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一章 騎士見習い
第9話 アレックさんも危ない人
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その日は朝から騒がしかった。
アリスとリナがお取り込み中なため、一人で朝食を取りに男子寮の食堂に来たは良いもの、皆が楽しそうに今日のことを話している。リナの言う通りだ。
食堂のおばちゃんから朝食を受け取り、俺はお気に入りの席に座る。窓際の四人がけのテーブル。
席に座ると同時にアラン君がやって来た。
「おはようございます!」
「おはよう、アラン君」
「一緒に食事をしても良いですか?」
「もちろん」
アラン君が俺の前に座る。
今日の朝食は前菜のカット野菜盛り合わせと主食のパン。軽いスープと焼き魚。今日も美味しそうな朝食だ。
俺がスープを食べると同時にアラン君はパンを小さくちぎって食べた。そののち俺の方を見てくる。
「リヴァさんは知っていますか? アレックさんのこと」
「うん。今日来るんだよね?」
「はい。男子にとっての憧れです」
するとアラン君の表情が微妙に曇る。
「ただ、リヴァさんは気をつけたほうが良いです」
「どうして?」
「それは…………」
「あっ!!」
アラン君の声を遮るようにアリスが大声を上げた。
食事の入り口で、俺とアラン君が二人きりで食事をしているのが見えたからだろう。
驚異的な早歩きで俺たちに詰め寄って来た。
「アラン君、何私の許可なくリヴァちゃんと一緒に食事をしてるの!」
「アリス、うるさいかな」
「リナちゃん、止めない…………で? あれ?」
俺の言葉がリナの言葉だと思ったのだろう。
不思議そうに俺とリナを交互に見て、リナが手でバツを作る。そして恐る恐ると言った様子で俺の方を見て来た。
「今のリヴァちゃん?」
「うん。私の言葉。どうしてアリスの許可がなかったらアラン君と一緒に食べることもできないの? あと、純粋に朝からうるさいです」
その言葉が予想外だったらしく。
アリスの表情が徐々に暗くなっていく。
体がダンみたいに震えだした。
「アリスちゃん?」
「ごめんなさい! ごめんなさい! 嫌いにならないで!」
「大丈夫。別にアリスが嫌いだから言ったわけじゃないよ。むしろ好きだから安心して」
あくまで友達として。
するとさっきまでの暗い顔が嘘のように明るくなり。
「聞いた? リナちゃん聞いた? 今、リヴァちゃん。私のこと好きだって」
「アリスちゃん、少しは、反省しよう?」
「はーい」
本当にアリスは反省しない子だ。可愛いから良いのだけれども。それに男子に関して異常な反応を示すけども、それ以外は普通に良い子だし。
まあ、なんだ。
その男子に対してが酷いのだけれども。
「それで、えっと。アラン君、何の話してたっけ?」
俺はアラン君の方を見る。
アラン君は呆気に取られた様子だったが俺の言葉で我が戻ったらしく。
「そうでした。リヴァさんはアレックさんに絶対に気をつけてください。アレックさんは、女好きですので」
「そうなの?」
少なくとも、俺はその時聞いたアラン君の言葉は深く重く受け止めていなかった。
その時までは。
午前の講義を無事終え、昼休みを挟んだ午後の実技訓練。
一台の馬車が養成施設にやって来た。
それと同時に男子たちの騒ぎが大きくなる。
「静かにしろ!」
ルドルフさんの言葉で騒ぎが一緒で止まる。
そして、馬車の中から一人の男が出てくる。それが騎士隊長アレックだと分かると、俺は残念な気持ちになった。
何だろう。見た目は格好良いし、笑顔は眩しいし、良いやつなのだろうけども。純粋にイケ好かなかった。
アレックさんが手を振りまく。
一緒、俺と目があった。
「今日は皆にとって待ちに待った月に一度の騎士隊長殿との訓練だ。はしゃぐのは良いが、バカな真似だけはするなよな」
「ルドルフ、ちょっと待ってくれ」
「どうかなさいましたか?」
「あそこにいる女の子、この前いなかったよね?」
「リヴァですか? 確かにそうですね。つい最近ですので。彼女はヨハンさんの紹介の元、騎士見習いになった子です」
「ああ、あの子が、噂に名高い」
噂に名高い?
俺はそんなに有名なのか?
なんて思っていると、アレックさんが俺の方へツカツカと近づいて来た。
そして俺の前で膝をつき。
「リヴァお嬢様、今晩お暇でしたら、一緒にお食事でもどうですか?」
そう言って、俺の手を取って来た。
そして手の甲にキスをする。
その一部始終に数秒の静寂が訪れた。
何が起きたんだ?
今、何をされたんだ?
「ちょっと! 何、私の可愛いリヴァちゃんの手に触って、しかもキスなんか!」
アリスが怒りの模擬剣殴りをしてくる。
それを素手で掴み取り。
アリスを空いた手で近くに寄せようとして。
「なんなら、アリスお嬢様もご一緒に」
「誰があんたなんかと一緒に行くか!」
アラン君の忠告を何一つ重く考えなかったけども。
なるほど。
予想以上に危ない人だった。
というか、アレックさん。せめてリナも誘ってやりなさいよ。あんたにとってリナは眼中になしか?
この光景に呆れたようにルドルフさんが口を開く。
「騎士隊長殿。訓練中に生徒を口説かないでください」
「いや、でもさ。今まで見たことがないぐらい可愛い子と聞いてたからどんなのかなって思ったら。予想以上で。失礼がないように一度はお食事に誘わないと」
「騎士隊長殿! やめてください!」
ルドルフさんの大きな声。アレックさんはアリスを解放した後、不満そうに元の位置に戻る途中。
「そうだ、リヴァちゃん。もしも大丈夫なら、後で」
帰り際にそう耳打ちしてきたものだから。
俺はアレックさんに見せつけるように、水魔法で手を洗った。
「お断りします」
するとアレックさんは残念そうにした。それと同時にアリスの表情が明るくなる。
ふう、怖かった。
というか気持ち悪かった。
後でもう一度念入りに洗っておこう。
というか、男子諸君。
こんな男に憧れるのはどうかと思うぞ!
「ごほん。では、訓練を始める!」
ルドルフさんの言葉が響いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
キャラ紹介13
モブ ロン
アラン君のように心優しい少年。14歳。
一章二話で「あれがヨハンさんの紹介を受けた?」と発言した子。
アラン君とは違い対立を極端に嫌い、誰とでも仲良くなることができる子。
強さ的には、中間あたり。
心の奥底に闇を抱えるタイプで、実は物凄いことを考えてたり考えていなかったり。
アリスとリナがお取り込み中なため、一人で朝食を取りに男子寮の食堂に来たは良いもの、皆が楽しそうに今日のことを話している。リナの言う通りだ。
食堂のおばちゃんから朝食を受け取り、俺はお気に入りの席に座る。窓際の四人がけのテーブル。
席に座ると同時にアラン君がやって来た。
「おはようございます!」
「おはよう、アラン君」
「一緒に食事をしても良いですか?」
「もちろん」
アラン君が俺の前に座る。
今日の朝食は前菜のカット野菜盛り合わせと主食のパン。軽いスープと焼き魚。今日も美味しそうな朝食だ。
俺がスープを食べると同時にアラン君はパンを小さくちぎって食べた。そののち俺の方を見てくる。
「リヴァさんは知っていますか? アレックさんのこと」
「うん。今日来るんだよね?」
「はい。男子にとっての憧れです」
するとアラン君の表情が微妙に曇る。
「ただ、リヴァさんは気をつけたほうが良いです」
「どうして?」
「それは…………」
「あっ!!」
アラン君の声を遮るようにアリスが大声を上げた。
食事の入り口で、俺とアラン君が二人きりで食事をしているのが見えたからだろう。
驚異的な早歩きで俺たちに詰め寄って来た。
「アラン君、何私の許可なくリヴァちゃんと一緒に食事をしてるの!」
「アリス、うるさいかな」
「リナちゃん、止めない…………で? あれ?」
俺の言葉がリナの言葉だと思ったのだろう。
不思議そうに俺とリナを交互に見て、リナが手でバツを作る。そして恐る恐ると言った様子で俺の方を見て来た。
「今のリヴァちゃん?」
「うん。私の言葉。どうしてアリスの許可がなかったらアラン君と一緒に食べることもできないの? あと、純粋に朝からうるさいです」
その言葉が予想外だったらしく。
アリスの表情が徐々に暗くなっていく。
体がダンみたいに震えだした。
「アリスちゃん?」
「ごめんなさい! ごめんなさい! 嫌いにならないで!」
「大丈夫。別にアリスが嫌いだから言ったわけじゃないよ。むしろ好きだから安心して」
あくまで友達として。
するとさっきまでの暗い顔が嘘のように明るくなり。
「聞いた? リナちゃん聞いた? 今、リヴァちゃん。私のこと好きだって」
「アリスちゃん、少しは、反省しよう?」
「はーい」
本当にアリスは反省しない子だ。可愛いから良いのだけれども。それに男子に関して異常な反応を示すけども、それ以外は普通に良い子だし。
まあ、なんだ。
その男子に対してが酷いのだけれども。
「それで、えっと。アラン君、何の話してたっけ?」
俺はアラン君の方を見る。
アラン君は呆気に取られた様子だったが俺の言葉で我が戻ったらしく。
「そうでした。リヴァさんはアレックさんに絶対に気をつけてください。アレックさんは、女好きですので」
「そうなの?」
少なくとも、俺はその時聞いたアラン君の言葉は深く重く受け止めていなかった。
その時までは。
午前の講義を無事終え、昼休みを挟んだ午後の実技訓練。
一台の馬車が養成施設にやって来た。
それと同時に男子たちの騒ぎが大きくなる。
「静かにしろ!」
ルドルフさんの言葉で騒ぎが一緒で止まる。
そして、馬車の中から一人の男が出てくる。それが騎士隊長アレックだと分かると、俺は残念な気持ちになった。
何だろう。見た目は格好良いし、笑顔は眩しいし、良いやつなのだろうけども。純粋にイケ好かなかった。
アレックさんが手を振りまく。
一緒、俺と目があった。
「今日は皆にとって待ちに待った月に一度の騎士隊長殿との訓練だ。はしゃぐのは良いが、バカな真似だけはするなよな」
「ルドルフ、ちょっと待ってくれ」
「どうかなさいましたか?」
「あそこにいる女の子、この前いなかったよね?」
「リヴァですか? 確かにそうですね。つい最近ですので。彼女はヨハンさんの紹介の元、騎士見習いになった子です」
「ああ、あの子が、噂に名高い」
噂に名高い?
俺はそんなに有名なのか?
なんて思っていると、アレックさんが俺の方へツカツカと近づいて来た。
そして俺の前で膝をつき。
「リヴァお嬢様、今晩お暇でしたら、一緒にお食事でもどうですか?」
そう言って、俺の手を取って来た。
そして手の甲にキスをする。
その一部始終に数秒の静寂が訪れた。
何が起きたんだ?
今、何をされたんだ?
「ちょっと! 何、私の可愛いリヴァちゃんの手に触って、しかもキスなんか!」
アリスが怒りの模擬剣殴りをしてくる。
それを素手で掴み取り。
アリスを空いた手で近くに寄せようとして。
「なんなら、アリスお嬢様もご一緒に」
「誰があんたなんかと一緒に行くか!」
アラン君の忠告を何一つ重く考えなかったけども。
なるほど。
予想以上に危ない人だった。
というか、アレックさん。せめてリナも誘ってやりなさいよ。あんたにとってリナは眼中になしか?
この光景に呆れたようにルドルフさんが口を開く。
「騎士隊長殿。訓練中に生徒を口説かないでください」
「いや、でもさ。今まで見たことがないぐらい可愛い子と聞いてたからどんなのかなって思ったら。予想以上で。失礼がないように一度はお食事に誘わないと」
「騎士隊長殿! やめてください!」
ルドルフさんの大きな声。アレックさんはアリスを解放した後、不満そうに元の位置に戻る途中。
「そうだ、リヴァちゃん。もしも大丈夫なら、後で」
帰り際にそう耳打ちしてきたものだから。
俺はアレックさんに見せつけるように、水魔法で手を洗った。
「お断りします」
するとアレックさんは残念そうにした。それと同時にアリスの表情が明るくなる。
ふう、怖かった。
というか気持ち悪かった。
後でもう一度念入りに洗っておこう。
というか、男子諸君。
こんな男に憧れるのはどうかと思うぞ!
「ごほん。では、訓練を始める!」
ルドルフさんの言葉が響いた。
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キャラ紹介13
モブ ロン
アラン君のように心優しい少年。14歳。
一章二話で「あれがヨハンさんの紹介を受けた?」と発言した子。
アラン君とは違い対立を極端に嫌い、誰とでも仲良くなることができる子。
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