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41. 真実
固唾を飲んで見守る一同だったが、トーマとラナの時ものの5秒程度で血縁関係を示す青に変化したというのに.30秒、1分経っても、聖水は透明なままだった。
「変化なし。血縁関係を否定します」
神官長が告げると、
ガタンッ!
カイラスが椅子を蹴る勢いで立ち上がり叫んだ。
「うっ…嘘だっ! 確かにアーシャは俺の…!」
「結果は結果だ。お前とアーシャに親子関係がない事はこの場で証明された」
落ち着いた声音で言うソレイユ。
カイラスは納得がいかない。シエルの発情期に子種を仕込んだ。避妊しなければ発情期のΩの妊娠率は高い。時期的に見ても間違いなく自分の子供だと…。
「吠えても結果は変わらん。アーシャはお前の子供ではない」
「だっ…だったら誰の子だとっ…!」
と、更に叫ぶカイラスだが、それを疑問に思っていたのはカイラスだけではなかった。ただ3人を除いては…。アーシャの母であるシエルでさえも。
シエルは初めての発情期でアーシャを身籠った。記憶は曖昧だが、カイラスに無理やり組み敷かれた朧気な記憶しかない。
……………。
カイラスの子供でないのなら、アーシャは誰の…。
「最後に、ルシアンとアーシャの鑑定を行う」
「…は…?」
「…え…?」
シエルとカイラスが同時に声を上げた。
どうしてルシアン…?
そう思ったのはシエルとカイラスだけではなかった。神官長を除く3人以外の全員の視線が、眉一つ動かさず、机の上に両肘を置き組んだ手に顎を乗せているソレイユに注がれた。国王として注目される事に慣れている彼は、微動だにせず冷静にその視線を受け止める。
その間にも神官長はルシアンとアーシャから唾液を採取していた。
そして、今にも二本の綿棒が聖水に浸されようとした時、
「まっ…待って下さい!」
我に返ったカイラスが待ったを掛けた。
「何だ?」
「!」
いっそ冷たい声で返されて一瞬怯んだカイラスだったが、それで止めるような男ではなかった。
「どっ…どうしてルシアンが!? ルシアンはシエルの護衛騎士です! それに、シエルと発情期を過ごしたのは俺です!」
「…少し黙っていてくれないか? 結果が出れば判る事だからな? 意見があれば鑑定の後で聞く。
神官長、頼む」
「かしこまりました」
綿棒が聖水に浸され…。
瞬く間にその色を青く染めていく。
青、血縁関係ありー。
シ…ン……
一瞬の静寂の後…。
先程立ち上がったままの姿勢でずっと立っていたカイラスが、足を踏み鳴らし、一際大きな声で抗議の声を上げた。
「嘘だ! 有り得ない!」
「ふぇっ…。えっ…えっ…あ~~っ!」
びくっとして泣き出すアーシャ。シエル自身も予想もしていなかった鑑定結果に頭の中は混乱していたが、泣き出したアーシャを宥めるのを優先し、自身の服に手を掛けた。察したラナが、用意していたケープでアーシャごとシエルの上半身を覆う。親子鑑定の事はシエル達は知らなかったが、今日の集まりはアーシャを必ず連れて来るよう言われていたから、途中でアーシャがぐずった時に授乳する可能性も考えて、ラナが持参してくれていたのだ。
乳を含ませて軽く背中をトントンしてやると、アーシャは泣き止んでくれた。
「何故、ルシアンとアーシャに血縁関係が認められるんだ!」
相当頭に血が上っているらしく、言葉遣いが荒くなっているが、興奮している本人は気付かない。
ラナがケープの中に手を入れてアーシャの耳を塞いでくれたから、アーシャが再び泣き出す事はなかった。
「何故…か…」
ふむ…と一つ頷くソレイユ。
「では、真相を明かすとしようか」ー。
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☆お話の区切りの都合で、今回少し短めです。
次話で『あの日』の真相が明らかに!?
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