【R18】″推し″に幸せになってほしいだけなのに。(最強の推し×死に戻りモブ)

Y(ワイ)

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【1周目】最強の″推し″を幸せにしたいモブが、激重執着を引き出して地獄みたいな溺愛えっちされる話。

2


「フレちゃん!見てみて今回私が一番成績良かった!!」
「こらリセ、外ではフレックス″隊長″と呼びなさいって、俺いつも言ってるよね?」
「これもフレちゃんの教え方が上手いおかげだよ~~!は~~!!フレちゃんだい好き!」
「リセ、話を聞きなさい、おい待て!!」

リセを引き取ってから6年。
18歳になった彼女は魔獣狩りの結果を掲げながら″褒めて褒めて″とばかりに自分に成績表を見せてきた。
褒められ待ちの犬みたいな顔してぎゃあぎゃあと笑い自分の手から離れ同期達の方に走っていく。

(親代わりっていっても、俺も男なんだけど…)

6歳しか違わない歳の差なのに、安心しきった顔で″大好き″と平気で言う彼女にフレックスは伸ばそうとした手を下ろすしかなかった。






———始めは、かわいそうな子だと思ったんだ。


幼い時に親をなくして、屋敷の当主に厩舎番として拾われたと聞いた。
歳をきけば12歳と当主は言ったが、とてもそうは見えないほど慢性的な栄養失調で背が低かった。
学校にも通わず、親代わりの当主にも魔獣の囮程度に扱われた少女をここに居させてはいけないと思った。
だから、俺が保護者になっていずれは討伐魔術師の寮に入れてやろうと思っていたのに、


『親代わり、っていうには歳が近いか。…俺のことは家族と思って何でも頼ってくれていいからね』
『…かぞく………』


あまりにもまっすぐした目で俺を慕う少女に、情が移ってしまった。


『好きなものを食べていいんだよ、腹一杯になったらあとは俺が食べてあげるからね』
『服も買いに行こっか。リセちゃんはどんな服が好き?』
『もっと甘えていいんだよ。俺はリセのことを妹みたいに思ってるから』
『フレックス″さん″じゃなくて、フレックスって呼びな?』

リセを引き取って衣食住を共にして一週間目、
栄養失調でほとんど脂肪がなかった少女は年相応に飯が食べられる程食欲が戻った。
死にかけた時のことを悪夢で見るのか、時々魘される少女を抱きしめて背中を叩いてあやしてやる。
昔幼かったとき自分が母親にそうしてもらったように、両親の愛を知らない少女の唯一の家族になるつもりでフレックスはリセを支えた。


『魔力の使い方も、覚えないとな。』

リセの家族になって一月がたった頃。魔術師候補生として彼女を正式に討伐魔術隊に加盟させた。
リセの魔力は人並み程度だったが、熱意は人一倍で『早く一人前になりたい』と勉強熱心に教えることを吸収した。
そのおかげで数年後には魔力が少なくても人並み以上の成果を残せるようになり、その頃には家族として自分を受け入れた彼女が、当たり前に家で帰りを待っていることが俺の支えに変わっていた。


毎日当たり前のように魔術師が死んでいく。

その中には俺の教え子もいて、身の守り方だって分かっていたはずなのに。

貴族の囮にされて、誰かの盾にされて、魔獣の餌にされて、

理不尽に命は奪われる。

とっくに慣れて、疲れてしまった。

そんな世界だから、特別な人間なんて欲しくなかったのに、

『おかえりなさい』と当たり前に笑うリセは、俺の心の欠けた部分を埋めてしまった気がした。





魔術師なんてクソみたいな仕事、させなければよかった。
彼女の成果は認められ、俺が率いる『特務部隊』に配属された。
そこには俺が担当する後継者候補たちが何人もいて、
リセと歳が近い同期達が彼女と同じ時間を過ごす。
その中で才能がないと笑われながらも努力する彼女は、ただ眩しかった。
きっと俺がどんな気持ちでそれを見ているかなんて知る由もないんだろうな。





——————



フレックスという最高の親が魔術を教えてくれて、
魔術師として歴を積んで、6年。
ヒロインと攻略対象達がいる″特務部隊″に配属された私は誰より魔力が低いながら今日も好成績を収めていた。


「アイアム、ナンバーワン!!!」
「たまたま運が良かっただけだろ。俺らの誰より魔力すくねぇくせに調子に乗んな」
「はー?負け犬の遠吠えにしか聞こえませんけどーー!?文句なら私より好成果納めてから言ってくれますーー?」
「ぐっ……、こいつ……」

(はー、イケメンの歪み顔さいこー!!)

私に食ってかかってきたこの嫌味な同期は″ロイド″。
主要攻略キャラなだけあって派手な赤髪に見劣りしない掘りの深い顔立ちをしたイケメンだ。
何かあるたび突っかかってくる生意気野郎だけど友達想いだし、多分魔力量も同期の中で一番多い。

「やめなよロイド、…リセ今回も第一位おめでとう。すごいねリセは」
「セーニャぁ…!」

清楚な笑顔を浮かべる女性に話しかけられたリセは、あからさまに態度を変え表情を緩めた。
″セーニャ″、この世界のヒロインだ。
痛みのない茶髪が風に揺らめいでゲームと同じ可愛らしい顔がこちらを見ている。

(は~、今日もイメージそのまんまの可愛さ!フレックスが惚れるのも分かるよ、私が男なら間違いなく惚れてるもん)

「…でも、今日みたいな無理は、あまりしてほしくないかな」
「ん?」
「リセはたまにものすごく無茶をするから、命を軽く扱うみたいな戦い方は、わたしはやめてほしいよ。」
「ぅ……」
「おー言ってやれセーニャ!こいつ毎回運良く生き残ってるだけで早死にしそうなんだよ!」

セーニャが言う″無理″は、私が今日ロイドに集まる魔獣を惹きつけて、一人で分断し単独戦をしたことだろう。

私だって、無茶したくてしてるわけじゃない。
恥ずかしながら、私は魔力が多いわけでも、特別強い魔術を扱えるわけでも無い。
得意な戦闘方法はドブネズミみたいに泥に塗れて駆け回りながら、ひたすら魔獣の攻撃を避けてチマチマ攻撃すること。
そんな私の好成績のカラクリは、……″死に戻り″だ。


セーニャとロイドの仲が上手くいっていないのか。
それとも経験値不足なのかは分からないが、
本来、今日ロイドは魔獣に脚を食われて戦線離脱をしていた。
でもそんなこと私が言ったってきっと誰も信じないだろう。

ロイドは同期の誰よりも魔力量があるし、魔術センスもフレックスから褒められる程だ。
でも、魔力がある人間は魔獣からは″極上の餌″に映る。
魔獣に襲われ脚を無くした彼の絶叫が、耳について離れない。
だから私は″死に戻り″をして彼が無事な運命に書き換えた。

書き換えの途中で私も一度魔獣に食い殺されて死んだけど、どうせ私は死んでも死に戻りで過去に戻れるし、
今までも何度もしてきたことだから、痛みには慣れた。
魔獣を殺して、ロイドも救える運命になるまで何度でもリセットすればいいだけのこと。

「…うん、心配かけてごめんね」
「ううん、分かってくれたならいいの。」

微笑むセーニャの顔に、胸が痛む。

みんなは知らないよね。
私がこれまで何度死んだかなんて。
みんなが私の前で、何度死んだかなんて。

『みんな居るんだから、危険な真似はもうしないでね』と、悲しそうな顔をしてそう微笑むセーニャに、『うん、ごめんね』と短く答えた。

ごめんね、
セーニャが心配してくれてることは嬉しいけど
でもそのお願いはきけないよ。

私ね、同期のみんなが好きだよ。
好きなゲームのキャラだからとかじゃなく、みんなとこうして笑って話す時間が楽しいから。
だから友達が死ぬ運命なんて、生きたくないんだ。

(私は危険な目にあっても大丈夫なんて、言ったらまた心配かけるだけだよね)

『なんだよセーニャの言うことには素直に聞くのかよ』とロイドが言う。その横槍を無視してリセは彼女に向き直った。


「ね、そんなことよりさ?セーニャって誰か好きな人いないの?」
「…ぇ、……ええ!? な、なに急に!」
「え、何その反応…‼︎いるじゃん!その反応絶対いるじゃん!!え、顔あか!かわい!だれだれだれだれ!?ちょっと私にだけ教えて…」
「何言って…‼︎いない!好きな人なんていないから!!」
「いやいや絶対いるじゃん‼︎あ、ロイド達がいたら話せないよね、あっちに移動して…」
「リセのバカ!もう知らないから!!」





ヒロインのセーニャ。
攻略候補の特務隊の魔術師たち。

セーニャが誰のルートに進むのかは分からないけど、
願わくばどのルートに進んでもこの同期の誰も欠けてほしくないと思ってしまう。

ここにいる人たちはみんな、セーニャに心を救われて幸せにならないといけないんだから。

だから、降りかかる火の粉の処理くらいは任せてよ。






「あんまり無茶ばっかしてっと、フレックス隊長に報告すんぞ」
「……なんで隊長が出てくんの」
「そりゃ、お前の無茶止めれんのはあの人だけだろ」
「…なにを勘違いしてるかしんないけど、別に私無茶してないし」
「何度も死にかけといてどの口が言ってんだよ。……あ、」


「…同期同士で話してるとこ悪いね。うちのリセがなんかやらかした?」


「待てまてまてお願い待ってロイドさん、あれ、そういや前に流行りのカフェのふらぺちーの?飲みたいとか言ってましたっけ?私たまにはカフェのコーフィも飲んでみたいな~~とか思ったりして、飲みに行きません???」
「コーフィじゃなくて、コーヒーな。」
「あれ、まさか保護者の前でデートの約束しよるん?やるやんロイド」
「ちょいセグエス今は茶化さないで頼むから。ね、ね?ロイドさん。何のみたい?セーニャも一緒にケーキとかどう?」
「私もフレックス隊長には知っておいてもらった方がいいと思うな」
「あー、いやー、さっきは調子にのってすみませんでしたセーニャ様。ケーキいくつでもご馳走するからちょっと話し合いできませんか???」




「…リセ、何のはなし?」



「…………………………なんでもないです。フレックス隊長」








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