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第五膜 零れた朝露、蜜の残り香編
百三十五射目「惨禍」
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「キャハハハハ! とんだ地獄絵図だなぁ!
シルヴァのバカのせいで、コイツは枯渇してるんだが、背に腹は変えられねぇ!
マルハブシの猛毒って奴だぁ、身に覚えはあるだろう?
救いなんかねぇよ。お前を倒してしまいだァ!!」
遠くから、あの男が、ギルアが……
私を見て笑っていた。
それを見て、少しだけ、
私は冷静になった。
意識を集中させる。
ヨウコの生命の気配がある。
誠也さんの生命の気配がある。
行宗の生命の気配がある。
フィリアの生命の気配がある。
ニーナの生命の気配がある。
私の生命の気配がある。
マナ騎士団……ギルアの生命の気配がある。
今の私には、みんなの感情が、なんとなく分かった。
行宗も、誠也さんも、フィリアも、
ニーナも、ヨウコも、
みんな、私に救いを求めていた。
ギルアを倒してほしいと、
私に信じて託してくれた。
私のために稼いでくれた時間。
私は、戦わなきゃ……
この先に、どんな地獄がまっていようとも……
もう後戻りなんてできない。
後悔は、あとで幾らでもすればいい。
戦え、戦えっ、戦えっ!!
ギルアを、アイツをっ! ぶっとばすっ!!
キィィィィン!!!
私は手のひらのなかに、閃光を溜めた。
そして、驚くほど冷静に、
ギルアに向かって、人を殺すための閃光を放った。
ドォォォォォ!!!!
その直線上に、私の魔法を防ぐように、飛び込む一つの生命の気配があった。
ヨウコだった。
『ぎゃぁあああぁ!!』
私の本気の閃光は、ヨウコの身体に直撃して灼いた。
痛みと熱で、発狂するヨウコの声……
私の心が、バキッと壊れる音がした。
ヨウコの後ろでは、ギルアが、無傷でニヤニヤと笑っていた。
私はまた、ギルアへ向かって閃光を放とうと、手を掲げたけれど……
手が、震える……
全身が、寒い……
涙が溢れて、何も見えない。
何も分からない。
私は……
『もう"やだぁっ! 助けてぇっ!!』
そう叫ぶニーナが、私を地面へと蹴り落とした。
「はぁ……はぁ……」
だめだ……
だめだだめだっ……
こんなのってないよっ……
私は、もう、誰も、傷つけたくない……
でも、
戦わなきゃ……
誰か……
たすけて……
「直穂っ!!」
そんな時、可愛らしい声がした。
フィリアちゃんの声だった。
「状況はどうなってるっ!? オレは、どうすればいいっ?」
声のする方へ顔を上げると、
フィリアちゃんが叫んでいた。
血まみれの誠也さんを抱えながら、私に……
私は、口を開いた。
「お願い……薬を作ってっ……!
ヨウコちゃんとニーナちゃんは、マルハブシの猛毒っていう毒を飲まされて、1時間後には死んでしまうのっ!
だからお願いっ! 治療法を見つけてっ!」
私は叫んだ。
私達は今、マグダーラ山脈で手に入れた大量の薬剤を持っている。
マグダーラ山脈の別名は、薬の大ダンジョン。
神様が作ったあらゆる薬剤が揃っているんだよね?
私達は、和奈の病気とフィリアの父の病気を治すために、命がけでマグダーラ山脈に行ってきた。
きっと、マルハブシの猛毒だって、
フィリアちゃんの腕なら、治せるはずっ!
「お願いっ! みんなを助けてっ!」
私は叫ぶことしかできないから、必死に叫んだ。
ニーナが私の方へ、鋭く迫ってくる。
振られた蹴りを、かろうじて避ける。
私は……どうすればいいのだろうか……
手が震えて、涙が溢れて……
ニーナの攻撃を、受け続けることしか出来なかった。
『直穂さんっ……直穂さんっ……!!』
前から、心の声が聞こえる。
『聞こえてるんですよねっ、私の声がっ……』
ニーナの心の声だ。
ニーナはギルアに操られたまま、私への攻撃は止まらない。
『直穂さんっ……お願いですっ……
このままじゃ全員死んでしまいますっ!
あの男のっ、ギルアの思い通りになってしまいますっ!
だから……』
そうだね。
その通りだよ、ニーナ。
でもっ……
『だから、直穂さん。
私をっ、私たちを……』
だめ……
そんなことっ……!
『私とヨウコを、迷わず殺してくださいっ……!
そしてっ……
ギルアを倒して、私たちの敵をとってくださいっ!!
まだ、今なら間に合いますっ!
あなたたちは、助かることができるっ!!』
「そんなこと出来るわけないっ!!!」
できないっ……
たとえそれが、ただしいことだとしても……
私は……
私はっ……!!
ドゴッ!!
ニーナの拳が、私のみぞおちに抉りこんだ。
痛い痛い痛い……
追撃とばかりに、ニーナの手のひらから、真っ赤な炎の魔法が揺らめいた。
あれ……?
魔法もつかえるの?
まずい、避けなきゃっ……
ボボォォ!!
私の身体は、灼熱の炎に包まれる。
意識が飛びそうだ。
地面に倒れて、うつ伏せになる。
「【超回復】……」
なんとか自分を回復して、また立ち上がる。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
この地獄は、いつまで続くのだろうか……
「直穂っ! 無理だっ!
誠也の傷口が開いちまったっ!
オレはっ、誠也の治療に専念しないとっ!」
フィリアちゃんの声がした。
そうか……そうだよね。
フィリアちゃんは、誠也さんを選んだ。
私も、選ばないといけない……
何を選んで……何を捨てるか……
私にとって、一番大切なものを、選ばなければいけない……
『直穂さんっ!
私はもう誰も傷つけたくありませんっ!
だから、どうかお願いですっ! その手で私を止めてくださいっ!』
ニーナの声。
『ニーナ姉っ! ばかなことを言うなっ!
私達は、みんなで生きるんだろっ!
約束したじゃないかっ!』
ヨウコちゃんの声。
「直穂っ! もう時間が経ってるっ!
天使になれる時間はあとわずかだろうっ!
早く決断しないと、みんな殺されるっ!」
フィリアちゃんの声が、私の脳に響いてくる。
そうだ……残り時間。
私がなんとかしないと、みんながっ。
決断……
『直穂さんっ!!』
ニーナちゃんの顔をみて、ヨウコちゃんの顔をみて、
その向こう側では、赤白マントのギルアが、私の天使スキルが尽きるのをまっている。
キィィィ!!!
私は力なく、閃光をギルアに放った。
しかしそれは、身を挺したヨウコによって食い止められる。
そして、ニーナが、私の方へ……
「できない……」
私には、できない。
誰かの息の根を止めることなんて……
「あ………」
突然、糸が切れたみたいに、身体が重くなった。
翼を失った私は、地面に落下した。
痛い……
天使の10分間が、終わった。
「っ………」
もう、力は残っていない。
ギルアの口角が、ニヤリと上がるのが見えた。
もう、生命の気配は見えない。
ニーナとヨウコの心の声も、聞こえない。
「……………!!」
そして、ニーナが私の方へと、
トドメを刺そうと飛びかかってくる。
もう天使じゃないはずなのに、ニーナの動きはやけにスローモーションに見えた。
あぁ、これが、走馬灯というやつだろうか……
目尻から、ぽろりと涙がこぼれ落ちた。
「ごめん……なさい……」
結局私は中途半端で、何も選択できなくて……
また間違えて、最悪の結果をもたらした。
ごめんね……行宗……
私は、ヒーローにはなれなかった。
最低の人間だ……
あぁ、このまま、私は死ぬ。
私のあとは、フィリアちゃんも、誠也さんも、行宗も、
順番に殺されてしまうだろう。
最悪のバッド・エンド。
あぁ、そっか、
私達がここで死ねば、和奈の命も、フィリアのお父さんの命も、助からない……
なにも得られない。
全部、私のせいだね……
私は、悪い子だ……
ニーナの一撃が、翼を失った私へと……
グサァァァ……
そして、
私の眼の前で、血が爆ぜた。
私は痛みを感じなかった。
おそるおそる、目を開ける。
そこには、白い光を纏った。
賢者となった行宗がいた。
行宗は、賢者の白い大剣で、
ニーナちゃんのお腹を刺していた。
「直穂
……君は人殺しじゃない……
マナトは死んでない。しばらく心臓が止まっていただけだから……」
「え……?」
マナトは、死んでない??
私は、何も、理解できなかった。
『……………………』
ニーナちゃんが、血を吐きながら、
安心した表情で、
獣族語でなにか呟いていた。
「……うん、ニーナ。
必ず伝えておくよ……
ごめんね。助けられなくて……
……おやすみ……」
暗い顔でそう呟く行宗は、右腕を失っていた。
血をボタボタと垂らしたまま。
行宗の言葉を聞いて、ニーナは安心したように息をついた。
「直穂……
君を人殺しになんてさせない。
辛い役目を押し付けてごめん……
人殺しは俺だけでいいから……
……」
行宗はそう言って、ニーナのお腹から剣を引き抜いた。
ニーナは脱力し、目を閉じて、微笑みながら。
『…………』
何かを言って、私の眼の前に倒れて、
そのまま動かなくなった。
なんで……
「ごめんね、直穂。
俺は、ギルアを倒してくるから……」
なんでっ!!!
また、私は、行宗に全てを任せてしまった。
責任も、決断も、
全て後回しにして逃げ回って、
また行宗に、辛い役目を負わせてしまった。
あぁ、そうだ。
回復しないと……
行宗の右腕を、治療してあげないと……
身体がまだ震えたまま、私は行宗に手を伸ばした。
でも……
「待ってて」
行宗は私を置いて、行ってしまった。
ギルアを倒しに行ったのだ。
「………っ……」
私の前には、安心したように眠るニーナの死体があって、
私は……
「………うぅ……」
罪悪感と惨めさで泣いて、その場から動けなかった。
シルヴァのバカのせいで、コイツは枯渇してるんだが、背に腹は変えられねぇ!
マルハブシの猛毒って奴だぁ、身に覚えはあるだろう?
救いなんかねぇよ。お前を倒してしまいだァ!!」
遠くから、あの男が、ギルアが……
私を見て笑っていた。
それを見て、少しだけ、
私は冷静になった。
意識を集中させる。
ヨウコの生命の気配がある。
誠也さんの生命の気配がある。
行宗の生命の気配がある。
フィリアの生命の気配がある。
ニーナの生命の気配がある。
私の生命の気配がある。
マナ騎士団……ギルアの生命の気配がある。
今の私には、みんなの感情が、なんとなく分かった。
行宗も、誠也さんも、フィリアも、
ニーナも、ヨウコも、
みんな、私に救いを求めていた。
ギルアを倒してほしいと、
私に信じて託してくれた。
私のために稼いでくれた時間。
私は、戦わなきゃ……
この先に、どんな地獄がまっていようとも……
もう後戻りなんてできない。
後悔は、あとで幾らでもすればいい。
戦え、戦えっ、戦えっ!!
ギルアを、アイツをっ! ぶっとばすっ!!
キィィィィン!!!
私は手のひらのなかに、閃光を溜めた。
そして、驚くほど冷静に、
ギルアに向かって、人を殺すための閃光を放った。
ドォォォォォ!!!!
その直線上に、私の魔法を防ぐように、飛び込む一つの生命の気配があった。
ヨウコだった。
『ぎゃぁあああぁ!!』
私の本気の閃光は、ヨウコの身体に直撃して灼いた。
痛みと熱で、発狂するヨウコの声……
私の心が、バキッと壊れる音がした。
ヨウコの後ろでは、ギルアが、無傷でニヤニヤと笑っていた。
私はまた、ギルアへ向かって閃光を放とうと、手を掲げたけれど……
手が、震える……
全身が、寒い……
涙が溢れて、何も見えない。
何も分からない。
私は……
『もう"やだぁっ! 助けてぇっ!!』
そう叫ぶニーナが、私を地面へと蹴り落とした。
「はぁ……はぁ……」
だめだ……
だめだだめだっ……
こんなのってないよっ……
私は、もう、誰も、傷つけたくない……
でも、
戦わなきゃ……
誰か……
たすけて……
「直穂っ!!」
そんな時、可愛らしい声がした。
フィリアちゃんの声だった。
「状況はどうなってるっ!? オレは、どうすればいいっ?」
声のする方へ顔を上げると、
フィリアちゃんが叫んでいた。
血まみれの誠也さんを抱えながら、私に……
私は、口を開いた。
「お願い……薬を作ってっ……!
ヨウコちゃんとニーナちゃんは、マルハブシの猛毒っていう毒を飲まされて、1時間後には死んでしまうのっ!
だからお願いっ! 治療法を見つけてっ!」
私は叫んだ。
私達は今、マグダーラ山脈で手に入れた大量の薬剤を持っている。
マグダーラ山脈の別名は、薬の大ダンジョン。
神様が作ったあらゆる薬剤が揃っているんだよね?
私達は、和奈の病気とフィリアの父の病気を治すために、命がけでマグダーラ山脈に行ってきた。
きっと、マルハブシの猛毒だって、
フィリアちゃんの腕なら、治せるはずっ!
「お願いっ! みんなを助けてっ!」
私は叫ぶことしかできないから、必死に叫んだ。
ニーナが私の方へ、鋭く迫ってくる。
振られた蹴りを、かろうじて避ける。
私は……どうすればいいのだろうか……
手が震えて、涙が溢れて……
ニーナの攻撃を、受け続けることしか出来なかった。
『直穂さんっ……直穂さんっ……!!』
前から、心の声が聞こえる。
『聞こえてるんですよねっ、私の声がっ……』
ニーナの心の声だ。
ニーナはギルアに操られたまま、私への攻撃は止まらない。
『直穂さんっ……お願いですっ……
このままじゃ全員死んでしまいますっ!
あの男のっ、ギルアの思い通りになってしまいますっ!
だから……』
そうだね。
その通りだよ、ニーナ。
でもっ……
『だから、直穂さん。
私をっ、私たちを……』
だめ……
そんなことっ……!
『私とヨウコを、迷わず殺してくださいっ……!
そしてっ……
ギルアを倒して、私たちの敵をとってくださいっ!!
まだ、今なら間に合いますっ!
あなたたちは、助かることができるっ!!』
「そんなこと出来るわけないっ!!!」
できないっ……
たとえそれが、ただしいことだとしても……
私は……
私はっ……!!
ドゴッ!!
ニーナの拳が、私のみぞおちに抉りこんだ。
痛い痛い痛い……
追撃とばかりに、ニーナの手のひらから、真っ赤な炎の魔法が揺らめいた。
あれ……?
魔法もつかえるの?
まずい、避けなきゃっ……
ボボォォ!!
私の身体は、灼熱の炎に包まれる。
意識が飛びそうだ。
地面に倒れて、うつ伏せになる。
「【超回復】……」
なんとか自分を回復して、また立ち上がる。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
この地獄は、いつまで続くのだろうか……
「直穂っ! 無理だっ!
誠也の傷口が開いちまったっ!
オレはっ、誠也の治療に専念しないとっ!」
フィリアちゃんの声がした。
そうか……そうだよね。
フィリアちゃんは、誠也さんを選んだ。
私も、選ばないといけない……
何を選んで……何を捨てるか……
私にとって、一番大切なものを、選ばなければいけない……
『直穂さんっ!
私はもう誰も傷つけたくありませんっ!
だから、どうかお願いですっ! その手で私を止めてくださいっ!』
ニーナの声。
『ニーナ姉っ! ばかなことを言うなっ!
私達は、みんなで生きるんだろっ!
約束したじゃないかっ!』
ヨウコちゃんの声。
「直穂っ! もう時間が経ってるっ!
天使になれる時間はあとわずかだろうっ!
早く決断しないと、みんな殺されるっ!」
フィリアちゃんの声が、私の脳に響いてくる。
そうだ……残り時間。
私がなんとかしないと、みんながっ。
決断……
『直穂さんっ!!』
ニーナちゃんの顔をみて、ヨウコちゃんの顔をみて、
その向こう側では、赤白マントのギルアが、私の天使スキルが尽きるのをまっている。
キィィィ!!!
私は力なく、閃光をギルアに放った。
しかしそれは、身を挺したヨウコによって食い止められる。
そして、ニーナが、私の方へ……
「できない……」
私には、できない。
誰かの息の根を止めることなんて……
「あ………」
突然、糸が切れたみたいに、身体が重くなった。
翼を失った私は、地面に落下した。
痛い……
天使の10分間が、終わった。
「っ………」
もう、力は残っていない。
ギルアの口角が、ニヤリと上がるのが見えた。
もう、生命の気配は見えない。
ニーナとヨウコの心の声も、聞こえない。
「……………!!」
そして、ニーナが私の方へと、
トドメを刺そうと飛びかかってくる。
もう天使じゃないはずなのに、ニーナの動きはやけにスローモーションに見えた。
あぁ、これが、走馬灯というやつだろうか……
目尻から、ぽろりと涙がこぼれ落ちた。
「ごめん……なさい……」
結局私は中途半端で、何も選択できなくて……
また間違えて、最悪の結果をもたらした。
ごめんね……行宗……
私は、ヒーローにはなれなかった。
最低の人間だ……
あぁ、このまま、私は死ぬ。
私のあとは、フィリアちゃんも、誠也さんも、行宗も、
順番に殺されてしまうだろう。
最悪のバッド・エンド。
あぁ、そっか、
私達がここで死ねば、和奈の命も、フィリアのお父さんの命も、助からない……
なにも得られない。
全部、私のせいだね……
私は、悪い子だ……
ニーナの一撃が、翼を失った私へと……
グサァァァ……
そして、
私の眼の前で、血が爆ぜた。
私は痛みを感じなかった。
おそるおそる、目を開ける。
そこには、白い光を纏った。
賢者となった行宗がいた。
行宗は、賢者の白い大剣で、
ニーナちゃんのお腹を刺していた。
「直穂
……君は人殺しじゃない……
マナトは死んでない。しばらく心臓が止まっていただけだから……」
「え……?」
マナトは、死んでない??
私は、何も、理解できなかった。
『……………………』
ニーナちゃんが、血を吐きながら、
安心した表情で、
獣族語でなにか呟いていた。
「……うん、ニーナ。
必ず伝えておくよ……
ごめんね。助けられなくて……
……おやすみ……」
暗い顔でそう呟く行宗は、右腕を失っていた。
血をボタボタと垂らしたまま。
行宗の言葉を聞いて、ニーナは安心したように息をついた。
「直穂……
君を人殺しになんてさせない。
辛い役目を押し付けてごめん……
人殺しは俺だけでいいから……
……」
行宗はそう言って、ニーナのお腹から剣を引き抜いた。
ニーナは脱力し、目を閉じて、微笑みながら。
『…………』
何かを言って、私の眼の前に倒れて、
そのまま動かなくなった。
なんで……
「ごめんね、直穂。
俺は、ギルアを倒してくるから……」
なんでっ!!!
また、私は、行宗に全てを任せてしまった。
責任も、決断も、
全て後回しにして逃げ回って、
また行宗に、辛い役目を負わせてしまった。
あぁ、そうだ。
回復しないと……
行宗の右腕を、治療してあげないと……
身体がまだ震えたまま、私は行宗に手を伸ばした。
でも……
「待ってて」
行宗は私を置いて、行ってしまった。
ギルアを倒しに行ったのだ。
「………っ……」
私の前には、安心したように眠るニーナの死体があって、
私は……
「………うぅ……」
罪悪感と惨めさで泣いて、その場から動けなかった。
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