溶けだす頃に

羅刹十鬼

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暗転

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「京介~~~!助けてくれよ~~~!」
絶望感に耐えられず京介に縋るしかなかった。
さっきまで塩対応だったのにいきなり頼られてびびっている京介。
その間抜けな表情に思わず笑いそうになった。
「な、なんだよ、お前」
「赤点とったらヤバいって言われた、しかもあいつのやばいは本当にやばいって意味だと思う!」
泣きつくしかない、情けないけど。
「はるか頼ればいいじゃん」
「あいつも馬鹿じゃん!」
と返せば、そっか、と納得した。
「やべぇ、まじでこれで赤点とったらまた戸川のやつに……」
「馬鹿にされるどころじゃ済まなくなりそうだな」
笑われたけどもうそんなの気にしてる場合じゃない。
「まぁでも、お前と同じくらい馬鹿なはるかは、テストの当日の朝教科書見てるだけで赤点はないって言ってたしお前もそれで赤点回避できんじゃね」
それはテストの度に毎回はるかが言ってるけど。
「いやそれは絶対うそ、あいつもしかして頭良かったりして……?」
「それはねーだろ、そしたらお前とサボってゲームなんかしねーよ」
まぁ、そんなことは分かっているけど。
「でも馬鹿なはるかでもちゃんと委員会とかやってクラスに貢献してるの偉いよな」
「......今その話関係ある?まぁすごいとは思うけどさ」
確か、学級委員だっけ?よくやろうと思ったよな。
俺は絶対委員会はやりたくない!
「んー、じゃあとりあえず3人で勉強会でもするか!」
俺が考え事をしていると、京介から提案があった。
「京介~!やっぱお前しかいないわ~」
嬉しくて抱きつきたくなったけど、俺も戸川と同じような噂を流されたりしたらとんでもない。
「でもいつも助けを求めても、勉強会しないってめっちゃ拒否してくるのに」
「今回はほんとにお前がやばいと思ってな」
京介もやばいと感じるくらい俺は窮地に立たされているのか…。
「けどなんで拒否されてたんだっけ?」
「それはこの前勉強会ひらいた時にお前が来なかったからだろうが。結局はるかも3人で勉強しないなら行かないとか言い出すしもう絶対やらないと思ってたんだ!」
あ、やべ、なんか怒り出した。
どうやら地雷を踏んだみたいだ。
「ま、リベンジってことでよ…チャンスくれ!」
俺の大きい態度に京介は呆れていた。
ま、こんなところも俺らしいよな?
「とりあえず俺の家で勉強会するから、絶対来るように」
もし行かなかったら…とか最悪なことを考える。行くけどね。
「今日?」
「今日は親戚が家に来るらしくて無理だから結構テストギリギリになると思う」
それでも勉強会をひらいてくれるだけ救いだと思う。
俺はこの時まじで勉強をがんばることを決意したのだった。
戸川の野郎も見返したいし、俺を笑ったクラスメイトも見返してやる!
こうして、京介に協力してもらって、いつもの3人で勉強会をひらくことになった。
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