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【第1章 EDE.】黒き刃の聖騎士
この顛末
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数秒間空白の時間を過ごして、ヴェルツは意識を取り戻す。爆風で城壁の階段を転げ落ちたらしい。
「ね、姉ちゃ……大丈夫?」
目の前で倒れている姉とリガも呻きながら起き上がる様子を見ると、どうやら怪我は軽いようだ。
「クソッ! キル、この馬鹿が。何やって……うっ……」
リガがこちらを振り向いて絶句した。その視線を辿ってヴェルツも顔を強張らせる。
先程までいた見張り台は跡形もなく、城壁は完全に抉れていたのだ。同じように爆風に飛ばされた騎士達があちこちに転がっているのが見える。起き上がろうとする者もいるが、完全に動きを止めてしまって転がったままの者も。
「何でこんな……」
EDE.も聖騎士団も目的は街を守ること。なのに相争った結果、一方は壊滅寸前、しかも壁は壊れる。散々な結果に、不敵な弾丸小僧もさすがに青ざめている。
「街を潰してどうするよ……」
「リガ、こっちへ」
「な、何?」
「いいから!」
ヴェルツは片手で彼の腕を取る。もう片手は姉の手を引いて、一目散に走り出した。そして一言、怒鳴る。
「見なかったことにしましょう!」
唖然としたようにリガがこちらを向いた。
「……意外と図々しいんだな」
ヴェルツはそれを、褒め言葉だと取ることにした。
「ね、姉ちゃ……大丈夫?」
目の前で倒れている姉とリガも呻きながら起き上がる様子を見ると、どうやら怪我は軽いようだ。
「クソッ! キル、この馬鹿が。何やって……うっ……」
リガがこちらを振り向いて絶句した。その視線を辿ってヴェルツも顔を強張らせる。
先程までいた見張り台は跡形もなく、城壁は完全に抉れていたのだ。同じように爆風に飛ばされた騎士達があちこちに転がっているのが見える。起き上がろうとする者もいるが、完全に動きを止めてしまって転がったままの者も。
「何でこんな……」
EDE.も聖騎士団も目的は街を守ること。なのに相争った結果、一方は壊滅寸前、しかも壁は壊れる。散々な結果に、不敵な弾丸小僧もさすがに青ざめている。
「街を潰してどうするよ……」
「リガ、こっちへ」
「な、何?」
「いいから!」
ヴェルツは片手で彼の腕を取る。もう片手は姉の手を引いて、一目散に走り出した。そして一言、怒鳴る。
「見なかったことにしましょう!」
唖然としたようにリガがこちらを向いた。
「……意外と図々しいんだな」
ヴェルツはそれを、褒め言葉だと取ることにした。
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