【完結】家族になろうよ 〜パパが『恋』をしてもいいですか?〜

Kanade

文字の大きさ
41 / 56

41. 仕掛けた『初めて』のキス


〈 玲視点 〉

  6月ー。
  俺と暁登さんの出逢いから丸1年が経ち、正式に恋人として交際を始めてから3ヶ月が過ぎたー。

  実のところ、恋人になったからといって、何かが変わったという事はなく…。
  毎週末の土曜日か日曜日は暁登さんから俺達の家にきてくれて一緒に過ごすし、月に一度は俺と暁登さんの2人で計画して、日帰りで少し遠くまで出掛けたりした。奏音が大好きな電車で。出掛けない週末は家でまったりしたり、天気の良い日は公園に遊びに行ったり、買い物に行ったりする。
  特に公園は、出掛けない週末はほぼ毎回行く、奏音のお気に入りスポットだ。ただ遊んでいる様子を見守るだけだった俺と違い、暁登さんは一緒に遊んでくれるから。暁登さんは暁登さんで、どんどん成長する奏音の相手を可能な限り長く続けられるように、時間があればジムに行ったり筋トレをして、体力維持や向上を心掛けているらしい。よく奏音をお風呂に入れてくれるから暁登さんの上半身裸はたまに見るけれど、引き締まってて、腹筋割れてて、好きな人のそんな体見たらドキドキしちゃうよね。すぐ目を逸らす俺…。
  暁登さんは約束通り奏音をとても大切にしてくれている。一緒に過ごす時間は奏音優先。ちゃんと守ってくれてる。かといって、俺が放っておかれている訳でもない。暁登さんが奏音と遊んでくれている間に家事をしたりする俺だけれど、いつの間にか傍にいてさり気なく手を貸してくれるし、「奏音、パパのお手伝いしようか」と奏音と一緒に手伝ってくれたりする。
  もうね、恋人というよりだよねぇ。
  ある日、

「奏音はわざわざ遠くまで遊びに行かなくても、貴方と居られれば楽しいし、嬉しいんですよ」

と俺が言ったら、暁登さんは、

「そうか。俺は君達に好かれようと必死になるあまり、独り善がりが過ぎたんだな。俺も、肩肘を張らない現在いまのほうが楽しいよ」

と返しながら笑った。

  そうそう、先月、奏音は5歳になりました。
  去年までは毎年佑真先輩が来てくれて一緒にお祝いしてくれた誕生日。今年は俺と奏音と暁登さんの3人で。先輩には暁登さんと交際を始めた事を話していたから、遠慮してくれたんだと思う。俺は先輩が一緒でも全然構わないし、奏音が喜ぶから…と言ったけれど、先輩は当日奏音ににプレゼントだけ渡しに来て、そのまま帰ってしまった。
  俺と暁登さんからのプレゼントは『自転車』。晴香さんの息子さんの煌星こうせいくんが乗ってるのを見てずっと欲しがってたから、「5歳になったらね」と奏音と約束していた。俺1人で買うつもりだったんだけれど、暁登さんが「便乗させてほしい」って言ってくれて、幾つもプレゼントをあげるよりも一つのプレゼントを2人で用意するのも良いかも…と、俺はその申し出を有り難く受け入れた。
  初の自転車に奏音は大喜びで、次の週末には早速、暁登さんが来るなり「こうえん!」口撃が凄かった。暁登さんは嫌な顔一つしないで、家に上がらずそのまま奏音を公園に連れて行ってくれた。
  俺、確かに「奏音を優先して」とは言ったけどさぁ…。
  
  俺と暁登さんが交際を始めてから3ヶ月が経ったけれど、俺達はいまだプラトニックな関係だ。
  奏音の前では性的な言動はしない、と約束したし、当然それは守られているけれど、奏音のお昼寝中や、夜奏音が寝た後の2人きりのリビングでも、俺達の間に性的な触れ合いは無い。お互いの手を握ったりはするけれど、それ以上、暁登さんから俺に触れたり、キスやハグもしない。ちなみに、奏音がいなくなった日の夜以降、遊びに来た日が土曜日でも、一度も泊まって行ったことはない。
『ゆっくり育む恋』、いつまで…?
  最近思う俺である。
  いや、俺の為に提案してくれたんだという事は解っているけれど、一度やらかしてるから慎重になっているんだろうな、とは思うんだけどね…。
  差し出すのはまだ少し怖いけれど(初めてだから)、ハグとキス(キスも初めてだけれど)くらいは…と、期待している俺がいる。
  だってさ、ゆっくり俺達のペースでって言っても、限度があるって思わない!? 俺達、大人だよ!?  好きな人とはキスしたいと思うのは普通だろ!?
  ……………。
  …俺、欲求不満…なのかなぁ…?
  俺から仕掛けてみようか…。経験ないし、超ビギナーだけれど……。


  その日の夜、帰る暁登さんを玄関まで見送りに出た俺。上がりかまちに立っていた俺は、靴を履いた暁登さんが振り向いたタイミングで少し背伸びをして、暁登さんの唇に自分の唇を重ねた。時間にして僅か2秒ほど。
  唇を離して姿勢を戻して暁登さんを見れば、まさか俺から仕掛けられるとは思わなかっただろう驚き顔…と、それも一瞬のこと。すぐさま長い腕に抱き寄せられ、再び重なる二つの唇。

「…んっ…」

  しっかり重ねた後は啄むような可愛らしいバードキスの嵐。解放された俺は、へなへなと座り込んだ。そんな俺を暁登さんは屈んで1回だけ抱きしめ、離す時におでこにキスをしてから、耳元で、

「おやすみ」

囁くように言ってから帰った。

「~~~~~~~~」

  両手で頬を押さえて蹲る俺。
  仕掛けたつもりが思わぬ反撃(?)にあい、暫くその場から動けなかった俺。
  
  この夜をきっかけに、俺と暁登さんの関係は少し進展した…と思うー。

感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】君が笑うから、俺は諦められない

Lillyx48
BL
職場の先輩と後輩の恋のお話

【完結】優しい嘘と優しい涙

Lillyx48
BL
同期の仲良い3人。 ゆっくり進んでいく関係と壊れない関係。

君の恋人

risashy
BL
朝賀千尋(あさか ちひろ)は一番の親友である茅野怜(かやの れい)に片思いをしていた。 伝えるつもりもなかった気持ちを思い余って告げてしまった朝賀。 もう終わりだ、友達でさえいられない、と思っていたのに、茅野は「付き合おう」と答えてくれて——。 不器用な二人がすれ違いながら心を通わせていくお話。

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

キミと2回目の恋をしよう

なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。 彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。 彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。 「どこかに旅行だったの?」 傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。 彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。 彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが… 彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?

僕の幸せは

春夏
BL
【完結しました】 【エールいただきました。ありがとうございます】 【たくさんの“いいね”ありがとうございます】 【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】 恋人に捨てられた悠の心情。 話は別れから始まります。全編が悠の視点です。

隣国のΩに婚約破棄をされたので、お望み通り侵略して差し上げよう。

下井理佐
BL
救いなし。序盤で受けが死にます。 文章がおかしな所があったので修正しました。 大国の第一王子・αのジスランは、小国の王子・Ωのルシエルと幼い頃から許嫁の関係だった。 ただの政略結婚の相手であるとルシエルに興味を持たないジスランであったが、婚約発表の社交界前夜、ルシエルから婚約破棄をするから受け入れてほしいと言われる。 理由を聞くジスランであったが、ルシエルはただ、 「必ず僕の国を滅ぼして」 それだけ言い、去っていった。 社交界当日、ルシエルは約束通り婚約破棄を皆の前で宣言する。

あなたの愛したご令嬢は俺なんです

久野字
BL
「愛しい令息と結ばれたい。お前の家を金銭援助するからなんとかしろ」 没落寸前の家を救うため、強制的な契約を結ばれたアディル。一年限りで自分の体が令嬢に変わる秘薬を飲まされた彼は、無事に令息と思いを通じ合わせることに成功するが……