黒猫ちゃんは愛される

抹茶もち

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中間テストがあるようです

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 土曜日に開催された勉強会は、テストの日までほぼ毎日のように開催された。週末だけじゃ雪兎のテスト結果が危機だったからね。

 律はもちろん雪兎もあの日からしっかり勉強をするようになって、やればやるほど賢くなっていく雪兎にとっても驚いてる。雪兎はポテンシャル高過ぎくんだった・・・・・・!これから高すぎ君って呼んでもいいかなぁって魔が差したのは内緒だ。

 最近では授業で分からない事が出来たら僕たちの誰かに聞きに来るくらい熱心で、なんだか心配だった子供が巣立っていくような寂しさを感じるよ。子供出来たことないけど。

 そんな事をボケっと考えている僕は、只今最後の教科のテスト真っ最中です。編入試験の時と同じくめちゃくちゃ早く解き終わってしまって暇を持て余しているのだ。最近毎日のようにみんなで勉強してたから、僕に死角はないのだ!

 ・・・・・・多分。

 そしてテストの日は珍しく1-S全員集合だ。普段公欠している生徒会の人や風紀の人もこの時ばかりは全員出席してテストを受けるらしいのだ。今日の朝、見慣れない人がたくさん居て戸惑ってたら隆が教えてくれた。普段来てない人は何かしら委員会の人なんだろうなって思ってたけど、たくさん見覚えのない人がいたからせっかく慣れてきた教室でまた緊張しちゃいそうになっちゃった。テストの日に緊張なんて良くない良くない!

 ────キーンコーンカーンコーン

「ハイ終わり。ペン置け~!悪あがきは無しだぞ~!」

 教壇で本日も気だるそうな色気を振りまいている伊織先生が、後ろから集められていくテスト用紙を回収していく。

「今日はこれで終わり。明日からの土日、テスト終わりの開放感で弾けすぎるなよ~。週明け月曜にはテストの順位が張り出されるからそのつもりで。それじゃあ解散~!」

 月曜かぁ~!目標はゴールドカードのままで居られる事っ!結構自信はあるんだけどなぁ。

「遥ぅう~!!なんとか乗り切れた!ありがとなぁ。今度皆にお礼させてくれぇ」

「よかった。でも律が頑張ったからだよっ!お疲れ様」

 2人でニコニコしていると、急に顔の両脇に手が伸びてきて、後ろの壁にドンッと追いやられた。これは所謂壁ドン⋯⋯?

 目を白黒させていると、ニッコリと笑った九条くんが僕を見下ろしていた。何事ぉ???

「氷姫、俺の事知ってる?」

「えっと⋯⋯?貴方は生徒会の九条くん?ですよね?先日食堂で呼ばれているのを聞きました。氷姫ってゆーのはきっと人違いだと思いますが・・・・・・」

「え?氷姫は君の事だよ?普段は氷のようにツンとしたクールビューティな雰囲気なのに、気を許した人にだけ見せる笑顔が雪解けのような美しさを連想させる、ってね」

 そう言ってから、そっか、俺の事知っててくれたんだぁ~!ってニヤリと笑った九条くんにキョトンとする。

「え?誰の事ですかそれ。僕がクールビューティとかありえなくない?変なの」

 つい素でボソリと呟いてしまいながら首を傾げる。僕、多分どちらかといえばボンヤリしてる平凡くんだと思うんだけど。

「・・・・・・ふーん、そっかそっか、まぁいいや。氷姫はさぁ、俺の事どー思う?」

「え?えっと、九条くんを⋯⋯。んー、金色の髪の毛がキラキラしてて綺麗ですね。あと普段は語尾が伸びてて可愛らしいのに、先日の食堂では真剣で格好良いと思いました。それに1年生で生徒会の会計さんをしながら勉学も頑張っているなんて努力のできる凄い人だなぁと。あとシンプルに高身長が羨ましいです」

 本当なんなの??氷姫はスルーされるし急にそんな事聞かれても困っちゃう。うーん、と悩みながら思った事をそのまま吐き出した。

「え?あ、えぇ??俺ってそんなイメージなの??ちょ、想定してたのと違う・・・・・・。俺、いつもヘラヘラしてるし、誰彼構わず突っ込むチャラ男って言われてるの知らない?それでも努力して凄いなんて思う?」

 何故か焦ったように九条くんにそう言われ、またキョトンとしてしまう。それにしても誰彼構わず突っ込むチャラ男ってパワーワードだなぁ。

「えっ?それって凄いって思う事となにか関係ありますか・・・・・・?ヘラヘラって言うのは人当たりがいいって事なんだろうし、チャラ男?っていうのは、本当にそうなのか知らないのでよく分かんないですけど、本人と相手がそれで納得しているなら別に問題は無いのかと」

「そっか⋯⋯、そっかあぁ。ちょっと想定外すぎて混乱してきた。他人には冷たい氷姫じゃないの?チャラ男とか撲滅系じゃないの?お高くとまってるなんて真逆じゃん?聞いてたのと違いすぎない?どゆこと?」

 何事かを呟きながら考え込んでいる九条くん。それにしてもいつまでこの距離感で居るんだろう?九条くんのファンの人達嫌がらないのかなぁ?僕は九条くんで視界いっぱいだから、教室の様子が分かんないけど、さっきから不自然にシンとしてる気がする。うーん。

 それにしても本当に綺麗な金髪だなぁ。こんなに色抜いたら髪痛んじゃいそうなのに、ツルツルのサラサラだ。後ろでぴょこんと結んでるから分かりにくいけど、きっと手触りがいいんだろうなぁ。

 そんな事を考えていたからか、無意識に九条くんのセンターで分けてある長い前髪をサラサラと手で弄んでしまっていた。

「あ、あの、氷姫⋯⋯?なんで、髪⋯?」

 ハッ!無許可で触ってしまった⋯⋯!これは良くないやつ。ごめんなさいぃ。

「ご、ごめんなさいっ!九条くんの髪の毛がとっても綺麗だなって思ってたら、つい無意識に・・・・・・。嫌でしたよね、本当にごめんなさい」

 また見てたら思わず触っちゃいそうだと思って、そっと目を伏せると、突然ガバッと九条くんが離れてびっくりする。またキョトンとしながら九条くんに視線を移すと、口を手で覆って真っ赤になっていた。

「いや!俺が!近かった、ごめん、あの、嫌じゃなかったから、その・・・・・・大丈夫だから!!」

 そう言って教室の外に駆け出してしまった。え、ほんと何だったの??

「チャラ男会計実はピュア説・・・・・・。遥の無自覚ムーブに翻弄されて胸がおかしい!もしかしてこれは恋?いや、俺に限ってそんなはずない・・・・・・!なんて初めての恋に戸惑っちゃって思わず逃げ出しちゃったんですね分かります分かります尊っ⋯⋯痛いぃっ!」

 呆気に取られる僕の隣で、ブツブツ呟きながら鼻を覆っている律に、いつの間にか近くに来ていた颯汰のデコピンが見舞われていた。


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