堕天の皇帝

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軍事育成学校編

2人の皇帝

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「2対1か。なかなかに厳しいのぉ~。」
「そういうんだったら、引いてほしいんだがな。」
「わしにも君を回収するという命令があるんじゃよ。
 だから君が大人しく捕まるならなにもせんよ。」
「そういう言葉を使うやつは決まって悪党なんだよな」

 そして、俺と同じFIRSTKINGは一気に距離を詰める。
相手も携えていた刀を引き抜き、戦闘態勢に入る。
俺は愛用のナイフとべレッタを構え、
FIRSTKINGはいつの間にか持っていた
ブレードを構えた。
俺は右目を青く光らし、FIRSTKINGは赤く光らす。
「ふむ。2人ともか。」
べレッタを5発連続で放つ。
老人は最小限の動きでかわし刀で弾く。
まぁさすがにこれが当たるほど雑魚じゃないよな。
FIRSTKINGがブレードを振り下げる。
相手は刀で受け流すが、
FIRSTKINGの懐から距離を詰め、
ナイフを当てに行くが、バク宙でかわされる。
俺とFIRSTKINGはお互いに足を合わせ蹴り、
相手のいきなり振り下ろしてきた刀をかわす。
バク宙の間から刀を振り下ろすとは化け物だな。
その瞬間セクレートのいる場所へ戻される。

「翔太くん。翔太くん。」
「なんだよ。セクレート。今戦闘中なんだよ。」
「逃げてほしい。」
「どういうことだ。」
セクレートの顔は何時にもなく真剣だ。
「見たらわかると思うけどあれは規格外だよ。
 今の君では返ってFIRSTKINGの邪魔になる。」
「セクレートがそんなはっきり言うとは珍しいな。」
「ね。だから、、、」
「それでもなんだよ。俺はあの人と一緒に戦いたい。
 あの人は俺と同じな気がする。
 なにか学べるのかもしれない。だから。」
「わかったよ。」
セクレートの顔は少し悲しそうな顔をしている。
「ごめんな。セクレート。」
「君は絶対に死なないで。
 これから数分後にば、、、
 いや、なんでもない。」
「なんだよ。歯切れが悪いな。」
「なんでもないけど、直ぐにこの戦いを終わらせて。
 1度瀕死になってでも。奥の手を使うことになっても」
「わかったよ。その時は頼むぜ。」
「お願いだからね。いってらっしゃい。」
「あぁ。いってくるぜ。」

 私は君だけを守れればいい。
君が生きれるなら私はにも手を染める。
FIRSTKING。どこかで見た事のある顔。
いったいどこで彼の顔を見たのだろうか。

 俺はセクレートとの話を終わったが、
その瞬間はFIRSTKING達からすれば
一瞬の出来事だったのだろう。
だが、その一瞬が命取りなのも事実。
刀は俺の眼前に迫っていた。
だが、今なら反応できる。
俺の力が成長してるのか?
ゆっくりに見える。
俺は上体を曲げかわし、ブリッチのような
形から足を振り上げ相手の顎に蹴りを入れる。
これには相手も予測していなかったのか入った。
倒立の状態から立ち上がり刀を持っている手を
蹴り飛ばす。そして、クラッチを入れた。

ふむ。彼はなかなかの戦闘センスをしているようだ。
また、良いサポーターが彼にはついている。
まだ彼の本気ではないが、彼はいずれ
私を、FIRSTKINGを超える存在になるだろう。
はっはっは。なんとも楽しみだな。

 俺は老人の意識を落とすことに成功した。
「これでなんとか終わりか?」
「ん?あ、あぁ。そうだな。終わりだ。」
「ふぅ。疲れたぜ。」
「早く君は脱出に向かうといい。」
「ん?あんたはどうするんだよ。」
「私もすぐに向かうが、もう少しだけここにいる。」
「わかったぜ。あんたとは話したいことがある。
 だから死ぬんじゃねぇぞ。」
「あぁ。私は死なないさ。なんせ。
 FIRSTKINGだからな。」
「あぁ。そうかよ。」

 彼を逃がすことが出来た。
彼の話したいことってのはなんだろうな。
彼には申し訳ないな。
私があいつに勝てる自信がない。
だけど、私の死を彼には乗り越えてほしいな。
いや、語弊があるな。
私は確かに死なない。
だが、死んだことになるのだろう。
そして、俺は言葉を放つ。
「出てきなよ。公安0課。
 彼を、いや、弟を俺は守るぞ。」
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