仮面の傭兵

ブロちゃんぼん

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第1話

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傭兵。雇い兵とも呼ばれ、金で雇われ雇い主の依頼を遂行する兵士。依頼内容は魔物の退治や護衛、素材の採取や山賊などに取られた大事なものを取り返してくれー的な依頼、はたまた配達屋さんでは無理な場所へ荷物を配達させられる言わばパシリみたいな依頼もある。

そして、下から二番目に紹介した依頼を受けてしまった男が一人…


「しまったなー…まさか、奪われたものを取り返して欲しいっていう依頼名だったのにまさかの1つの盗賊団に奪われていたなんて…」

とグチグチと呟きながら洞窟を抜き足差し足忍び足で進む奇妙な仮面を被った男。ここは賞金にかけられている盗賊団「貴様らの血の色は何色団」という、巷で恐れられている盗賊団の1つのアジトだ。

「断ろうにも…」

男は自分に頼み込んだ豚…もとい小太りな男性を思い出す。

『家の家宝で来月の結婚式に娘が着ける予定の指輪でもあるんです! 貴方はこの街の傭兵ギルドで優秀な人と聞きました! どうか…どうか…!』

と土下座で頼み込まれたのでは断るにも断れないというものだ。頼まれたら断れないうんたらかんたらで結局依頼を受けてしまった。

「まぁ、気づかれないようにチクチクとやって行くしかないか…」

この独り言の激しい仮面の男の名前はレン。これでも主人公である。今は仕事で盗賊から奪われた指輪を取り返しにやってきた。

「最近まともな依頼なかったし、川に落ちた眼鏡を拾ってくれだとか、釣りの手伝いをしてくれだとか、挙句の果てにはトイレットペーパーが切れたってなんの報告だよ!」ブツブツ

と、愚痴りながらも洞窟でくつろいでいた盗賊を一人一人眠らせながら探索を進めるレン。盗賊のアジトにぼっちで突撃して壊滅させるほどの度胸と実力は持ち合わせていないので見つからないように一人一人おねんねさせて行く事にした。チーム組んでいけよと思うだろうが、誰がこんな気味の悪い仮面をつけた男と一緒にチームを組みたがるだろうか。

「あー、最近ヤれて無いわー…あーくそ、なんかムラムラしてきた。」
「そんな貴方にチクチクサービス。」スッ
「だれrあびっ…」チクッ

レンがビリビリと電流が流れた中指を盗賊の男の脳天にぶっ刺すと男は泡を吹いて倒れた。チクチクというよりブスッだったが気にしてはいけない。時々体が痙攣を起こしたりするが多分、死んでないので気にしてはいけない。盗賊などの族は生きて全員お縄に繋いで衛兵さんに渡せば追加報酬があるからできればノーダメノーキルウェイウェイで頑張りたいのである。

レンは男の身体をまさぐるり指輪を持っていないか探す。この男もハズレであった。レンは男を縄で亀甲縛りにして動けなくしたあとで適当にバレないとこに隠して探索を開始する。そこらのタンスや箱などを調べてはいるが指輪はなかった。

洞窟の中は意外と生活感があり、一つの指輪を探すのは一苦労だ。もう指輪なら何でもいいんじゃないのかと思い始めていた頃、ついに似たような指輪を発見した。依頼者から聞いた指輪はレッドサファイアと呼ばれる赤い宝石の指輪で内側に依頼者の家名が刻まれているらしい。が、等の指輪が盗賊の女の人差し指にはめられていて確認できない。

「うわー、よりにもよって女の人か…」

男なら情け容赦なくチョップできるが女の前だとあがっちゃう系男子のレンは鋭いチョップがスライムチョップに変わってしまう。

「だけど、これも依頼のため…悪く思わないで下さいよ…!」

レンが覚悟を決めて一歩踏み出した時、足元に転がっていた小石を思わず蹴ってしまった。洞窟内ではそんな音も鮮明に響くので当然すぐ近くの女の耳にも入り。

「誰!?」

女が短剣を抜いて警戒し、女の声でゾロゾロと厳つい男達も出てきた。

「どうした?」
「姐さんどうかしやしたか?」
「姐さん結婚してくれ!」

(やっちまったー! 今時の素人でもしないよ!?こんなミス!!)

仮面のせいで見えないが冷や汗が止まらない。ざっと5人以上の盗賊が今ので出てきた。道中邪魔な盗賊を眠らせて10人はやったのだが、まだ何人かいるようだ。

(ここは戦略的撤退だな!)

今日は忍者戦法で挑むつもりだったので主力武器の剣と鎧は重いしちょっと煩いので拠点の宿屋に置いてきている。まともな防具は胸当て位の軽装だ。。武器もダガーを1本と投げナイフ6本と心もとない。ここは逃げるが吉である。

「そうは早速…」

「何処へ行くんだ?」

ガシッと肩を掴まれるレン。錆び付いた人形のように後ろを振り向くと蛮族の様な顔をした見上げるほどの巨漢。

「あ、ちょっとおトイレに」

「行かせるかよ!!」

巨漢は持っている手斧をレンに振り下ろす。巨漢の手斧は真っ直ぐにレンに振り下ろされたが、レンは逆に巨漢の懐に入りダガーを抜刀した勢いで巨漢の腕を切り裂く。

「ぐァァッ!」

「悪く思わないでくれよ!」

レンが稲妻を纏ったと思ったら巨漢の溝にボディーブローを食らわした後蹴り飛ばした。

「ぐはっ!?」

巨漢は顔面から地面へ倒れ伏せて気絶し動かなくなった。

「おいおい、あいつが蹴り飛ばされたの初めて見たぜ!?」

「何もんだあいつ!?」

「あのバッチ、傭兵か!?」

巨漢が伸されたことで盗賊達に動揺が広がる。傭兵がつけることを義務付けられているバッチを見られて傭兵だということがバレる。

「くそ、傭兵ギルドの奴らにここがバレちまったってことか! 」

「しつけぇ犬共がっ!」

退路も塞がれ、囲まれてしまったレン。

(見逃しては、くれなさそうだなぁ…)

「そいつをとっとと殺っちまいな! 早くヅラかるよ!」

「「「おおー!!」」」

盗賊達がそれぞれの武器を持ってレンに襲いかかった。多数に対しレンは1人である。普通なら、「やはり単身で乗り込んだのは不味かったか、命運ここに尽きたり…ッ!」と思うだろうが

「仕方が無い、手加減はできないぞ…!」

レンはダガーを構えると稲妻を纏った左腕を掲げる。

「弾けて! 混ざれ!」

掲げた左腕から球体が出てきたかと思うと、それが目を開けてられないほどの光を放った。

「な、なんだ!?」

「前が見えねぇ!?」

目を開けられないほどの光に思わず盗賊達の動きが止まった。その時、

「ぐぁぁ!?」

一人の盗賊が悲鳴をあげる。そして、次々と悲痛な悲鳴をあげる盗賊達。やっと目が開けられるほど光が収まった時、目に入った光景は、盗賊の皆が股間を抑えてうずくまっている光景であった。

「な、なんだ!? 何が起こっているんだい!?」

唯一無事だった女盗賊がその光景に戸惑っていた所にレンが現れた。

「あなた以外が全員男で助かりましたよ。」

恐らく仮面の下ではほくそ笑んでいるであろうレン。やったことは簡単だ。ちょっと強い目くらましで怯ませている間に男達の股間という股間を全力で蹴りあげた後、気絶させた。男にとっての外道戦法である。これも全て、魔法様々である。

「なるほど、あんた属性持ちか…ならッ!」

女の体から炎のオーラが湧き出し薄暗い洞窟をまた照らす。

「どう? 美しい炎でしょう? 私も炎の属性を持っているのよ。そして、この指輪は炎属性の魔法使いの力を大幅にアップさせることが出来る…まさに私のためにあるものだわ…ってあれ?」

女が魔力を放出していた隙にレンが女の視界から消えた。

「ごめん、そういう対決は苦手なんだよ。」

「あばばばば!」

一瞬で女の背後に回り込んだレンは首筋に電流を流して女を気絶させた。

レンが先程からしているのは魔法である。人誰しもにも流れている魔力という力を使った技法で、打ち出したり体を強化させたりと色々できるのだ。そして、人には属性の適正というものがある。属性は色々あり、レンの場合雷の属性の適正がある。しかし、これは魔力とは違って誰もが持っている訳ではなく、そして属性は一人一つが殆どらしい。


レンは盗賊たちを集めて拘束用の縄で縛る。

「ふう…これで最後かな…。」

思いがけないハプニングがあったがこれで一件落着である。

「さて、依頼の指輪も手に入ったし…何か金目のもの探しますか。」

盗賊などの持ち物は全滅させた者に所有権が下るのだ。そう、盗賊の持ち物は俺のもの、俺の物は俺の物である。今回みたいな依頼は別だが。

レンはタンスなどを調べてなにか無いか探す。もはやどっちが盗賊か分からない。大量の金と宝石が見つかりほくほく顔で袋に詰めていく。

そして、探索しているうちにレンは気になる部屋を見つけた。そこには牢屋のようになっており、中に10歳ほどの女の子が眠っていたのだ。

「え、あの盗賊達そういう趣味が…!?」

さっき倒した盗賊たちの思わぬ性癖に気づいてしまいドン引きするレン。

「まぁ、性的趣向は人それぞれだよな…うん。でも、これはアカンで。」

衛兵さんにこってり絞られてしまえと心で思いながら鉄格子をこじ開けて女の子を起こそうと体を揺らす。綺麗な銀の髪色に真っ白な肌、かなり質のいい服を着ているから、何処かの貴族の子だろうか。

「おーい、お嬢さーん」

「ん…」

子うるさそうな顔をしながら薄く目を開けた。その瞳は飲み込まれるような紅い瞳だった。

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