凍りつく愛

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止まった時間(後編)

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少しして、俺の隣の席に、仕事がひと段落ついたのか、圭介さんが座った。
「楽しんでるかい?さっきはごめん、キミたちの様子が気になったから、部下に任せて仕事を抜け出して来たんだ」
「悪いな、圭介さん。鈴木に連絡先とマンションの部屋、教えちまったぜ」
「それは構わないけど、鈴木くん、さっき佐藤くんが怖いって言ってたけど、何か有ったのかい?」
鈴木はフォークを握り締めながら、震える声で言った。
「上手く言えないんですが…あの先輩に睨み付けられた事が有って…何となく危険な感じがするんです…」
「キミも、か…」
圭介さんは何か心当たりが有る様に言う。
「僕が佐藤くんと知り合った当初から、怖いって言っている子は他にも居たんだ。あの通り愛想の無い子だからね。ただ、木村くんとだけはウマが合うみたいだな」
俺は鈴木に言った。
「鈴木。何か有った時のために圭介さんに連絡先を教えとけよ。互いに連絡先を知ってた方が良いだろ」
「そうだね。千夜くんも教えてくれないかい?さっき佐藤くんに何か言われてたよね?」
「そうなんですか?千夜くん」
鈴木が驚いた様に言う。
俺もまさか圭介さんが気付いてたとは思ってなかったから、内心驚いた。
「…」
助けを乞うなら、今しかない。
鈴木は自分の連絡先の画面を開いて、尚も言う。
「千夜くん。何があったかは解りませんけど、千夜くんが退部したのって佐藤先輩が関わってますよね?大人の人達に頼るのは、悪いことでは有りません」
2人に言われ、俺は自分の不甲斐なさを痛感した。
自分の問題も自分で解決出来ないなんてな…。
「…悪いな、俺の連絡先はこれだ」
そう言って俺は携帯を取り出し、連絡先の画面を開いた。
圭介さんは携帯を取り出すと、鈴木と俺の連絡先を打ち込んでいく。
「連絡先は登録したよ」
「ありがとうございます。ちょっとお手洗いに行ってきます」
鈴木は、圭介さんに連絡先を登録してもらって安心したのか、そう言って席を立つ。
2人だけになった時、圭介さんが俺に言った。
「キミはまだ高校生だ。自分1人で何でも背負い込まない方が良い。佐藤くんと何かあったんだね?」
「別に…」
虚勢を張ったつもりが、俺の声は震えていた。
「じゃあ、質問を替えよう。佐藤くんにさっき何を言われたのかな?」
「…今夜アパートに1人で来いって言われただけだ」
「話してくれてありがとう」
圭介さんはそれだけ言うと、俺の手を叩いて席を立つ。
そのまま人混みに紛れていった。

ケーキをたらふく食って会場を出た時には、もう夕方になっていた。
「楽しいと時間が経つのも早いですね」
「ああ、そうだな」
駅の構内を朝とは反対側に向かって、鈴木と「シフォンケーキが美味かった」とか「ロールケーキは甘さ控えめでしたね」と、ケーキバイキングの話をしながら歩く。
すると、「たーもーつー!!」と、俺達の後ろから山村が、人が大勢いるのも構わず声を掛けて来た。
…恥ずかしい奴め。
まさか佐藤先輩も居るのか?
そう思った俺と、同じ事を思ったのか表情が堅くなった鈴木は、ゆっくり振り返る。
だが、山村は男にしちゃチビだから、姿が見えない。
佐藤先輩達、他の部員も居ない様だ。
まあ、今は山村のウザさも鈴木にとっては救いだな。
そう思って鈴木と2人で突っ立って待っていると、人混みの中から山村がようやく姿を見せた。
「聞いてよ!皆、僕がトイレに行ってる間に帰っちゃった…」
てえ事は佐藤先輩達は、もう帰路に着いた様だ。
地元の最寄り駅から先輩のアパートと言う名の戦場に直行するか。
俺がそんな事を考えてると、鈴木が山村に言う。
「料理コンテスト、お疲れ様でした。山村先輩、1人なら僕達と途中まで一緒に帰りませんか?」
「ありがとー!知らない街に1人で心細かったんだー。2人でケーキバイキングに行ってきたのー?」
「はい。山村先輩がコンテストに出ないなら、誘おうかという話も出てたんですが…」
「?出るも出ないも僕はただ佐藤先輩の応援に行っただけだよー。保、何で部活来なくなったのー?2人も先輩の応援に来れば良かったのにー」
「えっ?」
俺はやばいと思って口を挟んだ。
「飽きたからだ。それより山村、コンテストは誰が優勝したんだよ?」
「別の学園の女の子だったよ!」
…と言う事は、佐藤先輩は優勝を逃した訳か。
不機嫌極まりないだろうが、それは俺も同じだ。
鈴木と出掛けた位でアパートに呼び出しやがって。
何をされてもぜってー折れねーぞ。
そんな事を思いながら、3人で電車に乗る。
山村は疲れたのか隣の鈴木にもたれ掛かって寝ちまったが、鈴木はどこか嬉しそうだ。
2人の前で、俺は両手でつり革に掴まっていた。
「千夜くん」
「何だよ?」
「千夜くんが嘘をついたのって僕が佐藤先輩を怖がっているからですか?」
とうとう嘘がバレた。
「それもあるが…山村の気持ちを知ったらショックかとも思ってよ」
「ありがとうございます。でも僕は大丈夫です」
「鈴木…」
そうこう話している内に、しばらくして地元の駅に着いた。
もう空は薄暗くなっている。
「山村」
「なーに?」
まだ眠いのか目を擦りながら俺の前を歩いていた山村が、振り返り問う。
「鈴木と連絡先を交換してやれ」
「千夜くん…ありがとうございます」
「うん!別に良いよー。僕は保とも連絡先、交換したい!」
「はあ?何で俺とまで連絡先を交換しなきゃならねーんだよ」
「酷い!保のケチ!…いいよ、鈴木くん。君も格好良いし保は放っておいて、これから仲良くしようねー」
「山村先輩、ありがとうございます。…千夜くん、山村先輩の連絡先、知らなかったんですね」
人間、嘘はやがてバレるモンなんだな…。
だが、これが鈴木に贈る俺からの餞別だとまでは気付かれずに、鈴木と山村は携帯を取り出す。
鈴木、元気でな。
俺は心の中でそう思うと、2人と別れた。

チャイムを鳴らすと、直ぐに佐藤先輩が玄関を開けた。
「よく来たな。今夜は帰さない。俺だけの保」
「…」
俺は先輩を押し除けるように中に入る。
その時だった。
「…っ…?!」
いきなり佐藤先輩に背後からスタンガンらしき物を当てられたのか、俺の全身が痺れて玄関先で俺は倒れ込んだ。
「さて、どう痛ぶってやるかな…!」
先輩は俺が鈴木と居たのが余程、面白くなかったらしく、俺の背中を踏みつけた。
「…っ…!」
声を上げることすら出来ずに俺は胸を圧迫され、呼吸が苦しい。
佐藤先輩は俺の両手を後ろ手に縛ると、容赦無く、俺の身体を蹴り出した。
ああ…気が遠くなりそうだが、そう簡単には気絶させてもらえそうにない。
蹴りつけられて、全身が声にならない悲鳴を上げる。
このままだと殺される…!
俺はレイプされた時とはまた違った恐怖で体が震えてきた。
「これからは、1日中、俺が可愛がってやる」
先輩が蹴りながら勝ち誇ったように言う。
だが、俺は諦めなかった。
痛みに我慢しながら、先輩を睨み付ける様に見上げる。
先輩は蹴るのをやめて、俺の胸ぐらを掴むと上体を無理矢理、起こした。
そして俺と同じ高さの視点になる様にしゃがむ。
「何故、そんな目をする?何故、俺の気持ちを解ってくれない?俺はこんなにも保の事を想っているのに…!」
最後の方は涙声になっている。
驚いた事に佐藤先輩は泣き出した。
泣きたいのは、こっちだ。
俺は声を振り絞るようにして、先輩に言う。
「先輩は北風と太陽を知らないのか?自分の気持ちを押し付けてばかりじゃ皆、先輩から離れていくぜ」
「保…」
佐藤先輩は涙も拭かずにハッとした様な表情をする。
そして立ち上がると目を擦り、俺の身体を抱き抱えて自分のベッドに横たえさせた。
「さっきは済まん…保。頼みがある。このまま俺が留学するまで、ここに居てくれないか?もう乱暴な事はしないから…」
先輩は先輩なりに太陽になろうとしてるのだろうか?
「先輩…」
佐藤先輩は口に水を含む。
そして、口移しで、俺に水を飲ませた。
嫌悪感が無いと言えば嘘になる。
だが俺は抵抗出来ない程痛め付けられていた。
それから、先輩が今までどんな恋愛をしてきたのか察しがついた。
先輩は、俺の憶測ではまだ良い恋愛をしていない。
それは俺も同じだ。
女を取っ替え引っ換えして身体を重ねてきた俺と、男と身体の関係だけで愛し合ってると思い込んでる佐藤先輩。
「夕食を作る。ちょっと待っているんだ」
先輩はそう言うと台所に行く。
と言っても直ぐそこだが。
そして手際良く夕飯を作り終えると、自分の口にひと口含む。
嫌な予感がした。
数回咀嚼した佐藤先輩は、やっぱ水の時と同じ様に俺に口移しで食べ物を与える。
「んぐ…んぐ」
俺は喉にむせ返らないように何回かに分けて飲み込んだ。
それが何回か繰り返された後。
先輩は、俺が抵抗出来ないのを悟ったのか、俺の身体を横に向かせると、縛ってた俺の両手をほどく。
そして、再び仰向けにして俺の上に跨がると、ボタンを1つ1つ片手で器用に外し出した。
俺の身体が恐怖で震える。
「どうした?保。怖いのか?」
「…そんな訳ねーだろ」
俺は声まで情けねー事に震えていた。
「朝の時といい、今といい、保の目には怯えの色が広がってるぞ。強がってるのが俺には丸わかりだ」
「…」
目は心の窓だから仕方ねーのかもしれないが、そう言われると、佐藤先輩には何もかもお見通しなのが解る。
悔しいような、腹ただしいような…。
先輩はボタンをある程度まで外すと、俺の胸元を舐めるように舌を這わせる。
「…あ…っ…!」
平静を保とうとしても、感じてしまう。
俺の急所はもう佐藤先輩には水曜日のレイプの時でバレバレだ。
「…ああ…っ…!」
長い間、舌を這わされて声を出し続ける俺に、先輩はまだ足りないようだ。
佐藤先輩は舌を離すと、俺の足元に移動する。
そして、俺のズボンの上から、急所を愛撫し始めた。
「あ…っ…!せ、先輩…っ…!」
思わず声が出てしまう。
その時、佐藤先輩の携帯に電話が掛かって来たのか、コール音が聞こえる。
「少し待ってるんだ」
煩わしそうに先輩はそう言うとベッドから降り、電話に出た。
「もしもし、木村か?今、取り込み中だ。用件なら後に…何?!」
佐藤先輩の血相が変わった。
…何だ?
話が見えない俺はただ黙って上体を起こした。
さっき暴力を振るわれたせいか、めまいがする。
「保を解放しないと、ピュオレユートがホテルの提供を辞めるだと?」
佐藤先輩の顔が青ざめた。
そういや、木村部長のホテルの提供は、圭介さん率いるピュオレユートがバックに付いてた筈だ。
あんな大手の会社に見離されたら幾ら木村部長のホテルでも経営があやしくなるのだろう。
何故、突然、提供を辞めると言い出したのか、俺はバイキングの時の圭介さんの様子を思い出した。
俺の事情を察して、圭介さんは佐藤先輩の友人である、木村部長のホテルに圧力をかけてきたのだろう。
だが、幾ら圭介さんでも、たかが俺1人のために本気で、そこまでしようとするだろうか?
先輩は信じきってる様だが。
佐藤先輩はベッドの横から俺を押し倒して肩を押さえ付けながら言った。
「社長に俺のアパートに行く事を言ったのか?」
俺が応えようとしたその時、アパートの玄関から、チェーンソーみたいな音が聞こえてきた。
何事だ?
先輩もそう思ったらしく、電話を繋げたまま、玄関に向き直る。
その向こうから、玄関のドアをチェーンソーでこじ開けようとする、怒鳴り声が聞こえた。
「坊ちゃん!助けに来ましたぜ!」
「若頭を返せ!」
「若頭に何かしたら、指つめるぞ!この野郎!!」
田中たち千夜組の連中が、何故、俺の居場所を突き止めたのか解らなかったが、どうやら、俺を助けに来たらしい。
「ええい、クソ!木村、おってかけ直す」
佐藤先輩は電話を切ると携帯をしまい、台所から包丁を取り出す。
そして、胸元がはだけた俺をベッドから引き摺り出すと、強引に立たせ、俺の首すじに包丁を突き付けた。
「…っ…」
先輩なら本当に俺を殺しかねない。
俺の心は恐怖で埋めつくされる。
と、玄関のドアが前のめりに倒れた。
「「ゴホッ!ゴホッ!」」
ホコリがこっちにまで舞い込み、俺も先輩も堪らず咳込む。
「坊ちゃん?!」「「「「「若頭!」」」」」「千夜くん!」
どうやら、鈴木も一緒らしい。
田中たち千夜組員らと玄関先に入って来て田中の後ろから、俺に包丁を突き付けてる佐藤先輩の写メを撮り…そして動きを止めた。
「何故、ここが解った?」
先輩の声に鈴木は、ビクッと震えながら田中の後ろに隠れたままだ。
だが、恐怖のせいか声を吃らせながらも鈴木は震える声で言う。
「せ、千夜くんの様子がおかしかったので、か、勝手ながら千夜くんの携帯の位置情報サービスから、ぼ、僕が割り出しました。さ、佐藤先輩、こ、この写メを警察に提出されたくなければ千夜くんを解放して下さぃ…」
最後の方は消え入るような声だったが、ここまで佐藤先輩に言えれば、鈴木にしては上出来だ。
「こうなればヤケだ…。誰が解放するか…。俺だけの保を殺されたくなかったら、大人しく凶器と携帯を捨てて去れ」
苛立ちを混じえた声で佐藤先輩が言う。
この場に緊張が走った。
皆、一歩も動けない。
「早くしないか!」
痺れを切らしたように先輩が声を荒げる。
俺は一か八か、包丁を持ってる先輩のみぞおちを狙って右肘を後ろに引いた。
「ぐっ…!」
どうやら上手くヒットしたようだ。
先輩の持っている包丁が、俺の首筋から僅かに離れる。
俺は間髪入れずに佐藤先輩の右手を両手で掴むと、噛み付いた。
「保…っ!」
先輩は包丁を落として、身体をぐらつかせた。
だが、佐藤先輩は意識を混濁させながらも、俺に襲い掛かろうと落ちた包丁に震えた手を伸ばす。
俺はフラつきながらも包丁を田中の足元に向けて蹴った。
「かかれ!」
俺の合図で田中たち千夜組員らが一斉に部屋に入って来て、先輩の姿が見えなくなる。
俺はよろけながらも最後の力を振り絞って鈴木の居る玄関先に倒れ込むように移動した。
「大丈夫ですか?千夜くん。助けが遅くなってごめんなさい。千夜組のお屋敷まで出向いていたものですから…」
「俺を誰だと思ってるんだよ。でも、どうして俺の様子がおかしいって気付いたんだ?」
「千夜くんが無意味に嘘をつくとは思えなかったんです。それに、自分が傍に居られなくなったらって言ったり、駅で御屋敷とは反対方向で別れたり…」
本当に鈴木とはもう会えなくなるかもしれないと思ったから、そう言ったまでだが。
そう言われてみると、俺の言動はおかしいところばかりだったって事か。
「そうか…おかげで助かったぜ…サンキュー…」
俺は意識が遠のいていくのを感じた。
「千夜くん?…千夜くん!」
鈴木の声と田中たちの喧騒の物音や声が遠くなる。
今までの疲労と佐藤先輩に受けた暴行に俺の身体は、限界だった。
一旦は、北風から太陽になろうとした先輩は元に戻っちまうだろう…。
俺は意識を失う直前、佐藤先輩の涙を思い返していた。
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