピンピンしてるならよかった。でも親衛隊さんを煽るのは良くなさそうだねぇ・・・・・・」

 そんな事を話していると、今度は副会長様が、んん・・・・・・と眉を顰めながらゆっくりと目を開けた。よかった、目が覚めて。副会長様は頭打ってないかな?大丈夫かな?

「副会長様?大丈夫ですか?どこか痛いところはありますか?気持ち悪かったりしませんか?」

 サラリと副会長様の綺麗な銀髪を梳きながら顔を覗き込み問いかける。僕の膝に頭を置いて寝ているので、必然的に下から見上げられる。殴られた後でも綺麗な人だなぁ。

「あなたは・・・・・・天使様ですか?俺を天国に連れて行ってくれるのですね。あぁ・・・・・・、あなたのような天使様と一緒に居られるのなら、安らかにいけそうです」

 大変だ。副会長様も幻覚が見えてる。頭を強く打ってしまったんだね。心配だ。

「副会長様、僕は桜華学園の生徒ですよ。ここに天使様はいません。副会長様まで天使様が見えるなんて・・・・・・頭を強く打ってしまったんでしょう。大丈夫ですよ、今保険医さんが来てくださいますからね」

「あぁ、あなたは天使様ではないのですか・・・・・・?そんな馬鹿な・・・・・・。でももしも・・・・・・もしもあなたが天使様ではないのであれば、俺の腕の中に囲ってしまってもいいのでしょうか。雪兎への思いが愛だと思っていたのに。この気持ちは・・・・・・?」

 これはよくない兆候だ。幻覚が酷い。ひとまず目を閉じて安静にしておいてもらおう。
 そう思い、髪を梳いていた手を副会長様の目元に移動させて、そっと目元を覆う。

「心配なので目を閉じて安静にしていてください。頭を打ってしまっているようですから、なるべく動かないほうがいいと思います。僕の膝枕なんて嫌でしょうが、もう少しだけ我慢してくださいね」

「あぁ、俺の天使・・・・・・。手を握ってはくれませんか・・・・・・?」

 なぜか悩ましい溜息を1つ吐いてそう言い、探すように片手を彷徨わせている副会長様。天使様じゃなくてごめんなさいと思いながらも安静にしてもらうためにギュッとその手を握ると、副会長様は安心したようにそのまま大人しくなった。

 大人しくなった副会長様を確認してから、会長様は大丈夫だろうかと思いそちらを向くと、まだぼんやりとハンカチを握りしめて何事かを呟いていた。

 ・・・・・・もう本当に大丈夫なの?この2人って学校のツートップなんだよね?倒れたらまずいんじゃ?
 本当に雪兎ってばどんだけ力いっぱい殴ったんだろう。こんな風に幻覚が見えるなんてよっぽどだ。教室で言っていた、俺強いから発言はあながち嘘じゃなさそうだなぁと思いつつも、これはまた隆が後始末で忙しくなっちゃうやつだな、と1つ溜息を吐いた。


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