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シン・デレラ
第6話 最終話 そして運命は動き始める
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正体不明とはいえ武闘会の決勝に進出した少女キャットレディが何者かに攫われてから一か月。
近衛四聖騎士の四人が先頭に立ってキャットレディの捜索を行ったが、その行方はようとして知れなかった。
当然だが…
「まだ諦められませんか従兄殿」
身長は160センチ前後。翠の瞳に短く刈り込まれたオレンジ色の髪にやや白い肌。
腕は鍛えていることが推測できるぐらいには太く胸板もそれなりに厚い爽やか細マッチョの少年が眼のまえの風貌のよく似た少年に声を掛ける。
彼の名前はサファイア・マッサチン。この国の王子。
そして近衛四聖騎士の一人でエースオブマスクの通り名をもつトトは、実はサファイア・マッサチンより2か月早く生まれた従兄である。
家系図でみると隣国の劉国にある商家に降嫁した現国王の姉が生んだ三男坊だ。
幼いころのサファイアとトトの風貌がよく似ていたため早い時期にマッサチン王家に引き取られ影武者として教育されきた。
「俺だけじゃない。彼女と拳をあわせたキングとクイーンもご執心だ」
「なんでまた」
「3人とも使える部下にアテがないからな」
そう。キングは公爵家とはいえ四男。いずれ長兄が公爵家を相続したら独立して、近衛四聖騎士であることを考慮しても一代限りの準男爵。
クイーンは親は元子爵だが今年長兄がその地位を相続し独立した騎士伯。エースは庶民である。
ジャックが争奪戦にいないのは既に教会という伝手があるからだ。
「それに副官が美人というのは素晴らしいとは思わないか?」
シンが残したネコミミカチューシャをクルクルと回しながらトトは男臭い笑みを浮かべた。
「まさかお前が王子様のお披露目舞踏会に参加できるとは」
灰色の角刈りに黒い瞳。額の三日月傷が目立つ厳つい顔のデレラ家当主シュウ・デレラは目頭を押さえて唸る。
武闘会決勝でおきた事件の影響で舞踏会が延期された結果、舞踏会までに一六歳の誕生日を迎えた男女にも舞踏会するよう招待状がきたのだ。
「私としては武闘会に参加したかったのですが」
参加してましたとは言えないシンは僅かに視線を逸らす。
いまのシンといえば肩と胸元が大きく開いた青いドレス。ただ薄く白いメッシュのケープで覆われているので色気はあまり出ていない。
スカート部分が大きく傘のように広がっていて、いかにも舞踏会の装いっぽい。
「参加される方はこちらのマスクをお願いします」
父親と離れて別室に案内されたシンは部屋のメイドから蝶を模ったオペラマスクを渡される。
いきなり王子の身元がバレて下手に媚びられて交友関係を阻害されないための措置と言われるとシンも断れない。
マスクを装着し別の扉からホールに続く通路に出る。
すると対面にある扉から鳥を模ったオペラマスクを付けた、翠の瞳に短く刈り込まれたオレンジ色の髪の少し肌が日に焼けたタキシード姿の少年が現れる。
ホールには男性が女性をエスコートして入るというマナーを受けての演出だ。
「お手を」
差し出された手を取りシンと少年はホールに入る。
ホールの中では何人もの少年少女がゆっくりとした3/4拍子で1拍目にアクセントがある音楽で男女が向かい合いクローズドポジションで踊るワルツに興じている。
最初はホールにエスコートしてくれたパ-トナーと踊るようだ。
二人のダンスはお互いに武骨だったが力強く見る者を魅了した。
そして一曲が終わりに近づくにつれ少年の顔は歓喜に染まっていく。
曲が終わりパートナーチェンジをする寸前、少年はシンの手の甲に口づけする。
そして二人はお互いに声をかけた。
「「君の名は?」」
- END -
近衛四聖騎士の四人が先頭に立ってキャットレディの捜索を行ったが、その行方はようとして知れなかった。
当然だが…
「まだ諦められませんか従兄殿」
身長は160センチ前後。翠の瞳に短く刈り込まれたオレンジ色の髪にやや白い肌。
腕は鍛えていることが推測できるぐらいには太く胸板もそれなりに厚い爽やか細マッチョの少年が眼のまえの風貌のよく似た少年に声を掛ける。
彼の名前はサファイア・マッサチン。この国の王子。
そして近衛四聖騎士の一人でエースオブマスクの通り名をもつトトは、実はサファイア・マッサチンより2か月早く生まれた従兄である。
家系図でみると隣国の劉国にある商家に降嫁した現国王の姉が生んだ三男坊だ。
幼いころのサファイアとトトの風貌がよく似ていたため早い時期にマッサチン王家に引き取られ影武者として教育されきた。
「俺だけじゃない。彼女と拳をあわせたキングとクイーンもご執心だ」
「なんでまた」
「3人とも使える部下にアテがないからな」
そう。キングは公爵家とはいえ四男。いずれ長兄が公爵家を相続したら独立して、近衛四聖騎士であることを考慮しても一代限りの準男爵。
クイーンは親は元子爵だが今年長兄がその地位を相続し独立した騎士伯。エースは庶民である。
ジャックが争奪戦にいないのは既に教会という伝手があるからだ。
「それに副官が美人というのは素晴らしいとは思わないか?」
シンが残したネコミミカチューシャをクルクルと回しながらトトは男臭い笑みを浮かべた。
「まさかお前が王子様のお披露目舞踏会に参加できるとは」
灰色の角刈りに黒い瞳。額の三日月傷が目立つ厳つい顔のデレラ家当主シュウ・デレラは目頭を押さえて唸る。
武闘会決勝でおきた事件の影響で舞踏会が延期された結果、舞踏会までに一六歳の誕生日を迎えた男女にも舞踏会するよう招待状がきたのだ。
「私としては武闘会に参加したかったのですが」
参加してましたとは言えないシンは僅かに視線を逸らす。
いまのシンといえば肩と胸元が大きく開いた青いドレス。ただ薄く白いメッシュのケープで覆われているので色気はあまり出ていない。
スカート部分が大きく傘のように広がっていて、いかにも舞踏会の装いっぽい。
「参加される方はこちらのマスクをお願いします」
父親と離れて別室に案内されたシンは部屋のメイドから蝶を模ったオペラマスクを渡される。
いきなり王子の身元がバレて下手に媚びられて交友関係を阻害されないための措置と言われるとシンも断れない。
マスクを装着し別の扉からホールに続く通路に出る。
すると対面にある扉から鳥を模ったオペラマスクを付けた、翠の瞳に短く刈り込まれたオレンジ色の髪の少し肌が日に焼けたタキシード姿の少年が現れる。
ホールには男性が女性をエスコートして入るというマナーを受けての演出だ。
「お手を」
差し出された手を取りシンと少年はホールに入る。
ホールの中では何人もの少年少女がゆっくりとした3/4拍子で1拍目にアクセントがある音楽で男女が向かい合いクローズドポジションで踊るワルツに興じている。
最初はホールにエスコートしてくれたパ-トナーと踊るようだ。
二人のダンスはお互いに武骨だったが力強く見る者を魅了した。
そして一曲が終わりに近づくにつれ少年の顔は歓喜に染まっていく。
曲が終わりパートナーチェンジをする寸前、少年はシンの手の甲に口づけする。
そして二人はお互いに声をかけた。
「「君の名は?」」
- END -
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