黒猫ちゃんは愛される

抹茶もち

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日常が戻ってきました?

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部屋に戻って傷の手当てをしてもらった所まで話した僕は、その後の記憶は曖昧ですって誤魔化しちゃった。

やっぱり隆との事を口に出すのは恥ずかしかったし、既にいっくんとれーくんから黒いオーラが吹き出してるんじゃないかってくらい怒ってたから言う勇気も出なかったし。

一昨日の事なのに、なんだか未だにお尻に何か挟まっているみたいな違和感が無くならないんだよね。昨日よりはマシだし、今日は体もちゃんと動くんだけど。



そんな事を考えてまた顔を赤らめ、スリッと内腿を1度擦り合わせた遥の色香に2人は察してしまった。


アイツ・・・ヤりやがったな?


2人は顔を見合わせて頷き合った。


治療の為だったとしてもうらやまけしからん。俺らは仕事でなかなか姫に会えないのに!よし、扱こう。今日から気合いを入れて稽古に当たろう。今回大神が付いて居ながらの事件だ。気合いの入れ直しも必要だしな、うん。


これぞ以心伝心といった様子だ。



そんな不穏な空気を醸し出しつつも表面上2人は冷静を装う。



「姫さん、教えてくれてありがとうな。そのぶつかった奴の姿は全く見てねぇんだよな?」

『はい、すみません。すごい勢いで出てきたのにぶつかったので・・・。でも僕よりは大柄だったんだと思います。僕だけ吹っ飛ばされて相手はそのまま走り去っていちゃったので。いくら向こうからぶつかってきたとはいえ、僕と同じくらいかそれより小さかったら相手も転んじゃうと思うんですよ』

「あぁ、確かにそうですね。実行犯は姫よりガタイがいい人で絞っても良さそうですね。そうなると親衛隊関係で騒いでるチワワくん達は実行犯から外されます」

「俺は実行犯とは別に指示した人間が居て、それがチワワだと思うけどな。媚薬うんぬん使うような陰険な方法使ってくんの、アイツらくらいだろ。でもさ、結局なんで媚薬なんて飲ませたんだ?」

「そうですね・・・。誰かに襲わせようとしていた訳でも無さそうですし・・・一体何が目的だったのでしょうか?」


確かに。僕、ただ媚薬で気持ちよくさせられただけだったもんね。いや、媚薬盛るだけでもダメだけどね?目的ってなるとよく分かんないなぁ。


しばらく3人で首を傾げてたけどやっぱり答えは見つからなくて。犯人取っ捕まえて吐かせるのが1番手っ取り早いって事になった。



ある程度話しが終わったから僕の用事は終わったし、今日も出来るだけ休んでおいた方が良いって2人が言うから寮に帰る事にしたんだけど、隆はまだ一平先輩と手合わせしてるみたいだったから1人で帰ろうとしたら嗜められちゃった。

まだ犯人が捕まっていないんだから1人で行動するのはダメだって。

確かにそれもそうだ。とコクリと頷くとれーくんが送りますよって言ってくれた。

なんかいっくんはこれから隆と手合わせするんだって。隆、モッテモテだなぁ。


「じゃあ行きましょうか、姫」

『はいっ!よろしくお願いします』


恭しく僕の手を取ってそのままエスコートするみたいにしてドアを開けてくれたれーくん。

なんだかれーくんは男装の麗人さんって感じだからこういうキザっぽいの似合うよね。脱いで出てくるのは綺麗な女の人じゃなくてバッキバキの筋肉が凄い綺麗な男性だけど。



「こうやって校内を姫と一緒に歩けるなんて嬉しいです。普段はなかなか会えないですから・・・」

『僕もれーくんと久しぶりにお話しできて嬉しいですよ!普段はお仕事忙しそうですもんね』

「そうなのです。風紀は人使いが荒いんですよねぇ」


風紀室を出て玄関に向かい歩いていると途中で突然ピタリと麗壱が止まり遥の両手を自らの両手で包み込む。


釣られて立ち止まった遥がキョトリとして麗壱を見上げると、遥と視線を合わせた麗壱は手を包み込んだままその場で跪き切なげな表情で口を開いた。


「姫、お願いがあります。都合のつく休日、ひとまず1日だけでも良いのです。愛しの姫にいつも会いたくても会えない・・・そんな哀れな私に姫のお時間を頂けませんか?」

『へぁ!?れーくん何してるんですか?!僕の時間ならいくらでもあげますから!』

「本当に?丸1日姫の時間を私だけにくれますね?」


室内だと言っても人がたくさん往来していたはずの床に膝を付かせるなんてと遥が慌てていると、嬉しそうににっこりと笑った麗壱がサラリと立ち上がった。


「ありがとうございます、姫。嬉しいです。丸1日開けられる日が決まったらまた連絡させていただきますね?」

『もう、普通に誘ってくださいよ。びっくりしちゃったじゃないですか。連絡待ってますね?』

苦笑しながらそう言うと、またも凄く良い笑顔で返された。

「えぇ、では次お誘いする時は普通にお誘いしますね」

それにコクリと頷いた時、廊下の先から僕の名前が呼ばれた。



「遥・・・!良かった、まだ帰っていなくて」


『琉唯せんぱ・・・っ!?』


手をヒラヒラと振りながら声をかけてくれたのは小走りでこちらに向かってくる琉唯先輩だったんだけど。


名前を呼びながら手を振り返そうとそちらに体を向けた瞬間手が引かれ、パッと僕の視界が真っ黒に覆い尽くされて驚いた。


「何ですか腹黒眼鏡。今日の姫の護衛は私です。引っ込んでいてください」

「五月蝿いですよドS女王。俺は遥に用事があるんです。あなたはすっこんでてください」


ぎゅむりと麗壱の胸元に抱き締められた遥はその険悪な空気にあれ?と首を傾げた。



・・・・・・んん?もしかしてこの2人、すっごく仲悪い?



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