【完結】家族になろうよ 〜パパが『恋』をしてもいいですか?〜

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55(最終話). Familyー家族ー


 〈 玲視点 〉

  10年後ー。

  歳月の流れは速く、俺達父子と暁登さんが一緒に暮らし始めて11年が経とうとしていた。
  奏音はこの春に高校2年生になり、俺と暁登さんは立派な(?)アラフォーになっていた。
   
  この10年で変わったことがある。
  ます俺の仕事スタイルが変わったこと。奏音が小学2年生になった頃、完全在宅勤務から週3日会社勤務に変えてもらった。俺の仕事がプログラマーなのは変わらないけれど、俺はやっぱり会社が好きで、人と関わりながら仕事がしたかった。シングルでの育児の為にやむを得ず在宅勤務を選択した時から、その気持ちは変わらない。社長である佑真先輩は快諾してくれた。
  もう一つ大きく変わったことかある。俺と暁登さんの関係がになったことだ。
  一緒に暮らすようになってからも、奏音の前では絶対に性を匂わせるような接触はしない…というルールは徹底して守っていた俺と暁登さん。夜、奏音が寝た後に触れ合う時も、一部屋だけ離れた場所にある暁登さんの部屋で出来るだけ声を抑えることに留意していたし、奏音が在宅の時は最後まではしないようにしていた。ついでに言うと、夜中に目を覚ました奏音に即座に対応出来るように、上は着たまま…。最後までするのは、おじいちゃまとおばあちゃまの家をえらく気に入った奏音が、月に二度ほど1泊まりに行った時だけ。
  心身共に日々成長していく奏音を育てながら、いつまでも隠し通せる関係じゃない。世間では必ずしも理解される関係ではないからこそ、いつかは話さなければ…と思いながらも、もう少し大人になってから…と暁登さんとも話して合意していたある日ー。
  中学生になった奏音が、

「パパとあきちゃんはなの?」

と、夕食のひと時、「今日は何していたの?」とまるで世間話をするようなノリで俺達に訊いた。
  あまりに唐突過ぎて、驚いて顔を見合わせた俺と暁登さんだけれど、一瞬頭に浮かんだ思いは同じだったようで、一つ頷き合い、奏音に視線を戻し、

「「そうだよ」」

と声を揃えて答えた。
  そして奏音は…。

「やっぱりそうかぁ~」
  
  何とも軽いノリで言った。笑顔で。だから、どうしてそう思ったのかは訊かなかった。
  ただ一つだけ、

「かなはイヤじゃない? パパとあきちゃん、男同士だから…」
  
  そう俺が訊けば、

「どうして? イヤな訳ないじゃん。僕、パパとあきちゃん大好きだもん」

更に満面の笑みで言う奏音に、不覚にも泣いてしまった俺。だって、嬉しかったから…。多感な思春期。男同士の恋愛なんて嫌悪されても仕方ないのに、「2人が大好きだから」というだけで受け入れてくれた奏音の気持ちが嬉しくて…。
  こうして俺と暁登さんの関係は奏音の知るところになったけれど、だからといって変わらず奏音子供の前では恋人の部分は一切見せなかった。親だって人間なんだから、伴侶がいなければ恋をしても良いし、恋人が出来る事もあるだろう。でも、子供の前では『親』であるべきだと思うから。


  それから更に月日は流れ、奏音が高校に入学して2ヶ月あまり経った頃ー。

「パパ、あきちゃん、僕ね、好きな子が出来たんだ。っていうか、今、お付き合いしてるの。男の子なんだけど」
「「……………」」

  まるで既視感デジャヴ…。
  以前、俺達の関係を指摘した時のように、夕飯を食べながら世間話でもするようにカミングアウトされたから。
  突然の「恋人がいる」宣言に驚きはしたけれど、相手が男の子…つまり同性である事に驚きはない。
  ただ、凄いな…とは思った。俺には自分が同性に惹かれる事に悩んだ経験と、誰かと添い遂げる未来を一度は諦めた経験があるから。暁登さんと出逢わなければ、俺はきっと諦めたままだった。でも、奏音は何でもないように、恋人は男の子だと言う。未だに同性愛に理解があるとは言えない世の中だけれど、そんな世の中で心のままに恋をした。凄い事だと思う。まだ若いから相手の子とこれからどうなるかは判らないけれど、全力で恋をした経験はこれから未来さき、大きな糧になるだろう。
  だから、俺と暁登さんは見守るだけだ。


  恋人になって7年目の年、俺と暁登さんは交わした。
   一つは、奏音が高校を卒業したら、海外の…同性婚が認められている国に行って2人だけでの結婚式を挙げること。
  もう一つは、これも奏音が高校を卒業してからだけれど、養子縁組をして俺が暁登さんの籍に入ること。
  日本で生きる以上、俺達は結婚出来ない。法的に認められた『家族』になるには、養子縁組しかないから。先に「養子縁組しないか」と言ったのは暁登さんだ。生涯添い遂げると決めたからには、俺にを与えたい…と。長く同居をしていても恋人は他人と同じ。法的に認められた家族しか得られない権利を享受する事は出来ない。どちらかに何かあっても知る権利、知らされる権利はないし、相続権もない。暁登さんはそれはイヤだと言った。相続はともかく、歳を重ねてもし互いが病気になったとしても、守秘義務のある医者は家族にしか話さないし、入院しても家族しか付き添う事は許されない。それは絶対にイヤで、どんな事でも俺と分け合いたいと言ってくれた。俺は泣きながら頷いた。俺も「貴方とどんな事でも分け合いたい」…と…。

  だけど、は同性婚を認めてくれない理不尽なこの国で『家族』として生きていく為の手段でしかない。
  そんな形なんか無くても、俺達には確かな絆がある。
  何年…何十年経っても変わらない…変わらないと信じられるだけの確かなが。

  俺と暁登さんは『恋人』で、『夫夫ふうふ』でー。
  暁登さんと奏音は『父子おやこ』でー。
  俺と暁登さんと奏音は『』だ。
  ずっとーーー。


《 完 》

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